遠い昔 遥か彼方の銀河系で…

長きに渡る大戦は銀河帝国誕生という形で幕を閉じた。

帝国は更なる安定を目指し強大な帝国軍を創った。

帝国宇宙軍はインペリアル級スター・デストロイヤーを二万隻以上保持しその力を誇っていた。

そしてそのうちの一つであるインペリアルⅠ級イクリヴィアムは小さくも大きな戦いに身を投じていた。

優秀な乗組員とクローン戦争からの歴戦の艦長を連れて。



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プロローグ
1,000年の平和は突然消え去った。

“ジオノーシス”で始まったこの戦いは銀河を二分する大戦争となった。

多くの艦船が宇宙で戦い塵となり、地上でも多くの兵士が命を賭け戦った。

その分造られるもの多かった。

バトル・ドロイドが、戦艦が造られ、クローン兵士がスター・デストロイヤーが同じく造られ消費されていった。

しかしそんな光景に憧れを持つ子供もいた。

自分達の頭上を何千倍も巨大なスター・デストロイヤーの艦隊が通っていく。

行き先を知らないその子供はただ目を光らせ期待や憧れを持った。

そんな子供もいつしか“見上げる側”から“乗り込む”側へと変わった。

新たな秩序を守る為に。


歴戦の艦長

-ジャプレイル宙域-

 

静かな宇宙(うみ)に大きな影が映し出された。

 

星々を隠し宇宙からその煌めきを少しずつ奪っていく。

 

くさび形をした[デュラスチール]の塊は青白い光を出しこの宙域を我が物顔で進んだ。

 

とは言えこの宙域すらもう帝国領のようなものだ。

 

それにこの宙域が他人の物だろうとこの艦に歯向かえばどうなるか大勢が知っている。

 

死が待っている。

 

帝国の反逆者、愚か者として秩序の生贄となる。

 

全長1,600m、大気中での最高速度975kph、重ターボレーザー砲60基という弩級戦艦に勝てる船などありはしないのだ。

 

この艦こそ銀河帝国の拳の一つであり俗に“インペリアルⅠ級スター・デストロイヤー”と呼ばれる帝国の“主力艦”だ。

 

公的には2万隻以上の同型艦が新たな秩序(ニューオーダー)を守っている。

 

そしてこの“均衡者(イクリヴィアム)”は現在ジャイプレイル宙域を哨戒中であった。

 

 

 

-イクリヴィアム艦内-

インペリアル級の艦内はあまりに広く中にいるとその大きさの感覚すら狂ってきてしまう。

 

そして下士官27,850名、将校、士官9,235名、ストームトルーパー9,700名という大勢の将兵がこの艦を運用している。

 

もはや移動基地だ。

 

またこの艦は無補給で最低2年は航行できるようになっている。

 

食料や補給の面でも弱点はない。

 

更なる利点はこの艦だけで空母的な側面もあるという事だろう。

 

[TIE/In制宙スターファイター]や[TIE/saボマー]などのTIEシリーズを72機、およそ一個大隊程搭載しAT-AT(全地形対応装甲トランスポート)などのウォーカーも数十機以上搭載していた。

 

インペリアルⅠ級は単艦で戦艦、空母、揚陸艦的な一面を全てこなせる万能艦なのだ。

 

また帝国宇宙軍では他にもインターディクター船やより哨戒任務や護衛に特化した[グラディエイター級スター・デストロイヤー]や[アークワイテンズ級司令クルーザー]なども保持している。

 

実際このⅠ級をさらに強化したインペリアル級や10倍以上の大きさを持つスター・ドレッドノートなども建造され始めている。

 

そして現在航行中のインペリアルⅠ級スター・デストロイヤー イクリヴィアムの艦長はというと…

 

 

 

徐々に目が覚め始めた。

 

ここ最近はようやくまともに睡眠が取れるようになってきた。

 

できれば今日ももっと寝ていたがったがそうすると副官と副長に死ぬほど怒鳴られかねないのでやめにした。

 

目を擦りゆっくりとベットから降りる。

 

イクリヴィアムはどのくらい進んだのだろうか。

 

まだ完全に動いてはいない頭を活用しながらゆっくり時間をかけて体全体を始動させる。

 

洗面台で顔を洗い歯を磨いた。

 

