ソードアート・オンライン インテグラルファクターX ーアインクラッド・メモリーズー 作:No 77777
「悪いナ。時間ギリギリになっタ」
「いや、別にいいよ。さっき来たばかりのヤツらもいるからさ」
アルゴは侘びるが、キリトは全く気にしていない。他のみんなも同じ様子だ。
そんな中、Zはリクとコハルの姿を見ると、「おっ」と反応する。
「よう、Z」
「こんばんは」
「リク、コハルちゃん。来てくれたのか。悪い、二人には招待状を送らなくて」
二人が挨拶すると、Zは申し訳無さそうに謝った。仲間はずれにしたと思われているかもしれないと思ってのことだが、リクもコハルも不快な表情など見せていない。
「別にいいよ。俺とコハルは攻略の最前線にいなかったんだ。それに、マロメで再開した時点じゃ、まだ攻略するか決めてなかった。そんな俺達のことを考えてのことなんだろ?」
「まあな。無闇にフロアボス戦に参加させるわけにもいかなかったし、意思を聞こうにも動き回っていて会えなかったしな。お前達がこの街にいるって知ったのも、たった今だ」
「そうか。でも、このフロアボス戦には参加するぜ」
「はい、まだ本格的に攻略するかは決めてませんけど、私とリクはこの浮遊城で誰かのためにできることを見つけようと思ったんです。だから、まずはできることをします」
「なるほどな」
Zはリクとコハルの強い意思を感じ取り、納得した。
この二人は、アインクラッドにおいて重要な存在となる。Zの勘はそう言ってた。
「ほう、大したやつだな」
そう言って近づいてきたのは、顎髭を生やした男だ。Zと一緒に来たプレイヤーである。
「えっと、あなたは?」
「俺は太刀川慶だ」
「「「「「…………」」」」」
明らかにリアルともいうべき名前を聞き、その場にいた全員が唖然としてしまう。
「いや、Kさん。ネトゲで本名言うのはダメだって」
「おっと、悪い。頭じゃ分かってるんだが、仮想世界じゃ体動かすから、ついリアルと錯覚してな」
Zにやんわりと注意されるが、太刀川慶はリアルばれしたらまずいというのに、かなり緩い。
「今のは聞かなかったことにしてくれ。俺はKだ」
「いや、もう遅いだろ!」
太刀川慶、改めKは何事もなかったかのように振る舞うが、リクにツッコまれた。
こんな人がフロアボス戦に参加して大丈夫なのか? そんなみんなの不安を察したのか、Zはフォローに入る。
「俺とKさんはリアルでも知り合いでな。こういう人だが、実力は確かだ」
「まあ、Zがそういうなら確かだろうな。それより……」
キリトはベータテスト時代の戦友にしてライバルだった男の言葉をとりあえず信じることにして、目線をZと共にやってきた少女に移す。
「その女の子は誰なんだ?」
少女の外見はポニーテールに結わえた薄紫のロングヘア、赤い瞳、そして濃紫の服。
だが、リクとコハルを除いたベータテスター達は初めて会う気がしなかった。
ベータテスト時代にも似たプレイヤーがいたような……。
「ああ、ここに来る途中で見かけてな。誘っても頑なだったから、説得するのに時間が掛かった」
「大事な話をするっていうから、仕方なく来たのよ」
Zの説明で時間ギリギリになった理由は分かったが、返す少女は辛辣そうだ。
「それで、誰だと思ウ?」
アルゴが顔をニヤけさせて参加者達に聞くが、みんな焦れったくなってしまう。明らかに『鼠』の異名を持つ情報屋は少女の正体を知っている感じだ。
そんな中、代表して答えたのはスバルであった。
「……もしかしてミトか?」
「ピンポーン。正解ダ、バル坊」
「「「「「…………」」」」」
少女の正体を知ったベータテスターの猛者達は目を見開いて固まってしまう。ミトという少女も横目になっている。
「みんな、どうしたんだ?」
「ミトさんのこと、知ってるんですか?」
リクとコハルは状況が理解できないので尋ねた。他のビギナー達も同じく気になっている。
「まあ、確かに知ってるけど……」
中性的な容姿の少年が先に話し始めるが、どうも歯切れが悪い。その続きを答えたのは、平凡そうな少年だった。
「ミトはキリトやZ同様、攻略の最前線にいたベータテスターの中でもトップクラスのプレイヤーだったんだ」
「えっ、そうなの? すごいじゃん!」
エトワールは同性のプレイヤーが実力者だと知り、食いついてくる。レグルスも「ほう」と興味津々に笑みを浮かべる。
ならばZが誘ったのも頷ける。リクとコハル、マーベラスとカストルもミトという少女に尊敬の念を抱くような気持ちになってしまう。
しかし、黒髪パーマの少年から出たのは驚きの発言であった。
