ソードアート・オンライン インテグラルファクターX ーアインクラッド・メモリーズー   作:No 77777

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第一層 星を束ねし者と双子座の兄弟
金髪の紳士と腐れ縁の双子


「マーベル様、目的地までもうそろそろかと」

 

「わかった。ありがとう」

 

 車の後部座席の右端に座る金髪の青年は、微笑んで運転手に礼を述べた。

 少年の名はマーベル・S(スターライト)・ノーズ。アメリカのシアトルに本社を持つ大手企業の社長の甥であり、社長の弟である父は日本の支社長をしている。

 彼もまたSAOサバイバーの一人であり、アバター名はマーベラス。攻略の最前線にいたギルド、デスティニー・スターズ(通称D・S)のリーダーを努めていた。

 メンバーは皆、トッププレイヤーに相応しい実力を持っている上にルックスがいい。故に応援するファンも多く、アイドルギルドとも呼ばれていた。

 かつては何百人ものプレイヤーがイケメン・美少女と一緒にいたいという理由でギルドに加わろうとしていた。

 だが加入を認めるテストとして同性のギルドメンバーとデュエルによる手合わせをさせても、邪な気持ちを持つ人達に限って実力が伴っておらず、実にあっけなかった。

 明らかに足手まといになるようなプレイヤーを加えるほどマーベラスは馬鹿ではないので、上手く言ってギルドへの加入を諦めるよう話術で誘導したのだ。

 現在、マーベラスは同じギルドのメンバーでもある二人の腐れ縁と共に、執事の運転するリムジンでかつての仲間達との集合場所――ダイシー・カフェに向かっているところだ。

 

「もうすぐ仲間たちと感動の再開だね。ギルドのメンバー全員が揃わないのは残念だけど」

 

「みんな入学の準備で忙しいんだ。俺達だって、何とか時間を作れたんだからな。それに、全員で帰ってこられたんだ。帰還者学校に入れば、また会えるさ」

 

 笑顔でありながら少し寂しそうに言うマーベラスに、黒みがかった茶髪を左横分けしたメガネのイケメンは落ち着いた感じで元気づける。

 彼の名は二見智(ふたみさとし)。SAOでのアバター名はカストル。D・Sの財布役で、商売による資金稼ぎと盾・鎧の作成でギルドを支えたアイドル商人である。

 

「ま、会えたら会えたで、いろいろ面倒だけどな」

 

 一方、困り顔でそう言うのは、カストルと瓜二つの顔をした少年であった。ただし髪は右横分けで、メガネは掛けていない。

 二見浩(ふたみひろし)。カストルの双子の弟で、SAOでの名はポルックス。戦って武器の作成もできるアイドル鍛冶師である。

 この双子の兄弟は、ギルド全体をサポートするための非戦闘スキルを持ちながら戦闘も強く、兄弟揃って《双璧》の通り名で呼ばれた名タンクなのだ。

 ちなみに星座は双子座であり、アバター名の由来もそこから来ている。

 

「……まあ、確かに」

 

 カストルは弟に同情した。なぜなら、兄弟揃ってリアルの女性が苦手だからだ。

 D・Sは最終的に女性プレイヤーの方が多くなった。否、カストルとポルックスにとっては、多くなってしまったと言う方が正しい。MMORPGは男が圧倒的に多いにも関わらず。

 しかも女性陣はクセの強い人物が多く、二人はかなり苦労した記憶がほとんどだ。カストルは女子の出費の多さに頭を悩ませ、ポルックスは武器の作成で失敗しないようくどく言われた上に、八つ当たりの対象にされて散々だった。

 更にみんな美少女だったこともあって、野郎達から嫉妬の眼差しを向けられたことも多い。

 その度にポルックスはそいつらに言いたかった。こっちはお前達が思っているほどイイ思いなんてしてねーんだよ! むしろストレス溜まって大変なんだよ! と。

 

「二人とも、そんな風に言うものじゃないよ。僕たち、共に困難を乗り越えてきた仲間じゃないか」

 

「そう言われても、かなり振り回されたのは事実だし……」

 

「だいたい、オレ達がリアル女子苦手なの知ってて、女子を受け入れっからだろ」

 

 苦笑いで言うマーベラスに、カストルとポルックスはげんなりと返した。

 マーベラスは十歳の頃、父の仕事の都合でカストルとポルックスの家の近くに引っ越してきた。その時から交流が始まり、やがて腐れ縁となったのだ。

 そのため、双子の兄弟が女性に苦手意識を持つことも、その原因が怒ると怖い母、何かと理由をつけてプロレス技で八つ当たりしてくる姉であることも知っている。

 なのに、紳士的なプレイボーイは女子をギルドに入れた。この世の全ての女性を平等に大切にするイイ男なのだが、SAOではそのせいでリアル以上に精神的に疲れてしまった。

 

「まあ、それは否定しないよ。おっと、メールだ」

 

 受信音に反応したマーベラスはズボンのポケットからスマホを取り、メールを確認する。

 

「……エトワールからだね」

 

 そう言うと、マーベラスは双子の兄弟にスマホの画面を見せる。

 

『私たちが先に着いたよ。残念でしたー』

 

「……はあ、たったそれだけか」

 

「ったく、いちいちそんなのいらねーっつーの!」

 

 カストルはため息をつき、ポルックスはうんざりした。SAOで二年以上の付き合いだけあって、明らかに自分達を誂うのが目的だと分かっていたからだ。

 

「ははっ、彼女らしいね。まあエトワールもそうだけど、戦闘面ではレディたちに助けられたことも何度かあったじゃないか」

 