やはり寝起きにちゃんと歯と顔を清潔にするのは気分がいい。

 

彼はそのまま冷蔵庫に入れておいた今日の分の朝食…と言っていいかは分からないが食事を取り出した。

 

いつも寝起きは必ず栄養飲料で済ませるようにしている。

 

時間が短縮出来るし何より共和国軍の士官時代にずっと栄養飲料オンリーの生活をしてきたせいだろう。

 

彼は栄養飲料のパックを口に咥えたまま着替えを始めた。

 

帝国の制服は効率的でとても着やすい。

 

数分も掛からず彼は支度を終え自分の部屋を後にした。

 

 

 

インペリアル級のブリッジは実際の所これより前の世代の[ヴェネター級スター・デストロイヤー]などとはあまり変化がなかった。

 

アーチ形で左右両方に窪みがあり多くの下士官や士官が周囲の状態をチェックしていた。

 

このブリッジだけでも多くの将兵が職務に励んでいる。

 

そんなブリッジのドアが開き先程の彼が入ってきた。

 

「“ティピッツ”艦長!」

 

彼の名前が呼ばれた。

 

彼の名前は“パステペル・ティピッツ”。

 

帝国宇宙軍の大佐でありこのインペリアルⅠ級イクリヴィアムの艦長だ。

 

一方名前を呼んだのはイクリヴィアム副長の“シェリィ・ヴェルドーラ”中佐だ。

 

優秀な女性士官ではあるが少々お説教が怖いのが難点だとパステペルはこっそり思っていた。

 

「なんだ副長?私は今日ちゃんと起きたぞ?」

 

「ええ、その事については何も言いません、私が言いたいのは別の事です」

 

彼女は丁寧に纏めた金髪を揺らしながらパステペルにタブレットを見せた。

 

「“エングド”中将から周囲の哨戒艦から連絡が途絶したと」

 

「我々に調査を命じるつもりか…場所は?近くだと助かるが」

 

「ジャプレイル星系の周囲です、オンダロン周辺ですね」

 

「ソウ・ゲレラの生まれ故郷か…それだけでもう哨戒艦の運命は察しが付く」

 

パステペルは皮肉混じりに可能性を示唆した。

 

「悪い冗談はよしてください、それでどうします?」

 

「行くしかあるまい、戦闘覚悟でな」

 

ヴェルドーラ中佐は若干首を傾げた。

 

「オンダロン付近にもはや反乱分子はいませんよ?」

 

「ああ、また現れる可能性の方が大きい、上級士官達を集めておいてくれ」

 

「それでしたら“プピンス”中尉に頼んであります、艦長閣下を起こすついでに頼むと」

 

パステペルは苦笑いを浮かべまた冗談で返した。

 

「全く人の副官に雑用を押し付けやがって…」

 

「中尉はだいぶ乗り気でしたよ?帝国国歌を大爆音で流して最高の目覚めにしてやるって」

 

またパステペルの苦笑いが広がった。

 

あいつのよくやりそうな事だ。

 

「はぁ…やれやれ、そいつは確かに最高の目覚めだな」

 

 

 

ブリッジの奥に存在するホロテーブルにイクリヴィアムの主要な将校達が集まっていた。

 

まず艦長であるパステペルが説明を始めた。

 

「我々は連絡の途絶えたジャプレイル星系内の哨戒艦の安否を確認しに向かう、恐らくだが戦闘になるだろう」

 

ホログラムが起動し連絡を絶った哨戒艦が映し出される。

 

見たところアークワイテンズ級の艦らしい。

 

「アークワイテンズ級司令クルーザーの“サーベイ”、この艦を消息の絶ったポイントO-3から捜索する」

 

「サーベイは敵艦にやられたとお思いですか?」

 

イクリヴィアムの艦内システムを監督する“レーク”少佐が訪ねた。

 

パステペルが頷いた。

 

「これは上層部も同じ考えだ、そこの点は身を引き締めてくれ」

 

一瞬だが将校達に小さな緊張が走った。

 

命をかけろというのだがら無理もない。

 

しかしそんな緊張を吹き飛ばすかのようにスターファイター隊の隊長である“スリッター”少佐が口を開いた。

 

