小湊家の長男   作:主義

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長男

僕が野球を始めたのは偶然の一言に尽きる。野球を始めた人の中には幼い頃から野球が好きでやっているというものが多いが僕はそれに入らない。野球を見るという事はあってもやる事はなかった。

 

 

それを変えたのは高校生の時に一度だけ体育の授業で野球をやるという事があってそのやっている姿が野球部の顧問が見ていたらしくそれが原因で野球部の顧問から『一回でも良いから試合に出て見ないか?』『頼む!!おまえが出てくれれば勝てるんだよ!!!頼む!』と言われ続け仕方なく一回だけ練習試合に出てみる事になり最終的にそれが原因で僕は野球部に加入した。

 

 

 

 

 

 

これが僕が野球をするようになったきっかけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時間が経ち、今では少し名の知れたプロ野球選手になってしまった。あれよあれよという間で本当にあっという間だった。あの時に野球部の顧問が僕を誘ってくれなかったら今の僕は絶対になかったと言い切れる。

 

 

 

そんな僕も今年でプロの引退を発表した。監督からはまだまだお前には力があるし、辞めるのは早すぎると反対されてしまったが僕の決意を口にすると『お前がそんなに意志を固めるなんて初めてだな。仕方ねぇな』と言って最後には許してくれた。

 

 

 

 

 

この決断が正しかったのかは今でも分からない。プロとして後数年やっていた方が良かったのかもしれない…だけど僕としてはこれで良かったんじゃないかと思っている。プロの時には見えなかったものが辞めたことで見えるようになった気がする。

 

 

 

 

プロの頃は自由な時間なんてあんまりなかったが辞めてからは自由気ままに旅をして色々な地方を見て回るようになった。昔からこんな風に自由に旅行をしてみたいと思っていたから念願が叶った。

だが、今まで野球をやっていた人間が簡単に野球から離れる事は出来ない。自分で望んでこの状況にしたのに野球をやりたいと少しだけでも思ってしまうなんてね。

 

 

 

そんな事を考えている時期に僕に一通のメールがきた。メールを開くとそこには昔の後輩からのメールだった。メールの内容は平たく言えば久しぶりに母校に来ないかという感じのメールだった。そう言えば、こいつは母校の野球部の顧問になったと言っていたね。

 

 

 

 

「そうか……久しぶりに行ってみるのも良いかもしれない…」

 

 

 

メールを送信しながら僕は弟たちがどこに進学して行ったのか考えた。

 

 

 

 

僕には年の離れた弟が二人いる。次男が生まれたのが丁度僕がプロ野球選手として活動し始めた年だった。そして三男は僕がプロになってから三年目の時だった。

 

 

プロになるのとほぼ同時に僕は家を出てしまったので弟とたちと話す事はあまりないと言っても良い。たまに長い休みがあって一週間ぐらい実家に帰る事があっても弟たちは僕の事が怖いのか、それとも兄貴だと認めていないのか話しかけてくることはない。それでも僕はなるべくその一週間だけは珍しく積極的に弟と話しかけたりした。

 

 

 

でも、一年に一週間しか会わない兄のことなんて忘れてしまっても仕方ない。忙しい時なんて実家に一度も帰らない時もあった。

 

 

 

 

 

「そう言えば、両親が弟たちが青道に入学したって言っていたかもしれない……完璧に青道かは分からないけどそうだったら……」

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