「そ、それを言われると……」

 

「否定できねーな……」

 

 マーベラスに事実を言われ、双子の兄弟は観念した。

 カストルとポルックスは顔がイケメンであるため、自然と女子がやってくる。だが苦手意識があるせいで口論になったことも少なくない。そんな時にマーベラスは女性とのコミュニケーションのとり方を教えてきたのだ。

 確かにカストルとポルックスに色々と苦労させてしまったことは否めないマーベラスだが、エトワール達がいなければ脱する事のできない窮地もあった。

 もし仲間達がメンバーにいなければ、こうしてリムジンの中で昔話をすることもできなかったかもしれない。

 なんだかんだ言って、女性との接し方でも浮遊城の戦闘でも、双子の兄弟は腐れ縁のマーベラスに助けられているのだ。

 

「仕方ない。せっかくの再開だし、気持ちを切り替えよう」

 

「そうだな。共に戦った仲間とまた会えるのは楽しみだしな」

 

「うん。僕も楽しみだよ」

 

 カストルとポルックスは昔の苦い思い出よりも、今を楽しむことにした。

 こうしてマーベラスは、上手く腐れ縁の双子を誘導したのであった。

 

 * * *

 

「……はあ、なんか疲れた」

 

「……そうだな」

 

 エトワールとスバルの口ゲンカはレグルスの言ったとおり、ケンカ疲れで終息した。

 現在、ダイシー・カフェでは、生還者達が入院中に何をしていたかという話題になっていた。

 多かったのは動画鑑賞で、リーファは剣道、シアンはアニメ、クラインはネットで話題になっていた時代劇、ZとKは人気の格ゲーのバトル、レグルスは最近のボクシングやプロレス等といったスポーツの名試合と、様々である。

 あと、アルゴはネットサーフィンで情報収集をしていたが、キリトはアスナと、サチはスバルとLINEで励まし合っていたらしい。そのラブラブっぷりをアルゴに茶化されたり、クラインに至っては「チキショー、リア充爆発しろーっ!」と泣きそうな声を上げていた。

 実はここに来るリクとコハルもそうだった事をキリトは知っていたが、クラインのために敢えて言わなかった。

 

 カラン、カラーン!

 

 丁度、話で盛り上がっていた時、金髪の外国人みたいな容姿をした人物が店に入ってきた。顔が瓜二つの双子も後から続く。

 

「やあ、みんな。久しぶりだね」

 

「おっ、来たかマーベラス!」

 

 爽やかな笑顔で現れたD・Sのリーダーの名を、スバルは嬉しそうに呼んだ。カストルとポルックスも「久しぶり」「よう」と挨拶し、キリト達も「やあ」等と返した。

 

「会えてよかったー。元気にしてた?」

 

「うん。リハビリは大変だったけど、レディたちの応援もあって、ご覧の通りさ」

 

 先程の口ゲンカによる疲れなど嘘のように朗らかに尋ねるエトワールに、マーベラスは腕を広げて自身の健康をアピールした。

 

「はぁー、相変わらずキザな野郎だなぁ……」

 

「あれ、クラインさん、どうかしたんですか?」

 

 いかにも元気なさげな野武士面の男に、マーベラスは心配そうに尋ねる。

 

「気にしなくていいゾ。男の嫉妬ダ」

 

「まあ、マーベラスさんたちが来る前に、お兄ちゃんやサチさんが入院中のアツアツ話をしたので……」

 

「そう、だったんだ」

 

 アルゴとリーファの言葉で、マーベラスは原因をなんとなく察した。

 金髪の紳士はリアルでも多くの女の子と交流がある。入院中も事件に巻き込まれる前から交流のある女子達がお見舞いに来ていたことを、先程のセリフで言ったも同然であるため、嫉妬しているのだ。

 SAOでは野武士面の男はモテなかったのに対し、金髪の美形は自然と女性達が寄ってきた。故にクラインはマーベラスをライバル視しているのだ。

 マーベラスもその事は自覚している。かつては何度かデュエルもしたことがあるのだが、クラインは一度もマーベラスに勝った事がなかった。

 決して見下している訳ではない。クラインの実力自体は認めている。

 だが、マーベラスにとって一番の好敵手(ライバル)はたった一人。キリトやZ等といった強者がいても、それは金髪の紳士にとって変わらない事実である。

 

「ところで、まだ全員集まっていないみたいだけど……」

 

 カストルは話を逸らすために、気になっている事を訪ねた。それに答えたのはZである。

 

「アスナとシノン、それからGVはエギルさんと一緒に料理を手伝ってて、もう少しで終わる。あと、クロウとザ・ファントムのメンバーは遅れて来るそうだ」

 

「それじゃ、後は緑の勇者と魔術師のおしどり夫婦を待つだけってことでいいんだな?」

 

「ああ、来るタイミングはコハルが教えてくれる」

 

 今度はポルックスが確認の為に聞くと、キリトは予定通りだと言わんばかりに伝える。

 今回の集まりは、ただ再開を祝うだけではない。二大英雄の一人――リクにとって大きなサプライズでもあるのだ。

 

「……もうすぐ、リクに会えるんだね」

 

 マーベラスは感慨深げに言った。

 彼はダイシー・カフェにいる女の子達よりも、戦友でもある一番の好敵手との再開を心待ちにしているのだ。

 

 

 

 




 新たなるオリキャラ、参戦!
 と、スマブラ風に書いてみました。

 彼らの活躍をお楽しみに!


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