「なぁにそん時は俺の中隊がバカどもを蹴散らしてやりますよ!」

 

それに同調するように砲術長の“ケンリス”大尉が頷く。

 

パステペルもその心意気は良しとしたがひとまず熱くならないよう宥めた。

 

「最優先はサーベイの生存確認と撃破されていた場合は生存者の救出だ、ということで乗船部隊が必要になる」

 

「なら私にお任せください、最近は地上任務がなくて退屈なもんで」

 

帝国地上軍の“ミンツァール”中佐が名乗り出た。

 

インペリアルⅠ級には多くのストームトルーパーと陸戦部隊も備わっている為地上軍の将校が管内にいる事も珍しくはない。

 

時に仲の悪い両軍だがイクリヴィアムではとても良好な中であった。

 

「将兵達の指揮は万全です、裏切り者や密告者のいる可能性も低いでしょう」

 

帝国保安局員の“ウェッツ”中佐はそう報告した。

 

彼らの仕事は艦内に不服従や反乱、裏切り者がいないか目を光らせる事だった。

 

これだけ大人数がいると裏切り者が出る可能性も高くなる。

 

それを抑える為にも保安局員達は必要不可欠だった。

 

「よし、乗船部隊はミンツァール中佐に任せる、“ペリック”少佐、物資の方はどうだ?」

 

「飯も弾もエネルギーも全部問題なしです、どんな敵が来ようと蹴散らせますぜ」

 

「よしなら決まりだ、本艦はこれよりポイントO-3に向かう、それまで全員解散」

 

了解という一言ともに将校達はゆっくりとブリッジを後にした。

 

パステペルは逆に副官のプピンス中尉と共にブリッジの方へ向かった。

 

「状況は?」

 

「やはり通信には応答しません…」

 

声のトーンから察するに通信士官の“ハベット”准尉はかなり落ち込んでいた。

 

そんな乗組員を励ますのも艦長の務めだ。

 

「まだ希望はある、引き続き頼むぞ」

 

准尉は頷きまた通信での捜索に戻った。

 

「あのポイントまで後どのくらいで着く?」

 

「1時間ほどです、この距離だとハイパースペースを使う必要もないでしょう」

 

「そうか…ではなるべく早く頼む、救助を必要としてるかもしれんからな」

 

この時誰にも気づかれなかったがパステペルは身震いしていた。

 

後1時間でもしかしたら戦闘になるかもしれないのだ。

 

震えない方が無理がある。

 

いくらインペリアル級の艦長でも彼の一人の人間なのだ。

 

 

 

-ジャプレイル星系 ポイントO-3-

最大加速で向かうイクリヴィアムの前にそれは現れた。

 

最初に発見されたのは数分ほど前だった。

 

ブリッジに滞在するレーダー士官の“ホーレイ”准尉の報告に始まった。

 

「これは…熱源反応を確認!大きさから推定してアークワイテンズクラスです!」

 

戦術士官の“バナース”少佐達と話していたパステペルはすぐ振り返った。

 

「よく調べろ、サーベイなら特定の周波信号を出しているはずだ」

 

「了解!」

 

「艦長!!」

 

今度はハベット准尉の声だった。

 

パステペルは順位の方に近づいた。

 

「通信を探知しました!微弱ですが救難信号を出しています!」

 

「よくやった准尉、デッキに連絡しろ、救助隊を出す準備をしろとな」

 

「映像モニターに映します!」

 

別のレーダー士官が端末をタップしブリッジのモニターに映像を映し出した。

 

「これは…艦長これは…」

 

ヴェルドーラ中佐が珍しく唖然とした声を出していた。

 

彼女が驚くことは本当に稀だ。

 

余程の光景が写っているのだろう。

 

パステペルも急いでモニターに視線を移した。

 

「野郎…我々をコケにしているのか…!」

 

沸々と怒りが湧き上がる。

 

モニターに映っていたのは無慈悲に破壊され艦を大きく抉られたサーベイの姿だった。

 

 

 

「了解艦長、救助部隊の発進急げ!!」

 

通信機を切ると甲板士官の“ハーヴィス”少尉は部下に命令を出した。

 

「偏向シールド解除、ラムダ1の発艦を許可」

 

ハンガーのコントロール士官がレバーを下げハンガーの変更シールドを弱める。

 

