鬼滅の恋姫   作:レイファルクス

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第拾漆話

 

 

吉原遊郭の任務が無事?に終わった途端、一刀は意識を手放した。その理由は終ノ型である『紅蓮朱雀』のデメリットによるものだった。そして隠によって蝶屋敷へと運ばれた。

 

 

「う…ん…」

 

 

一刀が蝶屋敷に運ばれてから二ヶ月後、一刀は目覚めた。

 

 

「ここは…」

 

 

一刀が目覚めた場所は蝶屋敷の自分の部屋だった。

 

 

ガシャン

 

 

「一刀…?」

 

 

そこに花瓶を持った華琳が入室し、一刀が目覚めたことに驚いて持っていた花瓶を落としてしまった。

 

 

「か…りん……?」

 

 

「一刀!」

 

 

華琳は思わず寝ている一刀に抱きついた。

 

 

「バカ…、バカぁ…。あなた、二ヶ月もの間、ずっと寝たきりだったのよ!?私たちがどれだけ心配したか分かってるの!?また…、"あの時"……のように、ウクッ、いなくなっ…ちゃうんじゃ…、グスッ、ないかって…(泣)」

 

 

華琳は嗚咽を洩らしながら一刀に強く抱きついた。まるで『もう二度と離さない』ように。華琳のその姿を見た一刀は腕を少しずつ動かし、そして華琳の頭に手を置いた。

 

 

「大丈夫だ…。『俺はここにいる』……。もう二度と、華琳たちを置いて…いなくなったりは、しないさ……」ナデナデ

 

 

一刀は華琳の頭を撫でながら慰める。

 

 

「グスッ…、絶対よ?」

 

 

華琳は涙目で一刀を見て、一刀は頷いた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

それから数分後、一刀から離れた華琳は割れた花瓶を片付けて退室した。そして更に数分後、廊下を走る音がしたと思うと、アオイ、なほ、すみ、きよの四人が慌てて入室した。

 

 

四人が言うには、華琳から一刀が目覚めたことを聞き、急いで来たようだった。

 

 

「皆、心配掛けて……、すまない…」

 

 

一刀は寝た状態で謝る。

 

 

「全くですよ!悪いと思っているなら"貴方の人生"を持って償って下さい!」

 

 

アオイが腰に手を当てて『ビシリッ』と人差し指で一刀を指す。

 

 

「???」

 

 

一刀は訳が分からず頭に"?"を浮かべる。

 

 

「つ、つまり!これからは『私と一緒に居て下さい!』と言うことです!は、恥ずかしいので何度も言わせないで下さい!」

 

 

アオイの突然のプロポーズに一刀は思考が追い付かなかった。

 

 

「「「「ちょっと待った!」」」」

 

 

アオイのプロポーズに待ったを掛けた人たちがいた。アオイたちは声がした方を振り向くと、炭華、禰豆子、しのぶ、真菰の四人が入室していた。

 

 

「アオイ、何勝手に一刀さんに求婚しているんですか?(怒)」

 

 

しのぶは『笑っていない笑顔』で鳩尾を殴るジェスチャーをしながらアオイに質問をしていた。

 

 

「そうですよ!一刀さんと結婚するなら一刀さんに『美しい』と言われた私が相応しいです!」

 

 

ここぞとばかりに禰豆子が遊郭で一刀に言われたことを言った。

 

 

「私も同じです!私と禰豆子は遊郭で『男の喜ばせ方』を教わったので、一刀さんを満足させられるのは、私たち竈門姉妹です!」

 

 

炭華も禰豆子に乗っかりアピールする。

 

 

「それだったら、いつも一刀さんと『一緒に寝ている』私の方が軍配は上がるわね!だって一刀さんの弱い所、知ってるもん!」

 

 

真菰も負けじと一刀にアピールをする。

 

 

「しのぶ様はともかく、貴女たちの"貧相な胸"では一刀さんを満足させられません!」フフンッ

 

 

アオイは自分の胸を持ち上げながら鼻で笑う。

 

 

「「「言ったな~!(怒)」」」

 

 

胸が大きくない三人はアオイの挑発に乗ってしまう。

 

 

ギャ~ギャ~ギャ~

 

 

遂には取っ組み合いの喧嘩にまで発展しそうになる。

 

 

パンパンッ!

