薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
「我々はこちらを見ているリオレウスを落とすとしよう」
リオレイアにゲンジとシャーラが向かっている合間にリオレウスを撃墜すべく、3人は武器を構えた。
「さぁ。まずは雷撃弾をお見舞いしてやろう!」
エスラは腰へライトボウガンを構えると、装填した雷撃弾をリオレウス目掛けて放つ。
銃声と共に放たれた雷撃弾はリオレウスの眉間に目掛けて一直線に空中を突き進んでいき、数発全てが顔面に直撃する。
「ギャァァァァ…!!!」
だが、たった数発だけではいくら弱点であろうともリオレウスには答えない。こちらをターゲットと見定めたリオレウスは口内に炎を溜めると火球を吐き出した。
「ミノトお願い!」
「お任せを…!」
咄嗟にミノトはヒノエの前に立ち、盾を構える。向かってくる火球は縦に直撃した瞬間に後ろにいる3人に擦る事なく四散して消えた。
「いいぞミノト。その調子で頼む」
「私はヒノエ姉様の指示に従っただけです」
エスラはヒョコッとミノトの盾の側面から顔を出すと、次々とリオレウスに向けて雷撃弾を放っていった。
「ギャォオオオオ!!!」
放たれていく雷撃弾。それに対してリオレウスは空中を飛び回り、回避しようとするも、エスラの金色の目から捕らえられれば逃げる事は不可能。
滑空するリオレウスが次に通りそうな箇所をエスラは即座に感知し、その地点へと雷撃弾を放っていった。結果は全て命中である。
その時だ。
「ギャォオオオオ!!!」
付近にいたリオレイアの悲鳴も聞こえてくる。ヒノエとミノトは即座にその場へと目を向けた。
見るとそこには前のめりに倒れたリオレイアを次々と身体を回転させて鬼人空舞や鬼人乱舞を繰り出すゲンジとシャーラの姿があった。その速さは完全に規格外であり、双剣の一振り一振りが美しき蒼い雷と爆発性の輝く黄色の軌跡を遺していった。
「な…なんて速さ…まるで旋風の様です…!」
その光景にヒノエは勿論、無表情であるミノトも驚きの表情を浮かべていた。
「互いの意思を感知し、ぶつかる事なく、隙間のない連撃の嵐を見舞う。双子だからこそできる芸当だ」
「そのようですね…」
ヒノエは頷き、奮闘するゲンジ達の姿を見つめると、笑みを浮かべて、頬を叩き気持ちを切り替える。
「旦那様には負けていられませんね。いくわよミノト」
「はい!姉様!」
ゲンジとシャーラの活躍に刺激を受けたヒノエとミノトは即座にエスラの隣に立つと、弓を構え、滑空するリオレウスに向けて矢を射る。そして、ミノトもランスを構え、狙いを定める。
「…!!」
ヒノエの琥珀色の瞳が光で一瞬輝くと同時に手が離され、装着された弓が放たれた。
その一本の矢は空気中で分裂すると、たった一本が数本の光の矢となり、リオレウスの眉間へと突き刺さる。
「グロォオァァァア!!」
先程の雷撃弾に加えて、ヒノエの弓矢によって、リオレウスの頭部の堅殻が破壊される。
ヒノエは手を緩めない。次々と弓矢を射り無数の光の矢をリオレウス目掛けて放っていった。
「グロォオァ…!!」
エスラの雷撃弾に加えてヒノエの光の矢によって、遂にリオレウスは視界が揺めき、空中での滑空が停止する。
「今ですミノト!」
「はい!」
その隙を突いたミノトは好機と見て腕を振りかぶり、一気に脚を前に踏み込んだ。
「ヤァッ!!!!」
踏み込みと共に前へと突き出されたランスの先端から黒い竜巻が発生し、空中で隙を生んだリオレウス目掛けて飛んでいった。
「グロォオァァァア!!!」
放たれた竜巻は見事にリオレウスの身体へと直撃し、飛行する体勢のバランスを崩した。
飛行を妨害されれば、空の王者ともあろうと、飛行を再開する事は不可能である。重力に逆らえず、バランスを崩したリオレウスは地面へと叩きつけられた。
「おまけだ。とっておけ」
エスラは装填した貫通弾を此方に首を向けながら墜落したリオレウスに向けて放つ。放たれた貫通弾は見事に再び眉間に打ち込まれると、頭から長い尻尾の先端まで衝撃が発生し、多段ダメージを与えていった。
「やりましたねミノト」
「はい!」
任務遂行を果たした2人は手を合わせてハイタッチをする。その一方で、エスラはリオレウスが撃退した事を確認すると、再び弾丸を装填する。先端が失われた弾丸が弾き出されるように地面へと転げ落ちていった。
「さて、次はフゲン殿達の援護といこう」
ヒノエとミノトは首を傾げる。
「ですが、まだお2人がリオレイアを相手に」
この作戦は、リオレイアを撃退するまでリオレウスを惹きつける事だ。開始からまだ5分程度しか経っていない。2人はまたリオレイアと戦っているのだ。
だが、エスラは首を振る。
「丁度終わったところさ。見ろ」
エスラはそう言いフゲン達が相手をしているビシュテンゴに向けて貫通弾を放つ。
一方で、エスラに言われた通りに、2人はもう一度リオレイアがいた場所へと目を向けると、そこには脚を引き摺りながら、逃げていくリオレイアと、その後ろを通り過ぎ、自身らが撃墜したリオレウスに向けて走っていくゲンジとシャーラの姿があった。
よく見ると、逃げていくリオレイアの身体には夥しい程の量の傷がつけられていた。
「たった数分であれほどの傷を!?」
「ハハッ。何を驚いているんだミノト。君達は既にゲンジの狩りを見ているだろ?ならばあれ程度の事で驚くんじゃないよ」
エスラの言葉に2人は数ヶ月前の百竜夜行を思い出す。
オサイズチ2体に加えてリオレイアとリオレウスを瞬殺。それに加えて後から現れたマガイマガドの成熟個体を自身らが拠点に戻っている間に討伐。
更に、ヌシも自身らが拠点に戻る間に討伐。
マガイマガドとヌシの狩猟する姿は見ていないものの、それ以外の4体の狩猟する光景は目にしていた。だが、あの時よりも確実に速くなっている。
あの時はまだ本気では無かったのだ。そして、今も。
『あれ程度』
ヒノエとミノトは改めて自身らの夫であるゲンジ。そしてその双子の姉であるシャーラの恐るべきハンターとしての技量と強さを再認識する。
更に、自身の隣にいるエスラも同じ目を向けていた。状況に応じた臨機応変な対応力に加えて集会所で見せた多くのハンター達を賛同させるカリスマ。更に、空を舞うリオレウスに全弾を命中させる程の命中率。
これが『金銀姉弟』。
「ほら、感心してないで手伝ってくれ」
「「はい!義姉さん!!」」
「おぃぃぃ!!ミノトまでそれで呼ぶなぁ!!」