巨大なハンガーから1機の[ラムダ級T-4aシャトル]が浮上する。

 

護衛として2機のTIEファイターも天井に付けられた専用ハンガーから放たれる。

 

『ラムダ1、発艦する』

 

「了解、お気をつけて!」

 

ハーヴィス少尉は仲間に励ましの言葉をかけると部下達を纏め去って行った。

 

ラムダ級シャトルは反転し宇宙空間へ飛び出した。

 

それをエスコートするTIEファイターも同様に宇宙空間へと向かった。

 

それに続くように予備のラムダ級も同じく2機のTIEファイターと共に発艦する。

 

いよいよ任務のスタートだ。

 

 

 

一方イクリヴィアムのブリッジでは絶え間なく状況報告がなされていた。

 

ミンツァール中佐が乗り込むラムダ級との通信もそうだが艦内の各所、そしてサーベイとの通信であった。

 

微弱だがサーベイがイクリヴィアムに通信をして来たのだ。

 

そしてサーベイの話によると哨戒中のこの艦は反乱分子の艦隊に襲撃を受け応戦虚しく撃破されてしまったようだ。

 

隔壁閉鎖などのダメージコントロールのおかげで乗組員の何人かは助かったらしくこうして通信を受けていた。

 

「サーベイ、今そっちに救出隊を送った、もう少しの辛抱だ」

 

『ありがたい…その前に敵艦隊の情報を送り…い…』

 

「分かったすぐ定配する、艦長!」

 

「聞こえていた、ブリッジに直接頼む、念の為ハンター中隊に発艦準備をさせておけ」

 

そう言うとパステペルは戦術士官達と共にホロテーブルの方へ向かった。

 

彼らがホロテーブルに向かう頃には既にサーベイから敵艦隊の情報が送られていた。

 

ホロテーブルを起動し情報を読み取る。

 

「敵艦隊はMC75タイプのクルーザー、旧連合宇宙軍の[ミュニファンスト級スター・フリゲート]二隻です」

 

ホログラムが出現し[MC75スター・クルーザー]と二隻のミュニファンスト級が移された。

 

反乱分子の戦力としては中々の規模だ。

 

「モン・カラマリと分離主義の残党が手を結んだのか…?」

 

「いやそうじゃない、恐らくMC75はモン・カラマリが提供した物だろうがフリゲートは拾って来た物だろう」

 

冷静にパステペルは状況を分析する。

 

この時彼は既に戦術を構築し始めていた。

 

「旧式のフリゲートはともかくMC75は強敵です」

 

副官のプピンス中尉は艦長であるパステペルに進言した。

 

彼女の言う事は最もだ。

 

大きさだけでいうならインペリアルⅠ級にも匹敵しターボレーザー砲12門にプロトン魚雷発射管12基などと質はともかく艦船としてはかなり強力だ。

 

もしかしたら偏光シールドも装備されているかも知れない。

 

それにスターファイターも搭載されている事だろう。

 

「サーベイの奮闘により敵のミュニファンスト級一隻を中破させたとの事ですが…」

 

「そうか…だがこれだけの数なら我が艦一隻でも対処出来る、念の為周囲の艦隊に連絡を取っておいてくれ」

 

「わかりました」

 

バナース少佐は頷きブリッジを後にした。

 

パステペルが戦術をさらに深く考えようとした矢先事態は起こった。

 

「艦長、ハイパースペースより敵艦隊!!」

 

パステペルは全力で走りブリッジの窓の外を見た。

 

するとホログラムで見た三隻の敵艦隊が出現したのだ。

 

 

 

もしかすると敵艦隊出現で忙しくなるのはハンガーと各砲塔かもしれない。

 

多くのパイロットや整備士、[帝国軍兵器技術者(別名 帝国軍砲手)]達が持ち場に着く。

 

兵器技術者達はターボレーザー砲、イオン砲などの砲手もこなすのだ。

 

彼らはあまり有名ではないがそれでも帝国の為に忠義を成す熱心な一団である。

 

実際彼らの持つ技量が戦場を左右するのだ。

 

そしてパイロット達。

 

彼らはTIEシリーズという銀河で最も恐ろしく最も危険な機体を操るのだ。

 

