私のヒーローアカデミア~ねじれちゃんの妹は最強?です~ 作:レイラレイラ
AチームとDチームの戦闘が終了し、モニタールームにすぐると麗日は戻ってきていた。
爆豪と飯田もすぐるの治療により意識を取り戻したが、オールマイトからは「治療もいいが、リカバリーガールの仕事を盗らないように」と注意された。
「今戦のベストは波動少女だ! では、その理由がわかる人!?」
「ハイ、オールマイト先生」
すぐる達の戦いを見ていたクラスメートに意見を求め、八百万が挙手とともに自らの意見を述べた。
「波動さんは迅速に核兵器と爆豪さん、飯田さんの位置の特定していた点が評価できます。爆豪さんの奇襲を完璧に察知、かつ核兵器があることで個性把握テストで見せていた火力を使うことが出来ない中で無力化したこと。コスチュームのギミックと個性を活用して一階から飯田さんの意識を刈り取りったことと、作戦立案からそれを遂行する全てに目を見張るものがありました。これ以上ない完璧な勝利だったと思います」
八百万の言う通り、すぐるは
音の反響により飯田の位置を把握しているため、個性によって設定した弾道からずれないように麗日には飯田を動かさないようにと指示した。
飯田が動き回れば位置が分かっていようとも、当てるのはかなり難しくなるためだ。
「次に麗日さんですが、自分だけで無理はせずに波動さんの指示に従っていたことはよかったです。ただ、波動さんに頼りっきりになっていたことは少し残念です。作戦に逸脱しない程度に自分の考えで動けていればより良かったかと」
「う…………やっぱりそうだよね」
「飯田さんは自分の役割をきちんとこなせていたと思います。ただ、マスクが飛ばされた際に少々慌てすぎていたのが問題ですね。出所が不明の攻撃で心を乱される気持ちは分かりますが、冷静に対処していれば結果ももう少し違ったものになっていたでしょう」
「確かに、あそこで余裕を失ってしまったのは俺の失態だ! 麗日君をそっちのけで攻撃に意識を向けていたことからもそれは明らか! もっと精進せねば!」
「爆豪さんは言うまでもないですが、私怨丸出しの独断専行。核があるというのに屋内での大規模攻撃を行うなど、誉められる点はまずありません!」
「そ、その通りだ。完璧な講評だよ、八百万少女!」
「常に下学上達! 一意専心に学ばなければトップヒーローになどなれませんので!」
八百万の正確すぎる分析と答えに、オールナイトの笑顔が若干固まっていた。
初戦からのプロヒーロー顔負けの戦いを見せられ、クラス全体のやる気が向上しそれぞれが訓練に精一杯取り組んだのだった。
◆◆◆◆
「もぅ~!! 焦凍君ってば、早く決着すませてって言ったじゃない! 緑谷君あんなに怪我しちゃって!」
「悪ぃ…………けど、あいつの目を見たら俺がやろうとしたことは侮辱以外の何者でもねぇんじゃねぇかって。つい、本気出しちまった」
「それは…………私もごめんね。あんなこと言っちゃって」
「スグは悪くねぇよ。お前に言われなくてももともとやるつもりだったからな」
戦闘訓練を終えて誰よりも先に教室に戻り、二人は反省会を行っていた。
すぐるは緑谷が個性把握テストの時にした怪我を思いだし、焦凍に早期決着するように頼んでいたのだ。
個性を使えばまた怪我をする、それを看過できずにでしゃばったことをしたとすぐるはどんよりと肩を落としていた。
だが、戦闘時の緑谷の目はA組のなかで誰よりも強く先を見据えているものだった。
とてつもなく強い覚悟と気持ちを秘めた目には何かを感じずにはいられない、そう思っていた時に二人に切島が声をかけた。
「おいおい。波動も轟も、勝ったってのに何落ち込んでんだ! もっと胸を張れよ!」
「悪ぃ切島。今自己嫌悪でそんな気分じゃねぇんだ」
「右に同じ」
焦凍はともかく、入学初日からすぐるの明るい表情しか見ていない切島は困惑していた。
なんとか励まそうと言葉を出そうとした直前、戦闘訓練で重症を負って保健室に運ばれていた緑谷が戻ってきた。
「おお緑谷来た!! おつかれ!! アツいやつだぜ、おめー!!」
「凄かった!」
「へっ!?」
一度にたくさんの声をかけられ、緑谷は狼狽するばかりで返答に困っているようだった。
「俺ぁ切島鋭児郎! 今、皆で訓練の反省会してたんだ!」
「私、芦戸三奈! よろしく!」
「蛙吹梅雨よ。梅雨ちゃんと呼んで」
「俺、砂藤!」
クラスの皆が自己紹介をしていくなか、すぐると焦凍は机から動けずにいた。
緑谷は二人の様子に気づいたのか、ぼろぼろの身体で歩いてきた。
その姿を見て二人はさらに申し訳なさでいっぱいになり、顔を俯かせていると精一杯明るい声音で緑谷は話しかけた。
「あのさ、波動さんも轟君も僕のこと気にかけてくれてたんだよね。個性把握テストの時も波動さんは一番に助けに来てくれたし、その…………ありがとね、二人とも」
「緑谷(君)…………」
「そうだよ、すぐるちゃん達は何も悪いことしとらんもん! だから元気だして!」
いつまでも暗い顔をしている方が彼らに迷惑をかける、そう考えたすぐるは笑顔で答える。
「ありがとね、緑谷君。お茶子ちゃんも」
「…………緑谷、その怪我治してもらえなかったのか?」
「これは僕の体力のアレで…………。あの、轟君……それよりかっちゃん見なかった?」
「爆豪のことか? あいつは…………」
「皆止めたんだけど、さっき黙って帰っちゃったよ」
緑谷の質問に全員が気まずげな顔をするが、麗日の言葉を聞いてすぐさま教室を飛び出ようとした緑谷をすぐるが止めた。
「今は爆豪君の中でたくさんのことがごちゃごちゃになってると思うの。だから、今日はそっとしておいてあげて」
「波動さん…………」
すぐるの神妙な面持ちに、何も言えなくなった緑谷は切島達のもとへ向かった。
HRも既に終了していたため、下校時刻が迫ってきたところで反省会はお開きとなり各々が教室を後にする。
「私達も帰ろっか」
「ああ」
全員が下校するのを確認すると、すぐると焦凍も帰路へとついた。
これから雄英でどのような日々が待ち受けるのか、期待に胸を踊らせながら。