薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
砦にて生活すること、3日。
遂に明日は百竜夜行が起こる日だ。決戦前夜となる今この時、ハンター達全員は緊迫した雰囲気に包まれており、明日に備えて就寝に入っていた。
「いよいよ明日ですねゲンジ」
「あぁ」
そんな中、前日だというのにそれを感じさせない美しく輝いている夜空をヒノエとミノト、そしてゲンジは見つめていた。ゲンジはふと2人の表情を見る。ミノトは相変わらず無表情であったが、ヒノエの顔には前日だというのに不安一つも感じさせない笑顔が見えていた。
「前よりも表情が明るいな」
そう言いゲンジは数ヶ月前に起きた百竜夜行の前夜を思い出す。当時は彼女は何気なく今程は明るくはなかった。だが、その表情は今、里にいた時と変わらぬ太陽のように輝いていた。
「ふふ。勿論ですよ。なにせもう負ける気が微塵も起きませんから」
「寧ろ、それを想像するのが馬鹿らしく思えてしまいます。前回よりも強力なモンスターが来たとしても、私達には仲間が…家族がいる。それに…これだけのハンター様方が集まっていただけて、どれ程心強いか」
そう言いミノトは後ろで眠るハンター達を見る。
「そうだな」
ゲンジも振り向き、その光景を見る。その光景を見ているとつられるように眠気が襲ってきた。
「そろそろ寝るか…」
「えぇ。そうですね。では、私達のところへ…」
そう言いヒノエはからかう様にゲンジの手を取ると、女子の陣に連行する。
「…あら?」
手を引っ張ると抵抗する動きが無かった。いつもならば、離れようと必死に抵抗するが、今日だけはなぜか素直に応じていた。その様子を見てヒノエは首を傾げる。
「いつもなら可愛く顔を真っ赤にさせる筈ですが今日は違いますね」
ヒノエはいつもとは違い、反応がないゲンジを不思議に思い理由を尋ねる。すると、ゲンジは顔を赤くしそっぽを向きながらも答えた。
「………今日は好きな奴と寝たい…」
「「…!!」」
言葉にヒノエとミノトは虚を突かれたかの様に同じく頬を染めると同時に笑みを浮かべた。
「ふふ。喜んで!」
「旦那様から言ってくださるとは…嬉しい限りです」
その後、ゲンジはヒノエとミノトに挟まれながら横になる。左右から2人はそれぞれゲンジの手を掴んでいた。伝わった握力に対して相応する様にゲンジは握り返し3人の夫婦は川の字で眠りについた。
不安など一切ない。自身らは百竜夜行を退けて里に帰る。ただそれだけの未来を見ていた。
◇◇◇◇◇
そして 運命の日がやってきた。
陽の光が差し込む眩しい朝。3人は誰よりも早く目を覚ます。
「「旦那様。おはようございます」」
「あぁ」
誰よりも早く目を覚ました3人は共に装備を着用して、武器を背負う。
それに続く様にエスラ達も目を覚ます。
「やぁ。おはよう3人とも」
「朝から夫婦共に仲がいいね」
「姉さん達もおはよう」
辺りにいるハンター達も次々と目を覚ましていった。そして、装備を纏ったハンター達は最後の兵器のメンテナンスへと里の者と共に取り掛かっていく。
「いよいよだな…!!」
「あぁ。だけど不思議だ。全然怖くねぇ!」
「何かやる気しか起きねぇな」
恐れていた声をあげていたハンター達からは次々と希望の声が上がる。誰一人、絶望の声を上げる者はいなかった。
それは女性ハンター達も同じだ。皆、それぞれの役目を完遂させる為に最後の仕込みに取り掛かる。武器を研ぎ、切れ味の再確認。
そして、それが終わると次々と持ち場へと着いていった。皆が次々と戦場へ向かう中、ヒノエ達もそれに続く。
「行きましょう!ゲンジ!エスラ!シャーラ!」
「我ら家族。共に」
ヒノエとミノトの声にエスラとシャーラ。そしてゲンジは頷く。
「あぁ…!!」
「そうだな」
「行こう」
そして、5人はその場から飛び出すと戦場へと降り立った。
兵器での援護をする者達は高台へ。ゲンジとヒノエ達は武器で直接迎撃するために通路へ。
ゲンジの周りには協力に頷いた上位ハンターの姿も。更に百竜刀を背負ったフゲン。そして、大量の鉄蟲糸を携帯するウツシ。ボウガンを構えるハモン。そして、特殊な薬が積まれた壺を大量に設置するゴコク。
準備は全て整った。後は迎撃するのみ。
その時だ。見張りの者が金具を鳴らす。
「来たぞッ!!!『百竜夜行』だぁぁぁぁ!!!!」
開戦の合図が挙げられた事で、フゲンは前に立ち、百竜刀を抜刀する。それに続き皆も武器を次々と構え臨戦態勢へと入っていった。
「行くぞ皆の衆ッ!!!」
『『『おぅ(あぁ)(はい)ッ!!!!』』』
闘いの火蓋が切られた。