ソードアート・オンライン インテグラルファクターX ーアインクラッド・メモリーズー 作:No 77777
2022年 12月3日 第一層 トールバーナ
昨日の最初の攻略会議によって、プレイヤー達の士気は大きく高まった。そのためか、第一層迷宮区の最上階はキリトら元ベータテスターの予想を超えるスピードでマッピングされた。
そして、昨日と同じ時間帯に二回目の攻略会議が始まる。参加者は昨日と同じ五十五人。誰一人欠けてはいない。
ディアベルは自分の率いているパーティーがボス部屋を発見し、扉を開けて主の顔を拝んできたことを参加者達に報告。プレイヤー達は「おお!」と感嘆の声を上げ、中には自分の事のように喜ぶ者もいた。
そして、とうとう明日の午前にボスを討伐することを会議の参加者達に伝えたのだ。今回の会議の内容は、戦うための作戦を立てることだ。
「それでボスに関する情報だが、実は先ほどガイドブックの最新版が配布された」
青髪のナイトがそう言ってオブジェクト化したのは、羊皮紙三枚を閉じたパンフレットだ。
アルゴの攻略本・第一層ボス編。その名の通り、この層のフロアボスに関する情報が細かく記載されている。親睦会の参加者達はZからの情報で即座に道具屋で手にしており、アスナも入手済み。もちろん、値段はタダ。
「ボスの名前は《イルファング・ザ・コボルドロード》、取り巻きに《ルインコボルド・センチネル》がいる。ボスの武器は片手斧とバックラー。四段あるHPバーが最後の一段になると、曲刀カテゴリーのタルワールに持ち替え、攻撃パターンが変わるそうだ。取り巻きについては、武器は
ディアベルが読み上げる内容は正確だが、キリトを始めとする元ベータテスター達には分かる。
情報は、ベータテスト時代そのものだ。
「なお、最後のページには『情報はベータテスト時のもので、変更されている可能性がある』と書かれている。当日はその点も踏まえて、慎重に戦おうと思う」
以上が、攻略本に書かれている内容の全てだ。
他の親睦会の参加者達も既に攻略本を手にしているので知っている。しかし最後のページに赤ペンで書かれた一文は、元ベータテスターである可能性が高いと思わせるため、キリト達はアルゴの身をどうしても案じてしまう。またビギナーと元テスターの間に不和が生じれば、アルゴが真っ先に非難の対象となるからだ。
昨日の夜、キリトは部屋にやってきたアルゴからベータテスト時代のボス情報を出すことを予め聞いていた。Zからも了承を得ているそうだ。
キリトも大丈夫なのかと心配したが、「オレっちなりの覚悟だヨ」と返された。攻略に参加しないアルゴの、犠牲者を出させないために役立ててほしいという意思表示なのだろう。
確かにベータテスト時の情報だと書いたおかげか、ディアベルの安全策には誰も反対していない。ならば、アルゴの覚悟を無駄にしないためにも犠牲者ゼロでクリアしなければ。
「ボスの情報は以上だ。次は当日のボスとの戦い方について話そうと思う。だけどその前に、レイドの形を作らないと役割分担もできないからね。みんな、まずは仲間や近くにいる人と、パーティーを組んでみてくれ!」
(……ま、そうなるよな)
キリトは落ち着いた感じで、ディアベルの提案を受け入れていた。
ソロのままだったら慌てていただろうが、今は違う。
「キリトーっ! 私たちと組もうよ!」
案の定、エトワールが大声で手を振って近づいてきた。他のプレイヤー達も反応し、視線は長身の美少女に向く。明らかに目立っており、ついてきたスバルとレグルスも頭を抱えている。
「あ、ああ……」
キリトは苦笑いで応じるが、気になるのは視線をキリトに移した野郎どもだった。その眼差しは嫉妬に満ちており、キリトは居心地の悪い気分になってしまう。そんなキリトを見た親睦会の参加者達も苦笑いしたり、目を背けたりしている。
「よう、キリト」
「私たちも入っていいですか?」
そんな中、何気なく声をかける二人の人物がいた。リクとコハルだ。
「ああ、いいぜ」
