「………」
ここは蝶屋敷。その一室のベッドに一刀は寝ていた。彼は無限列車での任務で襲撃してきた上弦の参・猗窩座を終ノ型・紅蓮朱雀を使用して討伐した。
しかし、終ノ型は己の"命を削る"型であり、その反動も尋常では無い。使用時間が長ければ長いほど、使用回数が多ければ多いほど命の灯火を燃やす。正に『諸刃の剣』である。
「………」
ベッドの側には、カナヲ、炭華、禰豆子、そして華琳が一刀を見ていた。
…
……
………
「……ん」
「❗❓ 一刀❗」
「……華琳❓」
一刀が蝶屋敷に運ばれてから約二週間後、一刀が目を覚ました。そこには偶然にも華琳がおり、彼女は部屋の花瓶に生けてある花を取り替えており、一刀が目を覚ましたのは華琳が花瓶を部屋に置いた直後のことだった。
「一刀、目が覚めたのね❗」
華琳が一刀に近寄る。
「華琳…、俺は…」
「貴方は約二週間もの間、ずっと眠っていたのよ❗❓私がどれだけ心配したのか分かってんの❗❓」
「すまない…」
一刀は申し訳無さそうに顔を背ける。
「全くもうっ…、本当に分かっているのかしら❓あなたは誰にも言わずに苦労を背負い込む癖があるから…」
「私は皆にあなたが目を覚ましたことを伝えに行くから、大人しくしていなさい」カチャ バタン
華琳が部屋を出ると、一刀は右腕を目隠しのように目を覆う。
「(あの時は玖ノ型である嘴広鸛を使って不意を突けたから上弦の参を倒せた。しかし今後、同じ手が通用するとは思えない)」
一刀は考えていた。猗窩座の時は相手が油断していた"おかげ"で倒すことは出来た。だが、もし『今後の任務では通用しないのでは❓』と考えていた。
すると
ドタドタドタドタ…バァンッ
「「「「「「「「一刀(さん)(兄様)❗」」」」」」」」
炭華、禰豆子、しのぶ、アオイ、真菰、なほ、すみ、きよの八人が廊下を走って一刀の部屋へと雪崩れ込んだ。更に
「よもやよもや、胡蝶妹までも廊下を走るとは…」
「うふふ、それだけ一刀君のことが心配だったのよ」
皆より遅れて杏寿郎とカナエが入室した。
「みん…、ゴホッゴホッ❗」
喉が渇いているせいか、一刀は咳き込んだ。
「兄様、まずはこちらを飲んで下さい❗」
なほは、サイドテーブルに置かれてある水差しの水をコップに入れ、一刀に手渡す。一刀はしのぶの手を借りながら起き上がりそれを受け取ると、一気に煽った。そして水を飲み干し、一刀はコップを差し出す。なほは再びコップに水を注ぐ。そしてまた一気に飲み干す。因みに水差しの中に入っている水には、柑橘類の輪切りが入れられている『果実水』である。
「……プハァ❗」
四杯目あたりでようやく喉が潤った一刀は、一息ついてコップをサイドテーブルに置いた。
「一刀さん、落ち着きましたか❓」
しのぶは一刀の背中を擦りながら聞く。
「えぇやっと。皆、心配させてすまない」
一刀はベッドの上で頭を下げる。
「本当ですよ❗無限列車の任務から二週間もの間、ずっと寝ていたんですから❗」
「お姉ちゃんの言う通りですよ❗私たち、このまま一刀さんが…、死んじゃう…かも…、しれない…と…、思って…」
「禰豆子さんの言う通りですよ。心配させたと思うなら、今後こう言った無茶はしないで下さい、約束ですよ❓」
炭華と禰豆子は一刀に抱きついた。しかも禰豆子は泣きながら。しのぶは禰豆子の頭を撫でながら一刀に今後の無茶はしないように約束させようとする。
「ごめん、無茶をしない約束はできそうに無い」
だが、一刀は約束はできないと言った。
「無限列車と融合していた下弦の壱は、『最後の下弦の鬼』と言っていた。それはつまり、『十二鬼月の下弦は自分以外いない』と言うことだ」
「即ち、『十二鬼月はもう"上弦"しかいない』と言うことになる。今後の任務は過激さが増すだろう。十二鬼月が上弦しかいない今、無事でいられる"保証"が無い」
一刀は列車の中で聞いた魘夢の言葉を伝えた。
「確かにこれから鬼の動きは活発化するだろう。鬼が活発になれば、それだけ悲しむ人が増える。だが我々は例えどんなに傷ついても刃を振らなければならない。一人でも多く"明日"を向かえるために」
杏寿郎が一刀を嗜めるように言葉を紡ぐ。
「とかカッコいいこと言って、煉獄さんはこの前の会議で『柱を引退する』って言ってたじゃないですか」
そこにしのぶが口を挟む。
