薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

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現れし青き竜 目覚める悪魔

「ゲンジ!しっかりしろ!!」

倒れ伏したゲンジをエスラは抱き起こし頭の装備を外すと必死に揺さぶる。だが、ゲンジの目は開く事はなかった。

 

「…!!」

顔からは大量の血が流れ出ており、ゲンジの顔を覆っていた。

 

「医療班はいるか!すぐに来てくれ!!」

フゲンは咄嗟に医師を呼び、ゲンジの治療を頼み込む。

その数分後に医療班は到着して、現地で治療が施された。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「ふう…一先ずこれで大丈夫でしょう…。鼓動は安定なので命に別状はありません」

 

医者の見解に皆は安心するもの、先程の変わりようがどうしても忘れる事ができなかった。

 

「ハンター諸君に里の衆よ。今のところモンスターの侵攻報告はない。この後は拠点で待っていてくれ。ウツシよ。皆を頼む」

 

「御意。さぁハンターの皆さん里守の皆さん!此方ですよ!」

フゲンは即座に辺りにいるハンター達に指示を出し、拠点での待機を言い渡した。ハンター達は頷き、ウツシの案内の元、次々と拠点へと戻っていった。

 

その一方で、ゴコク、フゲン、エスラ、シャーラ、ヒノエ、ミノト、そして倒れ伏したゲンジはその場に残る。

 

「エスラよ。お主に聞きたい。先程の変異…あれは何なのだ?」

 

フゲンはゲンジの額を撫でるエスラに問いかける。すると、エスラは気まずい表情を浮かべながらも顔を上げる。

 

「いずれは話しておかなければならないな」

覚悟を決めたかのように。そして、エスラは話し始めた。先程の変容の原因について。

 

 

「ゲンジの体内に竜人族の血が流れている事は知っているな?」

 

「えぇ。彼からそう聞いております」

ヒノエが頷くと、エスラはゲンジを見て歯を食いしばりながら説明を続けた。

 

「実は_______!?」

 

 

エスラが説明を再開しようとした時 咄嗟に上空へと目を向けた。それは一同も同じだ。

 

 

「あれは…!!」

ミノトや皆の目の前には夕焼けに染まる上空。岩と岩の間から見える雄大な空。なんとそこには一体の青い竜が飛んでいた。

 

「初めて見る奴でゲコな…」

突然現れたモンスターに皆は警戒体制を取る。

すると、そのモンスターは此方へと目を向けた瞬間 巨大な口を開けながら咆哮する。

 

 

___ゴォオオオオオ…!!!

 

 

その咆哮は一般的なモンスターの野生味が感じられなかった。ゆうなれば“風そのもの”であった。

咆哮が響き渡った直後 ふとその竜とヒノエの目が合ってしまった。

 

 

「ぐぅ…!?」

目が合った途端、ヒノエは頭を押さえながら唸り出す。

 

「姉様!?」

 

「ヒノエ!どうした!?」

突然 苦しみ出したヒノエを即座にミノトは肩を支え、フゲンは呼び掛ける。

 

「……」

すると 突然 ヒノエの頭を押さえていた手が解かれ、俯いていた顔がゆっくりと上げられた。

 

『『…!!』』

 

フゲン、ゴコク、エスラ、シャーラ、ミノトはその顔を見て絶句してしまった。

 

苦しみが止んだ直後に上げられたヒノエの瞳は蒼く輝いていた。だが、その周りにある純白で美しかった目は黒色に染まっていたのだ。

 

すると ヒノエはゆっくりと口ずさんだ。

 

 

_____対は何処…対は何処…

 

 

「…うぅ!?」

その言葉を紡いだ直後 ヒノエは再び頭を抑え始める。

 

「ヒノエ!大丈夫か!?」

エスラの呼び掛けにヒノエは胸を押さえながら顔をあげる。その顔はいつもの様に戻っていた。だが、額からは尋常ではない汗が流れ出ていた。

 

「この焦燥……間違いなくあのモンスターの…!!」

 

ヒノエの頭の中には謎の声が響き渡っていたのだ。それが先程の言葉だった。

皆は悠々と空を舞う目の前のモンスターを見つめた。

 

 

「…ゲンジ…?」

 

突然 シャーラの声に皆は目を向ける。見るとエスラと共に介抱していたゲンジの身が突然起き上がったのだ。

 

「よかった!目を覚ましたんだな!」

エスラは喜びの声を上げる。だが、起き上がったゲンジの表情は全く良いものではなかった。

 

「あ…あ…あ…!!」

目は震え、額からはヒノエと同じく汗が流れていた。

 

 

 

その直後

 

「ゔぁぁああああ!!!」

 

「ゲンジ!?」

突然と目を覚ましたゲンジは頭を押さえながら悲鳴をあげたのだ。

 

「ゔぁぁァアァアァア!!!ぁぁああ!!!」

頭を押さえ両脚を何度も地面へと打ちつけながらゲンジは苦しみ出す。

 

