Fate/I'll wait for you forever   作:黒蜜黄粉

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プロローグ

 何故こうなってしまったのか……

何が間違えだったのか……

やはり壊さなければ良かったのか……

そんな思いが錯綜しながらも衛宮 切嗣(えみや きりつぐ)は、壊れた町の瓦礫の中から、助かる人がいないかを探していた。

まるで自分がやった行いを詫びるかのように、希望にすがるかのように、瓦礫を素手で掘り起こしていた。

 

その姿を遠くから悲しそうに見ていた俺、黒槌 徨迦(くろつち こうか)は衛宮切嗣に声をかけることなく、その場を立ち去っていく。

また失敗してしまった……

俺も、同じ考えだった。

他のサーヴァントやマスター達が聖杯を巡って争うくらいなら、壊した方がマシだと……そう思っていた。

 

だが実際は違った。

膨れ上がった聖杯は中から泥のようなものを吐き出し、冬木市を炎で包んだのだ。

いや、聖杯だと思い込んでいた。

切嗣がセイバーに壊させたのは聖杯ではなく、単なる『器』にすぎなかった。

器を破壊された聖杯は、壊れた器の中から泥を吐き出したに過ぎない。

俺はそれに気づけなかった。

前回も経験しておいて、その事に気づけなかった俺の責任だろう。

 

こんな結末になるくらいなら、もう関わらない方がいい。

こんな俺でも昔は、ヒーローに憧れていた。

なんでも助けれる、人々を笑顔にする存在になってみたかった。

だがヒーローなんてのは幻想なのかもしれない。

前回の聖杯戦争でそれを学び、今回の聖杯戦争でどんな汚い手を使ってでも戦争を止めようとした。

それでも出来なかった。俺に出来ることは戦争を止めることではなく、戦争から目を背け、平和に暮らすことなのだと思ってしまう。

でもいつかはやってくる。

人間がいる限り、聖杯があるかぎり、俺はこれから幾度となく()()を目にするだろう。

 

「…………」

 

アイツはどう思ってるんだろうな……。

こんな失態をおかした俺を、アイツは許してくれるだろうか。

 

黒槌は荒れ果てた冬木市の炎から背を向けた。

もうこんな後悔はしたくないと、この光景を目に刻み込んだのだった。

 

 

 

「…………」

部屋中に鳴り響く目覚まし時計がうるさい。

体を起こすと頭が回らない。

腹も減ったし、トイレで用も足したい。

あの戦争が終わったあとでも俺はちゃんと人間らしい欲望を欲している。

切嗣との約束を守るために生きなければいけないのだ。

 

あんな戦争から十年、黒槌はあの手この手を使って、とある高校へ入学していた。

見た目が変わりにくいせいか、高校生だと騙すことができた。

 

次は失敗しない。

黒槌はそう思いながら、朝食のパンに噛りついた。

 

 

 

 

 

 

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