薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
「ゲン!!」
吹き飛ばされたゲンジはその水圧によって目の前にある崖へと叩きつけられた。
「がぁぁ…!!」
叩きつけられた衝撃と水ブレスの水圧に板挟みされた事によって、ゲンジは身体中の空気を吐き出してしまう。そのブレスの放出が止まると、叩きつけられたゲンジの身体がその地点から地面へと落下した。
「ゲン!」
咄嗟にシャーラは駆け寄る。水ブレスを受けた事でゲンジの装備は水浸しとなっていた。
「まさか…!!」
シャーラはブレスがはなたれた方向へと目を向ける。そこには自身らを睨みつけるタマミツネの姿があった。
「く…!こんな時にタマミツネかよ…!!!」
ゲンジは水ブレスによって口内に侵入した水を鎧の隙間から吐き出すと何とか立ち上がる。だが、シルバーソル装備は水に弱い。水属性やられ【大】が発生してしまい、上手くスタミナを回復させる事ができなかった。
そんな中、更に最悪の事態が発生してしまった。
近くにある高台のバリスタ台から1人の里守が叫んだ。
「まずいッ!!アンジャナフが砦に到達した!!」
「…なんだと…!?」
「そんな…!」
その知らせを聞いたゲンジは即座に砦の方へと顔を向ける。見るとアンジャナフが第二防衛ラインへと続く柵へと巨体を何度も打ちつけていた。その巨体の体当たりによって、柵は今にでも破壊されそうである。
アンジャナフの方へと向かうために脚を踏み出す。
「ぐぅ…!!」
だが、まずブレスの影響か、上手く走り出せなかった。だが、ゲンジは一度水ブレスによるダメージを経験していた。そして思い出す。タマミツネとはレベルが違う自然そのものと言われた『古龍』の水ブレスを受けたことを。
倒れそうになった脚に力を入れて踏み込む。
「(あれに比べれば…全然弱ぇ…!!!)」
まだ覚えていた感覚が次々と痛みを和らげていく。そして、ゲンジは自身に水ブレスを直撃させたタマミツネに向けて双剣を構える。
「やはりエスラ姉さん達だけだと無理だったか…。なら、俺もやらねぇとな…!おい」
双剣を構えたゲンジは近くの高台にいる里守に伝える。
「俺達がタマミツネを食い止める。お前らはバリスタと大砲でアンジャナフを頼む」
「了解!!」
それに頷いた里守は頷くと、柵付近にいる里守全員へと伝令を伝えて行った。
それを見届けたゲンジは首を鳴らしながら目の前に立ち、自身らを威嚇するタマミツネへと目を向けた。
「ゲン…あまり無茶しないでよ…?」
「あぁ」
すると、シャーラも横に立ち並ぶと同じく双剣を構える。それを見たタマミツネは首を持ち上げると、威嚇とばかりに咆哮をした。
「グォアァァアアアッ!!!!」
「「…!!」」
その咆哮を戦闘の合図とし、2人は同時にタマミツネへと向かう。
その時だ。
タマミツネの上に巨大な影が現れた。それを見た2人は即座に移動を止める。そして、その影はタマミツネを覆い尽くす。それを危険信号として感じたタマミツネは状態を唸らせると即座に後ろに後退した。
その瞬間
「お手ぇぇぇえぇえええ!!!!」
突然の叫び声と共に巨大な影が飛来した。飛来したと同時に目の前地盤が吹き飛ばされていき、共に雷のような蒼い閃光が四散していく。
「ゲホッゲホッ……なんだいきなり!?」
発生した砂埃にゲンジとシャーラは咳をしながらも状況を確認する。
すると、煙が次第に晴れていき、先程の現象の正体が顕となっていった。
「…!!」
目の前にいたのは背中に雷光虫を募らせながら鮮烈なる閃光を発している超帯電状態となった雷狼竜『ジンオウガ』だった。
「ジンオウガ!?なんでここに!?フゲンさん達が相手をしてた筈じゃ…!!」
ゲンジは咄嗟に武器を構える。そうだ。ジンオウガはフゲン達が足止めをしていた。ならば、なぜここにジンオウガがいるのか。もしかしてまた突破されてしまったのか?そうとなればかなりキツイ。柵に近いこの場所にタマミツネとジンオウガ。更に柵に到達したアンジャナフ。この3体がこの場に固まってしまえば撃退が難しくなってしまう。
そんな時だった。
「ハッ!遅れてすまないな。愛する我が弟と妹よ!!」
ジンオウガの背中から聞き慣れた声が聞こえてきた。いや、よく見るとジンオウガの四肢にはウツシの持っていた鉄蟲糸が糸のように通されていた。
そして聴き慣れた声にゆっくりと顔を向ける。
そこには
「やはり操竜は気持ちがいいな。うん…いい鼻息だ。ロデオで洒落込むには丁度いい…!!!」
両手にジンオウガの四肢を支配する鉄蟲を握りながら金色の鋭い目を向けているエスラの姿があった。
「さて、ここからは一気に巻き返していこうか…!!」