薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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砦の訓練。そして休息

百竜夜行を食い止める関門である砦へと到着した一同は荷車から降りる。

前に来た時とも変わらない景色だが、初めて見る砦にエスラとシャーラ。そして周りのハンター達は辺りを見回していた。

 

「よし。まずはエリアを案内する」

 

到着したゲンジはヒノエとミノトと共に前に出ると、ハンター達を先導した。

自身が案内された時と同じように前線から最終関門があるエリアまでを兵器を含め、全て説明した。

 

「撃竜槍は斜め上に射出するようになっている。だから打つ際は気をつけろ。そして覇龍砲もだ。打つ時は合図を必ず送れ」

兵器を担当する者たちは頷いた。

 

その後、無事に整備が終わり、迎撃準備が整った皆はそれぞれ武器の訓練や身体を休めていた。

 

多くの皆は翔蟲について訓練していた。翔蟲は扱い方が難しいが、コツを掴めば意外とすぐに習得できる上に習得ができれば、更に武器に応用できるので心強い。

 

そのなかでも、エスラとシャーラはゲンジと同様に自身にあったオリジナルの扱い方を次々と編み出していた。

 

「ヒャッホォォオ!!!」

愉快に吠えながら壁を走るエスラはそのまま跳躍すると翔蟲を扱い更に空高く舞い上がる。そしてライトボウガンの銃口を下に設置した的に向けると、次々と通常弾を射出した。

 

空中から次々と降り注がれる雨のように撃たれた通常弾1発1発が正確に的を貫いていった。

 

「フッ。中々いいな。翔蟲というのは」

 

エスラは笑みを溢しながら着地する。すると、近くで同じガンナーであるヒノエはその光景を見てパチパチと腕を叩いていた。

 

「凄いですね義姉さん!ゲンジと同じく短期間で空中戦法をマスターしてしまう上に派生も開発してしまうなんて驚きでした!」

 

「義姉さんって呼ぶな!…まぁ、ゲンジに比べれば私はまだまだ未熟だ」

 

「え?」

エスラの言葉にヒノエは首を傾げる。

 

「私がこの段階に至っているとなると、アイツは更なる境地に踏み込んでいるだろう。ゲンジを甘く見るなよ。アイツは見た目は可愛いが…本気を出した時はとてつもない強さとなるからな」

 

一方で、シャーラはミノトと共に訓練していた。シャーラは双剣を構えると、一気に壁に駆け出し、ほぼ垂直に等しい壁をゲンジと同様に軽業師の如く駆け抜けていく。

 

脚を大きく踏み込み、その場から跳躍すると、着地地点にある的に向けて双剣を構える。身体を唸らせ、回転させると、その回転力を利用した2振りの双剣を一気に振り下ろす。

 

「ヤァッ!!」

 

それだけでは終わらない。シャーラは先にある的に目を向けると、駆け出し、跳躍する。そして、ほぼ、水平に翔蟲を射出すると低空飛行となり、その体制から双剣を構えると、身体を回転させ、刃のコマと化していった。

 

そして、刃のコマと化したシャーラはそのまま的を立てられた棒もろとも粉々に粉砕した。

 

 

「ふぅ…!!」

着地したシャーラは息継ぎの為に勢いよく息を吹き出した。

その様子を見ていたミノトは驚いていた。ゲンジの時もそうだが、彼女もそうだ。さすがはベテランハンターである。ミノトは驚きながらパチパチと手を叩いた。

 

 

「素晴らしいです…たったこれだけの期間で翔蟲と双剣の空中での闘い方をマスターしてしまうとは…やはりゲンジのお姉さんですね」

 

その言葉にシャーラは向き直ると、首を横に振り否定した。

 

「私なんて、まだまだゲンには及ばないよ」

シャーラは首を鳴らしながら新しい的を設置しようとする。すると、偶然とその様子を見に来たゲンジと出会った。

 

「よう」

「あ、ゲン」

現れたゲンジはシャーラに翔蟲の使い様について聞いた。

 

「シャーラ姉さん。翔蟲はどうだ?」

 

「もう慣れたよ」

 

「そうか。なら良かった」

ゲンジはシャーラの現状を簡単に確認すると、エスラの元へと向かおうとする。

 

「あ…ゲ…ゲンジ!」

「ん?」

すると、ミノトは突然 ゲンジを呼び止めた。ミノトは前回の事を思い出し、今度こそ、自身は過ちを犯さない事を誓う。

 

「前のような失敗はしません。だからその…私のことは気にせずに安心して闘ってください!!」

ミノトの言葉にゲンジは少し口から息を出すと、ミノトに近づき、彼女の頭に背伸びをしながらそっと手を置いた。

そして顔を晒せながらも彼女に言った。

 

「死ぬなよ…。その…危ない時は守ってやるから…」

 

「…///」

唐突に放たれたその言葉にミノトは顔を真っ赤に染めた。ゲンジは手を離す。

 

