愉快?不快?淫夢はなんか……あったかい!   作:ほろろぎ

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第五カイ

「え~……ゼンカイジャー、ゼンカイジャーはいらんかね~?」

 

 インムワルドの影響でホモ化してしまった街の人たちを元に戻すため、打倒インムワルドを誓う介人たち。

 強敵インムワルドを倒すのに必要な、六人目のゼンカイジャーとなる仲間を探す五人だったが……。

 

「おちんちんしゃぶらせて下さい(懇願)」

「THE・お願いしますと言ってみろ(シンプル2000シリーズ)」

「はいお願いします……(依頼)」

 

「なーんだこのケツの穴はよぉ!(驚愕) みんなに見せてやれこのケツの穴!(体験学習)」

「ケツを犯してください!(出しゃばり)」

 

 街中の男たちは人間、キカイノイド問わず盛りあうのに夢中で、介人たちのことなど視界に入っていない。

 女性陣はというと、そんな男たちの様を興奮した様子で見入ったり、または「きっ……(絶句)きしょい……(拒絶)」と嫌悪を露わに、屋内に閉じこもっていた。

 そのため、介人たちの呼びかけに答える者も一向に現れない。

 

 そうして一時間以上は探し回っただろうか。

 新メンバーは見つからず、ホモ化する住人が増えるばかりでらちが明かないこの状況。

 

「おし……良い天気ですねホント」

 

 空を仰ぎ見ながら、現実逃避するかのように、諦めが(にじ)むトーンでブルーンが呟いた。

 マジーヌとジュランも『メンバー募集』と書かれた看板を下ろし

 

「あっ今(疲れがピークを)切りました」

「もう(勧誘は)終わりだぁ!」

 

 そう言って、地面に大の字に寝転がる。

 介人は疲労困憊のブルーンやマジーヌたちに、あえて檄を飛ばす。

 

「なんだお前ら根性無しだな(棒読み)」

「いやほんと(足が)痛いんでもう無理です」

「もうちょっと我慢してよ(棒読み)」

「いやもう限界っすよ(棒読み)」

 

 だが、三人は座り込んだまま動こうとしない。

 その中で、我関せずだったガオーンが、相変わらず介人に絡みつきながら言葉を紡いだ。

 

「ねえ、介人。ほら、あそこ見ろよ見ろよ」

 

 ガオーンが指さす先には、一人の少年が歩いている。

 黄色い帽子を被り、背中にはランドセル。

 いやにしっかりしたガタイだが、所持品から小学生と思われた。

 

「あ~今日も学校楽しかったな~。早く帰って宿題しなきゃ」

 

 少年は学校の帰りらしい。

 周りのホモたちのことなど気にも留めず、宿題のことを考えるなどなんとマジメくんなんだろう。

 

「あの子、ホモ化してない……」

 

 介人が呟く。

 インムワルドのホモ世界エネルギーに影響されていない様子の少年。

 

「そっか、あの子なら俺たちと一緒に戦ってくれるかもしれないってことだね!」

「そうだよ」

 

 ガオーンの意をくんだ介人の顔に笑みが浮かぶ。

 

「いや、でも、あんなちびっ子に戦わせるなんて危なくないっすか?」

「大丈夫! 父ちゃん母ちゃんの研究してたスーパー戦隊には、子供の戦士も何人かいたってセッちゃんが言ってたから!」

 

 マジーヌが当然の疑問を口にするが、介人は前例を出し、ヘーキヘーキと楽観視。

 早速少年のもとへ歩みだそうとする。

 が、それより早く、少年の前に一人の成人男性が立ちはだかった。

 

「君、名前なんて言うんだ?」

「ぼくひで」

 

 男性は少年──ひでの名を訪ねると、間髪入れずひでのボディーに膝蹴りを見舞う。

 

「ン! イャンクック! ゲホッゲホッ!」

「おじさんはねぇ、スーハースー君みたいな可愛いねぇ、子の悶絶する顔が大好きなんだよ!」

「おじさんやめちくり~」

 

 インムワルドのホモエネルギーの影響を受けた虐待おじさんは、ひでを後ろから羽交い絞めにして、少年の苦しむ顔を楽しんでいた。

 いたいけな小学生を痛めつけるとか、この人頭おかしい……。

 

「ライダー助けて!」

 

 苦痛に顔をゆがめるひでは、つい他作品に助けを求める。

 だが、番組の垣根を越えて仮面ライダーが来てくれることはない。

 しかしここには、我らがスーパー戦隊がいるのだ。

 

「おいヤメルルォ!」

 

 介人は、即座におじさんとひでの間に割って入る。

 さっきまでバテていたジュランたちも、立ち上がって仲裁に加わった。

 

「えぇ!? えぇ……ぅおお、え?」

 

 突然現れた五人に驚き、言葉を失う虐待おじさん。

 だったが、すぐに目の色を変え五人を、自分の欲望を邪魔する敵だと認識を改める。

 