 

 

「はいはい、そこまでにしなさい!あんまり騒がしくすると、一刀に"嫌われる"わよ?」

 

 

そこに華琳が手を叩きながら喧嘩を静める。"嫌われる"というフレーズを聞いた面々は黙ってしまった。

 

 

「ごめんなさいね一刀。騒がしかったでしょう?」ナデナデ

 

 

華琳は一刀の頭を撫でながら謝る。

 

 

「別に気にすること無いのに…」

 

 

一刀は気にして無いと言って皆を許した。

 

 

「そう言えば、春蘭たちは?あいつらならいの一番に騒ぐのに…」

 

 

一刀は春蘭たちが来ていないことに疑問を浮かべる。

 

 

「お生憎様、春蘭、凪、沙和、真桜は『最終選別』を受けに藤襲山へ昨日出立したわよ。貴方が手配した刀を持ってね。桂花、稟、風の三人はカナエさんと一緒に買い出しに行っているわよ?」

 

 

華琳が春蘭たちが来ない理由を述べた。

 

 

一刀は遊郭に向かう前に四人に合わせた刀を自分の担当刀鍛冶である鉄穴森に頼んでいたのだ。そして鉄穴森は一刀が寝ている間に蝶屋敷を訪れ、参加者の四人に刀を渡していたのだった。その際、遊郭の戦いで刃零れしてしまった一刀の刀も回収していたのだ。

 

 

「あの子たちの実力なら合格出来るでしょう。今のあなたの仕事は元気になって笑顔を向けてあげることよ」ポンポン

 

 

華琳は一刀の頭を軽く叩きながら眠りを誘う。

 

 

「子供…扱い……する…な…」zzz

 

 

まだ体に疲れが残っていたのか、一刀は再び眠りについた。

 

 

さぁ貴女たち、一刀を起こさないように静かに退室しましょう

 

 

は~い

 

 

女性陣は華琳に促され一刀の部屋を退室する。

 

 

お休みなさい、一刀

 

 

チュッ❤️

 

 

華琳はさりげなく一刀の頬に口づけし、部屋を後にした。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

一刀が目覚めて一週間後、一刀は自力で歩けるまでに回復した。そして更に春蘭、凪、沙和、真桜の四人も最終選別に合格し、晴れて鬼殺隊の仲間入りを果たした。

 

 

一刀は四人が合格したことを我がことのように喜び、四人もまた、一刀が目を覚ましたことに喜んだ。

 

 

そしてこの日は一刀の屋敷『空屋敷』が完成する日でもあった。一刀は華琳、桂花、稟、風、凪、沙和、真桜、春蘭、秋蘭の九名を連れて空屋敷へと訪れていた。

 

 

「へぇ~、これが空屋敷か~」

 

 

「前来た時はまだ柱だけだったものね」

 

 

一刀と華琳は感傷深くなっていた。

 

 

「華琳様は一度一刀と共に此方に?」

 

 

「えぇ、視察も兼ねて…ね」

 

 

秋蘭の問いに答える華琳は、どこか嬉しそうだった。

 

 

「ここなら蝶屋敷が近いからまた皆と集まれるの~」

 

 

「せやな。しのぶさんたちはホンマ優しい人たちやったで」

 

 

沙和と真桜はここから蝶屋敷に通うつもりなのか、そんな話をしていた。

 

 

「沙和と真桜は直接的な鬼殺はしないんだっけ?」

 

 

一刀はふと思い出したことを二人に質問する。

 

 

「そうなの!沙和は隠の"縫製係"に入るの~!」

 

 

「ウチは鉄穴森はんがいる『刀鍛冶の里』に行ってその技術を会得するつもりや」

 

 

沙和は隠の縫製係に入ることを、真桜は刀鍛冶の里に行くことを一刀に言う。

 

 

「そうか、正に"適材適所"だな。サボったりせず頑張れよ」

 

 

