愉快?不快?淫夢はなんか……あったかい!   作:ほろろぎ

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第三カイ

 ダイレスリングワルドを倒し、トジテンドの野望をまた一つ阻止した介人たちゼンカイジャー。

 今週のノルマもパパパッとこなして……終わりっ! と、意気揚々と帰宅している最中に、悲劇は起こった。

 

 介人の自宅である駄菓子屋兼カフェ、『カラフル』の近く。あずま寿しの前まで帰ってきた五人。

 

「あぁお腹空いちゃったよ~もう」

「今日夕ご飯なんだろう」

「カレーとかじゃなかった?(訛り)」

 

 などと仲良く会話しながら歩いている。

 

「卵はいってるかな今日」

「卵ォ!?」

 

 ジュランの言葉に驚きの声を上げる介人。

 その時つい余所見をしたせいで、すぐ前を歩いていたキカイノイドにブツかってしまったのだ。

 

「あっスイマセン(素)」

 

 即座に謝る介人。

 ブツかられたキカイノイドは、ゆっくりと後ろを振り返り

 

「チッ」

 

 と舌打ちをする。

 全身黒塗りの高級そうなボディーをしているキカイノイドは、見た目といい態度といい、明らかにヤクザ者である可能性が濃いすか?

 

「おい、やべぇよ……やべぇよ……」

「どうすんだよ……」

「どうすんだよ……」

「朝飯食ったから……」

 

 初めて接触するタイプの人間に、介人もジュランたちキカイノイドも動揺を隠せない。

 ブルーンにいたっては意味不明なことを口走っている。

 

「おいゴルァ! 免許持ってんのかコラ」

「アッアッアッアッ」

 

 キカイノイドは介人の前までやってくると、恫喝するように声を荒げた。

 対する介人は恐怖でいっぱいいっぱい裕次郎。ウォンツモードになり言葉が出ない。

 

「お前らゼンカイジャーとかって奴らだろ。ヒーロー活動免許もってんのかおう」

 

 以前、介人とジュランは変身&巨大化した状態で、大々的にメンバーの募集活動を行ったことがあった。

 その時のことは、その場にいたTVクルーのカメラにも収められていたため、周辺にバラま~きされ五人がゼンカイジャーであることは周知の事実となっている。

 

「おいゴルァ免許見せろ。あくしろよお前」

「はい(小声)」

 

 執拗にゼンカイジャーであることの証明書を見せろと催促するキカイノイド。

 介人は仕方なく、変身のためのアイテム『ギアトリンガー』と『ゼンカイザーギア』をポケットから出した。

 キカイノイドは二つのアイテムを取り上げると、本物かどうかじっくりと検分し

 

「よしお前オルルェについてこい」

 

 委縮するジュランたち四人を残し、介人を連れていずこかへと去っていった。

 

 

 

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 介人が黒塗りの高級キカイノイドに連れ込まれたのは、事故現場から歩いて数分の所にある事務所の中だった。

 室内は革張りの椅子が一脚と、しおれた観葉植物くんがあるのみだ。

 あとはコンクリートの外壁がむき出しで、誰かが住んでいるとは思えない寒々しさを覚える所である。

 

「ギアトリンガーとセンタイギア返してください、オナシャス!」

 

 開口一番、介人は変身アイテムの返却を願う。

 しかしキカイノイドは、その冷徹な目を向けこう言った。

 

「やだよ、おう。お前トルルァエズ犬の真似しろよ」

「へっ?」

「犬だよ。ヨツンヴァインになんだよこの野郎。あくしろよ。おい。返さねえぞ」

「やれば返していただけるんですか?」

「おう、考えてやるよ。あくしろよこの野郎」

 

 せっかちなキカイノイドに要求され、介人は仕方なく四つん這いになる。

 

「なにお前、犬のくせにお前服着てんだよこの野郎オイ! 脱ぐんだよあくしろよ」

「ハイ……」

「ズルルゥンもだよ、あくしろよ」

 

 上着を脱いだところで、ズボンも脱ぐよう言われ、やむなく全裸をさらす介人。

 情けない格好……恥ずかしくないの? とキカイノイドの嘲笑する声が耳に入ると、介人は羞恥で顔を真っ赤にした。

 その時のゼンカイザーの恥ずかしがる姿にドキドキするって

 ヒーロー凌辱だぜ!

 

「おほ^~」

 

 介人の裸体を舐めまわすように、上から下までじっくりと見つめるキカイノイド。

 その視線に寒気を感じながら、介人は再度懇願する。

 

「言うこと聞いたんだからギアトリンガー返してください! オナシャス! センセンシャル!」

「この程度で許してもらえるわけがな~い」

 

 不意に聞こえた声。それは眼前の黒塗りの高級キカイノイドのものではなかった。

 しかし聞き覚えのある声は、確かに部屋の中から発されたもの。

 ガサッ、と観葉植物くんが動く。それは本物の観葉植物ではなかった。

 

「あっ、お前は!」

 

 驚く介人。

 観葉植物だと思っていたものは、立体映像によって擬態していたトジテンドの幹部、イジルデだったのだ。

 観葉植物くんは全てを見ていた?

