私のヒーローアカデミア~ねじれちゃんの妹は最強?です~ 作:レイラレイラ
戦闘訓練を終えた翌日。
すぐるは珍しく一人で登校していた。
その理由は一人での登校に慣れておきたいと思ったためなのだが、それを聞いた焦凍とねじれは寂しそうな顔をしていた。
だが二人が体調不良や、ヒーロー活動などで一緒に登校することが出来なくなる可能性は充分にあるなど説得を続けるうちにようやく許しを得たのだ。
焦凍よりも少しばかり遅れて家を出たすぐるは新鮮な気持ちで満たされ、どこかその足取りは浮いていた。
「オールマイトの授業はどんな感じです?」
「“平和の象徴”が教壇に立っているということで、様子などを聞かせてください!」
「教師オールマイトについてどう思ってます?」
校門前で多種多様な機材を掲げ、生徒たちに手当たり次第に声をかけている集団が目にはいる。
それほどオールマイトが雄英の教師に就任したことが全国的に大ニュースだったのだろう。
連日マスコミが殺到する光景、それはすぐるにとって悪夢以外の何者でもなかった。
どうやって住所を割り出したのか、ほぼ毎日自宅に押しかけるマスコミたち。
悪意があろうがなかろうが、結果的に人を殺した存在をメディアとして取り上げたいのだろう。
それが自分だけならまだよかったが、その矛先はねじれや両親にまで向いた。
恐怖と絶望、怒りと悔しさ。
そんな感情がすぐるの心を蝕むも、彼らをどうこうする度胸など当時の自分にありはしなかった。
そして、それは今も変わらない。
間違っても彼らを刺激しないよう、気配を消してそっとマスコミの横を通りすぎようとしたのだがとある少女の姿を見たすぐるは気づけば駆け出していた。
「君! オールマイトについて何か聞かせて!」
「ソーリー。ワタシ急いでマスですから、通してくだサイ」
頭部から角を生やした金髪の少女がマスコミに囲まれ、カタコトの日本語でやんわりと取材を断ろうとするが彼らは聞く耳を持たない。
すぐるは“個性”で背中に四つの竜巻を発生させ、マスコミの頭上を飛行する。
角の少女の真上まで移動すると、彼女に向かって手を伸ばし精一杯の声で少女を呼んだ。
「ポニーちゃん! 手を上げて!」
「スグさん!」
ポニーと呼ばれた少女はすぐるの姿を確認すると、ぱぁっと笑顔になり躊躇いなく手を上げた。
すぐるはポニーの手を掴むと、校門を飛び越えかろやかに着地した。
「大丈夫、ポニーちゃん? ごめんね、こうなるのは薄々わかってたのに用心するように言っておけばよかったね…………」
「スグさんは悪くアリませんデス! ソレよりも、助けてくれてアリガトウゴザイマス」
角取ポニー。
1年B組に所属する生徒で、すぐるとはチャットアプリで出会い意気投合した大の仲良しな女の子だ。
直に会ったのは春休みが初めてで、日本の有名な場所やすぐるがオススメの喫茶店などに二人で出掛けることも多かった。
「スグさんはリアリースゴいです! ワタシ怖クテ動けませんデシタ」
「そんなことないよ。ねえ知ってた? あれは、誰でも怖いと思うの…………」
「スグさん…………」
ポニーはすぐるの過去については全て把握している。
すぐるは親友と呼べる女の子に隠し事はしたくなかったし、何より自分のことを知ってほしかったのだ。
自分の過去を知っても逃げ出さない親友であると同時に、その愛らしい容姿からすぐるの癒しとなっていた。
「スグさんにはワタシがいますデス! それに、ワ、ワタシはスグさんを
「…………尊いの飛び出し注意だよ、ポニーちゃん」
ポニーが赤面しつつ爆弾発言をかますと、すぐるは胸を押さえてのけぞった。
「注意するのはお前だよ、波動」
声の方向に視線を向けると、A組担任の相澤が“個性”を発動させて立っていた。
捕縛布が動きを見せていないだけまだマシかもしれない。
「…………波動の過去を思えばマスコミを避けたい気持ちも分かるが、ヒーローになれば少なからず関わるのはどうしようもない。だから覚悟だけは決めておけ」