「「了解なの(や)!」」

 

 

一刀の激励に二人は元気よく答える。

 

 

「そう言えば、秋蘭は最終選別に"行かなかった"んだよな。何でだ?桂花たち軍師ならともかく…」

 

 

「鬼殺隊の殆んどが剣を持って戦うだろ?接近戦が得意な姉者とは違って、私は弓、つまり遠距離戦が得意なんだ。鉄穴森殿に尋ねてみたが、やはり弓矢となると勝手が違うそうでな。断念したという訳だ」

 

 

一刀は秋蘭が最終選別を受けなかったことに疑問を感じ、質問をすると、秋蘭は他者が納得するような返答をした。

 

 

「と言う訳で、これからは華琳様たち同様、お前を支える立場に回るつもりだ。嫌と言う訳ではあるまい?」

 

 

秋蘭は一刀の顔を見ながら微笑む。

 

 

「誰が嫌なんて言うもんか。俺は向こうの世界では、ずっと皆の背中を見ている"だけ"だった。けど、この世界では俺が皆を守ってやれるんだ。自分を支えてくれる女を棄てる男には、俺は成りたくない」

 

 

一刀は皆の顔を見ながらそう言うと、皆は顔を赤くした。

 

 

「全く、そう言うタラシな所は相変わらずね」

 

 

「タラシで悪いか。こんなこと言うのはお前たち"だけ"だ」

 

 

一刀も照れ臭いのか、華琳たち同様、顔を赤くしていた。

 

 

「さ、さぁさぁ。こんな所に突っ立ってないで中を見ましょう!」

 

 

場の空気を和ませようと、華琳が話を反らし、皆は空屋敷へと入って行った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

空屋敷が完成してから数日後、一刀の拠点は蝶屋敷から空屋敷へと変わり、一刀たち三國志組は引っ越し作業に追われていた。そして今日、蝶屋敷の面々の力を借りてやっと引っ越しが終わったのだった。

 

 

「やれやれ、やっと終わったか~」

 

 

一刀は空屋敷の縁側に座り一息着いていた。

 

 

「お疲れさま、一刀」

 

 

そこに華琳が現れ、一刀の左側に座った。

 

 

「華琳こそお疲れさま。まさかアオイたちがあそこまで駄々を捏ねるとは思わなかった…」

 

 

実は一刀が空屋敷に引っ越しする際、アオイと真菰は密かに一刀の私物を"隠していた"のだった。しかも隠し場所は自分の部屋の"下着を入れている箪笥の中"だったこともあり、引っ越し作業が中々進まなかったのだ。

 

 

しかし桂花たち軍師組が一刀の私物の隠し場所を推理し、悉く見つけてしまい、最終的には一刀にしがみつく始末になっていたのだった。

 

 

「まぁそれだけ貴方が慕われている証拠よ。全く、あの子たちまで堕とすなんて、『魏の種馬』は健在ね」

 

 

「不名誉な称号をありがとう。でも、慕われているのは嬉しいな」

 

 

一刀は頬を掻きながら照れていた。

 

 

「あのねぇ、どこに皮肉に礼を言う人がいるのよ!?」

 

 

華琳は一刀の左頬を摘まむと、そのまま横に引っ張った。

 

 

いふぁふぁふぁふぁふぁっ(いたたたたたっ)いふぁいよ(痛いよ)ふぁひぃん(華琳)

 

 

頬を引っ張られている性か、一刀は上手く発音出来ないでいた。

 

 

「ふんっ、自業自得よ!」

 

 

一刀の頬を離した華琳は自分の頬を膨らませてそっぽを向いた。

 

 

「痛てててて。華琳、もしかして、嫉妬しているのか?可愛い所あるじゃないか」ナデナデ

 

 

一刀は引っ張られていた頬を右手で摩りながら左手で華琳の頭を撫でる。

 

 

「にゃっ!?にゃににゃで(なに撫で)てるにょ()よ!?」

 

 

華琳は撫でられて動揺したのか、猫のような喋り方になっていた。

 

 

「なに動揺してんだよ?これくらいいつものことじゃないか」

 

 

