薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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カムラの里 ほのぼの日常 〜かくれんぼ〜

「ゲンジさん!!かくれんぼしよ!!」

 

「………は?」

ヒノエとミノトに告白して1週間がたったある日の昼。ウサ団子を食べていた里服姿のゲンジはコミツからかくれんぼに誘われる。コミツの後ろには何人もの里の子供達がいた。

 

「いや、別に俺じゃなくてもいいだろ」

 

「偶にはゲンジさんと遊びたいよ!」

「遊ぼ!」

そう言い後ろの子供達はゲンジの手を引っ張る。彼らも偶には遊びたいのだろう。いや、それは納得できるが、なぜ大人の自身も挟むのか不思議で仕方がなかった。

 

「悪いが俺は無理だ。少し眠くてな…」

 

「えぇ〜」

すると、横で一緒に団子を食べていたヒノエが肩を叩いてくる。

 

「まぁまぁいいじゃないですか旦那様。偶には遊んでみてはいかがです?」

 

「…いくつだと思ってるんだよ…。そんなガキのお遊びに付き合う程俺は……」

 

プルプルプルプル…

不意に目を向けるとコミツと子供達は涙を溜めながら頬を膨らませて震えていた。

 

「分かった分かった!!やるから!そんな目で見るなぁ!」

 

「フフ。では私達も」

 

◇◇◇◇◇◇

 

「それじゃあ始めますよ〜」

 

「「「は〜い!!」」」

ヒノエの合図に子供達は手をあげ元気よく返事をする。子供達の前にはヒノエに加えて

 

「はぁ…」

 

「かくれんぼは苦手ですね」

ゲンジとミノトが立っていた。ミノトはヒノエが連れて来たらしい。今日は珍しくハンター皆が休んでおり、仕事もないようだ。というか、周りから見れば完全に幼稚園児と先生だ。いつもならばエスラ達も来ると思うのだが、今日エスラ達は訓練で疲れているのか寝ているらしい。

 

「じゃあさ!ゲンジさんが鬼やってよ!」

 

「俺が?まぁ…いいけどよ…」

 

「じゃあ皆!隠れますよ〜!!」

ゲンジが鬼役となり、ヒノエは皆へと呼びかけて、すぐに隠れる。場所は里の中限定である。なぜ、コミツはゲンジに鬼役を頼んだのか。何でもヒノエまたはミノトが鬼をすると、すぐに終わってしまうらしい。

 

「では鬼さんは2分間目を瞑っててくださいね〜」

 

「あぁ」

 

ゲンジは目を閉じると、120まで一つずつ数えていく。

 

 

「1、2、3、4、5、………………

 

 

________118、119、120…と」

 

目を開けると、先程までいたヒノエや子供達が姿を消していた。

 

「はぁ…早い所終わらせるか」

 

ゲンジは背伸びをすると、やれやれと気乗りもせずに探し始める。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「…しかし、どこに隠れやがったんだアイツら…」

 

カムラの里は広い。イオリの離れもある上に集会所もだ。因みに加工屋と製鉄所は危険なために子供は立ち入り禁止である。

 

ターゲットとなるのはコミツ、セイハク、ヒノエ、ミノトに加えて里の子供達合わせて12人である。結構いる。

 

「まぁいいか。とりあえず…ガキが隠れそうなところを探すか。まずは……」

 

ゲンジが目を向けたのはヒノエの机の近くにある大きなボックスであった。

 

里には他にも何箇所か設置されており、その中にはクエストに行く際に不要な持ち物を置いていけるようになっている。

 

「ま、流石にこの中にはいねぇよな」

箱なら誰しも必ず隠れるだろう。鬼に目をつけられる事は里の皆も分かっている筈だ。どうせいるわけない。そう思いながらゲンジはボックスに近づくと箱の蓋を開ける。

 

 

「……あ」

 

そこには参加者の内の2人の子供がいた。

 

「…みつけた」

 

2人見つけた事で残り10人。因みに見つかった者はヒノエの机で全員見つかるまで待つ事になっている。

 

すると

 

