私のヒーローアカデミア~ねじれちゃんの妹は最強?です~   作:レイラレイラ

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最強ちゃんの戦闘訓練②

(ヴィラン)チームは先に入ってセッティングを! 5分後にヒーローチームが潜入でスタートする。他の皆はモニターで観察するぞ! 飯田少年と爆豪少年は敵の思考をよく学ぶように! これはほぼ実戦、ケガを恐れず思いっきりな!」

 

 度が過ぎたら中断するけど……という言葉を言い終えると爆豪と飯田はさっさとビルに入っていった。

 

 すぐるもお茶子と作戦を練るべく歩を向けるが、肩をポンと掴まれ振り返ると表情こそほとんど変わっていないものの、焦凍が不安げな視線を向けていた。

 

「スグ…………お前の事だから心配はいらないと思うが、気をつけろよ」

 

「大丈夫だよ。焦凍君も知ってるでしょ? 私には()()()()()()()()()ってこと」

 

「ああ…………そうだな」

 

 もちろんその心配も無いわけではないのだが、焦凍が最も懸念しているのは爆豪のことだ。

 

 ヒーローらしからぬ言動をとり、端から見ていてお世辞にも性格がよいとは言えないのは初対面ながらもわかった。

 

 万が一にも爆豪が()()或いは()()とは言わないようにと心の中で焦凍は願う。

 

「スグのやつ、やり過ぎないといいが…………」

 

 

 

 

「よろしくね! えっと…………波動さん?」

 

「すぐるでいいよ、私もお茶子ちゃんって呼ぶから。それじゃ、お互いの個性と戦闘服(コスチューム)についての確認を始めよっか」

 

「すぐるちゃん…………う、うん! えっと、まず私からね!」

 

 若干緊張気味に話しかけてくる麗日にすぐるは朗らかに返すと、固かった表情が分かりやすいほど柔らかになった。

 

 友好を深めるのもほどほどに、二人は自分の戦闘服と個性について話し始めた。

 

 麗日の戦闘服には個性使用による酔いを抑えるべく、首と手首にツボを押す機能を付けていること。

 

 尚、デザイン自体はおまかせにしてしまったためにパツパツになってしまったことを嘆いていた。

 

「個性把握テストの時も思ったけど、すぐるちゃんの個性って本当にすごいね! なんか万能って感じだ!」

 

「それが、万能って言うほど万能じゃないんだよ。受動的なものはオートにしてるからいいんだけど、攻撃する時にはその都度演算しなくちゃいけないからそれがちょっとだけ面倒だったりするかな」

 

「演算ってどれぐらいかかるん?」

 

「0コンマ4秒」

 

「最強やないかい!」

 

「そんなことないよ~。それを言ったらお茶子ちゃんの無重力(ゼログラビティ)だって、相手が飛べる人じゃなかったら浮かしちゃって怪我をさせずに動きが止められるんだもん。私の“個性”はそうはいかないから…………」

 

「すぐるちゃん…………」

 

 言葉が終わりに近づくごとに、にこやかな笑顔に影が射すのを麗日は見逃さなかった。

 

 すぐるの個性の凄まじさはA組の全員が知るところであり、麗日も例外ではなかった。

 

 放つ攻撃の一つ一つが協力無比、それを向けられた敵はひとたまりもないのは想像に難くない。

 

 麗日はすぐるの手をガッと掴むと、穏やかな笑顔を浮かべてすぐるを励ます。

 

「すぐるちゃんはめっちゃ優しい子やって、私わかっとるから! 誰かを傷つけるために個性を使わないって! だから自信持って!」

 

 すぐるは何度も人に励まされてきた。

 

 それはねじれであったり、焦凍の時もあり、あのエンデヴァーも自宅に訪れ不器用ながらも言葉をかけてくれた。

 

 中学の頃は皆が察してその話題を避けていたため、今まですぐるを励ますために尽くしたのは焦凍を除けば年上ばかり。

 

 同い年の女の子に直接励まされたのは初めてで、すぐるの心には新鮮さと喜びが溢れていた。

 

「ありがとねお茶子ちゃん。…………うん、かなり落ち着いた」

 

「よかった~。また悩みが出来たら言ってね。私聞くから!」

 

「こっちこそだよ。これからもよろしくね、お茶子ちゃん!」

 

「うん!」

 

 二人は力強い握手を交わすと、目標のビルへと向かう。

 

 さすがに正面突破とはいかないので、裏手に回って窓から侵入。

 

 壁に手を当て、“個性”で音を反響させビル全体の空間を把握する。

 

「ん~。五階の真ん中の部屋にハリボテ…………ううん、核兵器があるね。その前に音の反響具合から考えて飯田君が待ち構えてて、爆豪君はこっちへ爆発音を響かせて進行中」

 

「ええっ、爆豪君が来るん!? どうしよすぐるちゃん!」

 

「爆豪君は私が相手するから任せて。少し遠回りになるけど、左の通路から行けば爆豪君を避けて核がある部屋に行けるから。飯田君と接敵したら、とりあえず呼びかけをお願いね。戦闘は私が向かうまでは無しの方向で、でも非常時にはお茶子ちゃんの判断で動いてみて」

 

「り、了解! 気をつけてね!」

 

 

 麗日を送り出してから数秒後、右の曲がり角から爆発によって勢いがブーストされた爆豪の奇襲がすぐるを襲う。

 

 殺意満々で振るわれた一撃をすぐるは紙一重で避け、爆豪との距離を取る。

 

「避けてんじゃねぇよバグ女!!」

 

「ねえねえ知ってた? 爆発って当たるとすごく痛いんだよ?」

 

