「くそっ、奴の出鱈目な攻撃、どうにかできないのか!?」
一刀たちは無惨の攻撃に頭を悩ませていた。それもそのはず、無惨の再生力は他の鬼に比べて極端に"早い"のだ。そのため、幾ら攻撃を見切って腕を斬り落としても、即座に再生されてしまうため、完全に"いたちごっこ"になっていたのだ。
「どうした鬼狩り共?動きがさっきよりも遅くなっているぞ?」
鬼である無惨は一刀たち人間とは違い、"疲れない"のであるが、一刀たちは無惨の攻撃を避けたりしていたため、通常よりも疲れが早く出てしまったのだ。つまり、
「(くそっ、疲れのせいで皆の動きが鈍くなっていやがる!無惨もそれに気づいているはず。これを打開する方法を見つけなくては…)」
一刀は皆が疲れで動きが鈍くなっていることへの打開策を考えているが、無惨の攻撃が鋭いせいで悠長に考える時間が無かったのだ。
「……興冷めだ」
無惨はそう呟くと、不意に攻撃を止めた。その行動に一刀たちが警戒していると
「"次の一撃"で、貴様らの息の根を止めてやる」
無惨はそう言って鞭状の腕を振りかぶった。
「!!?、全員伏せろ~!!!」
一刀が叫んだ瞬間に全員が伏せ、その頭上を無惨の腕が通過した。
後ろから何かが倒れる音がしたので振り返ると、一刀たちの周辺にあった木々が悉く倒れていた。
「ほう…?動きが鈍くなっていても、避ける力だけはあるようだな」
無惨は感心したように言うと、今度は両腕を振りかぶった。
「だが…、これは避けられるか?」
全員が死を覚悟した。その時
突如銃声が"七度"響いた。
「!?!?!?」
そして銃弾は無惨の片腕を吹き飛ばし、人間の急所とも言える箇所を貫いた。
「ほう…?、まだこの私に歯向かう者がいたか…」
無惨は腕を再生させながら銃声がした方を向いた。
そこには一人の青年が右手に赤と黒で装飾された『
…
……
………
「兄貴、手応えは?」
「あったはあったが、奴さんには効果は薄いようだ。すぐに再生されてしまった」
兄貴と呼ばれた青年は質問にすぐ答えていた。
「だが注意をこちらに反らすことには成功した。見てみろ、奴さん俺たちを物凄い形相で睨んでいるぜ?」
彼の視線の先には、彼らを物凄い形相で睨んでいる無惨の姿があった。
「とりあえず、向こうが痺れを切らす前に出向くとしますか」
青年はそう言って無惨の所まで軽い足取りで歩いて行き、他のメンバーも彼を追いかける形で歩いていった。
…
……
………
「ほう…、自らこちらに出向くか。余程の馬鹿と見る…」
「馬鹿とは失礼な挨拶だな。あんたのような耄碌した爺さんに言われたくはねえよ」
無惨の言葉が癪に触ったのか、無惨に敗けず劣らずの罵声を青年が浴びせた。
「……余程死にたいようだな。殺す前に貴様らの名前を聞いておこう」
青年の挑発に乗ってしまった無惨は名前を聞こうとする。
「俺の名はレオン、"レオン・グランフィールド"だ。そして俺の隣にいるのは、弟の"イチカ・グランフィールド"。そしてこいつらはそこにいる人たちと同じ鬼殺隊だ。もっとも、『違う世界の』が入るけどな」
レオンと名乗った青年は自分の横にいる者を親指で差す。
「俺は"元"鬼殺隊・"鬼柱"、竈門炭治郎だ!鬼舞辻無惨、今からお前を狩る!」
炭治郎と名乗った青年は懐から音叉のような物を取り出し、鳴らした。すると音叉から波紋が広がり、それを炭治郎は自分の額に近づけた。
すると炭治郎の額に"鬼の顔"が現れ、炭治郎の体が発光する。そして光が止むと、炭治郎は"銀色の装飾を着けた白色の鬼"になっていた。
「貴様…、その姿、私と同じ鬼か!?」
「貴様のような外道と一緒にするな!この姿は己を極限を越えて鍛え抜いた者がなる姿だ!"玄弥"、"善逸"、師匠の皆さん!俺たち"猛士"の力をあの外道に骨の髄まで教え込むぞ!」
「「「「「了解(おう)!」」」」」
炭治郎の言葉に玄弥(別)と善逸(別)、その師匠である"響鬼"、"風鬼"、"雷鬼"が返事をし、変身した。
「彼らもやる気だねぇ。それじゃイチカ、俺たちもやるぞ!」
「OK、兄貴!来い、『ストライクフリーダムガンダム』!」
イチカが右手を上に上げると、彼の手首にある
