薄明と双子の姉妹 (リメイク中) 作:きょうこつ
ゲンジはヒノエが待機している里の受付場へと赴いた。
「ヒノエ。溜まっている大社跡の採取クエストはあるか?」
「え?でも前は大型モンスター以外は受けないと…」
「気が変わった。あるのか?」
ヒノエは不思議に思いつつも頷きゲンジに採取クエストを紹介する。あるのは特産キノコの納品に火玉ホオズキの納品。そして小型モンスター『ジャグラス』の討伐であった。
「ミケちゃん、何かあったの?」
「秘密ニャ」
ヒノエから事情を聞かれたミケは話さずにそのままゲンジの後をついて行った。
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来るのは2度目だが、やはり大社跡は元は人間が住んでいたのか、多くの風化した生活器具や、住居跡などが見える。中には朽ちた鳥居も発見できた。
ゲンジはただ無言で次々と採取を済ましていた。
「ゲンジ。ここに大量の特産キノコがあったニャ!」
「おぅ」
ゲンジとミケは採取を全て終えた。ポーチには特産キノコが依頼通り5個に加えて、採掘した火玉ホオズキが5つ入っていた。
「さてと…次はジャグラスか。ハチ」
「ワン!」
ゲンジはハチに指示すると、ハチはゲンジを乗せて、支持されたエリアへと向かった。一応、ゲンジは乗りの経験があるのか、ガルクへの搭乗もアッサリと成し遂げる。更にハチも優秀な部類のガルクなのか、ゲンジとミケを乗せたままでも風の如く走った。
ハチはゲンジに支持された通りに肉食モンスターの巣へと向かった。
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『ジャグラス』
それは四足歩行の肉食モンスターである。身体は大人とほぼ同じ大きさであり、単体ならば複数の大人で対処が可能だが、集団となるならば、一般の人々では対処が難しい。
「……いたな」
ゲンジがついた場所は水辺と鳥居の跡があるエリアだった。そこには水辺で休んだり、獲物を探している何頭ものジャグラスがいた。
ゲンジは武器を取り出すと、ハチの背から降りて、ジャグラスの元に向かう。
ジャグラスは凶暴で牙などの噛みつきは危険ではあるが、そこまで俊敏ではないために、基礎的な訓練を終えた駆け出しハンターでも十分に対処はできるだろう。
ゲンジは余所見をしていたジャグラスを次々と斬り刻み、討伐していく。
そして、僅か数十秒でその場にいた約6頭のジャグラスはゲンジによって討伐された。離れた箇所にいたジャグラスはハチとミケが連携して倒したようだ。
「これで依頼は完了したな。戻るぞ」
「ニャ!」
「ワン!」
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帰還した時は既に日は沈んでおり、多くの里の者達が自身の家へと帰る姿が目立つ。
クエストから帰還したゲンジは相変わらず冷たい視線や、避けられる対応の数々に会った。
「(まぁ、しばらくは耐えるしか…ないか)」
そう悟ったゲンジは報告する為にヒノエの場所へと向かう。明るいランプをつけ、その小さな光に照らされながら仕事をするヒノエにゲンジは声をかける。
「終わったぞ」
「まぁ!速いですね。お疲れ様です」
ヒノエはゲンジの依頼書に達成した事をしたためると、報奨金を出す。
「こちらが報奨金になります」
「あぁ」
ゲンジは渋々とその報奨金を受け取った。
「どうされたんですか?」
「…なんでもない」
ゲンジの表情を不審に思ったヒノエから事情を聞かれるも、ゲンジは答えずにそのまま自宅へと向かった。
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「はぁ…」
自宅に着いたゲンジは装備を外すと、脚、腰以外はインナー姿となり、その場に寝転ぶ。
何故か複雑な気分だった。なぜ、この里にここまで肩入れしてしまうのか。助けられた礼とは言ったものの、自分がなぜ3人のハンターの尻拭いのような事をしようとしているのか。
「もう全然分からねぇ…」
自身の行動の原動は何なのか。ヒノエに助けられたからなのか、里が危機的状況下にも関わらず自身を助けてくれたからなのか。
考えれば考えるほど、悩んでしまう。
「(まぁ…いいか)」
里との付き合いも百竜夜行を退けるまでだ。それが終わればもうここに用はない。難しく考える必要はないだろう。
ゲンジはゆっくりと目を閉じた。