鬼滅の恋姫   作:レイファルクス

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今回はアンケートの最後、夏侯姉妹が登場します。



第拾弐話

 

 

凪たち三羽烏が華琳たちと再会してから一週間、この日はお館様こと産屋敷耀哉にしのぶと一刀が呼ばれた。そして中庭で待っていると二人を呼んだ耀哉が現れた。

 

 

「おはよう、しのぶ。一刀」

 

 

「「おはようございます、お館様」」

 

 

しのぶと一刀は挨拶をする。

 

 

「お館様、早速で申し訳ないのですが、我々二人を召喚した理由をお教え頂けますでしょうか?」

 

 

一刀は耀哉に呼ばれた理由を質問する。

 

 

「今日君たちを呼んだ理由は、『一刀を柱に任命する』ためだよ」

 

 

「一刀を…、柱に…ですか?」

 

 

一刀を柱に任命することにしのぶは首をかしげる。

 

 

「一刀はこの前の任務で五十体目の鬼を討伐したんだ。それにここ百余年近く倒せなかった十二鬼月の上弦の鬼を無限列車の任務で討伐、そして階級もその時に甲になっている。これで柱にならない方がおかしいよね」

 

 

耀哉はクスクスと笑いながら理由を述べる。

 

 

「一刀さん…」

 

 

理由を聞いたしのぶは不安そうな顔をしながら一刀を見る。柱となれば任務量は通常の隊士よりも多くなる。即ち命を落とす危険が高まるのだ。だがしのぶは"別のこと"を心配していた。

 

 

「(一刀さんが柱になれば、一刀さんと過ごす時間が極端に減ってしまう!只でさえ私は一刀さんと過ごす時間が少ないと言うのに!)」

 

 

しのぶは一刀と過ごす時間が無くなるのを懸念していた。

 

 

「………」

 

 

一刀はその間、ずっと考え込んでいた。そして

 

 

「お館様、柱任命の件、お引き受け致します」

 

 

一刀は柱になることを決めた。

 

 

「ありがとう、一刀。柱の名前は『空柱(そらばしら)』にしよう。それと柱になるについて、何か要望はあるかい?」

 

 

耀哉は一刀に要望があるか聞く。

 

 

「でしたら一点。『屋敷を設ける際は、蝶屋敷の近くに建てる』。これだけです」

 

 

一刀は人差し指を立て、要望を伝える。

 

 

「それだけかい?それは屋敷を建てる時にそう考えていたけど、他には無かったのかい?」

 

 

耀哉は他に要望があるか聞く。

 

 

「いえ、私の要望は先程の一つのみです」

 

 

一刀は首を横に振り、無いことを伝える。

 

 

「分かった。もし他に要望があれば教えて欲しい。出来る限りの力添えはしよう」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

耀哉の言葉に一刀は頭を下げる。

 

 

「今日はこれで終わりだよ。二人とも、ありがとう」

 

 

「「失礼しました」」

 

 

耀哉の終了の言葉にしのぶと一刀は頭を下げ、中庭から退場する。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

しのぶと一刀は蝶屋敷に戻ると、屋敷にいるカナエ、カナヲ、アオイ、なほ、すみ、きよ、華琳、桂花、稟、風、凪、沙和、真桜の十三人が一斉に出迎えた。

 

 

「お疲れ様しのぶ、一刀君。お帰りなさい」

 

 

「ただいま、姉さん」

 

 

「ただいま戻りました」

 

 

カナエの労いにしのぶと一刀は返事をする。

 

 

「お兄ちゃん、呼ばれた理由って何だったの?」

 

 

カナヲが一刀に呼ばれた理由を聞く。

 

 

「一刀さんは、柱になることを決められました。お館様に呼ばれた理由は、一刀さんに柱になって欲しいとのことでした」

 

 

一刀の代わりにしのぶが答える。

 

 

「あら一刀、いきなり大出世じゃない。良かったわね」

 

 

華琳が一刀を褒める。

 

 

「正直言って、まだ実感が湧かないんだよな。俺が柱…、なんてね」

 

 

