薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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滲み出る恐暴なる力

___熱い……身体が燃えるように熱い…いや、燃えてるのか…。

 

目の前は赤い炎に包まれていた。だが、そこまでは熱くはない。シルバーソル装備は炎耐性が強い為に高熱な炎も大幅に軽減してくれる。

 

だが、体力がもう底を付こうとしていた。

 

 

__動け。あと少しだけ。あと少しで終わるんだ。

 

そう言い何度も何度も身体へと訴えかける。だが、その身体は動こうとはしなかった。

 

その時だ。

 

『我が依代よ。力が欲しいか?』

 

不気味な声と共に辺りが龍属性エネルギーに包まれた。突如として現れた龍属性エネルギーは自身の前に次々と集まっていき、それが形を変えていった。ガス状になって現れた龍属性エネルギーは少しずつ変形していくと、やがて、二足歩行の獣竜種のような形へと変化した。

 

その言葉にゲンジは頷く。

 

 

____あぁ…欲しい…!

 

その言葉を待っていたかの様に龍属性エネルギーの中からゲンジを見つめる二つの血のように赤い目玉が光出すと同時にゲンジに向けて口を開く。

 

 

『ならば…我に身を委ねよ…!!』

 

その巨大な口はゲンジの首に喰らいつこうとした。ゲンジはそれを受け入れ、喰われる。即ち、身を委ねる事を選ぶ。

 

 

_____事はなかった。

 

 

「委ねるかよバーカ」

 

喰らいつこうとした下顎と上顎を両手で掴み出し、喰らいつきを防ぐと、力を込め、上下に引き裂いた。すると、その竜の形をしていた龍属性エネルギーは煙と化した。

 

「力だけ貸してテメェは寝てろ」

 

煙となった龍属性エネルギーはゲンジの双眼へと吸収された。

 

◇◇◇◇◇

 

「ゲン…その目…!!」

溢れ出る狂気が込められたかのように血のように赤く染まるその目は目の前にいるものを畏怖させる。

 

一方で、皆から向けられる視線をゲンジは意に介す事なく、一歩一歩と歩みを進めていた。

 

 

「ギャァオオオ!!!」

すると、背後からリオレウスの叫び声が聞こえた。咄嗟に皆は自身らの背後にいたリオレウスに意識を向き直し、攻撃に備えるべく構えた。

 

「ゲンジが無事ならば心置きなくいけるな…!!」

 

先程まではゲンジの目について驚いていたが、今はそれどころではない。皆は即座に気持ちを切り替える。

 

 

その時だ。

 

 

「…!!」

自身らの間を突然 ゲンジが駆け抜けていった。その速度はもはや人間ではなかった。彼が通った地面は深く陥没しており、通過した瞬間に風が吹き、皆の髪を揺らす。

 

「まてゲンジ!!」

 

そんな中、一人で向かっていくゲンジをフゲンは呼び止めた。だが、ゲンジは止まることなく一瞬でヌシリオレウスの目の前に到達した。

 

対して向かってくる的をリオレウスは見過ごす事はなかった。口内に炎を溜め込み、向かってくるゲンジに向けて口を開けた。

 

 

「ギャァオオオ!!!」

巨大な叫び声と共にリオレウスの開けられた口内から巨大な炎ブレスが吐き出された。ブレスは空気を突き抜け、ゲンジに向かっていく。

 

その一方でゲンジも避ける事なく突進を続ける。 

 

「…!!」

いつもとは明らかに様子がおかしい事を感じ取っていたエスラは即座にゲンジに向かって叫ぶ。

 

「やめろゲンジ!!目を覚ませ!!」

 

その叫びはゲンジの耳には届かなかった。

 

ブレスへと向かっていくゲンジの表情は鎧で分からない。だが___

 

 

「ヒヒッ…!!!」

 

 

鎧越しでも分かる程に狂気に満ちた笑い声を溢していた。

 

まるでこの状況を楽しむかのように。するとゲンジは駆け出す中、それを助走とし、大きく脚を踏み込むと前方へと飛び出した。

 

跳躍したゲンジは両手に持つ双剣の切先を前へと向けると身体を高速回転させる。それは訓練時に見せた技と酷似していた。だが、あの時とは回転力もスピードも全く違っていた。

 

ゲンジの身体は回転しながら槍と化し、ブレスへと向かっていった。

 

 

『『『…!』』』

 

