鬼滅の恋姫   作:レイファルクス

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今回は三羽烏の登場回となります。


第拾壱話

 

 

ズザザ~~~~~ッ

 

 

「よし、到着だ。ん?三人ともどうした?」

 

 

物凄い勢いのブレーキを足で掛け、蝶屋敷の門に到着した一刀は、自分にしがみつかせていた三人を見ると

 

 

「「「キュ~~~」」」メガグルグル

 

 

三人は器用に一刀にしがみつきながら目を回してした。

 

 

「「一刀さ~ん、待って下さ~い…」」

 

 

一刀が到着した十数秒後、炭華と禰豆子がヘトヘトの状態で追い付いた。

 

 

「お前ら情けないぞ…、これ位でヘバりやがって。…っと言いたい所だが、よくついてこれたな。偉いぞ、後で頭撫でてやるぞ」

 

 

一刀は今、稟と風を抱えており、両手が塞がっている状態なので後で頭を撫でる約束をする。それを聞いた二人は

 

 

「「はい❤️」」

 

 

撫でられてもいないのに、顔を蕩けさせていた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「ちょっと一刀!あんた、走るの速すぎよ!お陰で気絶しちゃったじゃない!」

 

 

一刀は桂花たち三人を自分の部屋に連れ、ベッドに横たえた瞬間に三人が覚醒し、開口一番に桂花が罵声を浴びせる。

 

 

「それは済まなかったと思っている、申し訳ない。一刻でも早く、華琳に会わせたかったからな」

 

 

一刀は桂花に謝りながら早く駆けた理由を述べた。

 

 

「ほうほう、と言うことは、華琳様がこの屋敷におられるのですか」

 

 

「えぇそうよ。今は『居候』と言う立場だけどね」

 

 

風の疑問に答えるかのように華琳が入室した。しかもカナエやしのぶたちと言った蝶屋敷のメンバー"全員"を引き連れて。

 

 

「「「華琳様!」」」

 

 

「久しぶりね貴女たち。黙っていなくなって、ごめんなさい」

 

 

華琳が桂花たちに近づいて頭を下げる。桂花たちは『とんでもないです!』と言いながら華琳の謝罪を受け入れていた。

 

 

「あらあら~、華琳ちゃんってかなり人望があるわね~」

 

 

「姉さん、華琳さんは以前いた所では一国の王様だったのよ?人望があって当然よ」

 

 

「あの、貴女たちはもしかして、華琳様から真名を…?」

 

 

カナエとしのぶが華琳の真名を口にしていたことを聞き逃さなかった稟は質問をする。

 

 

「えぇ、華琳ちゃんから『華琳と呼んで』って言ってくれたから。それから、私やしのぶの他にも今後ろにいるこの子たち皆、華琳ちゃんのことを真名で呼んでいるわよ」

 

 

稟の質問にカナエが答える。

 

 

「華琳様?」

 

 

「カナエさんの言ってることは本当よ。私自身助けてもらったことがあるし、何より"一刀が信頼している"のが一目で分かるから、真名を預けたのよ」

 

 

風が目線で質問し、華琳はそれに答える。

 

 

「だから貴女たちも、もし良かったら真名を預けてもいいんじゃないかしら?これに関しては私は命令や強調はしないわ。だって、今は"王様"では無くて"一人の女の子"なのだから…ね」

 

 

華琳は『真名を預けるかは自分たちで決めて欲しい』と言う意味合いを込めて言った。桂花、稟、風の三人は互いに顔を見て頷き、カナエたちに自己紹介と真名を預けた。カナエたちも自己紹介をし、『仲良くやって行けそうだ』と一刀はそう思っていた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

一刀が桂花たちを保護してから三日後、一刀は蝶屋敷の中庭でアオイたちと一緒に洗濯物を干していた。そこには桂花の姿もあった。桂花たちも華琳同様、蝶屋敷の家事を手伝いながら一刀のサポートをする立場に自ら志願し、華琳と共に色々学んでいた。

 

 

バサッ バサッ

 

 

「一刀、指令だ」

 

 

物干し竿の一つにイーグルが止まり、一刀に声をかける。

 

 

「イーグルか。今度は何処だ?」

 

 

「ここより南南西の所に鬼の出現情報があった。そこで…」

 

 

「『調査し、発見次第討伐せよ』…だろ?」

 

 

一刀は任務を理解していたのか、イーグルが言う前に言った。

 

 

「その通りだ。場所はいつも通り俺が案内する。行けるか?」

 

 

「無論!」

 

 

一刀は縁側に立て掛けてあった刀を腰に差し、意気揚々と屋敷を出る。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

イーグルの案内で到着した所は以前訪れた森だった。

 

 

「あれ?確かここは…」

 

 

「そうだ。以前華琳を助けた森だ」

 

 

そう、その森は以前華琳を助けた森だった。因みにイーグルは華琳から真名を預かっており、以降華琳のことを真名で呼んでいるのだった。

 

 

「とにかく、中に入って調査しないとな」

 

