私のヒーローアカデミア~ねじれちゃんの妹は最強?です~ 作:レイラレイラ
見なさんありがとうございます!!
「机に足をかけるな! 雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」
「思わねーよ! てめーどこ中だよ、端役が!」
目つきの悪さと雰囲気から、どちらかと言えばヒーロー志望というより質の悪いチンピラという印象を受ける少年爆豪と対称的にいかにも真面目ですという雰囲気の眼鏡をかけた少年飯田が口論していた。
「ボ……俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」
「聡明~~~~~~~~!? くそエリートじゃねぇか!! ブッ殺し甲斐がありそうだな!」
「君ひどいな! 本当にヒーロー志望か!?」
とてもヒーロー志望とは言えぬ言動に飯田も驚きを隠せなかったようだが、それでも注意を止めるつもりはないらしい飯田に内心焦凍は感心していた。
ピクリと『殺し』という部分にすぐるが反応を見せたことに内心冷や汗を感じながらも、二人の仲裁に入ろうと席を立った。
「悪ぃな飯田。そいつの肩を持つ訳じゃねえが、今はその辺にしといちゃくれねぇか」
「む、君は……先ほど峰田君を凍らせていた…………」
「凝山中学出身の轟焦凍だ。スグ…………波動すぐるの幼なじみでな。
さっきの件は俺もやり過ぎたと思ってる。すまん」
「いや、キチンと反省してくれればいいんだ! それよりも何故止めるのか理由を聞かせてもらってもいいかい?」
「それは…………」
焦凍が訳を話そうとした瞬間、制服の袖口を引かれ振り向くとニコニコと笑顔を浮かべたすぐるが立っていた。
「焦凍君。教室に入りにくそうにしてる子がいるから、そろそろ戻らない?」
すぐるが指差した先には、パッとしない顔立ちの少年が扉の隙間からこちらを覗いていた。
どうやら飯田はその少年と面識があるらしく、話を切り上げてそちらに向かった。
すぐるは焦凍の手を引き、自分たちの席へと戻った。
「ごめんね焦凍君。気を使わせちゃって」
「そんなつもりじゃねぇよ。ただ、これ以上問題が起きるのはどうかと思っただけだ」
「…………本当に優しいね、焦凍君は」
申し訳なさそうな表情を隠せていないすぐるに焦凍も心配そうな目線を向けるが、数秒と間を置かずにいつものニコニコ笑顔に戻ると廊下の方を指差した。
「ねえねえ知ってた? 先生があんなところで寝袋に入ってるの! 不思議ー」
「は?」
「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」
すぐるの言葉を受け、廊下に目を向ける焦凍。
小汚ない寝袋に包まれた小汚ない男、それが焦凍の感じた男に対する第一印象だった。
ゼリー飲料を一息に飲み干した時には教室内の喧騒は消え失せ、静寂が場を支配した。
「ハイ、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠くね」
芋虫のようにもぞもぞ動く男は寝袋から出てくると、そのまま教室に入り自己紹介を始めた。
「担任の相澤消太だ。よろしくね」
「ねえねえなんでそんなにくたびれてるの? 不思議ー」
(((こいつ正直すぎるだろ!!)))