「…………うん」
担任である相澤もまたすぐるの過去を知るものの一人で、当時の個性事故の一件ですぐるとは面識があった。
特別に贔屓することはしないが、すぐるのことは気にかけていた。
教室ですぐるの笑顔見たときは、内心ホッとしていたりする相澤。
「それとな角取、学生の色恋にどうこう言うつもりはないが場所は考えろ。マスコミに聞かれたらあることないこと書かれて面倒だぞ」
「…………そ、ソーリー相澤ティーチャー///」
羞恥に顔を朱に染めているのを誤魔化すため、ポニーは相澤に問うた。
「あ、アノ! マスコミさんの
「ポニーちゃん。知ってた? 校門にはとある秘密があるって」
「ホワッツ? 秘密デスか?」
すぐるが校門を指差しながらポニーに問うと同時に、マスコミが業を煮やしたのか強引に入ろうとするとピーっとセンサーが反応し謎の壁が出現するとマスコミの行く手を阻んだ。
「マスコミの間では雄英バリアって呼ばれてるんだって! なんでだろうね、不思議ー」
雄英バリア。
学生証や通行許可証IDを持たない者が門をくぐると、セキュリティが働くというもの。
校内のいたるところにセンサーが設置され、不届者の侵入を阻むのだ。
説明もそこそこに、ポニーを伴って昇降口へと向かうすぐる。
B組の教室前でポニーと別れ、すぐるもA組の教室へと入っていった。
◆◆◆◆
「昨日の戦闘訓練お疲れ、Vと成績は見させてもらった。緑谷はまた腕ブッ壊して一件落着か。個性の制御、いつまでも『出来ないから仕方ない』じゃ通させねえぞ。俺は同じこと言うのが嫌いだ。
「っはい!」
緊張の面持ちで答える緑谷だったが、すぐるはニヤニヤとその光景を眺めていた。
厳しいことを言っている相澤だが、これが彼なりの激励でもあると看破していた。
一瞬ジロリとすぐるを睨んだ相澤だが、視線を戻すと本題を切り出した。
「今日のHR…………急で悪いが、今日は君らに…………」
相澤の放つ雰囲気にA組の全員がザワつく。
初日の行動を思えば仕方ないことだろう。
「学級委員長を決めてもらう」
「「学校っぽいの来た──!!」」
普通科などであれば雑用やら事務的な仕事がメインでやりたがらないだろうが、ヒーロー科では集団を導くというトップヒーローとしての素地を鍛えられるためにほとんどが挙手していた。
中には目立ちたいとか、プライドの問題という理由もありそうだが。
「オイラのマニフェストは女子全員膝上30cm!!」
一部欲望が駄々漏れの存在もいるようだが。
「静粛にしたまえ!!」
飯田の一喝が響き、視線が集中する。
「“多”をけん引する責任重大な仕事だぞ……! 『やりたい者』がやれるモノではないだろう!! 周囲からの信頼あってこそ務まる聖務……! 民主主義に則り、真のリーダーを皆で決めるというのなら…………これは投票で決めるべき議案!!」
「ねえねえ知ってた? 飯田君スッゴいそびえ立ってるの、不思議ー」
「ああ、そうだな。それよりもスグが手を挙げるのは意外だな。どうしてだ?」
すぐるは中学の時にクラスの委員長に推薦されたことがあるのだが、それを蹴ってあくまでもボランティアという形で手伝っていた。
焦凍はてっきり委員長などの目立つ仕事は嫌なのかと思っていたが、そうではないようだ。
「私ね、今まで出来なかったことをちょっとずつでもいいからやってみたいと思ったの。苦手をそのままにしたくないっていう自分勝手な理由だけど、ダメ…………かな……?」
「そんなことはねえだろ。充分に立派な理由だと思うし、スグがやりたいっていうなら俺は応援する」
「…………ありがとね。焦凍君」
相澤先生の『時間内に決めりゃ何でもいいよ』という発言により飯田の案が採用され投票が行われた。
結果は…………
緑谷出久 3票
八百万百 2票
波動すぐる 2票
飯田天哉 1票
