鬼滅の恋姫   作:レイファルクス

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『させない!』が1票

よって『させる!』に決定しました。

アンケートにご協力して下さった皆さん、ありがとうございましたm(__)m


第弐拾参話

 

 

一刀たちに召集が掛かる十数分前、産屋敷邸の中庭に一人の男が現れた。

 

 

「……やあ、来たのかい」

 

 

中庭が見渡せる部屋に全身と顔に包帯を巻いた耀哉が不意に声を上げる。

 

 

「…初めましてだね、鬼舞辻……、無惨…」

 

 

「…何とも醜悪な姿だな、産屋敷」

 

 

何と産屋敷邸に現れたのは『人喰い鬼の始祖』である鬼舞辻無惨だったのだ。

 

 

「ついに…私の…、元へ来た…。今…目の前に…、鬼舞辻…無惨…。我が一族が…、鬼殺隊が…、千年…追い続けた…鬼…」

 

 

耀哉は息も絶え絶えになりながらも声を振り絞る。

 

 

「あまね…、彼は…、どのような…、姿形を…、している…?」

 

 

「二十代半ばから後半あたりの男性に見えます。ただし瞳は紅梅色(こうばいしょく)、そして瞳孔が猫のように縦長です」

 

 

耀哉は側にいる妻のあまねに質問をし、あまねは無惨の情報をこと細かく伝えた。

 

 

「そうか…、そう…、君は…、来ると…、思っていた…、必ず…」

 

 

「君は私に…、産屋敷一族に酷く腹を立てていただろうから…。私だけは…、君が…、君自身が殺しに来ると…、思っていた…」

 

 

耀哉は心の内を語った。

 

 

「私は心底興醒めしたよ産屋敷。身の程も弁えず千年にも渡り、私の邪魔ばかりしてきた一族の長がこのようなザマで」

 

 

「醜い、何とも醜い。お前からはすでに屍の匂いがするぞ産屋敷」

 

 

しかし無惨は耀哉の心の内を一蹴し、罵詈雑言を浴びせた。耀哉は既に起き上がることができないにも関わらず、体に力を込め、上半身を"起き上がらせようとした"。

 

 

「そうだろうね……。私は…、半年も前には…、医者から…、数日で死ぬと言われていた…。それでもまだ…、私は生きている…。医者も…、言葉を…、失っていた」

 

 

「それもひとえに…、君を倒したいという一心ゆえだ…、無惨…」

 

 

耀哉は目や口から血を流しながら上半身を"起き上がらせ"、既に"見えていない目"で無惨を睨んだ。

 

 

「その儚い夢も今宵潰えたな。お前はこれから私が殺す」

 

 

無惨は耀哉の睨みを"何処吹く風"のような感じで流した。

 

 

「君は…、知らないかもしれないが…」

 

 

耀哉はあまねに支えられながら話を続ける。

 

 

「君と私は…、同じ血筋なんだよ…。君が生まれたのは…、千年以上前のことだろうから…、私と君の血はもう…、近くないけれど……」

 

 

何と驚いたことに、産屋敷一族と無惨は"親族"であることが判明した。

 

 

「何の感情も湧かないな。お前は何が言いたいのだ?」

 

 

しかし無惨は何の興味も湧かず、ただ淡々に切り捨てた。

 

 

「君のような怪物を…、一族から出してしまったせいで…、私の一族は…、呪われていた…」

 

 

「生まれてくる子供たちは皆病弱ですぐに死んでしまう…。一族がいよいよ絶えかけた時、神主から助言を受けた……」

 

 

『同じ血筋から鬼が出ている…、その者を倒す為に心血を注ぎなさい…。そうすれば一族は絶えない』

 

 

「代々神職の一族から妻をもらい…、子供も死にづらくなったが…、それでも我が一族の誰も……、三十年と生きられない…」

 

 

「迷言もここに極まれりだな、反吐が出る。お前の病は頭にまで回るのか?」

 

 

耀哉が過去に起こった産屋敷一族の悲劇を語るが、無惨はそれを"反吐が出る"の一言で片付けてしまった。

 

