「ま、負けたーレスリング!!」
バァン!(大破)
盛大な爆発を起こし、レスリングワルド……否、巨大化した
街中に展開されていたレスリング会場も消滅し、これで今回のトジテンドの侵略作戦も完全に阻止することができたのだ。
OPとAパートの間のCM中に敵との決着がつくなんてよくある展開だからね、仕方ないね。余計な戦闘はパパパッと端折って……終わりっ!
ゼンカイジャーの五人も、トジルギアが破壊されレスリングトピアが解放されたのを確認して変身を解く。
「ぬわああああああん疲れたもおおおおおおおん」
「チカレタ……」
「いやもうキツかったですねー今日は」
次々に疲労を口にするジュラン、ガオーン、ブルーン。
身体を構成しているものが機械のキカイノイドとはいえ、その本質は生き物なのだから戦いで体力を消耗するのも当然と言える。
ゼンカイザーの姿を解いた五色田介人も
「あぁもう今日は……すっげえキツかったゾ~」
と、疲れを隠せない様子だ。それほどレスリングワルドが強力な怪人だったのだろう。
「お疲れっした!」
そんな男たちを、ゼンカイジャー唯一の女性メンバーであるマジーヌがねぎらう。
どこから取り出したのか、手にしたタオルを四人に配りながら。
「ジャケットがもう……ビショビショだよ///」
「あーもうメガネビショビショですよぉ~」
上着を脱ぎ、マジーヌから渡されたタオルで体の汗を拭くガオーン。
ブルーンもメガネを外して、レンズについた汗のしずくを拭きとっている。
「風呂入ってさっぱりしようぜ~」
汗や汚れを流そう、とジュランが銭湯に行くことを提案した。
みんなも賛成するが、ガオーンだけが不満げな表情を浮かべる。
「なんでキカイノイドなんかと入る必要があるんだい」
なにを隠そう、ガオーンはキカイノイドでありながら、当のキカイノイドが嫌いなのである。
なんでも、硬かったり冷たかったりする所が可愛くないから、だとか。
キカイノイドのみならず、ゼンカイジャーのサポートメカである地球人製の鳥型マシン『セッちゃん』にもトゲのある対応をするあたりが筋金入りだ。
そんなガオーンをたしなめる様に、チームで一番の年長者のジュランが口を開く。
「いいだろガオーン。俺もやったんだからさ」
「やったってなにを?」
「介人と背中の流しっこ」
「えっ、なに、それは……。(嫉妬) なんで僕が知らないのさ!?」
「(そんなこと俺が)知wらwなwいwよw」
「殺されてぇかお前……」
馬鹿にしたような笑いを浮かべるジュランに、頭にきますよ~! とガオーンが殺意ゼンカーイでつかみかかる。
子供番組のヒーローがそんな言葉づかいしちゃああ~ダメダメダメ(西田敏行)。
誤解のないように言うが、これは両者が本気で喧嘩をしている訳ではない。
彼らにとってはこのような付き合い♂方が普段通りなのだ。
トムとジェリーの様な、ちょっと不器用な信頼があるゆえの関係である。
とはいえ放置してエスカレートしては、二人の仲が危険な領域に突入してしまう。
介人がガオーンとジュランの間に割って入った。速攻仲裁かよお前……。(賞賛)
「まま、そう焦んないでよ。ガオーンもさ、銭湯に入りたいなら今から一緒に行けばいいじゃんアゼルバイジャン。俺がガオーンの背中も流してやるからさ~」
「(介人が言うなら)あ、いいっすよ。生き物ちゅわんと一から入浴するなんて初めてだから、楽しみっすよ」
ふてくされていたガオーンだったが、介人の言葉でいとも簡単に手のひらを返してしまった。こいつホモ♂スタイル?
「やっぱ好きなんすねぇ」
マジーヌが一言。彼女が言うガオーンの好きなものとは銭湯なのか、それとも介人のことなのか(すっとぼけ)。
「俺じゃダメか?(あすなろ白書)」
介人とガオーンのやり取りを眺めていたジュランが、二人の後ろからボソッと呟く。お前も嫉妬かよぉ!?(驚愕)
そんなジュランを慰めるように、彼の肩に手を置きながらブルーンが言う。
「ハッピーだからスキンシップするんや」
キカイノイド嫌いのガオーンは我々の世界に来るまで、キカイトピアでさぞや息の詰まる生活をしていたことだろう。
だから介人という友人を持てて、今のガオーンの気分はウキウキなのら!