「ただ、俺達の知っているミトの姿は……長身のギョロ目に、厳つい風体の男だった」
「……つまり、性別を偽ってたってこと?」
「そういうことだな。ネカマの逆、ネナベってやつだ」
穏やかで物腰の柔らかそうな少年が確認のために聞くと、ポルックスは気難しそうに答える。
「「「「「…………」」」」」
そして、遂にあまりの衝撃に全員が固まった。
「にゃハハ、予想通りの反応だナ」
「はあ……こうなると思ったから、本当は来たくなかったのよ」
アルゴが愉快に笑うが、ミトはため息をついた上に頭を抱えてしまう。
そんなベータテスト時代の実力者である少女から、リクとコハルはどこか哀愁漂うオーラを感じたので、フォローすることにした。
「ま、まあ、昔の事だから、もういいだろ」
「そ、そうですよ。どんなプレイをするかは、人それぞれじゃないですか。ですよね、キリトさん?」
「え……そ、そうだな」
話を振られたので、キリトはとりあえず賛同した。
「いい人たちに出会えたな、ミト」
「余計なお世話よ」
Kは慰めたが、ミトは不機嫌そうに返す。
やっぱり来るんじゃなかった、と思っていても手遅れだ。
「それじゃ、みんな集まったところで親睦会を始めるか」
ミトに申し訳なく思いつつも、Zは開催を宣言する。
まずは、ここで初めて顔を見る者同士もいるだろうということで、それぞれ自己紹介から入ることになった。
最初は親睦会の発案者であるZ、場所を提供したキリト、そしてベータテスト時代にネナベプレイをしていた鎌使いのミトという順番で、アルゴ、マーベラス、カストル、ポルックスと、前半はミトを除けばリクとコハルも知っている人物だ。
それから後は今回の親睦会で初めて出会った人達で、黒髪パーマは短剣使いのジョーカー、穏やかで物腰の柔らかそうな人物は細剣を武器とするクロウ、中性的な容姿は最前線でも珍しい片手用突撃槍使いで盾持ちのヒロ、そして平凡そうな少年は片手直剣使いのクロムと続いた。
後半は片手槍使いの盾持ちスバル、短剣使いのレグルス、サーベル使いの盾持ちエトワールと紹介は続くが、エトワールは一昨日の指輪を巡る諍いでキリトに助けられたことを公表。もちろん内容にはデュエルをしたことまであるため、助太刀した本人は慌ててしまい、スバルとレグルスは心の中で恩人に謝罪した。
部屋にいたプレイヤーの内、初めて知った半分近くは微妙な表情(Kだけは面白そうにしていたが)をしていた。デスゲームである今のSAOでHPを減らす行いをしたのだから、無理もない。
一方でコハルはリクを、双子の兄弟はマーベラスを横目で見ていたが、やはり顔が引きつっていた。
キリトは人助けをしたのだからマシだが、二人はコハルを巡って衝突したのだ。褒められた行為ではない。
リクはチラリとアルゴの方を見るが、目が合った上に相手は「ニシシシ」と笑い顔だった。有能な情報屋は既に知っているが故に余裕なのだろう。
だから心の中で祈らずにはいられなかった。この黒歴史が金で売られませんように、と。
それから曲刀使いのKの紹介に入った。しかし自分の好物がうどん、餅、コロッケであること、ゲームで勝つのが好きで、リアルでのゲームの功績とやたら自分の事を話す上に、顎髭を生やしている理由が「その方が頭よさそうって言われた!」等と聞いてもないことまで言うので、周りはうんざりしてしまっていた。
空気を察したZは「Kさん、もうその辺で」と強引に終わらせてリク、最後にコハルで自己紹介は終わった。
「さてと、みんなの紹介も終わったところで……」
飄々としたZは真剣な面持ちとなり、他のみんなも表情が険しくなる。
「まず話しておく。知ってるヤツもいるだろうけど、攻略の最前線に立っているパーティーが、もうすぐ迷宮区の最上階に辿り着こうとしている。そのリーダーであるディアベルってプレイヤーが、近いうちに攻略会議を開く。お前たちをここに集めた本当の目的は、その時の懸念事項を伝えるためだ」
「…………やっぱり、そういうことなのか……」
スバルが息苦しそうに言う。他のプレイヤー達も顔に不安の色を滲ませている。
ベータテスター達は予測しているのだ。攻略会議で起こりうる最悪の事態を。
「会議は、ベータテスターのせいで荒れる。おれのカンがそう言ってる」
劇場版プログレッシブより、ミト参戦!
映画を見ていないので、出そうかどうか迷っていました。
でも、IFやアンリーシュのイベントでキャラクターを知ることができたので、何とか出すことができました。
それと、パロキャラについて一部答え合わせをすると、ジョーカー、クロウはペルソナ5のキャラクターです。ヒロとクロムもそうですが、彼らの活躍に乞うご期待!