「神々しいわよねオルァ、オォ! こんなんで止める訳ねぇだろおいオラ、来いやオイ!」

 

 おじさんはいつの間にか、両の手に鞭と竹刀を握っていた。

 それらを振り回し、今度は介人たちを痛めつけていく。

 

「本気で怒らしちゃったねぇ、俺のことね。おじさんのこと本気で怒らしちゃったね」

 

 一方的に叩かれ続ける五人。

 反撃したいが、おじさんは正気を失っているといえ、あくまでもTDN(ただの)人間なのだ。ヒーローが傷つけていい相手ではない。

 

「あはん止めてぇェェェ!!!」

 

 悲鳴を上げる介人たち。

 不意に、おじさんの虐待の手が止まった。

 

「……?」

 

 不思議に思って目を開くと、おじさんの腕をつかみ捻り上げている一人の男のシルエットが映る。

 

「な、なんだてめえは!?」

 

 捻られた腕の痛みで苦悶の表情を浮かべる虐待おじさん。

 おじさんに向けて、シルエットの男は一言、静かにこう発した。

 

「先輩(そんなことしちゃ)だめっすよ……」

 

 同時に、おじさんの首に手刀を振り下ろす。

 

「う、羽毛…」

 

 手刀の一撃だけで、虐待おじさんはいとも簡単に意識を刈り取られ、崩れ落ちるように地に()した。

 呆気にとられる介人たち。

 そんな五人に、男はニコリと微笑みを浮かべながら声をかけてきた。

 

「大丈夫ですか?」

「ぁ、ありがとうございます。おかげで助かりました」

 

 いち早く我に返ったブルーンがお礼を言う。

 続けてジュランが、男の鮮やかな手際を褒める。

 

「いや~、見事な一発だったな。あんた、なかなかやるじゃねえか!」

「フフ、それほどでもありまえせんよ」

 

 謙遜する男だったが、彼の着ているレシートの付いたTシャツの隙間から、鍛えられた筋肉がチラチラのぞき見える。

 カモシカを思わせるしなやかな肉体は、この男が只者ではないことをうかがわせた。

 

「僕は『遠野』と言います。この街には久しぶりに帰ってきたんですが、なんだかお゜も゜し゜ろ゜い゜こ゜と゜に゜な゜っ゜て゜ま゜す゜ね゜ぇ゜~」

 

 男が名乗った遠野という名前、そして、どこか爬虫類を思わせる彼の人相を見て、介人はこの男の正体に気が付く。

 

「……あ、もしかしてあなたは……『世界の遠野』!?」

「? 介人の知り合いっすか?」

「この人は、迫真空手っていう空手の達人なんだよ。昔、迫真空手の世界大会で優勝したことがある人なんだ」

「はぇ~、どうりであんなにお強いわけですね」

 

 迫真空手とは、古来からごく一部の人間の間にのみ伝わる、伝説の格闘技。

 日本国内においても、迫真空手の使い手はこの遠野を除いて、わずか数人しか存在しない希少な流派なのだ。

 

「僕は世界大会で優勝したけれど、それ以上に技に磨きをかけるため、さらに強い相手を探して旅に出ていたんです」

 

 旅の途中、ふと故郷の日本が恋しくなって、数年ぶりに帰国してきたのが今日この日だという。

 

「介人、ちょっとこっち」

 

 ジュランに呼ばれた介人は遠野から離れ、五人は輪になって相談を始める。

 

「あの遠野って奴、相当強いぞ」

「これはもう、あの人が適任ではないでしょうか」

「(僕は誰でも)イーヨー……」

「時間もないし、今の彼でいいんじゃないスか?」

 

 キカイノイドたちは、遠野が六人目のゼンカイジャーを任せるのに適任ではないかと言う。

 

「声かけにいきます(棒読み)」

 

 介人も同じ意見だった。

 うなずきあうと、代表して介人が遠野の勧誘に動く。

 

「ゼンカイジャーやってます、いつの日か世界を救うと信じて」

 

 介人は、これまでの経緯を包み隠さず遠野に説明した。

 今、世界はインムワルドの影響を受け危機的状況にあること。自分たちはそれをなんとかしようとしていること。

 そして、事態打開のためには遠野の力が必要であること。

 

 遠野は黙って、介人の話を聞き入れていた。

 そして、話を聞き終わった彼が出した結論は

 

「あ、いいっすよ。一人の怪人と一から戦闘するなんて初めてだから、楽しみっすよ」

 

 さすが一流の格闘家と言うべきか、遠野はいとも簡単に、ゼンカイジャーと共に戦うことを快諾した。

 それが危険を伴う行いであることは、十分に承知している。

 だがそれ以上に、未知の力を持った相手との闘いというものに、遠野は興奮を禁じ得ないでいたのだ。

 

 ついに六人目の仲間がそろったゼンカイジャー。

 遠野の迫真空手は、インムワルドに通用するのか……。

 その実力やいかに。

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