鬼滅の恋姫   作:レイファルクス

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第弐拾漆話

 

 

「夏候淵隊撃ち方用意!」

 

 

秋蘭が率いている部隊は"火縄銃"を携えた『射撃隊』だった。

 

 

盾を装備している『防護隊』の隙間から隊員たちは銃口を無惨に向ける。

 

 

「火蓋を切れ!狙い、構え…、放て!」

 

 

パンッ パンッ パンッ パンッ パンッ

 

 

射撃隊が放った『猩々緋砂鉄(しょうじょうひさてつ)』と『猩々緋鉱石(しょうじょうひこうせき)』を混ぜた弾が無惨に着弾する。

 

 

「???、蚊が喰いついてきたか?」

 

 

が、無惨には効果が無かった。隊員たちは弾が効かなかったことに狼狽える。

 

 

「これしきのことで狼狽えるな!弾が効かないのは承知の上。さあ次だ!第二列目前へ!構え…、放て!」

 

 

それを秋蘭は一喝して狼狽を納め、次々に無惨に向けて弾を撃ち続けた。

 

 

すると

 

 

「ぐっ…、ハァ…、ハァ…」

 

 

無惨が先程よりも疲れが明白に現れ始めた。

 

 

「"毒"が効き始めたぞ!休むこと無く撃ち続けろ!」

 

 

実は射撃隊が放った弾には"藤の花の毒"が中に仕込まれており、その弾を吸収した無惨はその毒に犯されていたのだ。しかし、無惨は"鬼の始祖"であるがため、毒を分解する"速度"が上弦の鬼に比べて遥かに高いのだ。

 

 

だが、しのぶと珠世が作成した『鬼を人間に戻す薬』と『老化薬』、更には于吉の『薬の効果を倍増させる薬』の性で解毒する速度が落ちてしまい、体内に藤の花の毒が滞留する結果となってしまった。

 

 

「(おのれ…、小賢しい鬼狩り共め。こうなれば、"奥の手"を使うしか!)」

 

 

ボゴンッ

 

 

無惨は奥の手とも呼べる『肉体分裂』を行おうと自分の体を盛り上がらせる。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「まずい!無惨の奴、自分の体を分裂させて逃げるつもりだ!」

 

 

その様子を偶然見ていたイチカが声を荒げる。それを聞いた一刀たちが刀を持って突撃しようとする。

 

 

「安心しろ。奴は体を分裂"できない"。その答えは直に分かる」

 

 

しかしそれをレオンが制止させ、ことを見守り続けた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

無惨は体を盛り上がらせ、後はその体を爆発させるだけだった。しかし、盛り上がった体はまるで空気が抜けた風船のように萎み、元の体に戻ってしまった。

 

 

「(体が分裂できない!?吸収してしまった薬は『人間に戻す薬』と『老化薬』だけでは無く、『分裂を阻害する薬』までも吸収してしまったのか!?)」

 

 

無惨は左慈によって吸収してしまった薬が"三つ"では無く、"四つ"であることを悟った。

 

 

「カアァ!夜明ケマデアト三十分、三十分!」

 

 

その時、空を旋回している鴉が夜明けまでの残り時間を告げた。無惨は陽光が当たるこの場所から逃げようとする。

 

 

「逃がさねぇよ。『捕縛結界呪法 アトラック・ナチャ』展開!」

 

 

だがレオンがデモンベインの頭部から伸びている髪を緑から赤に変えると、髪が"蜘蛛の巣"状に拡がり、無惨を拘束した。

 

 

「おのれ鬼狩り共!何処まで私の邪魔をすれば気が済むのだ!」

 

 

無惨は拘束されながらも自由を得ようともがく。しかし無惨を拘束している髪はもがけばもがく程、その拘束を強めていった。

 

 

更には復活した一刀たちが無惨に攻撃を仕掛け、無惨の命は『風前の灯』になっていた。

 

 

「北郷一刀!止めはお前が決めろ!この悲しみの連鎖に終止符を打つんだ!」

 

 

「了解!」

 

 

無惨は夜明けが近づく毎に暴れるが、それに比例するが如く拘束する力も強くなっていく。そしてレオンに言われ一刀が無惨に止めを指すために抜刀する。

 

 

「行くぞ!空の呼吸 終ノ型 紅蓮朱雀!拾ノ型 鳳凰天舞!