特にTIEファイターはシールドやハイパードライブがないが、代わりに圧倒的な加速度と高火力を持つ。

 

このパイロット達は自分の機体に誇りを持っており帝国の為命を賭けて戦う。

 

「機体は出せるか?」

 

「いつでもどうぞ!!」

 

整備士は工具を箱に纏めて機体の主たるスリッター少佐に道を空けた。

 

愛機に乗り込みコックピット内の機器を操作した。

 

彼と彼の中隊が乗り込むのはTIEファイターではなくより強力な[TIE/rb重スターファイター(別名 ヘビーTIEファイター)]だ。

 

より高火力で重装甲のこの機体はイクリヴィアムのスリッター少佐率いるハンター中隊が試験的に使用している。

 

実際この機体は重装備でTIEファイターよりは高速ではないが堅牢な戦いぶりで多くの戦果を挙げてきた。

 

『ハンター中隊、ボーミング中隊、フェンリックス中隊、ホークス中隊はサーベイの残骸を防衛しつつ応戦、その他は全機待機だ』

 

パステペルの声と共にスリッター少佐は全ての準備を終えた。

 

さて出撃だ。

 

操縦桿をしっかりと握りヘルメットの奥から鋭い眼差しで前を見つめる。

 

「ハンター中隊全機行くぞ!」

 

ハンガーの固定具が外され愛機は自由になった。

 

ペダルを踏み込み操縦桿を軽く前に立てる。

 

機体は命令通り前に進みついに宇宙へ飛び出した。

 

戦いが始まるのだ。

 

整備士の言った通り機体の調子は実に良く彼の手足となって宇宙を駆けた。

 

「全機、出来る限りサーベイの前に出ろ、あの艦を防衛するんだ」

 

『了解ハンターリーダー』

 

少し強張った声のハンター9が前に出る。

 

続けてハンターリーダーであるスリッター少佐とその部下達も一気に加速した。

 

後続として他のTIEボマーやTIEファイターの中隊も続く。

 

彼らがTIEシリーズ特有の恐ろしいエンジン音を響かせながら進んでいると敵もスターファイター隊を発進させた。

 

「敵機確認、Z-95タイプのヘッドハンターとYウィングボマーだ!数はどうなってる?」

 

『全部合わせて3個中隊ほどです、このまま戦闘に突入しますか?』

 

「当たり前だ、後続の部隊も全機戦闘準備!!」

 

敵は旧型の[Z-95ヘッドハンター]と[BTL-B Yウィング・スターファイター]だがこれもまた油断は出来ない。

 

敵のパイロットが手練れの可能性もあるのだ。

 

気を引き締め敵との遭遇に臨む。

 

先に敵機を1機ロックオンする。

 

射程距離ではこちらの方が上だ。

 

敵が来る前に出来る限り数を減らし優位な戦況を作り出す。

 

引き金に指をかけその時をただ待った。

 

数十秒後その時は来た。

 

「全機攻撃開始!!」

 

引き金を引き黄緑色のレーザーを放つ。

 

と同時にコックピットの隣に設置されたレーザーポッドも砲撃を始めた。

 

このポッドはドロイド脳が操作している為狙いは正確で既に2機のZ-95が爆炎に変わった。

 

それから数秒後的部隊と完全に接触した。

 

「損害は?」

 

味方のTIEファイターの背後に取り付いた敵機を撃破するとスリッター少佐は部下に報告を求めた。

 

『こちら損害なし、他の中隊もです!』

 

「そいつは結構、ボマーを通せ、敵のフリゲートを沈める」

 

『了解ハンターリーダー、ボーミング中隊全機続け!』

 

TIEボマーの中隊が編隊を組み損傷の少ないミュニファンスト級に向かう。

 

護衛としてスリッター少佐のハンター中隊も続いた。

 

友軍艦を守ろうとYウィングやZ-95がレーザー砲を放ち追いかけて来た。

 

しかしハンター中隊のTIE重スターファイターが反転し大火力を持って老ぼれの機体を破片に変えた。

 

「さて、一気に行こうか!!」

 

白熱したスターファイター同士の戦いはさらに苛烈さを見せていた。

 

 

 

「ボーミング中隊、ミュニファンスト級への爆撃に成功、敵艦炎上中!」

 