「おぉ。あったあった」

突然自身の横を通り過ぎるフゲンの姿があった。何故かフゲンの手には何本もの酒が。それをフゲンはボックスの中にホイホイと入れていった。

 

「何やってんだ?」

 

「いや、家に置けない酒が合ってな。ここに代わりに置いとくのだ。風当たりもいいからよく冷える」

 

「勝手に私物にしてんじゃねぇよクソジジイ!誤ってガキが飲んだらどうすんだよ!?」

 

「心配いらん。俺が酒を飲み始めたのは14の頃だからな」

 

「そういう意味じゃねぇよ!!!」

 

 

それからフゲンと別れたゲンジは再びかくれんぼを再開する。因みに酒は氷結晶を渡してあげる事で持って帰っていった。

 

◇◇◇◇◇

 

2人を見つけたゲンジはその場から直ぐ近くにある集会所に向かう。

集会所の中に入ると、相変わらずゴコクはテッカちゃんの上に跨っていた。

 

「おぉ。かくれんぼは進んでおるでゲコかぁ〜?」

 

「なんだアンタ知ってんのか」

 

「フォッフォッフォッ。先程来た少年がそう言っていたでゲコ。因みにもう出て行ってしまったがな」

 

「……怪しいな」

ゴコクの言動にゲンジは不審に思い、辺りを見回す。見るとテッカちゃんの傍には何故か異様にデカい箱が…。

 

 

「……テッカちゃん。それこっちに渡せ」

 

「ブゥ…」

テッカちゃんは渡したくないのか、その箱を前足で後ろに下げる。

 

「……後でウサ団子やるぞ」

 

「ブブ♪」

好物のウサ団子を提示された事でアッサリとテッカちゃんはその箱を差し出した。

 

ガチャ

 

「やっぱりな」

中を開けると頬を膨らませている3人の里の子供達がでてきた。

「ゴコク様〜!」

「いやぁ〜すまんすまん」

 

3人見つかり、残りは7人。先はまだ長い。

 

「テッカちゃん喜べ。ゴコク殿が後で10本奢ってくれるってよ」

「ちょっとぉぉぉ!?何勝手な事言ってるのぉ!?」

それからゲンジは集会所を後にする。だが、その際に何故か子供達とテッカちゃんは後ろを見ながらクスクスと笑っていた。

 

「(何がおかしいんだ?)」

 

◇◇◇◇◇◇

 

「さっきから何がおかしいんだってんだよ。はぁ…めんどくせぇ」

ゲンジは額に手を当てながらやれやれと首を振る。それに先程から子供達のクスクスと笑う顔も気になって来ていた。

 

一体何が面白いのだろうか。

 

「…もしかして隠れた奴が後を付けてる……な訳ないか」

ゲンジは咄嗟に後ろを振り向くも、そこには誰もいなかった。ゲンジは次の目星を付けた場所へと向かった。

 

やって来たのはヨモギの茶屋である。

 

「あ!ゲンジさ〜ん!お団子かな〜?」

「あぁ。一本頼む」

ヨモギはいつも変わらずの天真爛漫に振る舞う。ゲンジはまた腹が減ってしまったためにウサ団子を注文に来たのだ。それと同時にこの辺りには確実にヒノエが隠れていそうな雰囲気もある。

 

「そうだ!かくれんぼはどう?進んでる!?」

 

「あ?いや、まだ5人だよ。先が長い」

 

「そうなんだ!でもあれだね!ヒノエさんだったら団子の匂いを嗅いで出てきちゃったりしてね!はいどーぞ!」

 

ヨモギの冗談にゲンジはないないと手を横に振りながら差し出されたウサ団子を受け取る。

 

「流石にあの人の事だ。いくら団子が好きでも釣られて現れる訳はねぇよ。こうやって目線の後ろに団子を向けたとしても__「あむっ!」

 

 

 

 

「………何か聞こえたな」

自身の斜め後ろに団子を向けた瞬間 手を掴まれると同時に団子に噛み付く声が聞こえた。

 