 

 

ゴウッ

 

 

一刀は自身の呼吸の中で最強の型を使用する。

 

 

そして

 

 

ザシュッ ザシュッ ザシュッ ザシュッ ザシュッ……

 

 

一刀は赫色になった刀を"何度も"無惨に向けて振るった。まるで『何処を斬れば良いのか分かっている』かのように……。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

そして三十分にも及ぶ一刀の斬撃を受けた無惨は血みどろになりながらも原形を保っていた。しかし、一刀の斬撃が終わったと同時に夜明けが訪れ、無惨は抵抗できずに陽光を浴び、崩壊した。

 

 

「終わった……」

 

 

誰かが不意にそう呟く。

 

 

ウオオォォォ~~!!

 

 

そしてそれを皮切りに隊員たちが両腕を上に高々と上げて喜んだ。

 

 

「秋蘭やったぞ!我々の勝利だ!」

 

 

「そうだな、姉者!」

 

 

春蘭と秋蘭は互いを抱き合い、感傷に浸っていた。

 

 

「一刀さん、終わりましたね」

 

 

刀を振り下ろした状態で固まっている一刀に炭華がそっと寄り添い、彼の背中に触る。

 

 

ドサッ

 

 

しかし一刀は答えず、炭華が触れた瞬間に刀を手離し、前のめりに倒れてしまった。

 

 

「一刀さん?一刀さん!?一刀さん!!?」

 

 

炭華は倒れた一刀を仰向けにして抱き寄せ、何度も揺すった。

 

 

「………」

 

 

しかし一刀は目を閉じたまま、動かなかった。

 

 

「北郷!」

 

 

「北郷さん!」

 

 

そこに左慈と于吉、更には貂蝉と卑弥呼に連れて来られた華琳たちの姿もあった。そして騒ぎを聞きつけた柱や隊員、隠の者たちも集まって来た。

 

 

「左慈さん…、一刀さんが…、一刀さんが…」

 

 

炭華は目に涙を溜めながら左慈の方を向いた。

 

 

「やはり、恐れていたことが起きたか!」

 

 

左慈は一刀の側まで近づくと、袖口から一本の瓶を取り出した。中には液体が入っており、淡く光っていた。

 

 

「ねえ左慈、その瓶の中身は何なの?」

 

 

華琳はその液体が気になったのか、左慈に質問をする。

 

 

「コイツは『北郷一刀の思念』だ。俺と于吉が様々な外史に行って集めてきたんだ。今からコイツを北郷に飲ませる」

 

 

「待て左慈!その方法は…!」

 

 

「言われなくても分かっている!しかし、今コイツを助けるには、この方法しか無いんだ!」

 

 

一刀を助けようとした左慈を卑弥呼が止める。その光景に皆が首を傾げると

 

 

「まぁ無理も無いわよねぇ。だってあの方法は助かる"確率が低い"のだから」

 

 

『えぇ!!?』

 

 

華琳たちの側にいた貂蝉が言った言葉に、全員が驚いていた。

 

 

「しかも、この方法は我々"導師"が扱う術の中でも『禁術中の禁術』とまで呼ばれている代物ですからね」

 

 

『えぇ!!?』

 

 

更に于吉が言った言葉に、また全員が驚いた。

 

 

「それで…、もしその術を使ってしまったら…?」

 

 

皆が懸念していたことを、しのぶが勇気を振り絞って聞いてきた。

 

 

「術を使用した者は例外無く、『存在が抹消』されます。文字通り、綺麗さっぱり…ね。それも成功・失敗関係無く」

 

 

「しかもこの術は、失敗したらその術を掛けられた者も消滅しちゃうのよ」

 

 

『………』

 

 