『憎悪の空より来たりて、正しき怒りを胸に、我等は魔を断つ剣を執る。汝、無垢なる刃 《デモンベイン》!』
レオンは胸から下げていた星形のペンダントを取り外し、頭上に掲げた。そして起動コードを音声入力すると、掲げた手を下に振り下ろした。
すると彼の足下にペンダントと"同じ形"の魔方陣が現れ、発光する。そして光が止むと、そこには『両足首に巨大なシールドを付け、背中に鉄板が幾重にも重なった翼を持ち、頭部の角から緑色に発光する髪を靡かせた銀色一色のロボット』が佇んでいた。
「貴様ら…、その姿はなんだ!?」
レオンとイチカの姿に驚いた無惨はレオン達に質問を投げ掛ける。
「こいつは
レオンは無惨の質問に簡潔に答えた。
「……そのような鎧で私に勝てる…とでも?」
レオンの返答を聞いた無惨は相手を馬鹿にするような眼差しでレオン達を睨む。
「勝てるさ。何なら証明して見せようか?」クイクイ
レオンは中指を立て、何度も曲げた。無惨はレオンの挑発にとうとう堪忍袋の緒が切れてしまった。
「貴様ら…、全員今ここで息の根を止めてやる!」ヒュガッ
無惨は鞭状の腕を振り、レオン達に攻撃を仕掛ける。
だが
「んなっ!?」
レオンとイチカが無惨の腕を"受け止めた"。これには流石の無惨も驚きを隠せなかった。
「言っただろ?"証明して見せようか?"って。人の話はちゃんと聞いておかないとな?お前ら、やるぞ!」
「「「「「「「おう(了解)!!」」」」」」」
…
……
………
無惨の注意がレオン達に向いたこともあってか、一刀たちは無惨から離れ、合流していた。
「一刀さん、あの方々は一体…」
「恐らくは、左慈が言っていた"協力者"だと思う。思いたいが…」
「言いたいことは分かります。あれでは"協力者"と言うよりも"切り札"ですよ…」
一刀と炭華の会話に合流したこの世界の鬼殺隊のメンバー全員が"うんうん"と頷いていた。それもそのはず、レオン達協力者は無惨を圧倒していたからだった。
…
……
………
「ほらほら、俺たちの息の根を止めるんじゃ無かったのか?」
レオンは背中にある翼『飛行ユニット《シャンタク》』を駆使しながら空を飛び、無惨をおちょくっていた。またイチカも背部ブースターを使用し、空から《高エネルギービームライフル》を使い狙撃していた。
更には音撃の戦士に変身した炭治郎たちも、各々の武器を使用し、無惨を翻弄していた。
そして一刀たちが待ちに待った時が訪れた。
「ハァ…、ハァ…、ハァ…」
そう、左慈が無惨の体に打ち込んだ薬が効果を発揮し始めたのだ。
「どうやら、左慈と言う者が投与した薬が効き始めたようだな。息が上がってるぜ?」
「……黙れ」
レオンに指摘されて悔しかったのか、無惨はぶっきらぼうにあしらう。
「お前ら、奴さんは弱ってきている!もう一息だ、頑張れよ!」
「「「「「「「おう!」」」」」」」
レオンは皆に激を飛ばし、皆はそれに答える。
「お先に行くぜ!『断鎖術式《ティマイオス》、《クリティウス》』、発動!」
レオンは自身の足首に接続されているシールドに搭載されている術式を解放し、無惨へと文字通り"一瞬"で移動した。
「少しばかり空中遊泳を楽しみな!《アトランティス・ストライク》!」
ドゴンッ
「グハッ!?」
レオンは無惨を上空へと"蹴り上げた"。
「次は俺の番だ!《スーパードラグーン》射出!全砲門展開!喰らえ!《ドラグーン・フルバースト》!」
イチカはバックパックに搭載されている《スーパードラグーン》を射出し、サイドアーマーに接続されている《クスィフィアス3レール砲》、腹部にある《カリドゥス複相ビーム砲》、更には両手に《高エネルギービームライフル》を構え、全ての射撃武器を一斉に照射する《ドラグーン・フルバースト》を無惨に放った。
「グアアァァァッッッ!!」
これには流石の無惨も為す術が無かったのか、それともレオンの攻撃が効いていたのか、イチカの射撃を全て喰らってしまった。
「威吹鬼、斬鬼、次は俺たちの番だ!師匠たちもお願いします!」
「「了解!」」
「「「心得た!」」」
無惨の落下地点に先回りしていた炭治郎たちは攻撃の準備を整える。