 

一刀はイーグルを自分の肩に止まらせ、森の中へと向かった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

森の中は以前よりも陽光は射してはいるが、西日であるせいもあるのか、周辺は薄暗かった。一刀は以前座っていた切り株を見つけ、そこに腰を降ろし夜を待った。

 

 

そして辺りは暗くなり、鬼が活動する時間となる夜になると、一刀は切り株から立ち上がり、周辺を見渡す。

 

 

「……いるな」

 

 

一刀は一言呟くと、鬼の気配がする方へ歩き出した。

 

 

一刀が歩き出してから数分後、鬼の気配が強くなり、刀に手を添える。すると、

 

 

ギュイイイィィィーーーン

 

 

"何か"が動いている音がして、茂みに身を隠す。そしてその茂みからそっと様子を伺う。

 

 

「くそっ!鬼っちゅーのはホンマ戦い難いで!ウチらの攻撃が全然効かへん!」

 

 

真桜(まおう)、喋っている暇があるならもっと()を練り込め!」

 

 

「せやこと言うても、ウチの螺旋槍(らせんそう)はもう限界や!これ以上氣ぃ送り込んだら爆発してまうで!」

 

 

(なぎ)ちゃん!真桜ちゃんが戦え無くなっちゃったら、沙和(さわ)たち隊長に会える確率が低くなっちゃうの~!」

 

 

「くそっ!」

 

 

そこには、『全身傷だらけの銀髪の女の子』と、『眼鏡が掛けた金髪のお洒落な服を着た女の子』と、『薄紫色の髪に腰に工具入れを着けた巨乳の女の子』が鬼と戦っていた。

 

 

そうこうしている内に鬼が凪と呼ばれた女の子に向かって腕を振り上げた。

 

 

「させるかっ!『猛虎蹴撃(もうこしゅうげき)』!」

 

 

凪は瞬時に片足に氣を纏い、それを蹴り出す。蹴り出された氣は球体となって鬼に当たる。

 

 

「ハアッ…、ハアッ…、ハアッ…」

 

 

凪も限界なのか、肩で息をしながら立ち上る煙を見据える。

 

 

「ギヒヒッ、最初の時より威力が落ちてるなぁ。そろそろ限界かぁ?」

 

 

しかし、鬼は何事も無かったかのように、五体満足の状態でいた。

 

 

「そ…、そんな…」ガクッ

 

 

凪はその場に膝立ちになる。

 

 

「どうやら諦めたようだな。大人しく三人とも俺の餌になれ!」

 

 

鬼は凪に近づいて腕を振り上げる。

 

 

「「凪(ちゃん)!」」

 

 

真桜と沙和は凪に声をかけるも、凪は一歩も動かなかった。そこに

 

 

『全集中 空の呼吸 参ノ型 隼一閃』

 

 

ズバッ

 

 

「ゲヒッ!?」

 

 

「「「…え?」」」

 

 

その鬼の腕を一刀は斬り捨てた。

 

 

「グゥゥ…、俺の腕をこうも容易く斬るとは…。貴様、何者だ!」

 

 

鬼は振り向きながら一刀を見る。

 

 

「俺は"元曹魏北郷警備隊隊長"にして、"鬼殺隊 階級・甲"、北郷一刀。貴様ら鬼が嫌う"鬼狩り"さ」

 

 

一刀は納刀し、振り向きながら口上を述べる。

 

 

「「「た…、隊長…」」」

 

 

「凪、沙和、真桜。良く頑張ったな。後は俺に任せておけ」

 

 

一刀は凪たちに声をかけながら鬼との距離をジリジリと詰める。

 

 

「そうか、貴様が『あの御方』が言っていた『十文字の鬼狩り』か。貴様を倒せば、俺は『あの御方』から血を頂けて、『十二鬼月』になれる!俺の"野望"のために、今ここで死ねぇ!」

 

 

鬼は無くした腕を再生させ、一刀に襲い掛かる。

 

 

『全集中 空の呼吸 陸ノ型 白鳥ノ舞』

 

 

『壱ノ型 燕返し』

 

 

しかし一刀は鬼の攻撃を陸ノ型で避け、壱ノ型で再び腕を斬る。

 

 

「す…、凄い…」

 

 

凪が一刀の戦いを見て呟く。

 

 

「本当なの~。隊長、戦い方が綺麗なの~」

 

 

沙和は凪に同意しながら一刀の型に見惚れる。

 

 

「隊長って…、あんなに強かったんやな…」

 

 

真桜も一刀に見惚れていた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「ゲヒッ…、ゲヒッ…、ゲヒッ…」

 

 

一刀が鬼と戦い始めてから数十分後、鬼はすっかり息が上がっていた。

 

 

「おかしいな?鬼は"疲れを知らない"はずだろ?なのに何で息が上がっている?」

 

 