しのぶの質問に于吉と貂蝉が答えたが、その返答が自分たちの想像を遥かに越えていたので、誰も喋ることができなかった。

 

 

「……その術のやり方、教えてくれない?」

 

 

「「「「「「「「華琳様!?」」」」」」」」

 

 

そんな中、不意に華琳が声を上げた。しかもその言葉が『術のやり方を教えて欲しい』と言うものだったので、彼女の家臣である春蘭たちが驚いていた。

 

 

「曹操ちゃん、今の話聞いての発言なの?失敗は勿論、例え成功したとしても貴女は消滅してしまうのよ?」

 

 

貂蝉は華琳にまるで確認するかのように話す。

 

 

「えぇ勿論聞いて、理解しているわ。でもね、私は一刀がいない世界なんてまっぴら御免よ!」

 

 

「四年間…、私は一刀がいなくなって心にぽっかり穴が空いてしまったのよ。四年もの間待ち続けて、やっと最愛の人との幸せを手に入れることができたのに、ここで一刀が消滅してしまうのを見るのはもう沢山なの!」ポロポロ

 

 

華琳はこの世界に来る前に、自分がいた世界で、自分の目の前で一刀が消滅してしまった時のことを思い出してしまい、涙が溢れていた。

 

 

『………』

 

 

一刀との別れを知っている者たちは勿論だが、この話を聞いていた鬼殺隊のメンバーは口を開くことは無かった。その中には、言い争っていた左慈と卑弥呼の姿もあった。

 

 

「……後悔は、ありませんか?」

 

 

その様子を静観していた于吉は、華琳にそう問いただす。

 

 

「愚問よ」

 

 

華琳は于吉の目を睨み付ける。

 

 

「……どうやら、覚悟は本物の様ですね。分かりました。お教えしましょう」

 

 

于吉は華琳の目に宿った頑なな意志を感じ取り、術のやり方を教えることにした。

 

 

「とは言ってもやり方は至極簡単です。今左慈が持っている瓶の中身、あれを対象者に飲ませる。それだけです」

 

 

それを聞いた華琳は、左慈の下へと歩き、手を差し出す。左慈は華琳の意図を汲んだのか、黙って瓶を華琳に差し出した。

 

 

そして華琳は何を思ったのか、『瓶の中身を一気に煽った』。

 

 

「(一刀…、お願い。戻って来て…)」

 

 

中身を口に含んだ華琳は、一刀の頭を持ち上げ、人工呼吸の要領で中身を一刀に"飲ませた"。

 

 

「……ん」

 

 

すると一刀の体が淡く光り、光が収まると、一刀の瞼がゆっくりと開いた。

 

 

『一刀(さん)(君)(隊長)!』

 

 

それを見た者たちは一斉に一刀へと寄り添った。

 

 

「……信じられません。まさか、失敗する確率が高いこの術を成功させるとは」

 

 

「どぅふふ。これが、愛の成せる業よ于吉ちゃん」

 

 

于吉は術が成功したことに驚き、貂蝉は何故か勝ち誇っていた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「みんな、心配掛けて済まなかった」

 

 

一刀は心配を掛けさせたことに関して謝罪をしていた。

 

 

無問題(モーマンタイ)よ。貴方が生きてさえいれは…ね」

 

 

華琳は問題無いと言っていた。その時、華琳の体が淡く光り始めた。

 

 

「華琳…、体が!」

 

 

「…どうやら、"術の代償"が来たみたいね」

 

 

華琳は淡く光る中、一刀に術の代償のことを話す。

 

 

「何だよそれ!どうして華琳が消滅しなくちゃいけないんだ!おいお前ら!華琳の消滅を阻止する方法とか知らねぇか?!」

 

 

一刀は藁にもすがる思いで左慈たち管理者に質問をするが

 

 

「ごめんなさい。こればかりは私たちには…」

 

 

「曹操ちゃんもこうなることは覚悟の上でしたことよん」

 

 

于吉と貂蝉は打つ術無しと言わんばかりの雰囲気で答えた。

 

 

「そ…、そんな……」

 

 

一刀はその答えに絶望の色を隠せなかった。

 