一刀は後頭部を掻きながら言う。

 

 

「あの~、"柱"って何ですの?」

 

 

いまいち状況が飲み込めていない沙和が挙手をして質問をする。

 

 

「"柱"と言うのは、階級の一番上、"甲"の更に上の階級のことよ。階級は十段階有って、一番下が"癸"、一番上がさっき言った"甲"。そして"特別な条件"を満たした九人が柱に任命されるのよ」

 

 

沙和の質問にカナエが答える。

 

 

「因みに、私も"元柱"だったのよ。でも、鬼との戦いで肺をやられてしまって引退せざるを得なかったのよ。あの時、一刀君が助けに来てくれていなかったら、今頃私はこの場にいなかったわね」

 

 

カナエはその時のことをしみじみと思い出していた。

 

 

「柱になると、自分の屋敷を設けることができます。そして柱は主にその屋敷を拠点とします」

 

 

しのぶがカナエが言わなかったことを述べる。

 

 

「えっ!?それじゃ、一刀さんは蝶屋敷を出て行かれるのですか!?」

 

 

それにアオイが反応する。

 

 

「そうなりますね。でも大丈夫ですよ、一刀さんは屋敷をこの蝶屋敷の近くに建てて欲しいとお館様にお願いしておりましたし、お館様も蝶屋敷の近くに一刀さんの屋敷を建てようとしておりましたから」

 

 

『近くに一刀の屋敷が建つ』と言うしのぶの言葉にアオイたちが胸を撫で下ろす。

 

 

「一刀、すまないが任務が入った」

 

 

そこにイーグルが任務を伝えに来た。

 

 

「またか…、ここ最近多くないか?」

 

 

一刀はここ最近任務が続いていることを愚痴る。

 

 

「俺に言うな。俺は言われたことを伝えているだけだ。それと、出立は今日じゃ無い。今日一日休んで出立は明日にせよ、とお館様は仰られていたぞ」

 

 

イーグルは一刀に愚痴で返しながら任務内容を伝える。

 

 

「了解した。今日一日はゆっくり羽を伸ばすことにするか」

 

 

一刀はそう言いながら背伸びをし、蝶屋敷の中へと入っていった。その後ろをしのぶたちが追いかけて行ったのは言うまでもない。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

一刀が任務を受けてから三日後、鬼が潜む山へと到着した一刀は、気を引き締めて入山した。

 

 

一刀が入山してから約一時間が経過しようとしていた。入山したのが夕暮れ時だったこともあり、辺り一帯はすっかり暗くなっていた。一刀が息を潜めながら進んでいると、鬼の気配を感じたのでそこに向かう。すると

 

 

「チェストー!」ブォンッ

 

 

「ギャッハッハッ!貴様の刀など、鬼狩りの刀で無ければ恐れることは無い!」

 

 

「くそっ、秋蘭(しゅうらん)!」

 

 

「任せろ姉者!」

 

 

ギリギリ…、バシュッ

 

 

「おおっと!?いい連携じゃねぇか。だが、まだまだだな」

 

 

『黒の長髪の女性』と『水色の短髪の女性』が鬼と戦っていた。戦況は女性たちが不利だと分かった一刀は直ぐ様飛び出し

 

 

『全集中 空の呼吸 捌ノ型 火食鳥』

 

 

ズバッ

 

 

「ギャッ!?」

 

 

「「!?!?!?」」

 

 

捌ノ型で鬼の腹を斬った。

 

 

春蘭(しゅんらん)、秋蘭!大丈夫か!?」

 

 

一刀は春蘭たちに近づく。すると

 

 

「北郷ォォォーーーッ!」ブォンッ

 

 

「どわっと!?」

 

 

春蘭が自分の武器『太刀・七星餓狼(しちせいがろう)』で一刀を斬ろうとした。だが一刀はギリギリの所で避ける。

 

 

「避けるな貴様!」

 

 

「避けるに決まってるじゃねぇか!感動の再会が血祭りって、洒落にならねぇぞ!?」

 

 

「五月蝿い!大人しく私に斬られろ!」ブォンッ

 

 