「一刀さん、貴方が目覚める三日ほど前に緊急柱合会議が開かれました。そこで煉獄さんは柱を引退することを表明しました。ですが、柱を引退する"だけ"で、鬼殺隊そのものは辞めないと言っておりました」
しのぶが急遽開かれた柱合会議について話をした。
「そして上弦の参を倒した一刀さんの階級を"甲"にすることが決まりました」
しのぶが一刀の昇級を伝えると、杏寿郎とカナエ以外の者が騒ぎだした。
「凄いです一刀さん❗階級が一番上の甲になるなんて❗」
「お姉ちゃんの言う通りですよ❗ひょっとしたら、このまま柱になっちゃうかも❗」
「そうなったら兄様、一気に大出世です❗」
「「凄い凄い❗」」
一刀はちやほやされて満更でも無かった。
「とにかく、今は体を休ませるのが貴方の"任務"よ。ゆっくりしておきなさい」
カナエは一刀の額に口付けをすると、そのまま退室し他の皆もぞろぞろ連れ立って退室した。
…
……
………
それから数日後、一刀は機能回復訓練の一つ、柔軟をしていた。そこには三人娘の他、アオイとカナヲの姿もあった。因みに一刀が目を覚ました日は、カナヲは偶々任務で蝶屋敷にいなかったのである。
「う~ん、やはり三週間もの間寝たきりだったから体が硬い」
一刀は体からバキバキと音を鳴らしながら愚痴る。
「仕方が無いわよ。起きてしばらくは"歩くための訓練"をしなくてはいけなかったんだから。ほら、もう一本いくわよ❗」
華琳は一刀の背中を押しながら一刀の柔軟を手伝う。
「イデデデデデッ。華琳、もうちょっと優しくしてくれ❗背骨が折れたらどうすんだよ❗❓」
「アンタはそんな柔な体してないでしょ❓ほら、ゆっくり息を吐いて❗」
グイッ
「ちょっと❗本当に痛いんだって❗こっちは病み上がりなんだよ❗❓」
「いいからさっさとやる❗」
…
……
………
「………」チーン
華琳の"地獄の柔軟"を終えた一刀は真っ白になって倒れていた。
「全く、これくらいで根を上げるなんて。アンタ、前より弱くなったんじゃない❓」
「「「「「今のは華琳さんが悪い❗」」」」」
「えぇっ❗❓」ガーン
アオイたちに指摘された華琳はガックリと肩を落とす。
「さっさ一刀さんが言ってた通り、病み上がりの人にあんな柔軟をさせては復帰できなくなりますよ❗」
アオイに指摘されたことを華琳は落ち込みながら聞いていた。
「お兄ちゃん、大丈夫❓」
カナヲは上から一刀を覗き込む。
「カナヲ…。何とか…」
一刀はかろうじて返事をする。
「とにかくこれでは、反射訓練と全身訓練は無理そうですね。残りは明日にして、今日はこれで終わりにしましょう」
アオイは一刀の様子を見て、訓練の終わりを告げる。一刀はカナヲの手を借りながら立ち上がり、道場を後にした。
その翌日、一刀は"軽い柔軟"をし、ちゃぶ台を挟んでアオイと向き合う。
「それでは…、始め❗」
ダダダダダダダダダダダダダダッ
まず華琳の号令でアオイと反射訓練を行うが、一刀は思うように体が動かなかったので、アオイと互角の勝負となる。
そして
バシャッ
「そこまで❗」
一刀はアオイに"敗北"した。因みに湯飲みの中は薬湯では無く、ぬるま湯である。
「……うそ」
一刀にぬるま湯をかけたアオイはその姿勢で呆然となる。何故なら、今迄アオイは一刀に『一度も勝てなかった』からである。
「あちゃ~、負けたか」
一刀はずぶ濡れ状態になりながら、一言洩らす。
「一刀、アオイ。呆けてないで、次は全身訓練よ」
華琳に促されて全身訓練の準備をする。
「それでは…、始め❗」
全身訓練も華琳の号令で始まる。今はアオイが逃げる方で、一刀が追いかける方である。しかし
「そこまで❗」
時間いっぱいとなり、アオイは一刀から逃げ切った。
「それじゃ今度はアオイが追いかける方で、一刀が逃げる方ね。それでは…、始め❗」
今度は一刀が逃げ、アオイが追いかける。しかし
ガシッ
「そこまで❗」
これでも、一刀はアオイに捕まった。
「お兄ちゃん、大分衰えてる」
今まではアオイは愚か、カナヲですら一刀には一度も勝てなかったのに、今はアオイに負けている始末である。
「一刀さん、諦めずに頑張りましょう❗何時でもお相手します❗」
アオイは一刀を励まそうとする。
「ありがとうアオイ。けど、今はちょっと休ませて欲しいかな…」
一刀はそう言って、道場を後にする。
「兄様、落ち込んでましたね…」
「無理も無いです。兄様、今まではしのぶ様と互角の勝負をされていたのに…」