ゲンジは真顔になり、ゆっくりと向けた団子をもう一度自身の目の前に持って来る。見ると一番上に刺されているウサ団子に歯形が残っていた。

 

そして、もう一度ゆっくりと後ろに団子を向ける。

 

「あむっ!」

すると、またもや聞こえてくる団子に噛み付く音。

 

「………」

ゲンジは今度は団子を目線には持ってこなずに自身の顔を団子へと向けた。

 

そこには

 

「はむっ♪」

向けられたゲンジの両手を掴みながら幸せそうにウサ団子を頬張るヒノエの姿があった。

 

「……見つけた」

 

「あらあら。見つかってしまいました♪」

ヒノエは団子を頬張りながら苦笑する。いや、待てよとゲンジは思った。団子を後ろに差し出してから食らい付くのが早い。それに先程から妙な目線も感じていたし、捕まえた子供達も後ろを見ながら笑っていた。

 

「……ずっと後ろにいたのか?」

 

「はい勿論。ゴクン。ずっと旦那様の跡を着いておりました」

 

「ようやく分かったよ笑われてる理由が…!!!」

子供達はずっと背後にいるヒノエに気づかない自身を笑っていたのだ。

 

「はい!姉さん見つけた!あとこれはもうやる!」

「まぁ!」

ゲンジは焼け気味にヒノエに自身が購入したウサ団子を押し付ける。渡されたヒノエは顔を輝かせると嬉しそうに頬張る。

 

「ったく…他のガキはどこ行きやがった…。今度はオトモ広場にいってみるか…」

場所を変えて今度はアイルー達が多くいるオトモ広場へと向かうことに決める。

 

「あ、旦那様。ウサ団子のお礼を」

 

「いやいいって___お…い!?」

 

「ぎゅ〜ですよ♪」

ゲンジは他の者を探そうとした時、団子を既に食べ終わったヒノエに手を引かれて身体を無理やり抱き締められる。そしてその数分後に解放されたと思いきや

 

「さて…」

「へ?」

突然と頭を両手で抑えられる。目の前からは段々と迫って来るヒノエの顔。

 

「ちょ…ま…まて!!!まだかくれんぼ!かくれんぼの途中!!だからやめ____」

 

「お礼の接吻を受け取ってくださぁ〜い♪」

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」」

 

それから十数分に渡りゲンジはヒノエから人通りであるにも関わらず10回もの強制接吻を頬にされた。その後、ヒノエは満面の笑みを浮かべながら自身の机の場所へと向かっていき、残されたゲンジはやつれていた。

 

「もう決めた。絶対ヒノエ姉さんとはかくれんぼはしねぇ…」

 

「いや、かくれんぼ関係なくない…?」

 

◇◇◇◇◇◇

 

なんやかんやあってようやく回復したゲンジは6人を見つけることができた。残りあと半分。まだまだ先が長い。

 

オトモ広場へと到着するとそこにはガルク達と戯れるイオリの姿があった。

 

「ゲンジさん。どうも!ミケとハチは元気ですか?」

 

「あぁ。今日はどっちも家で寝てる。何でも昨日は遊び疲れたらしい」

 

「それはそれは」

ゲンジは辺りを見回す。子供達が隠れるそれらしき箱は見当たらない。

 

「……ここはいないな」

 

「あ、かくれんぼですか。まぁ、ここにはあまり隠れる場所はないですね。草むらも低いですし、箱もありませんし」

 

「まぁそうだな。じゃ」

「えぇ!またいつでも!」

 

その後、イオリと別れたゲンジは今度は集会所の裏にある家が立ち並ぶ場所へと向かう。

集会所の裏にあるのは里の皆の住居であり、今は殆どの皆が出ている為に静かである。

 

「ここならいるだろう。……早速見つけちまった」

「あ!見つかっちゃった!?」

ゲンジは通りを歩く中、一軒の家の前にある物置に隠れているコミツを見つける。いや、コミツだけではない。

 

「見つかったかちくしょー!」

 

「コミツがいるならお前もいると思ったよ」

一緒にいたセイハク。更に次々と残りの子供達が出てくる。何と残りの6人のうち、5人も出てきてしまったのだ。まさかの1箇所に固まっていた。

 