「御免被る!俺が死んだら華琳や桂花たちに顔向け出来んだろうが!」

 

 

「何?」ピタッ

 

 

喋りながら七星餓狼を振り回していた春蘭が突然動きを止める。

 

 

「今、華琳様の名を…」

 

 

「華琳だけじゃ無い。桂花、稟、風、凪、沙和、真桜がこの世界にいる」

 

 

一刀は鬼を警戒しながら春蘭にこの世界に来た仲間の名を言う。

 

 

「桂花たちがこの世界にいるのか、北郷?」

 

 

秋蘭が一刀の隣に移動し、質問をする。

 

 

「あぁいる。今は俺が世話になっている屋敷で暮らしているぞ。しかも"一国の王"や"軍師"としてでは無く、"一人の女の子"としてな」

 

 

一刀は秋蘭の問いに答える。

 

 

「なら、早くコイツを倒して華琳様たちと合流しなくてはな」

 

 

秋蘭が自身の武器『餓狼爪(がろうそう)』を構える。

 

 

「そうしたいのは山々だが、奴さん、かなりご立腹のようだぜ?ここは俺一人に任せときな」

 

 

一刀は秋蘭の腕をやんわりと降ろし、前に出る。

 

 

「止めとけ北郷。お前では奴を倒すことなど出来ん!ここは華琳様の剣であるこの夏侯元譲(かこうげんじょう)に任せろ!」

 

 

それを見た春蘭が一刀より前に出る。

 

 

「春蘭こそ止めておけ。奴は俺が持つこの日輪刀で頚を斬るか、陽光に晒さないと倒せん。ここは素直に待っていてくれ」ナデナデ

 

 

一刀は春蘭の頭を撫でる。すると険しい表情をしていた春蘭の顔が一瞬で蕩けた表情になった。

 

 

「秋蘭、春蘭のこと頼むぜ」

 

 

「うむ、任された。…"一刀"、死ぬなよ?」

 

 

秋蘭は春蘭を引き取り、後ろに下がる。

 

 

「どいつもこいつも、俺を舐めくさりおって!喰らえ!『血鬼術・樹木縛(じゅもくしば)り』!」

 

 

怒りが頂点に達した鬼は、掌を地面に着ける。すると一刀たちの足下から樹木が伸び、一刀たちを拘束しようとする。だが一刀と秋蘭はその場から飛び退けた。

 

 

「どうだ!?俺の血鬼術は樹木を思いのままに操る!これで貴様らを捕まえて血の一滴残らず喰ってやる!」

 

 

「んなことさせるか!」

 

 

『全集中 空の呼吸 陸ノ型 白鳥ノ舞』

 

 

鬼は次々に樹木を伸ばし一刀を捕まえようとする。だが一刀は陸ノ型を使い、余裕でかわす。

 

 

「えぇい、大人しく捕まりやがれ!」

 

 

鬼は操る樹木を増やす。しかしこれでも一刀を捕らえることはできなかった。

 

 

「くそっ、なら先にアイツらから喰ってやる!」

 

 

鬼は樹木を秋蘭の方に向ける。春蘭と秋蘭は反対方向に逃げたため、捕まることは無かった。だが、その時足を挫いたのか、秋蘭の動きが若干遅れる。それを見逃さなかった鬼は樹木を秋蘭の方に集める。

 

 

『全集中 空の呼吸 伍ノ型 荒鷲』

 

 

しかしそこに一刀が間に割り込み、秋蘭を庇いながら伍ノ型で樹木を斬る。

 

 

「貴様~っ、よくも秋蘭を!」

 

 

妹の秋蘭を狙ったことに怒った春蘭は鬼に向かって剣を振るう。

 

 

バキンッ

 

 

しかし鬼の頚に当たった瞬間、春蘭の七星餓狼が"折れた"。

 

 

『全集中 空の呼吸 参ノ型 隼一閃』

 

 

一刀は春蘭を助けるべく自分の型の中でも一番速い型を使い春蘭を横抱きにして助け、秋蘭の下へ戻った。

 

 

「春蘭、大丈夫か?」

 