 

「大丈夫よ」

 

 

そんな一刀に、消えかかっている華琳が声をかける。

 

 

「例え私が消えても、私の"心"は貴方と一緒に生きるわ。だから…泣かないで、お願い…」

 

 

一刀は華琳の顔を見ると、淡く光る彼女の瞳には涙が溜まっていた。

 

 

そう、華琳もまた一刀との別れに納得はしていなかったのだ。しかし華琳は自分の全てを投げ捨てても一刀を助けたかった。だから自分の性で泣き喚く一刀の姿を見たくは無かったのだ。

 

 

「……分かった。それじゃ、何かして欲しいことはあるか?」

 

 

華琳の意図を汲み取ったのか、一刀は華琳にして欲しいことを聞く。

 

 

「それじゃ、私を抱き締めてキスして欲しい」

 

 

「分かった」

 

 

華琳の願いを聞き入れた一刀は、華琳の側まで寄ると、彼女を優しく抱き締め

 

 

「華琳、愛してる」

 

 

「一刀、私もよ」

 

 

華琳とキスをする。

 

 

その時、不思議なことが起こった。

 

 

一刀が華琳にキスをした瞬間、華琳の体が勢いよく発光した。その光はとても眩しく、全員の視界を白く塗り潰す程だった。そして光が止むと、全員が我が目を疑った。

 

 

何故なら、『消えている筈の華琳が未だに一刀とキスしている』からだった。

 

 

そして二人はキスを終えて互いの顔を離す。

 

 

「これでもう思い残すものは無いわ」

 

 

「そうか…」

 

 

二人はこれから来る別れに浸っていた。

 

 

「ちょっとお二人さん、よろしいかしら?」

 

 

そこに貂蝉が声をかける。

 

 

「もしかしたらだけど、曹操ちゃん、もう消えることは無いんじゃないかしら?」

 

 

「えぇ恐らく。きっと北郷さんの想いが外史の影響力を打ち破ったのでしょう」

 

 

貂蝉の推察に于吉が同意の言葉を述べる。二人は状況が読み取れず、キョトンとする。

 

 

「つまり、貴方たちの愛が消える運命を無くしたってことよ」

 

 

貂蝉が分かりやすく言うと、二人も状況を読み取れたのか、再び抱き締め合った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

ここに、鬼殺隊の長きに渡る戦いに終止符が打たれた。

 

 

ここまでにたどり着くまでに多くの犠牲が出たであろう。

 

 

だからこそ、我々はそれを決して忘れてはいけない。

 

 

『忘れる』と言うことは『そのものの"本当の死"』を意味するものだから。

 

 

だが、この物語は忘れることは出来ないであろう。

 

 

何故なら、ずっと語り続ける者たちがいるのだから…。

 

 

………

 

 

……

 

 

 

 

「「「「お館様のお成りです」」」」

 

 

ここは産屋敷邸の別邸。その中庭には今まで鬼殺隊として戦っていた柱が"全員"揃っていた。

 

 

『水柱・冨岡義勇』

 

 

『風柱・不死川実弥』

 

 

『蛇柱・伊黒小芭内』

 

 

『恋柱・甘露寺蜜璃』

 

 

『岩柱・悲鳴嶼行冥』

 

 

『霞柱・時透無一郎』

 

 

『蟲柱・胡蝶しのぶ』

 

 

『元炎柱・煉獄杏寿郎』

 

 

『元音柱・宇随天元』

 

 

『空柱・北郷一刀』

 

 

『元花柱・胡蝶カナエ』

 

 

『元炎柱・煉獄槇寿郎』

 

 

更には竈門炭華・禰豆子姉妹、我妻善逸、北郷カナヲ、嘴平伊之助、不死川玄弥、華琳、春蘭・秋蘭姉妹、桂花、稟、風、凪、沙和、真桜の姿が見られた。

 

 

そして部屋の奥から現れたのは、右に妻のあまね、左に息子の輝利哉を連れた耀哉であった。

 

 