「よしっ、これで六人だけど、あとは…………あ」
最後の一人を探して辺りを見渡すエトワールは、階段に座っている女フェンサー――アスナを見つけた。
「今日も来てくれたんだ。もしかして、あぶれちゃった?」
「…………あぶれてないわよ。周りがみんなお仲間同士みたいだったから遠慮しただけ」
((((((明らかにあぶれてる…………))))))
何気なく聞いたエトワールだが、癇に障ったのかアスナは不機嫌そうに返した。何だか強がっているようにも見える。
「だったら、私たちのパーティーに入らない?」
それでもエトワールは嫌な顔一つせずアスナを誘う。キリトは少々不安はあるものの、悪い気はしていない。スバルとレグルスは反対しても無駄な気がしたので、諦めてしまっている。リクとコハルはアスナと初対面だが、受け入れる気だ。
「…………じゃあ、そうさせてもらうわ」
迷いながらもアスナは受け入れた。
こうしてキリト達は七人でパーティーを組むことができたのだった。
「よし、パーティーを組むことに関しては問題ないかな」
会議の参加者達の様子を見ていたディアベルは、安心した感じで呟いていた。
開いた本人はもともと六人組で、そこにZを加えて完成している。昨日の会議で目立ったキバオウとエギルも七人揃えたようだ。
「なあ、ディアベルさん、あそこ……」
突如、Zが声を掛けてきた。彼が指を差した方向には、白地のフーデッドコートを着た銀髪のプレイヤーが階段に座り込んでいる。雰囲気からしてあぶれていることは確かだ。
ディアベルのパーティーはもう七人でいっぱいなため、仲間に入れることはできない。だが、どうも気になったので青髪のナイトは声を掛けることにした。
「キミ、ちょっといいかな?」
「…………俺のことか?」
反応した。中性的な顔立ちで性別は分からなかったが、声の低さと一人称からして男のようだ。
ディアベルは頷き、問いかける。
「攻略には参加するのかな?」
「一応、する意思はある」
「仲間はいないのかい?」
「いない。ソロだ」
「パーティーには入らないのかな?」
「人数の少ないところに入る」
男性プレイヤーはどの質問にも淡々と答える。
ディアベルとZは、このプレイヤーを不思議に思った。彼は生粋のゲーマーでもなければ、仮想世界に興味本位で入ったド素人とも違う。何か独特の雰囲気を纏っている気がしたのだ。
「よければ、名前を教えてくれないかな?」
「……アキュラだ」
「アキュラ、あそこなんてどうだ?」
Zがそう言って指差したのは、ジョーカー達のパーティーだ。親睦会に参加したメンバーで構成されており、人数は六人。一人分の空きがある。
アキュラの性格や実力は不明だが、上手くやっていけるだろう。Zのカンはそう言ってた。
「分かった」
何の文句も言うことなく、アキュラはジョーカー達のところへ向かって行った。
その後、ディアベルはそれぞれのパーティーを検分。一部のプレイヤーを別のパーティーと入れ替えさせてもらい、それぞれを
攻撃部隊は高機動高火力をコンセプトとし、片手武器、両手武器の使い手が中心だ。壁部隊は盾、両手武器による防御、支援部隊は長柄武器による敵の行動の阻害を目的としている。尚、ヒロはジョーカー率いるパーティーから支援部隊に移動させた。パーティーを守らせて支援をサポートしてもらおうというのがディアベルの考えだ。
こうしてレイドは完成。それぞれ役割を与えられたパーティーは、部隊を指揮するリーダーの名前をつけて呼ばれることになり、それぞれのリーダーが簡単な挨拶をし、ディアベルは当日の作戦を伝えた。
最後にコルは全員で自動均等割り、経験値はモンスターを倒したパーティーのもの、アイテムはゲットした人のものというルールをディアベルが提案し、全員異存はなかったので無事に採用され、二回目の攻略会議は終了した。
祝! アイメモ本編、五十話達成‼
ちなみにアイラジは数に含まれておりません。
さらに、アキュラが参戦! アイメモのGVとは上手くやっていけるのか?
これからもアイメモをよろしく!