薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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蛮顎竜の進撃

ゲンジとシャーラは砦の入り口へと到着した。

 

「ッ…!!」

そこには辺りから放たれるバリスタや大砲をものともせずに体当たりを繰り返すアンジャナフの姿があった。砦は今にも壊れそうである。

 

アンジャナフとは別名『蛮顎竜』と呼ばれる獣竜種であり、何よりも厄介なのは牙による噛みつき。更に執念である。一度狙いをつけた獲物は自身が通れない場所に着くまで追いかけ回す程、執着心が高い。

 

故にゲンジはその性質を利用することを思いついた。

 

「砦から少し離れさせて、総攻撃をしかければ行けるかもな」

 

「確かに。その作戦はありかも」

ゲンジは双剣を構える。

 

「俺が惹きつける。シャーラ姉さんはバリスタを頼んだ」

 

「…うん。終わったらちゃんと休んでよ?」

 

「あぁ」

ゲンジは高台から飛び上がると、双剣を構えながら身体を唸らせる。

 

「ヴォォァアアア!!!」

そして、獣のような叫び声を上げながら砦へと体当たりを繰り返すアンジャナフの身体へ向けてアルコバレノを振り回した。

 

「グァア!?」

振り回されたアルコバレノは爆破属性が纏われた刃でアンジャナフの身体を切りつけていき、粘液を付着させていく。

そして、無我夢中で体当たりを繰り返していたアンジャナフはその斬りつけによって、標的をゲンジへと向けた。

 

「グォォォォォ!!!!」

威嚇の咆哮を上げたアンジャナフはゲンジに目掛けて牙を突き出す。

 

「遅ぇ…!!」

咄嗟にゲンジは身体を横に晒す形でアンジャナフの噛みつきを避ける。骨格がイビルジョー に酷似しているために、噛みつきの動作も既視感がある。その上、全身が筋肉の塊であるイビルジョーに比べて格段に鈍い。

 

「(コイツはすぐに片付きそうだな…!)」

ゲンジは避けると、近くの地面に着地する。すると、噛みつきを外したアンジャナフは砦に目を向ける事なく、自身へと集中するようになった。

 

「よし…!コッチだ!!」

 

ゲンジは砦とは反対方向へと駆け出す。そしてそれをアンジャナフは追いかけて行った。

 

◇◇◇◇◇

 

 

「よし!ゲンさんが上手く引き離した!!総攻撃だぁあ!!」

 

『『ぉおお!!!』』

シャーラから作戦を伝達された里守達は1人の合図によって、一斉にバリスタの標準をゲンジを追いかけるアンジャナフへと向け、矢の雨を放った。

 

「撃て撃てぇぇえ!!」

 

次々と放たれていくバリスタ。それは全てアンジャナフに命中して行った。

 

「グルル!?」

すると、そのダメージにアンジャナフは苦痛の声を漏らした。先程まで痛がる素振りを見せなかったが、遂に身体に応え始めていたのだ。

すると、アンジャナフは逃げるゲンジから目を離し再び柵の方へと向かっていった。

 

それをゲンジは決して見逃さない。

 

「おい。こっちに集中しろ…!!」

咄嗟にゲンジは近くの高台へと駆け上ると砦に向かうアンジャナフに向かって飛び出して、アルコバレノを握り締めると先程と同様に身体を回転させながらアンジャナフの身体を斬りつけた。

 

「グロォォオ!!」

だが、一度斬りつけるだけでは終わらない。

 

「ヴァアァッ!!!」

アンジャナフが怯んだ瞬間に即座にゲンジは地面から追撃としてアンジャナフの強靭な脚へと双剣を振り下ろすと、その際に身体を浮き上がらせ、刃を振り回し回転しながら空中へと飛び出す。

 

『鬼人空舞』

 

双剣の中で唯一 翔蟲を使用することなく空中へと飛び上がる事を可能にする技だ。

 

空中へと飛び上がるゲンジはそのまま体勢を立て直すと、アンジャナフの身体を頭から尻尾の先端まで逆回転しながら斬りつけていった。

 

「グロォォオオ…!!」

 

立て続けに放たれる斬撃。更に周りからのバリスタの雨にアンジャナフは苦痛の声を上げていく。

 

「いい感じ…!!!」

里守と共にバリスタを放っているシャーラは作戦が順調に進んでいる事を悟る。

 

一方で、アンジャナフを追い詰めていたゲンジは双剣の一振りで脚の粘液を爆発させて、アンジャナフを横転させていた。

 

「さて……そろそろ終わらせるか」

双剣を構えるとゆっくりとアンジャナフへと歩いていく。

 

「う…!?」

突然 目の前の景色が揺めき、身体のバランスが崩れ出す。その場によろめいたゲンジは即座に意識を持ち直し、体勢も整える。

 

「(ッ…そろそろ限界が来たか…少しは寝とけばよかったな…)」

 

それは体力の限界であった。ゲンジは先程から何度も激しい動作を繰り返してきた上に十分な休息も取っていない。故にその反動が来たのだろう。

もし、このまま先程の動きを連続で行使し続けていくとなると、確実に途中で戦闘不能となってしまう。

 

だが、そんなことはどうでもよい。限界が来る前に仕留めればいいだけの話だ。

 

「ぐぅ…!!!」

歯を食いしばりながらゲンジは双剣を握る手を強める。

 

その時だ。

自身の横に大柄な1人の男が大太刀を構えながら現れる。

 

 

「ゲンジよ。助太刀するぞ」

 

「フゲンさん…?」

そこに立っていたのはフゲンだった。エスラにタマミツネの相手を任せ、前線からようやく到着したのだ。その他の上位ハンター達も高台に登り、それぞれ大砲の位置にスタンバイしていた。

 

「ジンオウガはもう撃退できたのか?」

 

