私のヒーローアカデミア~ねじれちゃんの妹は最強?です~ 作:レイラレイラ
すぐるの始まり
──────────これはとある少女が
その少女ことすぐるが四歳…………所謂個性が発現する際の最終期限も迫る頃に家族でデパートに出掛けていた。
楽しかった
そう、楽しかったはずなのだ。
すぐるは
そんな当たり前の日常は唐突に崩れ去ったのだ。
ふと目についたソフトクリームに小さな瞳をキラキラと輝かせ、姉の手を離れてすぐるは駆けていったところを
ダァン!!
突如鳴り響く銃声にビクッと周囲にいた人々は身体を震わせ、音の方向を向いた。
「ぎゃははは!! 俺ぁついてるなぁ!! こんなところで都合のいい盾が手にはいったんだからよぉ!!」
下品な笑いかたをする男の指先は異形型か発動型かは定かではないが個性によって銃口のように変形しており、硝煙らしきものを吹いていた。
後の警察の発表によれば、この男は指名手配中の
男の脇に抱えられるようにすぐるは捕らえられ、恐怖でガタガタと震えているのがよく分かる。
歳の割りに聡かったすぐるは泣き叫ぶことはしなかった。
下手に自分が取り乱せば余計な被害が他人にまで及んでしまうと、すぐるなりに考えた結論だった。
────────だが、そんな頭が回るすぐるでもまだ四歳ほどの幼い女の子に過ぎない。
銃声の一つであっさりとすぐるの精神に恐怖が刻み込まれ、一気に心を守っていた薄い防壁が崩壊していった。
「イヤ!! 離してぇ!!」
嫌だ
怖い
死にたくない
どうしてこうなった
拒絶や恐怖、そして疑問がぐるぐるとすぐるの脳裏で回りまくる。
ぼろぼろと大粒の涙がこぼれ、嗚咽だけがすぐるの口からは漏れるばかり。
「すぐを…………妹を離しなさい!!」
「お姉……ちゃん……」
「私の個性はすっごく強いんだから!! あなたなんか一瞬でぶっ飛ばしちゃうから!!」
そんな精神的にぼろぼろなすぐるを救ったのはヒーローでもなければ警察でもなく、すぐると瓜二つと言ってもいいほどによく似た二つほど歳の離れた姉のねじれであった。
ねじれの細い足もまた震えており、精一杯の勇気を振り絞ったのが理解できる。
しかし、それは蛮勇と取る他ないだろう。
「あぁ!? ガキが調子こいてんじゃねえぞ!!」
その行動は男をイラつかせ、ねじれに銃口を向けるのには充分だった。
その瞬間、すぐるの中で何かがプチりと切れるのを感じた。
「止めてぇ!!」
すぐるは精一杯手を伸ばし男の顔をガッと掴んだ刹那──────────男の頭部が弾け飛び、血の花が咲いた。
「…………え」
拘束が外れ、ペタんと尻餅をつく。
男に触れた手をまじまじと見つめると、すぐるの掌にはべっとりと真っ赤な血が付着していた。
殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した
──────────ワタシがコロシタ?
聡いすぐるは自分の行いに気づいた。
気づいてしまった。
その業は僅か四歳の女の子が背負うものとしては、あまりにも重すぎたのだ。
そのショッキングな光景と人を殺してしまったという罪悪感からかすぐるは
◆◆◆◆
「…………イヤァァァァァァァァァァァァッ!!」
悲鳴ともにガバッと飛び起きるすぐる。
慌てて掌に目を向けるが当然血などついているはずもなく、「ふぅ」と安堵の息をつく。
全身にびっしょりと嫌な汗をかいた結果、パジャマはぐしょ濡れと言ってもいいほどの有り様だった。
どたどたと慌ただしい足音が聞こえてきたと思えば、扉が無遠慮に開け放たれた。
「すぐ、大丈夫!? なんだか叫び声がしたけど!!」
おそらく帰ってきてすぐにすぐるの悲鳴を聞いたのだろう。
中学の制服のまま部屋に飛び込んできたねじれは、不安げな表情ですぐるを見つめていた。
「…………お姉ちゃん」
大丈夫だとすぐるが口を開くよりも先に
悪夢にも見るほどすぐるの心に染み付いたあの痛ましい事故以降、誰にも触れられなくなったすぐるが唯一触れられる存在がねじれであった。
医者の診断によれば、個性の発動のきっかけがねじれを守るためだったからではないかとのことだ。
「苦しいよお姉ちゃん。あの…………そろそろ離してもらっても…………」
それはもう力一杯に抱きしめるものだから、引きこもりの弱い身体には酷というもの。
「ダメだよ。まだ無理してる声だもん」
「…………」
その声音の原因はねじれでないかとツッコミたくなったすぐるだったが、最愛の姉の抱擁を前にそんな気はあっさりと消えていった。
「大丈夫だよ。私はずっとすぐの味方だから。すぐから離れたりしない…………だって、私はすぐのお姉ちゃんなんだから」
どれぐらいそうしていただろうか。
ねじれの抱擁は母が晩御飯だと呼びにくるまで続いた。
拙い文章でごめんなさい。
物語を進めていくために必要なことなので、今回はすぐるちゃんのトラウマについて触れました。
今話は説明回のようなものなので会話はほぼ皆無です。
原作突入まであと二話ほどください