楽しそうに介人と触れ合うガオーンを見て、ジュランはため息をつき、それでも暖かな眼差しを向けながらこう言った。
「じゃあ俺が一発妥協してやるか! しょうがねえなぁ(悟空)」
年配者として、自分が先に折れるという配慮をしたジュラン。
やっぱりおじさんの……心意気を……最高やな! とマジーヌも内心で尊敬の念を抱く。
「それじゃあ皆さんの心もまとまった所で、ほら行くどー」
ブルーンの声を合図に、ゼンカイジャーの五人は銭湯へ向かう……前にタオルや石鹸などを取りに、まずは自宅へ帰ることになった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
その頃、キカイトピア。
地球侵略を進行中のトジテンドの本拠地『トジテンドパレス』の謁見の間に、幹部の一人である最高技官『イジルデ』は呼び出されていた。
「 入ってこ~↑~ぉい」
扉が開かれ入室するイジルデ。
眼前には、トジテンドパレスの壁と一体化したような姿の大王ボッコワウスがイジルデを見下ろしていた。
上司ともいえる存在を前にして、イジルデは恐縮されてるんだ。
「また作戦失敗か(トジルギアが)壊れるなぁ」
レスリングワルドが倒されたことで、せっかく支配下に置いたレスリングトピアが解放されたことに小言を漏らすボッコワウス。
恐怖の大帝であるこの男、部下といえど容赦なく、ネチネチとその失敗を責め立てる。なんていやらしい上司なのだ(明治の文豪)
しかし誰も、うるさいんじゃい! さっきからブツブツブツブツよぉ! などとは口が裂けても言えない。階級制度ってのは恐えなあ。
イジルデは目をそらしながら
「いや……そげなことはないですけど」
と、その場限りのしらを切ろうとする。
「だけどないじゃんレスリングトジルギアが」
「やっぱり壊れてるじゃない……か!(憤怒)」
すっとぼけようとするイジルデだったが、ボッコワウスの側近である鳥型メカのゲゲが、言い逃れは許さないと冷淡に切って捨てた。
ボッコワウスも、大王名物の基地ドンで怒りをあらわにする。
「大変モシャモシャセン!」
「申し訳は聞き飽きたわ! 一体何度ゼンカイジャーに邪魔されれば気が済むの……だ!」
二度目の基地ドンの衝撃で転倒するイジルデ。
キャタピラとなっている下半身で必死に起き上がりながら、尚も謝罪の言葉を紡ぐ。
「すいません許してください、なんでもしますから!」
「ん? 今なんでもするって言ったよね?」
イジルデの言葉に反応したのはゲゲだ。
表情の読み取れない無機質なクチバシが、ニヤリと歪んだようにイジルデには見えた。
なんのこったよ、とイジルデが再度すっとぼけようとする前に、ゲゲは猫なで声で甘えるように、ボッコワウスに進言を始める。
「ねぇ~、ボッコワウス。こうなったら、例のトジルギアを使ったらいいんじゃないかなぁ?」
「例の……あっ、あれかぁ!」
「……あれとは、まさか……!?」
ゲゲの発言で、イジルデは忘れ去ろうとしていた忌まわしい記憶を思い起こされた。
問題のトジルギアとは、恐怖政治によって一般通過キカイノイドたちを虐げる側のトジテンドの者たちにとっても、なお恐怖すべき代物であるらしい。
恐れおののくイジルデのことなどお構いなしに、ボッコワウスは機械の腕を伸ばし、掌から一枚のギアを差し出す。
それこそが、封印されし最恐最悪のトジルギア。
『コートピア』、『アクシードトピア』、『サムソントピア』、『サンダービデオトピア』など、複数の世界を内包する『インムトピア』を閉じ込めたアイテム。
絶対に使いたくないと内心では拒否したいイジルデだが、ボッコワウスの命令には二度と逆らえない……。
「ねーほんと無理無理無理」
「無理か分かんないだろ!」
一応抵抗してみるイジルデだったが、「じっとしろお前! 逃げられねぇぞお前」と、ボッコワウスはインムトジルギアを嫌がる部下の手に押し付けた。
「小生はどうなっても知りませんぞ……」
ギアを渡されたイジルデの手は震えている。
対して、ボッコワウスの声は喜色に満ちていた。
「じゃ、ゼンカイジャーに今までのちかえしをたっぷりとさせて貰おうじゃねえか」
果たしてインムトジルギアとは、どのような力を持っているのだろうか……。(すっとぼけ)
禁断の饗宴が、今、始まろうとしていた。