「あ〜!見つかっちゃったな〜」

 

「これでもお前らは後の方だ。てか何でこんな固まってるんだよ!?ほら、早く集合場所にいけ」

 

『はぁ〜い!』

見つけられたコミツ。そして何故か一緒にいたセイハク。そしてその他の子供達は手を上げながら返事をするとヒノエの机のある場所へと向かっていった。

 

「残りは…ミノト姉さんか…。案外早く終わったな…」

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

私は暗い所が好きだった。暗いところは何も考えなくてもいいし何も見なくていい。嫌なことがあると私はいつもこの暗い箱の中に閉じこもっていた。

 

それをヒノエ姉様は毎回かくれんぼのように見つけてくれた。

 

『あ!ミノト見ぃ〜つけた!』

 

『ねぇね…』

その時の笑顔に私はいつも励まされていた。今はかくれんぼだ。そんなに暗い気持ちなどない。

 

 

 

 

………けれど、少し寂しくなってきた。かくれんぼと言えど、独りで隠れると何故か虚しい。早く見つけて欲しいという感情が出てくる。

 

ミノトはそう思いながら暗い箱の中で膝を胸に抱く。

 

すると

 

 

ガチャ

 

箱の蓋がゆっくりと開かれ、外からの光が差し込んできた。突然の日光にミノトは手で光を遮る。

 

 

「やっと見つけた。なんでこの里はこんなにボックスがあるんだよ」

 

「ゲンジ…」

 

映ってきたのは髪を縛り上げたゲンジの顔だった。するとゲンジはミノトに手を差し出した。

 

「ほら、ミノト姉さんで最後だ。さっさと戻るぞ」

 

「はい」

見つけられた事に安堵の表情を浮かべながらミノトは頷き、その手を取ると立ち上がろうとした。

 

 

その瞬間。

 

 

 

「…!!!」

 

 

ドクン

 

 

ミノトの身体の中で電撃が走ると共に鼓動が鳴る。そして、目の前にいるのがゲンジ1人であると認識すると、即座にミノトは掴んだ手に力を込める。

 

「…ん?どうした。いきなり手を…わぁ!?」

そして掴んだ手を離すことなくそのまま自身の入っていた箱へとゲンジを引き摺り込んだ。

 

そして、箱はその時に生じた反動により蓋がゆっくりと閉められた。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…!」

薄暗い箱の中。ゲンジを引き摺り込んだミノトはゲンジを押し倒しながら呼吸を荒くしていた。板の目から光が差し込む為に、真っ暗という訳ではなかった為にゲンジはその表情がハッキリと見えていた。

 

「ゲンジ…いえ、旦那様…私…もう限界です…!!」

「え…!?」

 

その言葉と共にミノトの柔らかい唇がゆっくりと近づいてくる。

 

「ちょ!?待て!さっきもこんな展開あったぞ!?本当に待て!……腕が!?」

咄嗟に腕で塞ごうとするも、既にミノトに押さえつけられていた。

 

「逃しませんよ……!私だって……偶にはヒノエ姉様のように貴方を独り占めして愛でたい時があるのです…!!」

もう完全に防ぐことも逃げる事もできなかった。ミノトは荒い息と共に顔を赤くさせながらゆっくりとゲンジに唇を近づけていった。それと共に逃げられない為に肩幅の大きな身体を密着させていく。この狭いボックスの中では抵抗する事も不可能だった。

 

「旦那様…たっぷりと『なでなで』『ぎゅうぎゅう』『スリスリ』させて貰いますからね…」

不気味な目と真顔を浮かべながら次々と接近してくるミノトの顔。次第にゲンジに恐怖を与えていった。

 

「ま…待て待て待て待て!!待て…ま…ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 

その後。ヒノエ達が待っていると、目を回すゲンジとそれを抱き抱えるミノトが現れ、無事にかくれんぼは終了したようだ。

 

ゲンジはこの事がトラウマとなり、かくれんぼが嫌いになったようだ。

 

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