境界線に立つモノ   作:レン

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作者は引退してかなり経つ。
矛盾点は、勘弁願う。


たくさん話しましょう

あなたはレッドに尋ねることにした。

プロフィールによれば、オンラインとレッドはかなり仲が良い様子だ。彼女に聞けば何かわかるかもしれない。

そう思ったあなたは使われていない会議室へ足を向ける。レッドはオフの日、よくケルシーから会議室で一般常識を教わっている。今日は非番であることは確認済みなので、恐らくそこにいるだろう。いなかったら最悪館内放送すればいい。

昨日言った手前、ケルシーに直ぐ会うのは若干気まずいが、腹をくくるとしよう。

 

あなたは会議室の扉をノックする。中から数人の気配がするので恐らくレッドはここにいるはずだ。

 

「誰かと思えばドクターか。任せて良いのではなかったのか?」

 

開いた扉から呆れ顔のケルシーの顔が見える。バツが悪そうにしながらあなたはレッドにオンラインについて聞きに来た旨を伝える。ついでに後ろに目をやるとレッドだけでなくイフリータもいるようだ。

 

「なあ、オンラインに何かあるのか?」

 

と、突然イフリータが質問してきた。そういえばオンラインはイフリータとも面識があると書いてあったことを思い出す。親しい仲なのだろうか。疑問に思い、あなたはイフリータに聞いてみた。

 

「それはァ、その。……な、なんでもいいだろ」

 

イフリータは見たことないレベルでしおらしくなった。予想は正しかったようだ。となると、もしかしてオンラインを心配しているのだろうか。

 

「べ、別にそんなことねぇ!」

 

おっと、口に出ていたようだ。

 

「嘘。イフリータ、オンラインのこと大好き」

 

「~っレッド!」

 

そして思わぬ援護射撃が引き金となり、会議室は混沌に包まれた。あなたが子供2人の戯れを温かい目で見守っているると、どこか視線を感じた。そちらをみると、なんということでしょう。そこには額に青筋を浮かべて満面の笑みをこちらに向けるケルシー医師がいるではないか。笑顔の美人が一番怖いとはこのことか。あなたは一つ賢くなった。

 

そ れ で 、いったいどうしてくれるんだ、この状況」

 

ケルシーの怒りはのボルテージが上がっていくのを肌で感じる。彼女の背中に得体の知れないナニカが見えたのはきっと幻視だろう。そうであってほしい。あなたは危機を脱するために思考を全力で加速させる(ユニット配置時の超スロー)。選択を誤れば死。時間切れでも死。あなたが優秀なドクター(戦術指揮官)たりえる特技を駆使して、現状を切り抜ける光明の一策を構築し、同時に話す。

 

「……確かにこれではもう勉強という空気ではなくなった。いったん2人を離してほとぼりが冷めることを待つというのも筋が通っている。原因がドクターになければ完璧だったな」

 

それは本当に申し訳ない。

 

「レッド。ドクターの助けに行ってやってくれ」

 

「わかった」

 

若干不機嫌な態度を見せながら指示を出すケルシーとは対照的に、レッドは目を輝かせている。そんなに楽しみなのかと聞くと、レッドは頷いたうえで、普段はなかなか都合が合わず会うことができないことを教えてくれた。納得して部屋を出ようとすると後ろから待ったをかける声がした。

 

「まて、レッドばかりずりぃぞ!オレサマ」

「イフリータ?」

 

あなたはおもわずびくっとした。イフリータも言わずもがな。

 

「昨日出した宿題、まだ終わっていないな?」

 

イフリータが石像になる。

 

「……でも、レッドも終わってなかったはず」

 

ここでイフリータ、己が助からないことを悟り、レッドを道連れにしようとするが、

 

「レッドならすでに堤出している。おまえが夢の世界に旅立っている間にな。

 

「ぶい」

 

ケルシーには通じなかった。そしてどうしようもなく自業自得であった。ついでにレッドは案外お茶目であった。

 

「ド、ドクター……」

 

イフリータが涙目で助けを求めてきたが、あなたはためらうことなく部屋を後にした。

 


 

あなたは廊下を歩いている。レッドの姿は視認出来ないが時折話しかけるとちゃんと返事をくれることから近くにはいるようだ。戦場機動、戦闘技術が共に卓越にもなれば、自分のような門外漢に気取られず行動することも可能なようだ。あなたはレッドにオンラインの普段の行動について聞いてみた。

 

「オンラインは、花が好き。いつもは花の近くにいる。そこに、手がかりがあると、レッド思う」

 

早速有意義な情報を知れた。このロドス内で花と言えばパヒューマーの管理する療養庭園だろう。あなたはとりあえずそこへ向かうことにした。ついでに他にもなにかないだろうか。あなたは歩きながらレッドに続きを促す。

 

「……オンラインはレッドから逃げない。オオカミなのに。私にモフモフさせてくれる。だから、良い人?だと思う」

 

レッドが他のループスから忌避されているのは有名な話である。ループス達から話を聞くと本能的な恐怖からレッドに近づきたくないらしく、例外はオンラインのみである。プロフィールにそう書いてあったことを思い出したあなたはその原因について考察する。……目や鼻が悪かったりするのだろうか。

 

「オンラインはレッドより鼻がいい。目も見えてる」

 

となると、ループス達がレッドに感じる『何か』は、オンラインも同じく感じているはずだ。その『何か』が、他のループス達と違い恐怖に繋がらないということだろう。恐怖は、未知から来るものと死から来るものの2つある。『何か』の恐怖が、前者であればいいのだが。

そうして他愛もない話をしながら歩いているといつの間にか目的地である療養庭園に着いていたようだ。レッドからある程度オンラインの容姿を聞いていたのであなたはオンラインを探しながら庭園内を散策する。すると、花に水をあげているパフューマーと目が合った。

 

「あら、珍しいわね、ドクターくん。何か探し物?」

 

あなたは部屋の前に紫色のアネモネが落ちていたことと、オンラインを探していることを伝えた。

 

「紫色の……意味はちゃんとわかってるみたいね。なら手伝ってあげたいんだけど、今日はあの子を見てないの。いつもはあそこでのんびりしていることが多いのだけれど……」

 

そう言ったパフューマーの視線の先には良さげな大きさの木の椅子があった。今の時間帯だとちょうど日が差して暖かそうだ。

 

「そうだ、あの子とてもお花が大好きだから、プレゼントにどれか持っていったらどうかしら。お香に使わない花も私の趣味でたくさん植えているし、少しくらいなら構わないわよ?」

 

パフューマーはそういってあなたを手招きする。あなたはお言葉に甘えることにした。

 


 

「ふふっ。ドクターくん、あなたいいセンスしているのね」

 

花を選び終わったあと、パフューマーはそう言ってあなたに笑いかける。あなたが手に取ったのは1株のマネッチアだ。えらんでいるあいだあパフューマーから話を聞いていたが、オンラインは花言葉にも詳しいらしい。贈物としてはあまり見栄えの良くない花だが、きっと真意を汲み取ってくれるだろう。あなたは手伝ってくれたパフューマーに礼を告げる。

 

「どういたしまして。頑張ってね、ドクターくん」

 

笑顔で手を振るパフューマーに背を向け、あなたは扉に向かって歩き出した。

 

そういえばレッドはどうしたのだろうか。あなたはレッドに声をかけてみる。

 

「ふぉふはー。ほうひはほ?」

 

おい、なんか食ってるだろ

 

「んぐ。……食べる?」

 

あなたは急いで蜻蛉返りし、パフューマーに頭を下げに行った。

 

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