「爆撃隊を下がらせて再度攻勢に備えろ、両舷のターボレーザー砲でフリゲートを沈める!」

 

パステペルの命令通りイクリヴィアムの両舷にある[二連重ターボレーザー砲]が回転し二隻のミュニファンスト級に狙いを定める。

 

この大型の重ターボレーザー砲はインペリアルⅠ級の主砲とも呼べる強力な武器だ。

 

偏向シールドもない旧型のフリゲートなど一撃で葬り去る事が出来るだろう。

 

「中央の三連ターボレーザーと四連ターボレーザー砲でMC75を応戦させろ」

 

「射線軸に味方機なし、全砲門準備完了です」

 

主任砲術士官の報告を受けてパステペルは小さく頷いた。

 

ならばもう待つ必要はない。

 

「全砲門撃て!!」

 

イクリヴィアムに備え付けられた砲塔の数々が黄緑色のレーザーを放ち次々と敵艦に命中させる。

 

たった数発で既に二隻のミュニファンスト級は爆炎を上げ沈み始めていた。

 

MC75もかろうじて偏向シールドで防いでいるが長くは持たなそうだ。

 

一方イクリヴィアムは敵艦のターボレーザー砲を難なく受け止めていた。

 

「ブリッジの発生装置だけは狙わせるなよ、逆に敵の偏向シールド発生装置を撃破しろ」

 

「艦長!ミンツァール中佐の救助部隊が生存者の救助に成功し艦を離れるとの事」

 

「そうか…フォール中隊を出してラムダ1を護衛させろ、砲撃を全てこの艦で受け止めるんだ!」

 

パステペルは安堵を覚えつつ冷静に命令を出した。

 

ここで流れ弾に当たって救助部隊がやられてしまっては意味がない。

 

その為にも確実にハンガーまで送り届ける必要があるのだ。

 

「Yウィングを絶対に近づけさせるな、あれは多少脅威になりうる、全火力を持ってMC75を叩け!」

 

イクリヴィアムの砲撃は苛烈さを増していた。

 

狙いが一つに絞られ恐ろしいスター・デストロイヤーの火力がMC75に集められているのだ。

 

だんだんシールドが破れかかり少しずつダメージを与えられている。

 

なんとか距離を保ち脅威から逃れようとするが味方艦がいない中頼れるものは何一つなかった。

 

「敵スターファイターの損害率78%、もう組織的行動は不可能でしょう」

 

副長のヴェルドーラ中佐が艦長の彼に報告した。

 

最近ではスターファイター隊の指示を副長が、艦全体の指示を館長が取るようにしている。

 

元々パイロット上がりの副長だ、指示は当然上手い。

 

それにパステペルの思惑は段々副長に各所の指示を覚えてもらい一人前のインペリアル級艦長として自立してもらう事にあった。

 

その為最近では艦内の指示をヴェルドーラ中佐に少し任せる事もある。

 

こうして少しずつ優秀な指揮官が育っていくのだ。

 

その事にパステペルは若干だが喜びを感じていた。

 

当然今は戦闘中なのでそのような事を考えている場合ではないが。

 

「そのまま殲滅させろ、敵はもう一兵たりとも逃すつもりはない、救助部隊はどうなった?」

 

「跡少しで着艦できます」

 

『もう着きましたぜ!!』

 

通信機から威勢のいい地上指揮官の声が聞こえる。

 

ミンツァール中佐のご帰還だ。

 

「お疲れ様中佐、すぐ医療班を手配する」

 

『頼みます、こっちの衛生兵じゃ出来る事が限られている』

 

そう言うと通信が切れた。

 

何はともあれサーベイの乗組員は救出出来たのだ。

 

とても喜ばしい事だ。

 

あとは目の前の敵を撃破するのみ。

 

「エネルギーを攻撃に回せ、シールド発生装置に火力を叩き込むんだ!」

 

ターボレーザー砲が充填され再び火を放つ。

 

実際は火なんて優しいものではないのだが。

 

放たれた黄緑の雨はシールドを食い破り敵艦に直接ダメージを与えた。

 

爆発の広がりと共に敵艦のシールドが徐々に消えていった。

 

偏向シールド発生装置が損傷したのだろう。

 

徐々に防御を失ったMC75はさらに被害を被った。

 