「よし、委員長は緑谷。副委員長は八百万と波動の二人で決定だ」
相澤先生の一声により、緑谷たちの委員長及び副委員長になることが確定されたのだった。
◆◆◆◆
──────そして、昼休み。
すぐるは焦凍とポニーを誘い、三人で食堂に向かった。
麗日も誘おうかと悩んだが、緑谷と飯田が一緒だったために断念した。
「|Oh! Sugu became vice chairman! Congratulations!《おお! スグさんが副委員長になったのですね! おめでとうございます!》」
「I really wanted to be the chairman, but I'm glad there are two people who chose me!(本当は委員長になりたかったけどね。でも、私を選んでくれた人が二人もいてくれて嬉しいよ!)」
食事中の会話でお互いのクラスの状況を報告しあい、ポニーはすぐるの快挙にテンションが上がったようだ。
興奮のあまり英語が出ているポニーだったが、すぐるも流暢な英語で返した。
焦凍も会話に混ざろうとしたのだが、すぐるがポニーに合わせて英語で話しているためになかなか割り込めない。
一人でずるずる蕎麦を啜っていると、突然警報が鳴り響いた。
「な、何デスか!?」
『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難してください』
「確か、校舎内に誰か侵入してきたってことらしいな。だが、そもそも雄英の警備態勢をそんな簡単に突破できるモンなのか?」
焦凍が疑念に思考を巡らせていると、すぐるとポニーの姿が無いことに気づく。
「痛ぇ!」 「なんなんだよこれ!」
「押すなって!」 「ちょ、待てよ!」
「落ち着けって!」
「スグ! 角取! 何処だ! いるなら返事しろ!」
もっともこの声が聞こえるとは限らないし、向こうが聞こえていたとしてもこちらは反応できない可能性がある。
「焦凍君! こっちこっち!」
最悪の場合“個性”を使って上空から探索を試みよう、そう考えたところで頭上からすぐるの声が聞こえた。
見上げると、すぐるが竜巻を背中に発生させて空中に逃げることで難を逃れたらしい。
ポニーは抱き上げられ、すぐるの首にしがみつく状態でいる。
テーブルの上に着地すると、ポニーを優しく降ろすすぐる。
心配そうに声をかけるすぐるに対し、ポニーは恍惚の笑みを浮かべ「ワレワレの業界ではごほうびデス」と呟いていた。
「大丈ー夫!! ただのマスコミです! なにもパニックになることはありません! 大丈ー夫!! ここは雄英!! 最高峰の人間に相応しい行動をとりましょう!!」
食堂中に響いていた悲鳴を上回る飯田の大声が上書きし、生徒たちの足が止まりパニックは静まった。
そして、警察の到着とともにマスコミは撤退を余儀なくされた。
「ホラ、委員長始めて」
「ねえねえ知ってた? 緑谷君ガチガチなの。もう少し力を抜くといい思うの」
「で、では他の委員決めを執り行って参ります! …………けど、その前にいいですか! 委員長はやっぱり飯田君が良いと思います。あんな風にかっこよく人をまとめられるんだ。僕は……飯田君がやるのが
「あ! 良いんじゃね!! 飯田、食堂で超活躍してたし!!」
「非常口の標識みてぇになってたよな」
緑谷の胸の内を聞き、切島を筆頭にした一同が賛同する。
「委員長の指名とあらば仕方あるまい!! ならばこの飯田天哉誠心誠意、クラス委員長を務めさせていただこう!!」
委員長の引き継ぎを受諾した飯田。
このようにしてようやく、委員長が決まったのだった。
ポニーちゃんもまた親友枠の一人で、ヒロインでもありマス
焦凍君とも上手く絡ませたいなぁ…………
ガールズラブタグ追加しなくちゃ
すぐるちゃんの英語は字数が多すぎたのか、ルビとして振れませんでした読みにくくてごめんなさい!
次回からUSJ編に入ります!