「ゲン…!しっかしりして!!」

ゲンジの叫び声は止む事は無かった。咄嗟にシャーラはゲンジの首に手を回し身体に抱き付くと、その暴れる身体を抑え込み始める。

けれども、ゲンジの身体の動きは止まる様子を見せなかった。

 

そんな中 ゲンジの目から涙が流れ始め、途切れ途切れの弱々しい声が聞こえてきた。

 

「頭が……割れる…!!やめろ…!!“出て来るなぁ”…!!!」

まるで何かを抑え込んでいるかの様に。ゲンジの身体の暴走は激しさを増していく。

 

「ゲンジ!!気をしっかり持て!!“奴”に飲まれるな!!」

エスラもシャーラと共にゲンジに抱きつき、即座に暴れる動作を止める。だが、その暴走は一向に止まらなかった。

 

 

_____其は誰ぞ。

 

「頭の中で……声が…!!声が…!!!」

 

 

ゲンジの頭の中には謎の巨大な声が響いていたのだ。それを聞こえるたびに内に眠る“奴”がゲンジの意識を食い千切ろうとしていた。

 

 

____其は誰ぞ。

 

 

 

「ゔあああああああ!!!!!!!」

 

再び頭の中にその声が響いた瞬間 ゲンジは顔を天に向けながら悲鳴を上げる。まるで目の前を漂うモンスターに吠えるかの様に。

 

「あ…あ……」

叫び声を上げたゲンジは突然顔を俯かせ、暴れていた脚も動きを止めた。先程の悲鳴はもう聞こえてくる事は無かった。抱きついていたシャーラとエスラは手を離す。意識を保ち直して、ミノトに支えられながらヒノエ達もその様子を見守っていた。

 

すると

ゆっくりとゲンジの身体が立ち上がる。立ち上がりの動作はスムーズであり、震え一つ起こす事は無かった。

 

「お…おいゲンジ。大丈夫か?」

その様子を後ろから見守っていたエスラは恐る恐る尋ねる。だが、目の前に立っていたシャーラは喜ぶ事はなかった。

いや、寧ろ震えていた。

 

「どうした?シャーラ」

 

エスラが尋ねるとシャーラは瞳と身体を震わせながら一歩後ろへと下がった。

 

「……姉さん……ゲンじゃない…!!」

 

「なんだと!?」

シャーラの言葉にエスラは驚くと即座にゲンジの肩を掴み、顔を此方へと向けさせた。

 

 

 

『『『…!!!!』』』

 

その顔を見た瞬間 皆の背筋が凍りつく。振り向き、顕となったゲンジの顔には特に変化はない。だが、いつも蒼く宝石の様に輝いていた双眼が__

 

 

_____ドス黒い血の色へと染まっていたのだ。

 

 

「ゲン………ジ……貴方なの……?」

ヒノエは声を震わせながら問う。すると、突然 ゲンジの身体が動き出し、震えるシャーラの横を通り過ぎると今もなお此方を見つめる青いモンスターへと顔を上げ、ドス黒い双眼を向けた。

 

 

______我は悪魔。

 

突然と辺りに響き渡るのはゲンジの声では無かった。全く聞き覚えのない……いや、この世のモノとは思えない程 不気味な男の声であった。

 

 

____汝らを喰らうが為 深淵より参った暴食の権化なり。

 

その言葉はまるでモンスターに向けて放たれている様であった。すると、

先程まで何も声を発する事が無かったモンスターは突然と唸り声を上げる。

 

「グルル…!!」

 

まるでゲンジを恐れているかの様に。すると、ゲンジは口を三日月のように釣り上がらせながらゆっくりと口を開いた。

 

 

____ようやく見つけた。我が餌…!!

 

 

放たれた言葉と同時に開かれた口内からは次々と涎が滴り落ちてくる。

 

__対も貴様も……我が喰らってやるッ!!

 

 

「グロォァァァァァァア!!!!!!」

 

その表情を直視したモンスターは再び咆哮を放つ。

 

「ぐぅ!?」

その咆哮が響き渡ると、涎を垂らしていたゲンジは耳を押さえながら再び顔を俯かせる。

 

「なんて激しい咆哮なんだ…!!」

後ろに立っていたエスラ達はその咆哮に同じように耳を抑えながら吹き飛ばされないように体制を低くする。そんな中、ヒノエは此方に向けて咆哮を放つモンスターを見た。

 

「……モンスターがゲンジを…恐れてる…」

ヒノエのふと溢した言葉に皆は驚く。

 

 

すると、その咆哮が鳴り止み、発生していた風圧も勢いが収まる。

咆哮を放ったモンスターはそのまま空高く身体を浮き上がらせると空中を泳ぎながら雲の中へと消えていった。

 

モンスターの姿が見えなくなると 頭を押さえる手が力が抜けたかの様に解かれ、再びゲンジの身体は地面へと倒れた。

 

その後 ヒノエはミノトに肩を支えられながら、そしてゲンジは担架に乗せられながら拠点へと撤退した。

 

 

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