 

一刀が春蘭の顔を覗き込むと、顔を赤くしながら何度も頷いた。

 

 

「二人とも、この場でじっとしていて」

 

 

一刀は秋蘭の側に春蘭を降ろす。そして

 

 

『全集中 空の呼吸 漆ノ型 漆黒鴉』

 

 

一刀は鬼に十字の斬撃を飛ばす。その斬撃は鬼の胸に十字の傷を付ける。

 

 

『全集中 空の呼吸 参ノ型 隼一閃』

 

 

漆ノ型で怯んだ隙に参ノ型で鬼の頚を斬り落とす。すると鬼は灰となり崩壊した。

 

 

「北郷、あの鬼は何故崩壊しているのだ?」

 

 

春蘭は鬼を指差しながら一刀に近づき質問をする。

 

 

「鬼はこの日輪刀で頚を斬り落とされるとあぁなるんだ」

 

 

一刀は自分の刀を見せながら答える。

 

 

「北郷、先程は助かった。礼を言う」

 

 

秋蘭が足を引き摺りながら一刀に近づき、頭を下げる。

 

 

「秋蘭、無理するな。治るものが治らなくなるぞ?それと、礼はいらないさ。俺は助けたい女を助けただけだからさ」

 

 

一刀は秋蘭に肩を貸しながら言った。すると秋蘭は顔を赤くし、そっぽを向いた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

秋蘭を横抱きにした一刀は春蘭を連れて下山していた。秋蘭を横抱きにしているのは、足の怪我を悪化させないためだった。

 

 

「ごめん下さい!」

 

 

一刀たちは近くにある『藤の花の家紋の家』の前におり、一刀が声を上げる。

 

 

「はい…。鬼狩り様でございましたか」

 

 

少しして門が開き、家の者が姿を現す。

 

 

「夜分遅くに申し訳ありません。こちらの女性は鬼狩りではありませんが、足を怪我してしまいまして。それでこちらで療養させたいのですが、よろしいでしょうか?」

 

 

一刀は秋蘭の怪我を考えて藤の花の家紋の家で療養させたいことを伝える。

 

 

「えぇ構いませんよ。どうぞお入り下さいませ」

 

 

家の者は一刀たちを招き入れる。

 

 

「お布団でございます」

 

 

部屋に案内された一刀たちはその部屋に敷かれていた布団の一つに秋蘭を降ろし、別の布団に横たわる。

 

 

「鬼狩り様、お食事は如何なさいますでしょうか?」

 

 

「今はいりません。朝食の時にこの部屋に運んで頂けると有り難いです」

 

 

家の者が入室し食事をどうするか質問をすると、一刀は『いらない』と答えた。その理由は今の時間帯が深夜だからだった。家の者は『畏まりました』と言って退室した。

 

 

「……北郷、かなり手馴れているな」

 

 

一刀の行動に春蘭が驚いていた。

 

 

「この『藤の花の家紋の家』は、俺たち鬼殺隊に助けられた人たちが始めたものでさ、鬼殺隊の人間なら"無償"で色々施してくれるんだ。俺も何回か世話になっているから手馴れているのはそれが原因さ」

 

 

一刀は『藤の花の家紋の家』について説明をする。

 

 

「鬼狩り様、失礼致します。お医者様をお呼び致しました。それとお召し物もお持ち致しました」

 

 

一刀が説明を終えた瞬間を見計らっていたのか、家の者が入室し、医者を連れて来た。

 

 

「ありがとうございます。お医者様、患者はあちらの女性です。足を捻挫していまして、応急措置は済ませてあります」

 

 

一刀が医者に秋蘭の診察をお願いする。因みに応急措置は一刀たちが下山する前に施していた。

 

 

医者は秋蘭の怪我を診察し、塗り薬を処方し退室した。その後一刀たちは着替え始めるが、一刀は服を持って隣の部屋に移動した。

 

 

そして着替え終わった一刀たちはそれぞれの布団で就寝した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

翌日、朝食を終えた一刀はイーグルに頼んで手紙を送ってもらった。

 

 

「北郷、今のは何だ?」

 