「ゲンっていつからそんな風になったの?」

 

「た…偶にはこれくらい言わないと…いけないだろ…」

 

「ふぅ〜ん。なら、ヒノエさんには言ってあげないの?」

 

「ヒノエ姉さんに言ったらとんでもない事になるだろ…」

シャーラはやれやれとしながら首を振る。頭を撫でた当の本人も頬を赤く染めていた。

 

「旦那様が…旦那様が私を…!!」

一方でミノトは顔を真っ赤にさせたまま乙女の如く顔を手で覆い左右に振っていた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

それから、夜が訪れ、皆は疲れを癒すべく、ハンター達は用意されている拠点へと戻った。

 

拠点にはキャンプと同じ簡易的なベッドやハンモックがいくつも用意されていた。

 

「前に来た時よりも増えてないか?」

 

「あぁ。一応 大量に用意させてもらった。これならばハンター達も安心して休めるだろう。流石に地面に寝させるわけにはいかんからな」

 

「そうか」

フゲンの言葉にゲンジは頷く。すると、ハンター達は次々とベッドに倒れ込んでいった。

 

「疲れたぜ!」

 

「明日も翔蟲の練習しねぇとな〜!!」

それぞれの明日の思いを叫びながら皆はまるでドミノ倒しのように次々と睡眠へと入っていく。

 

因みに男女が分けられており、女性は向かい側の陣。男性側はそこから離れた向かい側の陣であった。

 

「ヒノエさ〜ん。今日一緒に寝よ〜」

 

「ふふ。いいですよヨモギちゃん。さぁいらっしゃい」

 

「姉様…!私も!」

 

「はいはい♪」

 

ミノトはヨモギに続くようにヒノエの懐に飛び込んでいった。

その光景を見ていたエスラは頬を紅潮させる。

 

「おぉ…!まさに家族愛!ゲンジ!シャーラ!さぁお姉ちゃんの胸に飛び込んでおいで!!」

 

「男女別だって言ってんだろ。シャーラ姉さんだけで我慢しろ」

 

「姉さんに抱きつくんだったらヒノエさんの方がいい」

「えぇ!?」

その後、ゲンジは男性陣の寝床へと行ってしまう。

 

すると

 

___息吹けシナト風。カムラ辻や

とても透き通った声の歌が聞こえてくる。見るとヒノエは眠る2人の頭を撫でながら美しい声でカムラの里に伝わる厄災払いを込めた古き歌『カムラ祓え歌』を口ずさんでいた。

 

___蹈鞴 火影 堯々と。翳る 景地よ。

 

透き通るように美しいヒノエの声に辺りで眠る女性ハンター達は次々と眠りに誘われていった。

 

「綺麗な歌声だな」

 

「えぇ。歌でここまで癒されたのは初めてです」

女性ハンター達はその心地いい歌を耳にしながら目を閉じる。まるで母の懐に抱かれているかのような心地いい歌声に女性ハンター達は故郷を思い浮かべながら眠りについた。

 

「…ふわぁ…私もそろそろ寝よう…」

「私も…今日だけだからね姉さん」

その歌声にエスラもあくびをし、ベッドへと倒れ込んだ。それに続くようにシャーラもエスラの隣に寝転んだ。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

「いいな〜女達は。あんないい歌声聴きながら寝れるんだぜ?」

 

「あぁ。俺も久しぶりに母ちゃんの子守唄聴きたくなっちまったよ」

 

女子の陣から聞こえてくる微かな声に男性ハンター達は故郷を思い出す。

 

すると

「心配いらんぞ主らよ!!」

突然 その場に彼らの寂しさを吹き飛ばす活気ある声が響き渡り皆はすぐさまその場へと目線を向ける。そこにはいつも通りの装備を纏ったフゲンと琵琶を持つゴコク。そして横笛を持つウツシが立っていた。

 

「主らにはヒノエに変わり俺がカムラ祓え歌を歌ってやろう」

 

『えぇぇぇぇ!!??』

 

まさかのフゲンが歌うことにハンター達は驚愕する。しかも当の本人はノリノリであり、まさかの楽器さえも用意させていた。

 

「では皆の衆!!盛り上がっていくぞ!!!いいぃぃいぃぶぅぅぅけぇぇぇぇシナァァト風ぇぇ___

 

 

『『『クソ下手じゃねぇかッ!!!!』』』

 

◇◇◇◇◇◇

 

それから数時間後。砦は静まり返り、女性陣の皆は綺麗な寝息を立てながらスヤスヤと眠っていた。

 

 

一方で、男性陣は

 

 

「ぐぁぁぁー!!!」

 

「ががか…ぁ!!」

 

「ぐぎぎぎ…」

いびきやら歯軋りやら、色々な音が聞こえていた。でも何故か全員ともグッスリと眠っていた。

 

そんな中 眠る男性陣の中から主要な人物が数人見当たらなかった。

 

 

 

 

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