 

「イジルデ!? なにしてんすか、やめてくださいよ本当に!」

「こう見えても吾輩はシャイですから、シャイ。人見知り激しいですから」

 

 介人の言葉にずれた返答をするイジルデ。

 

「お前がいるってことは、もしかしてそのキカイノイドも、トジテンドの仲間なのか!?」

「そうだよ。こやつこそ、我がトジテンドが誇る最恐最悪の怪人。その名も……」

 

 謎のキカイノイドの黒塗りのボディーが変化する。

 あらわになったのは、野獣のような(するど)い眼光を持ち、鼻の横にイボがある、クッソ汚い肌をしたワルド兵士。

 

「オッス、(よろしく)お願いしま~す」

 

 男性タイプの声色にしては、妙に高いハイトーンボイス。

 とても軽い調子で、『インムワルド』は敵対するゼンカイジャーのリーダーに挨拶をした。

 介人はとっさに変身しようとするが……

 

「おっ先輩こいつギアとか探し始めましたよ。やっぱ好きなんすねぇ」

 

 すでにギアトリンガーとゼンカイザーギアは、目の前のインムワルドに取り上げられていた。

 おまけに今の介人は服すら身に着けていない。しかし彼はヒーローやから、自分の身は自分で守れるはずです。(無慈悲)

 

「クッ、全部お前たちの作戦だったのか……!」

 

 まんまと敵の罠にかかった自分に対して、介人は悔しさに顔をゆがめた。

 

「さあ、ヒーロー解体ショーの始まりや」

 

 イジルデの指示で、インムワルドが無抵抗な介人にジリジリと迫る。

 あかんこれじゃ介人が死ぬぅ! その時

 

 バァン!

 

 勢いよく事務所の扉が開け放たれた。

 

「おっ、大丈夫か大丈夫か」

 

 介人を助けに飛び込んできたのはジュラン、ガオーン、マジーヌ、ブルーンの四人。

 すでに全員、ゼンカイジャーへの変身は済ませている。

 

「ちょっと遅かったんちゃう?」

「ま、(ヒーローがピンチに到着するのに)多少(の遅刻)はね?」

 

 仲間が救援に来てくれたことに、介人は安堵の表情を浮かべた。

 そんな介人の姿を見て、ゼンカイマジーヌは驚きの声を上げる。

 

「ぬぬっ!? なんで介人は裸なんすか!?」

 

 介人が事情を説明しようとする前に、インムワルドが口を開く。

 

「俺に掘られたいから来たんだら?」

「いや、違う」

「はい、って言え」

「はい」

 

 トジテンドの奴隷になる介人。

 

「マ↓ジ↑? 僕の介人(意味深)になんてことを……ふざけんな!」

 

 憤怒に身を焦がしたゼンカイガオーンが声だけ迫真の勢いで、武器であるガオーンクローを振りかざしインムワルドに切りかかる。

 

「なんすかそれ(素)」

 

 しかし、ライオンの爪を模した鋭いクローの攻撃を受けても、インムワルドは微動だにしていない。

 ゼンカイジュランがジュランソード、ゼンカイブルーンもブルーンピッカーを構え攻撃に加わる。

 が……

 

「カスが効かねぇんだよ(無敵)」

 

 三人のゼンカイジャーの同時攻撃をもってしても、インムワルドには傷一つ付けることができない。

 

「これマジ? ただの怪人にしては強すぎるっす!」

 

 ゼンカイマジーヌが冷や汗を浮かべ、そう漏らした。

 

「無駄だよ。そのインムワルドは、810個という複数のホモトピアの世界を束ねた、最恐のインムギアを取り込んでいるのだ」

「つまり……このインムワルドは通常のワルドより810倍も強いということですか!?」

 

 イジルデの話を聞いて、驚愕の事実にたどり着くゼンカイブルーン。

 今のゼンカイジャー達は、普段であれば五人で一体の怪人を相手にするところを、八百体以上もの数を相手取っているのと同じことなのだ。ウッソだろお前!? ブルっちゃうよ……。

 

「さあ、インムワルドよ、ゼンカイジャーにとどめを刺すのである!」

「爆砕かけますね~」

 

 イジルデの命令で、インムワルドは攻撃のためのエネルギーをため込み始める。

 これほどまでに強力なワルドの全力攻撃を受けては、ゼンカイジャーといえどただでは済まないことは必至だ。

 

「あっ、そうだ。ヌヌヌマジーヌ!」

 

 攻撃が繰り出される前に、唐突にゼンカイマジーヌが魔法を発動する。

 

 魔法で作り出されたのは、彼女が手にする、なにか柔らかそうな長方形の白い物体。

 マジーヌは、スマホでも操作するようにその白い物体をタップし始める。

 そして、そのやわらかスマホを急いでインムワルドの顔に押し当てた。

 

「う、羽毛……」

 

 インムワルドはというと、うめくような声をこぼすと突然倒れてしまった。

 

「なんだと!? う、羽毛……」

 

 いきなり昏倒したインムワルドに驚いたイジルデ。

 ゼンカイマジーヌはイジルデにも同様に、やわらかスマホを顔に当て眠らせてしまう。

 

「……よし! 今のうちに逃げるっす!」

 

 眠り込んだイジルデを適当に放り投げ、ゼンカイマジーヌは介人たちに撤退することを宣言した。

 ジュランとガオーンは渋ったが、現状ではインムワルドを倒す手段がないとブルーンが説得。

 

 かくして、奪われたギアトリンガーとゼンカイザーギアを(インムワルドたちが寝ている隙に)取り戻すことには成功した介人。

 しかし逃走の果てに、インムワルドを打倒する策はあるのだろうか……。

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