皆は目を疑った。目の前に一瞬だけ映った光景。それは回転しながらリオレウスへと向かって飛んだゲンジの身体が放たれた巨大なブレスを掻き消す様子だった。掻き消されたブレスは小さな炎となり、空気に溶かされながら四散していき、燃え移る事なく消えていった。

 

 

「ヴォォァアアアッ!!!!」

炎を掻き消したゲンジは獣の叫び声を上げながらそのまま回転を止める事なくリオレウスの顔面へとミサイルの如くその身体を撃ち込んだ。

 

「ギャァオオオ…!!!」

回転力によってドリルと化した双剣はリオレウスの硬い甲殻を削り取り、その痛みにヌシであるリオレウスは悲鳴を上げた。

 

顔面の甲殻を削ったゲンジは即座に状態を立て直すと、地面に着地し、近くにある高台へと飛び出す。

 

一直線で飛び出したゲンジは高台の側面へと着地すると、着地した際の踏み込みを利用して、リオレウス目掛けて再び飛び出した。

 

「ハァァァァッ!!!!」

 

「ギャァ…!!」

ゲンジの振り回された双剣は斬れ味が落ちている為に、切断までとはいかない。だが、その分 殴打としてリオレウスの身体へとダメージを与えた。

その威力は変わる事はなかった。驚異的な腕力で振り回された双剣は

ヌシと呼び記されているリオレウスの身体を横へよろけさせる。

 

それだけで終わる事はなかった。

 

「ヴォァァアァアァアッ!!!!」

もはや人間ではない叫び声を上げながら着地したゲンジは怯むリオレウスに向けて双剣を振り回していった。

 

脚 胴体 翼膜 顔 背中

 

瞬足の領域へと達したゲンジは青い閃光の刃の軌跡を残しながら不規則な順番に身体を回転させながら双剣を振り回していった。リオレウスの周囲から爆破属性特有の青い焔が筋となり、硬い身体を斬り刻んでいく。それと同時に爆破属性も発動していき、リオレウスの身体から紅蓮の花火が乱れ咲いていった。

 

『…!』

 

皆は見ている事しかできなかった。誰かが援護に向かおうとしても、それすらできなかった。

なぜならば__

 

____割り込めば共に斬り刻まれてしまいそうであったからだ。

 

 

 

「ギャァァァァア…!!!」

 

そして 迫り来る爆破と斬撃の痛みに耐えかねたリオレウスは爆破すると同時に悲鳴を上げながら巨大な音を立てて横転する。

 

「ヌシが……たった数分で…!!」

今まで見た事がない現象にフゲンは驚くことしか出来なかった。一体何が起きたというのだ。先程の覇竜砲以外は誰も兵器を操作していない。兵器を扱わなければこんな短時間であれ程よろけさせるのは不可能だ。

 

だが、驚くも束の間だった。リオレウスの周囲から次々とゲンジの振るうアルコバレノの刃に宿る爆破属性特有の斬撃が襲いかかった。

 

「ギャァオオオ!!!」

倒れ臥すリオレウスの硬い堅殻へと傷を刻みつけていき、再び爆破を連発させていく。

 

 

その光景はもはや『地獄』と呼ぶに相応しかった。斬り刻まれていくリオレウスの甲殻が破壊され、露出した肉が血と共に飛び散る。そして、攻撃を加えているゲンジはそれを浴びていき“血にまみれていった”

 

何百もの斬撃が連続で襲いかかった事で、ヌシであるリオレウスの体力は……いや、命はもう尽きかけようとしていた。

 

「グロォォオ……!!」

力が無い弱々しい声を上げていき、その身体は斬撃を浴びながらゆっくりと地面に崩れ落ちた。

 

そして 二度と動かなくなってしまった。

 

 

「終わった……のか……?」

 

目の前でその光景を見つめていたハンター、そしてフゲン達は倒れたヌシ リオレウスを見る。顔からは既に光が消えており、力なく口内から舌が垂れ出ていた。

 

 

すると斬撃の嵐が止まり、自身らの目の前に全身に血を浴びたゲンジが着地してきた。大量に血を浴びていた事でシルバーソルの銀の輝きはその勢いを失っていた。更に手に持っていたアルコバレノの刃が歪んでおり、歪に変形していたのだ。

 

「ゲン…!!」

 

「ゲンジ!!!」

 

「「旦那様!!」」

咄嗟にシャーラとエスラ、そしてヒノエ達が駆け寄る。その足音に気づいたゲンジは振り向くと、そっと溢した。

 

 

「終わった……な……」

 

その言葉と共にゲンジの身体はリオレウスと同じく力を失ったかのように地面へと崩れた。

 

 

 

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