耀哉は無惨が倒された時と同じく、一族に掛かっていた"呪い"が解け、久方ぶりに家族の顔を見ることができたのだ。

 

 

「おはようみんな。今日はいい天気だね。空はいつものように青いね。こうして皆の顔を見れることを嬉しく思うよ」

 

 

『お館様におかれましても御壮健で何よりです。益々の御多幸を切に願います』

 

 

この時だけは耀哉に対しての挨拶は『早い者勝ち』では無く、全員で言った。これは耀哉が来る前に柱全員が話し合い、決めたことだった。

 

 

「ありがとう皆。ではこれより、"最後"の柱合会議を始める」

 

 

耀哉の一言で柱合会議が始まった。

 

 

「この度は皆の力添えのお陰で鬼舞辻無惨を倒すことができた。鬼殺隊を代表として、そして産屋敷一族を代表として心より感謝を申し上げます」

 

 

耀哉を筆頭に産屋敷一家が皆に頭を下げる。

 

 

「お館様、頭をお上げ下さい。無惨討伐は俺たちだけでは成し遂げることはできませんでした。これはお館様たち産屋敷一族のお力添えの賜物でございます」

 

 

頭を下げた耀哉一家に一刀は声をかける。

 

 

「ありがとう一刀。皆も知っていると思うが、無惨を倒したことによって我々産屋敷一族の悲願を達成することができた。鬼殺隊は本日を持って解散する。君たちの屋敷はせめてもの餞別として君たちが好きに使ってくれて構わない」

 

 

『御意』

 

 

そして人喰い鬼との長きに渡る戦いをしてきた鬼殺隊は解散した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

数ヶ月後…

 

 

ここは北郷一刀の屋敷『空屋敷』。その縁側で日向ぼっこをしているのは、この屋敷の主『北郷一刀』である。

 

 

「あら一刀、ここにいたの?」

 

 

そこに華琳が現れ、一刀に声をかける。

 

 

「んぁ?あぁ華琳か」

 

 

寝そべっていた一刀は起き上がり、その横に華琳が座る。

 

 

「そうそう、伊黒さんと甘露寺さん、結婚の話を進めているそうよ」

 

 

「そうか。きっと実弥さんとカナエさんの式を見て、焦ったんだろうな」

 

 

そう、この数ヶ月の内に不死川実弥と胡蝶カナエは結婚式を挙げたのだ。招待されたメンバーは全員"元鬼殺隊"のメンバーだった。しかも式費用諸々は全て産屋敷一家がスポンサーとして出していた。

 

 

「きっとその内、呼ばれるかもしれないわね」

 

 

「鴉が招待状を持って来たりしてな」

 

 

そう言って二人は笑い出す。因みに鬼殺隊が育てていた鎹鴉は、本来のお役目を満了したことにより、自由となっているのだが、長年に渡り鬼殺隊員の側にいた性か、その人と行動を共にしていた。

 

 

近頃では、義勇の鴉が老衰で亡くなり、義勇が落ち込んでいる所を真菰が慰め、それを切っ掛けに二人が恋仲となり、結婚も間近とまで噂されていることを、真菰の鴉が持って来た手紙に書かれていた。

 

 

「でも、きっと赤子を産むのは私が最初のようね」

 

 

華琳はゆっくりとお腹を擦る。華琳の体は細身に対して、お腹だけは肥満体のように出ていた。

 

 

そう、華琳は今『一刀の子供を妊娠している』のだ。

 

 

「于吉は『きっと腹の中の赤子が切っ掛けでしょう』って言ってたな」

 

 

一刀もまた、華琳のお腹を擦る。

 

 

「元気に産まれてくれよ?」

 

 

「あら、誰に言ってるのかしら?私が産むんだから、元気に決まっているじゃない」

 

 

「それもそうか」

 

 

二人はまた笑いながら寄り添う。

 

 

「…幸せだな」

 

 

「…幸せね」

 

 

一刀と華琳は寄り添った状態で互いの手の指を絡め、握った。

 

 

華琳の左手の薬指には、指輪がされており、陽光を受けてキラリと光った。

 

 

 

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