すみときよが一刀の心配をする。
「大丈夫よ」
そこに華琳が口を挟む。
「一刀は今体力が無くて調子が出ないだけ。体力が戻ればいつもの調子に戻るわよ」
「「……はい❗」」
すみときよは元気よく返事をする。
…
……
………
「……ふぅ」
一刀は道場を出た後、縁側に座りため息を一つ吐く。
「一刀さん」
そこにしのぶがやって来て一刀の隣に座る。
「大丈夫ですか❓背中から哀愁を漂らせていましたけど…」
「うん…、ちょっと…ね」
一刀は口数少なく返事をする。
「もしかして…、訓練でアオイに負けたから…、ですか❓」
「❗❓」ビクッ
図星を言い当てられ、一刀は肩を震わせる。
「大丈夫ですよ。今の貴方は体力が落ちているだけです。頑張って体力を取り戻しましょう❗」
しのぶは一刀の肩を軽く叩きながら励ます。
「ありがとう、しのぶ」
一刀は笑顔で答える。
「よし❗こんな所で黄昏てなんかいられないな❗早速走り込みだ❗」
一刀は立ち上がると、そのまま走り去って行った。
…
……
………
「それでは…、始め❗」
ダダダダダダダダダダダダダダッ
一刀が励まされてから数日後、一刀はカナヲと反射訓練をしていた。一進一退の攻防が続く中
バシャッ
「そこまで❗」
一刀がカナヲにぬるま湯をかけた所でアオイが終了のかけ声を出す。
続く全身訓練でも一刀はカナヲから逃げ切り、カナヲを捕まえることができた。
「もうすっかり元通りね」
華琳は一刀に手拭いを渡しながら労う。
「華琳たちのおかげだよ。ありがとう」
一刀は汗を拭きながらお礼を言う。
「別にこれくらいで礼を言われるほどじゃ無いわよ」
華琳は顔を赤くしながらそっぽを向く。
「でも、まだ本調子じゃ無いから無茶はできなさそうだけどね」
一刀はケラケラ笑いながら言う。
「私たち的には、これ以上一刀さんに無茶をして欲しく無いですけどね」
アオイは一刀の背中に抱きつきながら言う。
「毎度のことながら、どうして俺の背中に抱きつく❓」
「だって、ここ最近『一刀さん分』を補充できていなかったんですから我慢して下さい❗それに、役得じゃありませんか❓」
アオイは背中に押し付けている胸を更に押し付ける。
「アオイ、これ以上押し付けるなら俺に『近づくこと自体』止めさせるぞ❓」
一刀がそう言うとアオイは即座に背中から離れた。
「全く、どうしてこうも俺に引っ付きたがるかねぇ」
一刀は後頭部を掻きながら愚痴る。
「あら、あれは彼女なりの"愛情表現"よ❓そんな露骨に嫌がったら可哀想じゃない」
今度は華琳が一刀の腕に抱きつきながら言う。
「つまりこれも、華琳の愛情表現って訳か❓」
「そう言うこと。アオイさん、これからは遠慮無く引っ付いていいわよ。私が許すわ」
華琳がそう言った瞬間、アオイは背中に、カナヲが華琳とは反対の腕に抱きついた。
「あらあら~。女の子に抱きつかれて、まるで『両手に花』って感じね~」
そこにカナエが一刀たちの状況を分析する。
「カナエさん、そんなこと言わずに助けて下さい❗こっちは引っ付かれて身動き取れないんですが❗❓」
「ダメよ~❓女の子を無理矢理引き剥がしたりしたら」
カナエは手を振って道場を後にする。
「一刀、もし"理性"が振り切れそうなら、無理しなくてもいいわよ❓ちゃんと受け止めてあげるから❤️ねっ❓」
「「はい❤️」」
「………」ガックシ
華琳たちの言葉に項垂れる一刀であった……。
次に出す恋姫のキャラは❓
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春蘭、秋蘭の夏侯姉妹
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季衣、流琉
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凪、沙和、真桜の三羽烏
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桂花、稟、風の曹魏三軍師
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霞
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天和、地和、人和の張三姉妹