一刀は息を切らしている鬼に疑問を持つ。実はこの鬼は『鬼になって間もない』状態であり、人を"数人喰った"だけだったのだ。鬼は再生や解毒に体に貯蓄した"栄養"を使用する。だがこの鬼は喰った人間が少ない、即ち栄養が足りないのである。それ故疲れを知らない鬼が息が上がっていたのだった。

 

 

「こうなったら…、先にアイツらから喰ってやる!」

 

 

鬼は標的を一刀から凪たちに変え、襲い掛かろうとした。

 

 

「そんなこと、させる訳ねーだろ!」

 

 

『全集中 空の呼吸 漆ノ型 漆黒鴉』

 

 

一刀は刀を十字に振り、鬼の背中に傷を着ける。

 

 

「これで終わりだ!」

 

 

『全集中 空の呼吸 捌ノ型 火食鳥』

 

 

一刀は突進しながら鬼の頚を斬る。

 

 

「そ…、そん…な…、馬鹿…な……」

 

 

鬼は灰となり、崩れ去った。

 

 

「……ふぅ」チンッ

 

 

一刀は納刀しながら息を一つ吐く。

 

 

「「「隊長!」」」

 

 

凪たちは一刀の下へ駆け寄る。

 

 

「凪、沙和、真桜。心配かけたな」ナデナデ

 

 

一刀は凪たちの頭をゆっくり、一人ずつ撫でる。

 

 

「「「……隊長!」」」ガバッ

 

 

余りの嬉しさに、一刀に抱きつく。一刀は凪たち三人を抱き締める。

 

 

「ごめんなぁ…。いきなりいなくなって、ごめんなぁ…(泣)」

 

 

一刀は泣きながら凪たちを抱き締め、謝る。すると

 

 

「隊長は悪くないです!隊長の行動は、我々のことを思ってのこと!感謝こそすれ、貶すことなどありません!」

 

 

「せやで隊長!隊長は自分のこと過小評価しすぎやで!」

 

 

「そうなの!いつも沙和たちのこと一番に考えていてくれたの、嬉しかったの!」

 

 

凪、真桜、沙和は次々に一刀を慰める。

 

 

「「「だから、『ごめん』じゃ無くて、『ありがとう』と言って下さい(や)(なの)!」」」

 

 

凪たちが求めた言葉は"ごめん"では無く、"ありがとう"だった。

 

 

「お前ら…、ありがとう。こんな俺についてきてくれて、ありがとう…!」

 

 

一刀は凪たちを抱き締める力を強めて、感謝の言葉を贈った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

その後、落ち着いた四人は森の外へと向かっていた。

 

 

「それにしても隊長、何で強かったのを隠してたん?」

 

 

真桜が一刀に何故強いのを隠していたのか質問をした。

 

 

「俺のこの力は、この世界に来て得た力だからな。当時の俺は、皆が知ってる位の力しか無かったからな」

 

 

一刀は笑顔で答える。

 

 

「でもでも!隊長の動き、とても素敵だったの!まるで鳥のようだったの!」

 

 

沙和は興奮気味に言う。

 

 

「それはそうだろう。なんせ、一刀の型は鳥の名前が付いているくらいだからな」

 

 

すると、戦闘中は離れていたイーグルが一刀の肩に止まる。

 

 

「隊長、それは…、鷲…ですか?」

 

 

凪がイーグルを指差しながら質問をする。

 

 

「紹介しよう。俺の仲間、『鎹鷲』のイーグルだ」

 

 

「俺はイーグル。一刀の仲間であり、相棒だ。主に連絡や案内をしている。よろしくな。因みに俺の名は一刀が名付けてくれたものだ」

 

 

「「「よろしく(なの)(や)!」」」

 

 

イーグルは自己紹介をする。

 

 

「因みにだが、桂花たちもこの世界に来ているぞ。お前たちより先にな」

 

 

「後、俺を含め皆真名を預かっているぞ」

 

 

一刀とイーグルは桂花たちが来ていること、真名を預かっていることを話した。

 

 

「なら、私たちも真名を預けなくてはいけませんね。私は楽進(がくしん)、字は文謙(ぶんけん)。真名は凪」

 

 

「沙和は于禁(うきん)、字は文則(ぶんそく)。真名は沙和なの」

 

 

「ウチは李典(りてん)、字は曼成(まんせい)。真名は真桜や。イーグルはん、よろしゅう」

 

 

凪たちもまた、イーグルに自己紹介をする。

 

 

「それじゃ互いに自己紹介が終わった所で、俺が今世話になっている屋敷まで走り込みだ!お前ら、しっかりついて来いよ!」

 

 

「了解です!」

 

 

「「えぇ~!?」」

 

 

一刀の言葉に凪は了解したが、沙和と真桜は顔をしかめる。

 

 

「お前らが鈍っていないか確認するためだ!愚痴は聞かん!行くぞ!」

 

 

一刀と凪は走りだし、沙和と真桜ははぐれないように駆け出した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

その後、二日掛けて一刀たちは蝶屋敷へ到着した。そして凪たちは華琳たちと再会し、カナエたちに自己紹介をし、真名を預けた。

 

 

 

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