「ほっとけ。早速だが、
恐れ知らずなすぐるの発言に、クラスのほとんどが冷や汗をドっとかくがお咎めがなかったことにホッと息をつく。
相澤の指示によって寝袋から取り出された体操服に着替え、ほぼ全員が動揺を隠しきれないままグラウンドへと赴いた。
◆◆◆◆
入学式やガイダンス等をするかと思っていた面々だったが、相澤曰く『ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ』とのことだった。
そしてA組一同に告げられたのが
「「「個性把握…………テストォ!?」」」
ソフトボール投げや立ち幅跳びに50m走、持久走と握力そして反復横とび、上体起こしに長座体前屈などをようは“個性”ありでやってみるということらしい。
「まずは自分の『最大限』を知ること。それがヒーローの素地を形成する合理的手段。…………尚、トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し、除籍処分とする」
抗議の声を含め騒然となるクラス一同だったが、相澤は僅かに笑んでさえいた。
「放課後マックで談笑したかったならお生憎、これから三年間雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。“Plus Ultra”さ。全力で乗り越えて来い」
あからさまな煽り言葉に全員の表情が引き締められ、覚悟が決まったことをいやがおうにも察せられる。
「まずは波動。お前がやれ」
「はーい」
指名を受けたすぐるは相澤から測定用ボールを受け取ると、円の中へと入っていく。
「個性を使ってやってみろ、円から出なきゃ何してもいい。思いっきりな。ただし施設や設備は壊すなよ、学校外も当然な」
(思いっきり…………でも、ボールが
「せーのっ!」
すぐるの手から離れたボールは秒と経たずに音速の一歩手前へと達し、ボールは遥か彼方へと飛んでいった。
ボールが郊外に飛んでいったのを確認すると、相澤がスマホをチェック。
「…………『error』だ。もう一回」
「あれー計算ミスっちゃったかなぁ?」
実際のところすぐるの計算事態にミスはなく、ボールの耐久度が想定よりも脆かったことが原因。
そんなこととは露知らず、クラスメートの反応は興奮して感心を示すもの、どうしてそのような結果に至ったのか考察をたてるもの、個性の強力さに畏怖を抱くものとそれぞれだった。
そんな中……
「このバグ女がぁ…………」
本人の預かり知らぬところであだ名がつけられていることなど、知る由もないのであった。
再度挑戦した記録は『3776m』。
ギリギリ敷地内にボールが着弾、かろうじて形を残していたことからようやく記録が残った。
さすがに麗日の無限の記録に抜かされはしたが、それを除けば他の追随を許さない大記録には違いない。
そして、もじゃもじゃ頭の少年こと緑谷の出番が回ってくるが記録は46mと平凡なものだった。
原因は、抹消ヒーロー・イレイザーヘッドと呼ばれる相澤先生の個性によって個性を消されていたため。
その後なにやら指導を受けていた様子の緑谷だったが、それが終わると再びボールを投げた。
ボールはとてつもない速度で飛んでいくが、すぐるは物凄く嫌な予感が全身を駆け巡っていた。
記録は『705.3m』と爆豪すら越える大健闘をしたのだが、その代償はあまりにも大きかったらしい。
「キミ! ちょっと、指見せて!」
緑谷の傍らまで音速に近い速度で駆け寄り、手首を出来るだけ優しく持ち上げたところ彼の指はゾッとするほど腫れ上がっていた。
「やっぱり、キミ個性をコントロール出来てないんだ。どうしてこんな無茶したの……?」
「なりたいんだ…………オールマイトみたいな、最高のヒーローに!」
緑谷の必死な表情に、すぐるはふぅと溜め息をつくと“個性”を発動させた。
血流を強引に操作して通常通りの血液循環を維持し、細胞促進を加速させ血管や骨をみるみる治癒していく。
「え!? ど、どういうこと!? 君の個性って…………」
あっという間に治った指を困惑した表情で眺め続けながらも、すぐるに個性について問おうとする刹那──────
「どういうことだコラ!! ワケを言えデクてめぇ!!」
緑谷に爆豪が個性を発動させながら殴りかかろうとしたものの、相澤先生が纏っていた「捕縛武器」によって捕らえられた。
「…………ったく。何度も個性使わすなよ…………俺はドライアイなんだ!」
『“個性”すごいのにもったいない!!』
爆豪もなんとか宥められ、その後は何事もなく個性把握テストは続いた。
そして、結果はすぐるが文句なしの一位をもぎ取った。
怪我を治療された緑谷はギリギリ最下位を回避。
もしもすぐるが処置していなければ、最下位は免れなかっただろう。
「ちなみに除籍はウソな」
「…………」
「…………」
「…………!?」
「君らの最大限を引き出す合理的虚偽」
「「「は──────────────────!!!!??」」」
「あんなのウソに決まってるじゃない。ちょっと考えればわかりますわ…………」
(…………違う、あれは完全にやる気の目だった。ということは、相澤先生の心を変えた何かがあったってこと。たぶんだけどその要因は緑谷君…………)
緑谷に人知れず視線を向け、すぐるの中から怪我をしていた時の危なっかしいという印象は消えていたのを自覚する。
「そゆこと。これにて終わりだ。教室にカリキュラム等の書類あるから、目ぇ通しとけ」
相澤の宣言によって個性把握テストは終わりを迎え、HRもつつがなく終了。
クラスメートに挨拶をしてから、焦凍とともに帰路についた。