まずは風鬼と威吹鬼が《音撃管 烈風》のパルブを操作し鬼石を無惨の背中に撃ち込む。そして地面に激突し、よろよろと立ち上がった無惨に炭治郎と響鬼がベルトに取り付けられている《音撃鼓 輝光》と《音撃鼓 火炎鼓》を無惨に設置。更には雷鬼と斬鬼が《音撃弦 烈雷》を突き刺し、音撃モードにした。
「行くぞ!《音撃打 閃光連打》!」
「《音撃打 火炎連打》!」
「「《音撃斬 雷電激震》!」」
「「《音撃射 疾風一閃》!」」
風鬼と威吹鬼も各々の武器を音撃モードに変形させ、音撃の戦士全員が無惨に向けて音撃を放つ。
通常ならば音撃の戦士の音撃は《
そして輝鬼は戦いに赴く前に于吉の力を借りて仲間に自分の力を分けていたのだ。
それが何を意味するのか?それは
「グオオオォォォォ……」
輝鬼"以外"の音撃も無惨に通用するという意味である。陽光と同じ力を受けている無惨は明らかに苦しんでいた。そして輝鬼たちの合体技《六鬼合奏音撃》が決まり、爆発した。そして爆風が収まると、ボロボロの無惨がそこにいた。
「あれまぁ随分と似合う格好になっちまったじゃねぇか」
「……五月蝿い」
レオンの口撃に無惨は息も絶え絶えの様子で返した。
「おいお前ら、もう十分体力は回復しただろう?止めは任せるぜ」
レオンは一刀たちに一声掛け、後ろに下がった。
『蟲の呼吸 蜈蛟ノ舞 百足蛇腹』
『水の呼吸 拾ノ型 生生流転』
『風の呼吸 玖ノ型 韋駄天台風』
『蛇の呼吸 伍ノ型 蜿蜿長蛇』
『恋の呼吸 陸ノ型 猫足恋風』
『岩の呼吸 肆ノ型 流紋岩・速征』
『雷の呼吸 漆ノ型
『獣の呼吸 玖ノ型 伸・うねり裂き』
『花の呼吸 陸ノ型 渦桃』
『ヒノカミ神楽 日暈の龍・頭舞い』
『空の呼吸 拾ノ型 鳳凰天舞』
レオンに促された一刀たちは各々の技を無惨に向けて放った。
しかし
「貴様ら…、頭に乗るんじゃ…、無いわああぁぁぁああぁぁ~~~!!」
無惨は腕を鞭状にし、一刀たちに向けて振るった。攻撃に集中していた一刀たちは無惨のその攻撃に対処できずに吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられる。
はずだった。
「今よ!総員直ちに柱たちを助ける"壁"になりなさい!」
『了解!』
一刀たちは突如現れた一般隊員たちが自らの体をクッションの代わりになってくれたお陰で大怪我を負わずに済んだ。一刀は一般隊員に目を向けると、全員が"眼"のような物が書かれている"札"を着けていることに気づいた。
「あれ?それは愈史郎さんの"紙眼"?」
炭華も一刀同様札に気づいたのか、その札の正体を見破った。
「炭華、もしかしてその札のこと知ってるのか?」
札の正体を見破った炭華に一刀か疑問を投げ掛ける。
「あ、はい。この札は"紙眼"と言って愈史郎って言う人を喰わない男性の鬼の血鬼術で生成された
炭華の説明に一刀は目が点になった。
「そんなことより、今曹操さんの声が聞こえていた気がするんだけど」
善逸の指摘にハッとした一刀が空を見上げると、上空に胸の辺りに"紙眼"を着けた鴉が旋回していた。それも1羽だけでは無く、4羽も飛んでいた。
「荀彧隊前へ!敵の攻撃を防ぎなさい!」
「郭嘉隊は荀彧隊が防いでいる間に負傷者の手当てを!」
「程昱隊は治療中の皆さんの護衛をお願いします~」
すると旋回している4羽の鴉の内3羽から桂花たちの声がして、一般隊員に指示を出していた。その声色はまるで『かつての決戦を決めた時』のような凛々しい声だった。
「もしかして、あの鴉たちが着けている
一刀は紙眼の能力の一つである『
「それだけじゃ無いの~」
「えっ、沙和!?何でここに!?しかも真桜まで!?」
一刀の前に沙和と真桜が凪に連れられてやって来た。
「隊長ボケるにはまだ早いで。隊長がウチを呼んだんやないか。ついでに言うとくけど、あの隊員たちが使うとる盾はウチが日輪刀と同じ素材で試行錯誤の末、完成させた一品や。並の攻撃では傷一つ着かへんで」
一刀は真桜が
「それから、隊員たちを指揮しているのは春蘭様たちなの~」
沙和に言われて指揮者を探してみると、確かに指揮をしているのは春蘭と秋蘭だった。
「何か…、改めて見ると、春蘭たちの凄さに驚かされるな…」
一刀の呟きを聞いた柱たちは『うんうん』と頷いていた。