「バカにしてんのか!! んなもん知っとるわ、クソが!!」

 

 攻撃を避けられた苛立ちと、幼稚園児でも分かるであろう常識的な言葉を投げられ怒りを顕にする爆豪。

 

「テメェ、なめてんのか…………!!」

 

「まさか。キミは手加減されるのが嫌いなタイプだろうから、私も()()()()()()全力で行くよ。まあ、私が怖いならほどほどにしようか?」

 

「こんのバグ女がぁ!!」

 

 

 可視化できそうなほどの怒りを込め、その拳が容赦なくすぐるへと振るわれる。

 

 爆破を含めた攻撃は、近距離では無類の強さを誇るだろう。

 

 だが、すぐるからすれば()()()()()()攻撃だ。

 

 非情なまでに行われる連続攻撃。

 

 それをすぐるは何度も避け続けた。

 

 爆破を含め、全てを当たるか当たらないかというギリギリのタイミングと距離で避けきっているのだ。

 

「何でだ、何で当たらねぇ!!」

 

「ねえねえ知ってた? 生き物には微弱な電流が流れてて、身体を動かすために生体電流が必要不可欠なの。私にはそれがわかるから、何度やっても攻撃は当たらないよ」

 

 言外的にお前じゃ勝てないよ、と言われていると捉えた爆豪の苛立ちは頂点に達し右手の籠手のピンに手をかけた。

 

「テメェはムカつくが馬鹿じゃねぇ。だから気づいてるだろうが、俺の爆破は掌の汗腺からニトロみてぇなもん出して爆発させてる。『要望』通りの設計なら、この籠手はそいつを内部に溜めて…………」

 

「遠距離かつ広範囲に爆破を広げると。うん、よく考えられてて凄いと思う。…………いいよ、撃っても」

 

『爆豪少年ストップだ』

 

「当たらなきゃ死なねぇよ!!」

 

 その刹那、全体が大きく揺れるとともにビルの一部が崩壊するほどの大爆発を起こした。

 

「…………呆気なかったな」

 

 勝利を確信したためか、僅かながら溜飲が下がった爆豪は元来た道を引き返そうとしたのだが…………

 

 

「ふぅ。危なかったぁ! そのまま『反射』させないように、私を避けて真後ろに反らす演算するの大変だったんだから! 私頑張ったよ!」

 

「なっ!」

 

 爆豪の強烈な一撃はすぐるを間違いなく捉えていた筈だった。

 

 だがすぐるには怪我どころか、埃の一つさえも見受けられない。

 

 まるで攻撃などされていないかのようにケロリとしている姿に、爆豪は大きくたじろいだ。

 

「次は私の番だね。安心して、痛くはしないから」

 

「くそったれがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 自分の中に生まれた畏怖を消し去るように、喉がちぎれんばかりに叫びながらすぐるに再度攻撃を図ったが人間離れした挙動によって腕を押さえられてしまう。

 

「これも“個性”で身体運動を増幅した結果だよ。細かい過程までは話せないけどね。…………おやすみ、爆豪君」

 

「…………ッ!」

 

 生体電気を“個性”によって操作され、爆豪の意識は容易く刈り取られた。

 

 直に相手に触れる必要こそあるが、怪我をさせることなく無力化させることができるためすぐるはこの技を考案した。

 

 直接試したのは今回が初めてだが、何事もなく成功したことに安堵を覚える。

 

 ピクリともしなくなった爆豪に確保テープを巻き付け、拘束の「捕らえた」証明とする。

 

「お茶子ちゃんと合流を…………あ、良いこと思いついた!」 

 

 すぐるは左手の籠手を窓の方に向け、麗日に通信を行った。

 

「お茶子ちゃん。さっきの呼びかけのことなんだけど、その必要は無くなったよ!」

 

『ええっ!? ど、どういうこと!?』

 

 

 

 

『お茶子ちゃん。さっきの呼びかけのことなんだけど、その必要は無くなったよ!』

 

「ええっ!? ど、どういうこと!?」

 

 作戦の変更はまだ理解できるが、必要ないという真理を図りかねた麗日は動揺したまま問うた。

 

『飯田君をそのまま動かさないで、そこに繋ぎ止めておいて! 私がなんとかするから!』

 

「…………わかった、やってみる!」

 

 通信を切ると、麗日は構えを解いた。

 

「なんだ? …………ククク。とうとう諦めたかヒーロー! まあ当然だ、核兵器を爆破されたらお前たち諸ともあの世行きだからなぁ! グハハハハッ!」

 

 麗日の行動に飯田も一瞬不信感を抱いたようだが、言動を敵のそれに戻した。

 

 だが、すぐにそれは誤りだと気づく。

 

「ぐあッ! な、何が起きた!?」

 

 謎の衝撃によりマスクが弾き飛ばされ、飯田の素顔が露になる。

 

 それらの要因によって心を乱したタイミングを見計らったように、次に顎へと衝撃が加わったことで頭を揺さぶられた飯田は脳震盪を起こし気絶してしまう。

 

「わぁ…………すごい、これすぐるちゃんがやったんだ! そうだ、飯田くん確保っと」

 

 麗日の手によって飯田に確保テープが巻かれ、その瞬間ヒーローチームの勝利が決まった。

 

「ヒーロー…………ヒーローチーム……WIN!!」

 

 




お茶子ちゃんはすぐるちゃんの親友ポジションですね

爆豪の煽り耐性が低いのはすぐるちゃんも即わかったので、計算しやすくするために煽っちゃいました
例え好かない相手でもすぐるちゃんの方から誰かを煽ることはありません(無意識に人をイラつかせることは無くはないです)

すぐるちゃんのコスチュームのギミックについては次回です。
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