 

「そんな事柄には何の因果関係もなし。なぜなら私には何の天罰も下っていない。何百何千という人間を殺しても私は許されている。この千年神も仏も見たことがない」

 

 

更には"自分は神に許されている存在"とまで言い出す始末であった。

 

 

「君はそのようにものを考えるんだね…、ゴホッ だが私には私の…、考え方がある…」

 

 

耀哉は咳き込み、血を吐きながらも"人の考えは千差万別"と説く。

 

 

「無惨…、君の夢は何だい?」

 

 

耀哉が無惨に夢のことを質問する。しかし無惨は黙ったまま答えようとはしなかった。

 

 

「この千年間…、君は一体…どんな夢を見ているのかな……」

 

 

「(……奇妙な感覚だ。あれ程目障りだった鬼殺隊の元凶を目の前にして憎しみが湧かない。むしろ)」

 

 

「ひとつや一夜(ひとよ)明くれば賑やかで賑やかで。お飾り立てたり松飾り松飾り。二つとや二葉の松は色ようて色ようて。三蓋松は上総山(かずさやま)上総山」

 

 

無惨が考え事をしているその横で耀哉の娘である長女の"にちか"と次女の"くいな"が紙風船で遊んでいた。

 

 

「(……この奇妙な懐かしさ。安堵感…気色が悪い。そしてこの屋敷には四人しか人間はいない。産屋敷とその妻、子供二人だけ。護衛も何もない…)」

 

 

「当てようか…無惨」

 

 

考え事に没頭していたのか、耀哉の一言で無惨は我に返った。

 

 

「君の心が私にはわかるよ。君は"永遠"を夢見ている…。"不滅"を夢見ている…」

 

 

「……その通りだ。そしたらそれは間もなく叶う。竈門禰豆子を手に入れさえすれば」

 

 

耀哉の推察に無惨は肯定した。

 

 

「君の夢は叶わないよ、無惨」

 

 

「竈門禰豆子の隠し場所に随分と自信があるようだな。しかしお前と違い、私にはたっぷりと時間がある」

 

 

無惨は耀哉たちや鬼殺隊を殺した後、時間を掛けてでも禰豆子を探しだそうとしていた。

 

 

「君は…、思い違いをしている」

 

 

「何だと?」

 

 

「私は"永遠"が何か…、知っている。永遠というのは人の"想い"だ。人の想いこそが"永遠"であり、"不滅"なんだよ」

 

 

耀哉は"人の想い"こそが"永遠"であり"不滅"であると説いた。

 

 

「下らぬ…。お前の話には辟易する」

 

 

しかし無惨はそれを"下らない"と言った。

 

 

「この千年間、鬼殺隊は無くならなかった。可哀想な子供たちは大勢死んだが、決して無くならなかった。その事実は今君が……下らないと言った人の想いが不滅であることを証明している」

 

 

「大切な人の命を理不尽に奪った者を許さないという想いは永遠だ。君は誰にも許されていない、この千年間一度も」

 

 

「そして君はね無惨、何度も何度も"虎の尾"を踏み、"龍の逆鱗"に触れている。本来ならば一生眠っていたはずの、虎や龍を君は起こした。彼らはずっと君を睨んでいるよ。"絶対に逃がすまい"と」

 

 

それでも耀哉は無惨の言葉を無視して喋り続ける。

 

 

「私を殺した所で鬼殺隊は痛くも痒くもない。私自身はそれ程重要じゃないんだ。この…、人の想いや繋がりが君には理解できないだろうね無惨。なぜなら君は…、君たちは」

 

 

「"君が死ねば全ての鬼が滅ぶ"んだろう?」

 

 

確信めいた耀哉の一言に、無惨はほんの僅かではあるが動揺してしまった。

 

 

「空気が揺らいだね…、当たりかな?」

 

 

「黙れ」

 

 

動揺したことを耀哉に指摘され、無惨は殺気を放つ。

 

 

「うんもういいよ。ずっと君に言いたかったことは言えた。最後に…、ひとつだけいいかい?『私自身はそれ程重要ではない』と言ったが…、私の死が無意味なわけではない」

 