 

春蘭は飛んで行ったイーグルを指差して質問をする。

 

 

「あいつは俺の仲間で、今手紙を届けに行った所なんだ。後で紹介するよ」

 

 

一刀はそう言いながら秋蘭の下へ行き、秋蘭を介護し始めた。そしてその日はのびのびと過ごした。

 

 

「鬼狩り様、お客様がお見えですが…」

 

 

そのまた翌日、一刀は藤の花の家紋の家の日当たりが良い縁側で春蘭と秋蘭と一緒に寛いでいると、家の者が入室し一刀に客が来たことを伝える。

 

 

「おっ、来たか。ここにお通しして下さい」

 

 

一刀はここに連れて来て欲しいと頼むと家の者は『畏まりました』と言って退室した。

 

 

「北郷、誰かを呼んだのか?」

 

 

「あぁ。俺が知ってる中で一番の"医者"さ」

 

 

秋蘭の質問に答える一刀。そして

 

 

「お連れしました」

 

 

「お邪魔します」

 

 

家の者と一緒に入室したのはしのぶだった。そして家の者は静かに退室した。

 

 

「しのぶ、来てくれてありがとう」

 

 

「いきなりイーグルさんが手紙を届けに来て、『怪我人がいるから治療を頼む』なんて書かれていたので、慌てて支度をして飛び出しちゃいましたよ」ダキッ

 

 

一刀は来てくれたことに礼を言うと、しのぶが一刀に抱きついて来た。

 

 

「怪我をしたのが貴方じゃ無くて良かった」

 

 

しのぶは顔を上げてつま先立ちになって顔を近づける。一刀はしのぶの口に指を当て、接近を阻止した。

 

 

「今はそれをする時じゃ無い」

 

 

「……そうでした」////

 

 

しのぶは顔を赤くして一刀から離れる。そして

 

 

「はじめまして。私は胡蝶しのぶと申します」

 

 

春蘭たちの前で座り、自己紹介をした。

 

 

「これはご丁寧に感謝します。このような格好で申し訳ありません。私は性は夏侯、名は(えん)、字は妙才(みょうさい)と申します」

 

 

「私は夏侯淵の姉、性は夏侯、名は(とん)、字は元譲」

 

 

「春蘭、秋蘭。しのぶは華琳から真名を預かっているんだ。それも桂花たち皆から…ね」

 

 

春蘭たちも自己紹介をし、一刀はしのぶが華琳たちから真名を預かっていることを伝える。

 

 

「それよりも一刀さん、怪我人は夏侯淵さんでよろしいですか?」

 

 

「えっ?あ、あぁそうだよ。足を捻挫していてね、とりあえず応急措置と医者からもらった塗り薬を着けているけど…」

 

 

一刀がそう言った瞬間、しのぶが秋蘭の足下に近づき診察をする。そして足に巻かれた包帯を解き患部に自分が持ってきた薬を塗る。そして再び包帯を巻き、しっかりと固定させた。

 

 

「これで大丈夫だと思いますよ。明日になれば、痛みは引いているかと。とりあえず私もここに残って観察しますね」

 

 

しのぶは秋蘭の治療を終え、念の為に残ることを提案する。一刀は願ってもないことだったのでそれを承諾した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

しのぶが藤の花の家紋の家に来た翌日、しのぶは秋蘭を診察し、捻挫が治ったことを伝える。春蘭は我がことのように喜ぶ。

 

 

「ですが、痛みと腫れが引いているだけですので、激しい運動などをすると痛みがぶり返しますので注意して下さい。歩くことに関しては問題はありません」

 

 

しのぶは秋蘭に注意事項を述べる。

 

 

「ありがとうございます。ここまでしてくれたこと、感謝致します」

 

 

秋蘭はしのぶに礼を言う。

 

 

そしてそれぞれ着替え、全員藤の花の家紋の家を後にし、蝶屋敷へと向かった。しかしそのスピードは秋蘭の足に負担を掛けないようにゆっくりとしたもので、蝶屋敷に到着するのに更に丸二日掛かった。

 

 

 


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