薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

7 / 205
閑話:カムラの里の日常 団子のアイデア

クエストが終了し、休憩する為にヨモギと2匹のアイルーが経営する茶屋にヒノエと共に脚を運んだゲンジは、名物のウサ団子を注文しようと声を掛ける。

 

「ヨモギ〜。ウサ団子二つ……ん?」

出てきたのはいつも明るい雰囲気とは真逆のドンヨリとした暗い雰囲気と共に現れた痩せ細ったヨモギだった。

 

「「!?」」

いつものヨモギとは思えない程の落ち込みにゲンジとヒノエは驚く。

 

「はい…ウサ団子2本…承りました〜…」

 

いつもならば2匹のアイルーと共に得意の射的を見せながら用意してくれるのだが、この日は射的なしで団子を直に刺して、出した。

 

お茶も茶柱が立たない上に薄く、完全にいつもとは調子が悪い方で違う。

 

何かあったのかと思い2人は相談に乗る事にした。

 

ーーーーーーーーー

 

「実はね…」

ヨモギはお盆を抱え脚をプラプラとさせながら悩みを打ち明ける。

 

「新しいお団子のアイデアがどうにも浮かんでこないんだ」

 

「新しい団子の…」

「アイデア?」

ゲンジとヒノエは同時に首を傾げながら同時に一つ目の団子を口に運ぶ。

 

「うん…。いつもならすぐに浮かぶのに今は中々浮かばないんだぁ…」

 

「店を営む者から見て新しいアイデアってそんなに重要なのか?」

「特にそうでもないですけど、ヨモギちゃんは新しいお団子の開発に力を入れているから浮かばないのは致命的となりますね」

 

ハンター業しかやっていなかったゲンジはヒノエに経営について聞くと、ヒノエは説明した。それに加えて、前にもこのような事があったらしい。その時はすぐに解決したのだが、今はそれよりも酷い状態らしい。

 

「あ〜!!良いアイデアが思い浮かばない〜!!!」

 

「だったらこういうのはどうだ?」

頭を掻きむしりながら叫ぶヨモギにゲンジは一つのアイデアを提案する。それは桜の花びらが舞う景色を風景に作り出された桜色の団子。

 

「ピンク色の生地に桜をのせた桜団子」

「まぁ素敵!」

 

何とも春らしいアイデアにヒノエは感嘆する。けれども、ヨモギはその案を却下する。

「それはもう作っちゃった。味はイマイチだった」

 

続いてヒノエが案を出す。

 

「じゃあモンスターをイメージしたらどう?例えば緑、桜色、金箔のリオレイア団子に赤、蒼、銀箔のリオレウス団子とか」

「へぇ。原種、亜種、希少種と並べるのは斬新だな」

 

「確かにいいね!!……けど、金箔も銀箔もない…」

ヒノエのアイデアにゲンジは納得し、ヨモギもナイスアイデアと笑顔を浮かべるも材料がない事を思い出し却下する。

 

「じゃあアイルーを形にしたアイルー団子はどうだ?あれなら女性からの受けもいいだろう」

「確かに可愛い形は興味を引かれるわね」

 

「それはいいかも…」

2度目に出した提案にヨモギは頷くと、メモするが、それでもまだまだ足りない上にシックリこないらしい。

 

「何かこう…ドカァーンとしたものないかなぁ〜。一つだけは思いついたんだけど…」

 

「それはどんな奴だ?」

ヨモギがようやく思い描いたイメージをゲンジは聞く。

すると、ヨモギの頭から雲が湧き出て一つの枠を作ると、そこにヒノエとミノトを模した二つの団子の間にゲンジの顔を模した団子が挟まれながら串に刺されていた。

 

「ミノトさんとヒノエさんに挟まれたゲンジさんの2股団子」

「却下しろ」

 

年相応とは思えない程のゲスな発想にゲンジはすぐさま手で仰いで思い浮かんだイラストをグチャグチャにする。

 

「いいじゃない。私達姉妹の間に挟まれたゲンジ…素敵ね…」

 

「素敵じゃねぇよ不適だよ。気色悪い」

 

プチ

ゲンジの言葉にヒノエはプチッと額に怒りマークを立てると悪い笑みを浮かべる。

 

「あ〜ら。そんな事言うならゲンジが寝ぼけて私に『お姉ちゃん』って言いながら甘えてきた事を皆に教えてあげようかしらぁ〜?その時はトロンとした笑顔で抱きついてきて__

 

「やめろぉぉおお!!」

 

 

ヒノエの暴露にゲンジが顔を真っ赤に染めながら止めている中、ヨモギはふと入り口の鳥居に居座っているフクズクを目にした。

 

「ムム…?」

次に里を走っているガルク、そしてその上に乗りながら遊んでいるアイルーを見る。すると、ヨモギの頭に閃きの雷が落ちた。

 

「これだ!!!」

 

「「え?」」

 

 

翌日

 

「ふむふむ。これはいいな。里の動物達を形にしたのか」

里長フゲンが頬張っているのは1つ目がフクズク2つ目がガルク3つ目がアイルーというマスコット系の動物達が象られた団子だった。

 

さらに、それぞれ中身も違い、フクズクはウグイス庵、ガルクは小倉庵、アイルーは醤油タレといったカラフルなモノだった。

名付けて『里モン団子』

 

 

なんとそれが大好評であり、ヨモギの店には行列ができていた。

 

「里モン団子一つ!」

「里モン団子三つ!!」

 

まるで餌に群がる鯉のように客が入れ食い状態となる。

 

「押さないで押さないで〜!!はい次の人!」

 

ヨモギとアイルー達はせっせと作り置きしておいた大量の里モン団子を購入しに来た里の皆やハンター達に渡していく。

 

「繁盛してるわね」

 

「結局アイデアだした意味ねぇじゃねぇか…」

 

「終わりよければ全て良しですよ」

そしてその傍らの長椅子には里モン団子を手にしたヒノエとゲンジとミノトが座っていた。

 

3人は同時に里モン団子を口に運んだ。

 

「「「美味しい!」」」

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。