私のヒーローアカデミア~ねじれちゃんの妹は最強?です~ 作:レイラレイラ
今回は短めです
最強ちゃんのUSJ襲撃①
「今日のヒーロー基礎学だが…………俺とオールマイト、そしてもう一人の3人体制で見ることになった」
午前の普通科目も終わり午後の授業、本日のヒーロー基礎学は
相澤は『RESCUE』と書かれたカードを掲げ、そう告げた。
「レスキュー…………今回も大変そうだな」
「ねー!」
「これこそヒーローの本分だぜ!! 鳴るぜ!! 腕が!!」
「水難なら私の独壇場。ケロケロ」
戦闘向きの個性の者、個性とは関係なくやる気に満ち溢れる者、自身の個性に適した者で反応は大きく異なっていた。
「おい、まだ途中」
相澤の鋭い睨みが教室の浮わついた空気をピリッと張り詰めさせ、騒がしかったクラスが一気に静まった。
「今回コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。訓練は少し離れた場所にあるから、バスに乗っていく。以上、準備開始」
相澤の指示が飛び、どんどんと移動を始めるA組。
飯田も委員長就任ということで張り切っているのか、笛をピッピッと吹いてバスへと誘導している。
だが──────
「こういうタイプだった……くそう!!」
バスは二席ずつ並ぶタイプのものは後ろの一部分のみで、真正面に向き合うものがほとんどであった。
「イミなかったなー」
「ねえねえ知ってた? こういうのを骨折り損のくたびれもうけっていうんだよ」
「グッ!!」
「スグ、正直に言いすぎだ。こういうときは何も言わないでやるのが優しさだと俺は思う」
「ガハッ!!」
すぐるの正直な物言いと焦凍のナイフのように鋭い天然発言による攻撃に、飯田は大きなダメージを受けていた。
「あはは…………」
二人とも悪気はないだけに質が悪く、その光景を見ていた緑谷は苦笑するしかなかった。
「私、思ったことを何でも言っちゃうの。緑谷ちゃん」
「はい!? 何ですか、蛙吹さん!!」
「梅雨ちゃんと呼んで。あな…………」
「オールマイトに似てるってことだよね! 何でだろ、不思議ー!」
「…………先に言われてしまったわね」
すぐるに出鼻を挫かれ、若干しょんぼりとする蛙吹。
「俺もスグと同意見だ。間違ってたら悪いんだが…………緑谷、お前オールマイトの隠し子かなんかか?」
「…………はい?」
焦凍のズレた質問に、周囲の空気が静寂へと傾く。
あのすぐるでさえ、口をポカンと開けて唖然としているほどだ。
「そ、それはねえだろ! そういやさ、緑谷の個性は増強型に分類される個性だろうけど、波動の個性もすげえよな!」
空気と話題を変えるべく、切島はすぐるの個性について切り出した。
「私?」
「だってよ、挙動の一つ一つが目で追えないぐらいのスピードだっただろ。個性把握テストの時の記録もそうだけど、緑谷の指も治してた。何個個性持ってんだって感じだぜ!」
切島がそう解釈するのも無理はない。
すぐるが起こした現象の数々は、とても一つの“個性”では起こり得ないはずなのだから。
「私の“個性”はあらゆる種類のベクトルを操作出来るものなの。身体機能の増幅もそうだけど、緑谷君の指を治したのは血液を操作して出血を止めて、細胞分裂の促進を行った結果だね。他にもたくさんやれることは多いよ? 例えば…………」
「もう着くぞ。いい加減にしとけよ…………」
「「ハイ!!」」
緑谷の頭部に触れてすぐるが“個性”を発動させようとした直前、相澤の言葉で会話を止めて一斉に返事をする一同。
そうこうしているうちにバスは到着し、全員で訓練場に入っていく。
「すっげ──────!! USJかよ!?」
誰かの驚嘆の声が響き、その全容の凄まじさを痛感する。
「水難事故、土砂災害、火事…………etc. あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場です。その名も…………
高らかな説明とともに現れたのは、どこか宇宙服を思わせるコスチュームに全身を包んだスペースヒーロー『13号』だった。
緑谷の解説と、麗日の歓喜を他所にすぐるは相澤達の話をこっそり聞いていた。
「13号、オールマイトは? ここで待ち合わせてるはずだが」
「先輩、それが…………通勤時に
「不合理の極みだなオイ」
(制限…………そういえば授業の終わりにもスッゴく急いでたし、オールマイトは何か隠し事してるっぽいね。緑谷君なら何か知ってると思って
すぐるはその話題について思考するが、無遠慮に探るのは申し訳ないと一旦打ち切ることにした。
本人が良しとしないのに、他人の事情にずかずかと入り込むのはマナー的にもすぐる個人としても好かないからだ。
そして13号が授業を始めるべく、生徒達の眼前へと出てくる。
「えー、始める前にお小言を一つ二つ…………三つ……四つ…………」
(((増える…………)))
「どんどんお小言が増えてるねー! なんでだろ、不思議ー」
(((そして、相変わらず正直すぎる!!)))
「…………ごほん。皆さんご存知だとは思いますが、僕の個性は“ブラックホール”どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」
「その“個性”でどんな災害からも人を救い上げるんですよね!」
緑谷の言葉に同意し、ヘドバンのように首を上下する麗日。
首をうっかり壊さないかと心配になるすぐるだったが、万が一の時は自分が治そうと心に決めた。
「ええ…………しかし、簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそういう“個性”がいるでしょう」
「っ!!」
13号の言葉の重みにクラスの皆が息を呑んだ。
その中でもすぐるにとって、一番重くのし掛かったことだろう。
一つ間違えば触れただけで相手を殺してしまう“個性”、それはすぐるが見に染みて理解していることだった。
「超人社会は“個性”の使用を資格制にし、厳しく規制することで一見成り立っているようには見えます。しかし、一歩間違えれば容易に人を殺せる“いきすぎた個性”を個々が持っていることを忘れないで下さい。相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。君たちの力は傷つけるためではなく、救ける為にあるのだと心得て帰って下さいな。以上! ご静聴ありがとうございました」
話を終え、ペコリとお辞儀をする13号。
感銘を受けたクラスのほとんどが拍手をし、それが鳴り止んだタイミングで相澤が授業を進めようとしたところですぐるの索敵能力が何者かの生体電気を捉えた。
相澤も様子がおかしいことに気づいたらしく、背後に振り向いた。
噴水広場の付近から黒い靄と思われる何かが出現、徐々に大きく広がっていく。
靄の中からは人間の手を顔面に付けた男が出てきたと思えば、それに続く形で殺意丸出しの一段が姿を見せた。
「皆、動いちゃダメ! あの人たちは
「波動の言う通りだ! 全員、一かたまりになって動くな!」
相澤は生徒たちに指示を下し、ゴーグルを装着しつつ身構える。
「13号に……イレイザーヘッドですか。先日
「やはり、先日のはクソ共の仕業だったか」
すぐるもまた、靄の男の発言でようやく納得できた。
何故マスコミが雄英の敷地内に侵入できたのか、それは彼らが手引きしたからに他ならない。
カリキュラムはその副産物か、或いは…………
「どこだよ……せっかくこんなに大衆引き連れて来たのにさ……オールマイト……平和の象徴……いないなんて…………子供を殺せば、来るのかな?」
ヴィランからの悪意に晒され、ほとんどの生徒が金縛りにあったかのように動きを止める。
プロが何と戦い、向き合っているのかを初めて理解した瞬間だった。