一刀は華琳の頭を撫でるのを止めて立ち上がる。

 

 

「あら一刀、どこ行くの?」

 

 

「道場だよ。ちょっと体を動かしてくる」

 

 

そう言って一刀は道場へ向かった。

 

 

「…何よ。頭、もっと撫でてもいいのに…」

 

 

縁側に残った華琳は一人呟いていた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「チェスト~!」

 

 

「ハアァアァ!」

 

 

一刀が道場に到着すると、そこには既に先客がいた。その先客とは、春蘭と凪だった。二人は各々の得物を使い、稽古をしていた。

 

 

「二人とも、稽古に精が出るな」

 

 

「「一刀(隊長)」」

 

 

稽古が一段落着いた所で一刀が二人に声を掛け、二人は一刀の方に振り向く。

 

 

「何だ一刀、お前も訓練か?」

 

 

「しようと思って此処に来たら、二人が先に稽古していたからね。少々見物させて貰ったよ。凪、強くなったな」ナデナデ

 

 

「あ、ありがとうございます…(照)」

 

 

凪は一刀に頭を撫でられて嬉しそうに照れていた。

 

 

「一刀、もし良かったら私と稽古しないか?」

 

 

そこに春蘭が一刀に稽古の提案をした。

 

 

「構わないぞ。それじゃ準備するからちょっと待ってて」

 

 

一刀は春蘭に断りを入れて木刀を置いているスペースに行き、そこから一本の木刀を手にする。

 

 

「お待たせ、先手は春蘭に譲るよ。どこからでも掛かって来な」

 

 

一刀は木刀を正眼に構え、春蘭に先手を譲った。

 

 

「それでは僭越(せんえつ)ながら私『楽進文謙』が審判を勤めます。それでは、始め!」

 

 

「なら遠慮無く行くぞ!チェスト~!」

 

 

ブォンッ

 

 

凪が審判を買って出て、号令をする。春蘭は木刀を振りかぶり一刀に突進する。そして木刀をそのまま振り下ろし一刀は当たりそうになる。

 

 

『全集中 空の呼吸 陸ノ型 白鳥ノ舞』

 

 

が、一刀は正眼の構えのまま陸ノ型を使い、春蘭の攻撃を避けた。

 

 

『全集中 空の呼吸 壱ノ型 燕返し』

 

 

バシッ バシッ バキッ

 

 

そして春蘭の木刀目掛けて壱ノ型を繰り出し、春蘭の木刀をへし折った。

 

 

「そこまで!この稽古は隊長の勝ちです」

 

 

凪の号令で二人は構えを解き、木刀を下げた。

 

 

「"今回"は、正式に私に勝ったな」

 

 

「あぁ、"前回"は俺が逃げ回ったり、俺に有利な決まりを決めたり、最終的には搦め手を使って勝ったり。華琳にも言われたけど、『搦め手も一つの策だから恥じることは無い』って」

 

 

「フフッ、そうか」

 

 

一刀と春蘭は、互いを見ながら笑い合った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

それから一刀は凪とも稽古をし、汗を流すために風呂に入った。しかもどこから嗅ぎ付けたのか、一刀の背中を流そうと桂花が乱入し、一悶着あった。

 

 

そして風呂から上がった一刀は、縁側で火照った体を冷やしていた。

 

 

「一刀、刀鍛冶の里にいる鉄穴森殿から手紙を預かって来たぞ」

 

 

そこに一刀の鎹鷲の『イーグル』が飛んで来て、一刀の左肩に止まった。その足には、手紙が括り付けられていた。

 

 

一刀はその手紙を受け取り、その場で読む。すると一刀の表情が険しくなった。一刀は立ち上がり、自分の部屋に来ると、着ていた浴衣を脱ぎ、隊服に着替える。そしていつもの格好になると、凪と真桜から返された刀を腰に差す。

 

 

「イーグル、刀鍛冶の里まで案内出来るか?」

 

 

「無論だ」

 

 

一刀はイーグルに道案内を頼み、空屋敷を出る。そしてイーグルの案内の下、刀鍛冶の里へ急いだ。

 

 

 

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