薄明と双子の姉妹 (リメイク中)   作:きょうこつ

99 / 205
新しい友達?

それからの出来事はスムーズであった。

 

ラトルがテントに来た時には既にマルバは目を覚ましていた……いや、一晩中ずっと目を覚ましていたようだ。目には隈ができており、瞳からは光が消え去っていた。父親を見た瞬間 歓喜のあまり涙を流すが、その姿を見てもラトルは表情を変えることはなかった。

 

だが、ゲンジに死の寸前まで追い詰められた事でマルバも変わった。

 

なんとマルバは集会所の前を通った時に偶然出てきたヒノエとミノトに向けて土下座をしたのだ。ゲンジの恨みが完全に頭に根付いてしまったらしく、何度も何度も謝罪の言葉を口にしていた。

他の2人はふてくされようとしていたが、ラトルが無理矢理頭を下げさせ、同じく土下座をさせ謝罪をしたようだ。

その様子は見ていた里の皆が同情を買ってしまう程で、相当な恨みを持っていたハモンでさえも呆れていた。

 

帰り際にラトルは見送るために里の入り口まで付いてきたフゲンに向けて礼を言う。

 

「息子を治療してくれて本当にありがとう…」

 

「いや、治療したのは俺ではない。それよりも、これからどうするのだ?」

 

フゲンはマルバの今後のことについて問う。それに対してラトルはまだ答えが出来ていないようであった。

 

「とりあえず今住んでいる場所を出て街へ行き、この子に何が出来るのか探そうと思う。俺にも甘やかしていた節があるからな」

 

「そうか……」

フゲンは頷く。街へ出れば両手と片脚を失った彼でもできる事が見つかる可能性はあるだろう。

 

「ではこれにて失礼する」

「あぁ」

ラトルは再び頭を下げた。ハンターの信用を奪い去っただけでなく、その尻拭いをしてくれたゲンジへ暴行を働いた上に里の受付嬢に手を出した自身の愚息やその友人達を殺めずに治療してくれたカムラの民に感謝するかのように。

 

そして4人は里を去って行った。

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

次の日

 

再び平穏な日が戻った里にて。

 

里へと来たばかりの4人組のハンターは集会所へと向かう中、広場にある長椅子に座る2人の女性を見つけた。

 

1人は片方に髪飾りを着用し、和服を纏いながら優雅に振る舞う黒髪の女性。そしてもう1人は左目に眼帯をつけながら青い髪を後ろで小さなポニーテールにし、赤い色の和服を纏う可愛らしい少女であった。

 

「(なぁなぁ…あの受付嬢の隣に座ってる子…誰だ?)」

 

「(さぁ…妹とかじゃねぇか?耳が尖ってるから同じ竜人族なのは間違いねぇからな…)」

男性ハンターがチラリと目を向けながらコソコソと話す中、その話し声と目線に気づいたのか、少女はニッコリと笑みを浮かべた。

 

「ごきげんよう」

 

「は…はい」

その声は女性にしてはやや低めだが、青く輝く目を向けながら微笑むその姿から幼さを感じさせる。その可憐さに4人の男女の内、2人の男性ハンターは頬を染めながらお辞儀をしていった。

 

その少女はいつからいたか分からない。里の皆も誰か分からない。目が覚めて外に出たら既にヒノエと共に座っていたのだ。

 

「ヒノエさ〜ん!いつもの50本お待たせしたよ〜!!」

 

すると、茶屋の方から大量にウサ団子が積まれた荷車を押してくるヨモギの姿が見えた。

荷車を押してくるヨモギはヒノエの横に座る少女に目を向ける。

 

「あれ?その人誰?」

 

「あ、まだ紹介していませんでしたね」

ヨモギが少女について聞くとヒノエはその少女の肩を叩く。

 

「ほら…恥ずかしがらずに」

「…うん…」

すると、その少女はゆっくりと立ち上がり、ヨモギに向けてお辞儀をした。

 

「初めまして。私は『コハル』と申します。ヒノエお姉様の従姉妹です」

「ふむふむ…」

コハルというその少女は凛とした振る舞いで自己紹介をする。

その様子にヨモギは同世代としての雰囲気を感じ取り、コハルをじっくりと観察すると、親しみを込めて自身も自己紹介をする。

 

「私はヨモギだよ!よろしくね!」

そして、自己紹介と共にヨモギは手を差し出す。すると、そのコハルという少女も手を出した。

 

「あれ?怪我してるの?それに目も大丈夫?」

見ると差し出されたコハルの手には包帯が巻かれていた。

 

「ここにくる途中 転んでしまったんです。おっちょこちょいな者でして…。目は生まれつき見えないのでこうしてます」

 

「そうなんだね…。あ!私お団子屋をやってるんだ!後で来てね!ウサ団子ご馳走してあげるから!」

 

「本当ですか!?私 ウサ団子が大好きなんです!この後 是非行かせてもらいますね!」

 

「うん!待ってるよ!」

コハルは笑みを浮かべながら頷く。そして、ヨモギは再び店番へと戻るべく手を振りながら去っていった。

 

 

「よくできました。偉い偉い♪」

 

「やめろ……やめてください…//」

 

ヨモギの姿が見えなくなるとヒノエは笑みを浮かべながらコハルの頭を撫でる。するとコハルは頬を赤く染めながらその手を振り払う。

 

その様子を偶然通りかかったハモンはコハルに目を向けるとため息をつきながら やれやれ と頭に手を置いていた。

 

「(なにをやってるんだアイツは…)」

 

 




新キャラ?の登場です。(笑)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。