それでもなお残ったターボレーザー砲や局所防衛レーザー砲で応戦してくる。

 

哀れな抵抗だ。

 

逆にイクリヴィアムはこれでもかと言うほど強力なターボレーザーの砲火を何度も浴びせかける。

 

どこを見ても敵艦は破損していた。

 

「エンジンとブリッジを狙え、足を止め最後の一撃を食らわせる」

 

「了解、各砲門はブリッジとエンジン区画を目標に」

 

主任砲術士官のケンリス砲術長が各部署に命令を出す。

 

もう敵艦は半壊という体だった。

 

「照準完了」

 

「よし、撃て!」

 

三度目の砲撃がついにMC75にトドメを刺した。

 

エンジンは砲撃を受け吹き飛びブリッジは僅かなシールドで守られていたブリッジも丸ごと消し飛ばされた。

 

爆発は一気に広がりMC75は爆煙と共に下へ下へと沈んで行った。

 

「敵艦撃破を確認」

 

「やりましたね艦長!!」

 

プピンス中尉はガッツポーズを作り勝利を喜んだ。

 

しかし次にブリッジに響いたんはまた別の報告だった。

 

「敵MC75より離脱する物体あり!!これは…コルベットです!!CR90コルベットが発艦しています!!」

 

「何!?そんなまさか…」

 

ホーレイ准尉が声を上げヴェルドーラ中佐は驚いていた。

 

まさか脱出船を備えていたとは…

 

悔しさの余りヴェルドーラ中佐は苦虫を噛み潰していた。

 

「イオン砲で敵の足を止めろ、手土産としてエングド中将に渡そうじゃないか」

 

「えっ?」

 

「この距離なら届く、そうだろう大尉?」

 

「はい!当たり前ですよ!」

 

ケンリス大尉は大きく頷いた。

 

「なら連中がハイパースペースに入る前にとっとと済ませよう、イオン砲発射!」

 

パステペルの命令によりイクリヴィアムの二連重イオン砲や60門以上のイオン砲が一斉に放たれた。

 

エンジンを吹かし必死に逃げようとする[CR90コルベット]だったがイオン砲の直撃により全システムがダウンしてしまった。

 

当然エンジンも停止しただの宇宙を浮遊する物体となってしまった。

 

「トライクタービームで敵艦を捕らえろ、何か掴めるかもしれん、乗船部隊としてコマンダーとヴィリー中尉を」

 

「はい艦長!直ちに」

 

プピンス中尉は英気を取り戻しハンガーの方へ走っていった。

 

ヴェルドーラ中佐は少し唖然としていた。

 

「いいか副長、どんな時でも艦を信じ最善の策を取れば必ず任務は成功する、それが艦長として大切な事だ」

 

「はい艦長…久しぶりに尊敬しました」

 

「久しぶりとは余計だぞ副長」

 

冗談で返すとパステペルはブリッジの外をしっかり見つめた。

 

彼が副長に投げかけた言葉の意味をもう一度自分でも噛み締めながら。

 

「トラクター・ビームで敵艦の鹵獲成功しました、あと数分もすればハンガーに到着します」

 

「わかった、それまで油断するなよ」

 

「やはりインペリアル級に勝るものなどないですね!」

 

「それは違うぞ副長、この艦も無敵ではない、だがこの艦を信じ知り尽くし全力を活かす事でこの艦も応えてくれる、だから勝てるのだ」

 

「つまり…艦を指揮する我々次第と?」

 

「そうだ副長、忘れるな?上に立つ者として全てを知る事は重要だ」

 

またヴェルドーラ中佐に助言をもたらすとハンガーの様子を見にいく為パステペルはブリッジを後にした。

 




この戦いでイクリヴィアムと乗組員達は勝利を手にした。

だがそれは果たして相手が弱かったからなのか。

このイクリヴィアムが、インペリアル級が強力だからなのだろうか。

きっと一因ではあるが直接的な原因ではないだろう。

イクリヴィアムの艦長、パステペル・ティピッツや乗組員達が己の技量を艦に託したからだと思う。

今後強力な敵が来てもきっと彼らが敗れる事はない。

優秀な将兵と受け継がれるこの艦が帝国の魂を守っていくだろうから。

おわり

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