「いや、一度地面に拘束してな。そこからエスラが操竜し、ヒノエ達と共にタマミツネの相手をしている。あそこまでジンオウガを乗りこなすのは初めて見たな」

 

「そうか……なら、頼む…。一気に仕留めるぞ」

 

 

「おぅ」

フゲンとゲンジは武器を同時に構えるとアンジャナフに向けて駆け出す。

 

「ゴルル…!!」

対して、関門へと接近していたアンジャナフは背後からの二つの殺気に反応し、牙を剥きながら振り向く。

 

一方で、並んで走っていたフゲンとゲンジの内、ゲンジは飛び上がると、振り向いたアンジャナフの頭部に目掛けてアルコバレノを振り回す。

 

「オラァ!!!」

 

その振り回しは見事にこちらを振り向いたアンジャナフの特徴的な鼻を斬りつけていく。

 

「グォオオァア…!!!」

その斬りつけた痛みにアンジャナフは首を持ち上げながらよろめく。その隙を後から続くフゲンは好機と見て逃す事は無かった。

 

「ゆくぞ…!!!」

百竜刀を握る手に筋肉を集中させると、一瞬で抜刀。よろめくアンジャナフの胴体に目掛けて一閃。

 

その一閃は太刀筋が光り輝く残像となり、アンジャナフの皮膚を切り裂いていった。

 

それだけでは終わることは無い。

 

 

「ヴォォオオオオオオオオッ!!!!」

 

聞くものを威圧してしまう程の巨大な雄叫びを上げながらフゲンは太刀を慣れた手つきで次々とアンジャナフに向けて振り回していった。

 

一閃__また一閃。

 

次々と放たれる斬撃はアンジャナフの硬い皮膚に傷をつけていく。刃を振るう度にフゲンの身体は焔のように赤いオーラに包まれていった。

 

止まることのない太刀の連撃。それによって、蓄積された連気が遂に極限まで高まった。そして、同じく向かい側からは着地したゲンジが両手でアルコバレノを縦横無尽に振り回していき、その身体から滲み出るオーラが激しさを増していった。

 

「さて…そろそろ決めるとするか…!」

フゲンは太刀を両手で掴み、右脚と共に半身を左脚を軸に後ろに下げ、『兜割』の構えを取る。

 

 

その時だ。

 

 

 

「ギャァオオオッ!!!!」

 

『『!?』』

 

突然 この場にいないモンスターの咆哮が響き渡る。その咆哮にフゲンは何かを感じ取り、太刀を振り回す手を止めてしまう。

 

「な…何だよ今の声…!?」

その咆哮を耳にした辺りのバリスタを撃っていた里守達も驚きのあまり動きを止めてしまう。

 

すると、砦のモンスターが侵攻してくる箇所の高台に設置されている見張り台が叫び出した。

 

「来たぞぉぉぉ!!!ヌシだぁぁぁ!!!」

 

『『『『!?』』』』

 

その知らせに里守達や下位ハンター達は冷や汗を流し始める。

 

【ヌシ】

通常種とは全くかけ離れた力を得てしまったモンスターの特殊個体の総称である。百竜夜行を率いるモンスターであり、マガイマガドと並ぶ“バケモノ”だ。

 

ヌシの出現に動揺し、フゲンとゲンジが攻撃の手を止めてしまった事で、アンジャナフは隙を見て身体を動かしながら起き上がってしまった。

 

「しまった!?」

咄嗟にフゲンは太刀を振り回そうとする。

 

だが

 

「グロォオオオオオオオ!!!!!」

即座にアンジャナフは巨大な咆哮を放つ。至近距離にいたフゲンとゲンジはその咆哮の激しさに耳を塞いでしまい、大きな隙を生んでしまった。

 

「ぐぅ!?」

アンジャナフは尻尾を振り回し、フゲンを吹き飛ばした。

 

吹き飛ばされたフゲンは状態を立て直し、着地するが、アンジャナフは即座に自身の前にいたゲンジに向けて口を開く。

 

「ゲンジッ!!!逃げろ!!!」

フゲンが叫ぶも、もう遅い。アンジャナフの巨大な顎がシルバーソル装備を纏ったゲンジを咥えだした。

 

「が…!!」

そして、アンジャナフはそのままフゲンを無視すると、ゲンジを咥えながら目の前にある関門へと走っていく。

 

「ゲンッ!!」

その様子を見たシャーラは即座にバリスタ台から離れると、ゲンジを救うために双剣を構え、アンジャナフの元へ向かおうとする。

 

その時だ。その場が赤く照らされた。

 

「…え…なに…?これ…」

照らす色はまるで太陽の様であったが、それ程優しい光は感じられない。いや、寧ろ、身を焦す煉獄の炎のような熱気が伝わってくる。その光の濃度は段々と高まっていった。

 

「皆!!伏せろッ!!!!」

後方からエスラが叫びながら走ってくる。その声にシャーラは後ろを振り向く。すると、そこには辺りを照らす“正体”がアンジャナフに向けて迫っていった。

 

「…!!」

咄嗟にシャーラは関門前でアンジャナフに咥えられているゲンジに向けて叫び出した。

 

 

「危ないッ!!!!」

 

シャーラの叫びにアンジャナフに加えられていたゲンジは目を向ける。

 

 

そこには 燃え盛る巨大な火の玉が迫ってきていた。

 

「…!!」

気づいた時にはもう遅い。火の玉は自身の目の前に接近してきていた。

 

 

 

その瞬間

 

 

 

____火の玉は大爆発を起こしゲンジとアンジャナフの身体が巨大な爆炎の中に飲み込まれた。

 

 




近々、ゲンジの武器変更をします。ずっとアルコバレノだと、ライズから始めた人が分からなくなってしまうので。
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