 

「私は幸運なことに鬼殺隊…、特に柱の子たちに慕ってもらっている。つまり私が死ねば今まで以上に鬼殺隊の士気が上がる…」

 

 

耀哉は無惨の殺気を浴びても平然としていた。

 

 

「話は終わりだな?」

 

 

無惨は耀哉を殺そうと畳の上に土足で上がり、手を伸ばす。

 

 

「ああ…、こんなにも話を聞いてくれるとは思わなかったな…。ありがとう、無惨」

 

 

耀哉が無惨に礼を言ったその時

 

 

「うっふぅぅぅ~~~ん!!!」

 

 

「むっふぅぅぅ~~~ん!!!」

 

 

ズドンッ×2

 

 

突如叫び声が聞こえ、無惨の後ろから地響きが鳴った。

 

 

「!?!?!?」バッ

 

 

無惨は中庭の方を向く。すると

 

 

「悪いけど、耀哉ちゃんたちを殺させはしないわよ~ん♪」

 

 

「うむ!このような若い(おのこ)が死ぬのは非常に勿体無い!故に、救出させてもらうぞ!」

 

 

現れたのは、『ピンクの紐パン一丁の筋肉達磨』と『白のビキニトップと褌をした筋肉達磨』の"二体"だった。

 

 

「あまね、一体何が起きたんだい?」

 

 

耀哉は何が起きたのかあまねに質問をする。が、あまねは二体の姿を見た瞬間、『目を開いたまま気絶』してしまったため、耀哉の質問に答えることができなかった。

 

 

……貴様ら、何者だ?

 

 

無惨は自身に襲い掛かる"寒気(おぞけ)"と戦いながら、声を振り絞る。

 

 

「私は絶世の漢女(おとめ)貂蝉(ちょうせん)よ~ん♪」クネッ

 

 

「儂の名は卑弥呼(ひみこ)。漢女道亜細亜(アジア)方面"前"継承者よ!」クネッ

 

 

二体はクネクネと"しな"を作りながら自己紹介をする。

 

 

「(コイツらは私以上のバケモノか!?)」

 

 

それを見た無惨は冷や汗をダラダラと流しながらそう思った。

 

 

「「誰が一度見たら夢まで追いかけて生気を吸い尽くす筋肉達磨ですって(じゃと)~!?」」(怒)

 

 

二体は無惨の心の内を読んだのか、怒声を上げる。

 

 

「誰もそこまでは言っていない!と言うか、私の心の内を読むな!」

 

 

無惨は慌てた様子で叫んだ。

 

 

「ふんっ、まあ良い。儂らの目的はお主では無く、そちらの男なのだからな」

 

 

卑弥呼は無惨の後ろにいる耀哉たちを指差した。

 

 

「卑弥呼~、こっちは何時でもOKよ~ん♪」

 

 

すると貂蝉の声がしたので無惨がそちらを振り向くと、いつの間に移動していたのか、にちかとくいなを抱き抱えていた。

 

 

「流石は貂蝉、漢女道亜細亜方面現継承者よ。じゃが、儂も既に準備万端よ」

 

 

卑弥呼もまた、いつの間に移動したのか、耀哉とあまねを抱き抱えていた。

 

 

「産屋敷耀哉殿、そなた達を安全な所へ今から護送致します故、無礼をお許し頂きたい」

 

 

「構わないよ。私たちを助けてくれて、ありがとう」

 

 

卑弥呼は耀哉に無礼の謝罪をし、耀哉は助けてくれたことに感謝し、お礼を言った。

 

 

「それじゃ、飛ぶわよ~ん!!うっふぅぅぅ~~~ん!!!」

 

 

「むっふぅぅぅ~~~ん!!!」

 

 

ドンッ

 

 

四人を抱き抱えた二体はそのまま人間とは思えない脚力で瞬く間に夜空へと消えていった。そしてその場には、呆気に取られた無惨が一人、取り残されていた。しかし次の瞬間

 

 

ドド~~~ンッ!!!

