薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
その後、百竜夜行の第一波は収束へと向かっていった。
フゲン達が相手をしていたビシュテンゴ並びにヨツミワドウとアケノシルムの計3体は途中から加勢したヒノエ、エスラ、ミノト達によって次々とダウンを取られていき、その隙をついたフゲン達が総攻撃を行った事で撃退されていった。
更に、リオレウスも空中から落とされた合間にゲンジとシャーラの双子のコンビネーションにより、全身に傷を負わされていき、たった数分で空の王者にはあるまじき速い逃げ足で飛び去っていった。
◇◇◇◇◇
「ふぅ。これで終わりかな?」
群れが去り、再び静寂が訪れると、エスラは腰を掛けて弾丸を装填しながら横にいるヒノエに問う。だがヒノエは首を横に振る。
「いえ。第一波だけでは終わりません。続けて多くのモンスターが襲ってくる事でしょう…」
「そうか。ならば、引き締めておこう」
それは他のハンター達も同じくフゲンから聞かされていた。
故に皆は警戒を解くことなく、武器を研ぎ、または持ってきていた携帯食料で腹を満たす。
ゲンジもシャーラと共に即座に武器を研ぎ直すと共に、携帯食料を齧る。
「ねぇゲン」
「ん?」
シャーラから突然肩を叩かれたゲンジは振り返る。見るとシャーラの表情がいつもよりも曇っていた。
「どうした?」
「…何か、胸騒ぎがするの」
「偶然だな…俺も同じだ」
シャーラの顔の曇りの理由を聞いたゲンジは自身も同じであると頷いた。ゲンジにとって、その胸騒ぎは前回の第二波を退けた時と同じ感覚であった。
シャーラだけでなく、ゲンジも嫌な予感を感じ取っていたのだ。“得体の知れない何か”が近づいてきている事を。
「警戒…解けないね」
「あぁ」
シャーラと共にゲンジは高台に登ると、砦の入り口を見つめる。
まだ太陽の光が刺す真っ昼間。それでも皆は警戒を解くことは無かった。
それは“正しい判断”と言える他ないだろう。
その時だ。ゲンジは強大な“何か”を強く感じ取った。そして、武器を手に取り、立ち上がると辺りで警戒するハンター達に聞こえるように知らせた。
「___そろそろだな」
その声に皆の目が即座に変わり、次々と武器を手に取っていった。
先程のような危険度の低いモンスターではない。とてつもなく“危険”なモンスター達の侵攻をゲンジは感じ取っていたのだ。
「援護部隊、ありったけのバリスタや大砲の弾を詰めろ。覇竜砲もスタンバイしとけ」
「り…了解!」
ゲンジの指示に援護するハンターや里の皆は即座に頷き、準備に取り掛かる。そんな中、1人のハンターがその指示に首を傾げゲンジに問いかける。
「いくら何でも厳重すぎやしねぇか?」
ゲンジはその言葉に頷きながら答える。
「準備のやりすぎに越した事はねぇ。その分次の第二波はヤベェ奴らが来るんだ」
「え!?」
ゲンジの言葉にハンターは驚きながらも慌てて武器を手に取る。そして、その予想は的中することとなった。
その時だ。見張り台の者が金具を鳴らした。
「第二波だッ!!」
その言葉に全ハンターに加えてフゲン達は一斉に武器を手に取る。それと共に見張りは向かってくる全モンスターを知らせた。
「向かってくるモンスターは計4体!!!ナルガクルガ、ジンオウガ、アンジャナフ、そしてタマミツネ!の模様!!」
そのモンスターの名前を聞いた瞬間 ハンター達の士気が下がり始めた。4体とも、下位の未成熟個体でさえ、上位のハンターが苦戦を強いられる程の強さであり、その上位個体となると、脅威度は更に増す。
「嘘だろ!?メチャクチャ強ぇ奴らじゃねぇか!?」
「む…無理だ!!勝てっこねぇ!!」
恐れ慄くハンター達。上位モンスターの中でも凶悪な部類に入るモンスター達が一斉に襲ってくるのだ。先程とは強さの規模が違う。
「うるせぇぞ」
そんな中、パニックに陥るハンター達をゲンジは一喝する。すると、その声を聞いたハンター達は即座に黙る。
「自身のねぇ奴は兵器での援護に回れ。残りの奴らは俺と共に武器で迎え撃つ」
その言葉に狼狽えていたハンター達は頷き、次々と高台へと登りバリスタ台や大砲に着く。武器組として残ったのは数人の上位ハンターに加えてフゲンやイオリ、そしてヒノエやミノト、エスラ達だけであった。
そんな中、ゲンジは残ろうとするイオリを止めた。
「イオリ。お前も遠距離に回れ。第二波の奴らは部が悪い」
「で…ですが!!」
イオリは何としてでも前衛組に残ろうとする。だが、それでもゲンジはそれを拒否する。
「ハモンさんの言葉を忘れたか?『死ぬな』って言われただろ」
「…」
その言葉にイオリは黙り込んでしまう。そして、苦渋ながらも頷き、ゲンジに従う事に決めた。
「分かりました。その分、援護しますのでゲンジさんも気をつけてくださいね…!」
「あぁ」
イオリは高台へと向かっていく。だが、そんな中でゲンジは難しい表情を浮かべていた。
「(おかしいな…感じたのはコイツらの気配じゃねぇんだが…)」
先程の感じた気配はこの4体では無かったのだ。あの4体では比べ物にならない程であった。
それでもゲンジは防衛を成功させる為に意識を持ち直すと、前衛砦のど真ん中に降り立ち、武器を抜く。
ゲンジの辺りにはシャーラ、そして鉄蟲糸を手に巻いたウツシ、百竜刀を構えるフゲン。更にボロスSを纏い太刀を構える男性ハンター、大剣を背負うディアブロSを纏うハンターが砦の如く立ち並んでいた。
「ハッ。狩り甲斐のあるモンスター達じゃないか。特にタマミツネは初めて見るから腕が鳴るよ」
「希少種にしか興味がない貴方には珍しいですね」
「こう見えても初見のモンスターには希少種関係なく興味があるのだよ」
エスラとヒノエ、そしてミノトは付近にある高台の上で団欒しながら武器を前衛砦の入り口へと向ける。
その時だ。
「来たぞッ!!!!」
『…!!』
フゲンの叫びにゲンジ達は前へと顔を向ける。
砦の入り口に設置されてある巨大な針を模した柵を通り越して現れたのは
黒い毛を全身に生やし、目を赤く輝かせる飛竜種『ナルガクルガ』
特異的な形状の鼻を持ち翼膜を展開させている獣竜種『アンジャナフ』
背中に雷光虫が集結し、蒼く発光する身体を輝かせている牙竜種『ジンオウガ』
そして、長く伸びた身体の辺りに泡を纏い地面を這う海竜種『タマミツネ』
現れた強力なモンスター達は柵を乗り越えると、目の前に立ち塞がるハンター達に向けて鋭い眼光を向ける。
「行くぞッ!!!」
『『『おぅッ!!!』』』
フゲンの合図が開戦のゴングとなり、前衛のハンター達はモンスター達に向かっていった。
第二波襲来