 

 

耀哉が屋敷に仕込んでいた爆薬が爆発し、無惨はその爆発に"巻き込まれた"。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

産屋敷邸が爆発する少し前、鴉の案内によって鬼殺隊が続々と集まりだしていた。その中には、実弥、小芭内、蜜璃、無一郎、しのぶ、義勇、一刀と言った柱や、炭華、春蘭、凪、カナヲ、善逸、伊之助、玄弥と言った継子の姿もあった。

 

 

ドド~~~ンッ!!

 

 

そして屋敷が爆発する所を目撃してしまった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「ぐっ、産ッ屋敷ィィッ!!」

 

 

爆発に巻き込まれた無惨は上半身裸になり、頭や体に裂傷を負いながらも生きていた。

 

「(何か仕掛けてくるとは思っていたが、これ程とはな。産屋敷の奴、私諸共妻と子供を爆薬で消し飛ばそうとするとは!爆薬の中にも細かい撒菱(まきびし)のような物が入っていて殺傷力が上げられている。一秒でも私の再生を遅らせる為に)」

 

 

無惨は傷を再生させながら耀哉の魂胆を読み解こうと考えていた。

 

 

「(つまりまだ何かある。産屋敷はこの後まだ何かするつもりだ。人の気配が集結しつつある。恐らくは柱。だがこれではないもっと別の何か。自分自身を囮に使ったのだあの腹黒は)」

 

 

「(私への怒りと憎しみが(まむし)のように真っ黒な腹の中でトグロを巻いていた。あれだけの殺意をあの若さで隠し抜いたことは驚嘆に値する。妻と子供は承知の上だったのか?)」

 

 

「(よせ、今考えることではない。動じるな、間もなく体も再生する)」

 

 

無惨は考えることを放棄し、再生に集中しようとする。するといつの間にか無惨の周りに"不気味な球体"が集まっていた。

 

 

「(肉の種子…、血鬼術!!)」

 

 

無惨が"それ"を認識した瞬間、種子は"無数の棘"となり無惨に刺さった。

 

 

「(固定された!?誰の血鬼術だこれは?体内でも棘が無数に枝分かれして抜けない!)」

 

 

「(いや問題ない、大した量じゃない。吸収すればいい)」ドクンッ

 

 

無惨は体内の棘を吸収し始めた。

 

 

ズグッ

 

 

すると腹に"違和感"を感じた無惨はそこに目を向ける。そこには"人の拳程大きさの穴"が空いていた。

 

 

「よお、気分はどうだい?鬼舞辻無惨」

 

 

「!?」バッ

 

 

前から声がしたので顔を上げると、そこには"全身白色の導師のような格好"をした青年がいた。

 

 

「貴様…、何者だ?」

 

 

「俺の名は左慈(さじ)。『外史管理局否定派』の人間だ」

 

 

無惨が青年に質問をすると、青年、『左慈』は自己紹介をした。

 

 

「今貴様は自分の体に刺さった棘を吸収したが、それと同時に俺が打ち込んだ"薬"も吸収したんだよ。"珠世"と言う鬼と"しのぶ"と言う柱が製薬した『鬼を人間に戻す薬』をな。後、于吉(ホモメガネ)が作った『薬の効果を倍増する薬』も一緒にブチ込んでやったぜ」

 

 

「何だと!?そんな薬、できる筈が…」

 

 

左慈の説明に無惨は驚いた。

 

 

「無いってか?だが違和感は感じてはいるんだろ?その違和感が動かぬ証拠って奴さ」シュボッ

 

 

左慈は懐から煙草を一本取り出し、先端に火を点けた。

 

 

フゥー「本来ならここまでお膳立てはしないんだが、まあ今回だけは"アイツ"に手を貸してやるさ」シュバッ

 

 

左慈はそう言って無惨の前から姿を消した。

 

 

「鬼舞辻無惨、覚悟!南無阿弥陀仏!」ブオンッ

 

 

するとそこに行冥が現れ、鉄球を投げ無惨の頭を潰した。

 

 

 

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