アサルトリリィ BOUQUET ―白銀の妖精― 作:九条 美琴
アニメ本編合流前最終話です!!
9話、始まります。
ドゴオォォォォン・・・。
朝食の準備中に突然の轟音と地響き。どうやら師匠がまた何かやらかしたらしい・・・。
「師匠!?一体何が!?って何ですかあれ・・・?」
遠くの山岳地帯が一部分完全に消し飛んでいた。
「あはは・・・やっちゃった。ちょーっと魔力を収束して放ったらまさかあんな威力が出るなんてねー!・・・ってミレイちゃん?」
「師~匠~?・・・ただでさえ基礎魔力が強過ぎるんですから少しは加減して下さい!どうするんですかあれ!?」
「大丈夫、大丈夫!多分あそこら辺魔族しかいないっぽいし大半は殲滅出来たから!!だから許して・・・ね?」
「まぁそう言う事でしたら・・・とりあえず朝食は抜きって事で少し反省して下さい。」
「ご飯抜きは勘弁して――!!!」
─────。
(何で今朝はあんな事思い出しちゃったんだろう・・・?)
現在、ミレイは一柳隊に同行してヒュージの上陸地点付近にいた。
「お姉様、何か今回ギャラリー多くないですか?」
アールヴヘイム、水夕会等、多数のレギオンが見学に来ていた。
「皆ミレイさんに興味があるみたいね。」
リリィ新聞や先日のCHARM起動実験の件ですっかり名前が知れ渡ってしまっていた。
「それで、私は何をすれば・・・?」
今回ミレイが一柳隊に同行しているのは学院長代行からの指示で彼女の魔法がヒュージに通用するかの確認の為である。その詳細は一柳隊には伝えられているが、ミレイ本人には「一柳隊の出動に同行」以外聞かされていなかった。
「んーと・・・とりあえず私達が戦う所を見てて!私、頑張るから!!」
「梨璃、ミレイさんにいい所を見せたいのは分かるのだけれど・・・無理はしないで。貴方はまだ未熟なのだから。」
「2人とも、ヒュージ・・・来ます!」
鷹の目を使っていた二水が真っ先にヒュージを捕捉した。
(・・・・あれ?何かに似てるような・・・?)
妙に大きい前足、そして何か棘の生えた物を背負っているそのヒュージは海岸でたまに見る"あれ"を彷彿とさせる姿をしていた。
「初撃・・・行きます!」
雨嘉が遠距離から撃ったが被弾はしたものの装甲は硬く、少し焦げあとを付けた程度だった。
「効いてない・・・?梨璃、行くわよ。」
「はい、お姉様!」
─────。
「やああああ!!!」
梨璃が全力でその大きな前足を切りつけるも、弾かれてしまう。が、そのヒュージは梨璃達に気付く事無くただゆっくりと前進を続けている。
「硬ぇ・・・・。」
「何だあのヒュージ!というか梅達に気付いて無いみたいだぞ!」
「動きも相当鈍いみたいじゃし・・・本当にヒュージなのか?」
そう、全く攻撃を仕掛けてくる気配は無く、ただ前進を続けるヒュージにミリアム達には疑問を感じていた。
「私達に目もくれず一直線に何処かに向かってるような・・・まさか、あのヒュージ!?」
「神琳さん?・・・あの方向って・・・・そういう事でしたのね!皆さん、その"ヤドカリモドキ"止めてください!狙いは学院ですわ!!」
学院への到達――。
楓が"ヤドカリモドキ"と呼んだそのヒュージの狙いはそこにあった。
速度を極限まで犠牲にした重装甲とあの大きな前足、もし到達してしまえば只では済まない。
「止めると言ったってあんな硬いのどうするんじゃ!?」
「考えてたって仕方ないわ、やるしかないでしょう。」
再び攻撃を再開するがやはり通用しない。が、ふとヒュージの動きが止まった。
「不味い・・・全員ヒュージから離れろ!!」
鶴紗がファンタズムで感じ取ったその瞬間、ヒュージの背負っている物から無数のトゲが全方位に発射され、ヒュージの周囲に突き刺さった。
「鶴紗さんが言って無かったら危なかったわ・・・って梨璃は!?」
「梨璃さん?・・・あそこですわ!!」
ヒュージの真正面に梨璃はいた。逃げ遅れてしまいトゲには当たっていなかったものの片膝を付いてしまっていた。
巨大な前足が動き、梨璃に振り下ろされる――。
その僅か数分前─────。
「あの・・・二水さん?あのヒュージ、梨璃さん達の攻撃が全く効いてないように見えるのですが大丈夫なんですか?何かトゲのような物も飛んでいたような・・・。」
「確かに硬いですね・・・ってミレイさん!?私は鷹の目で見えてますけどどうやって!?」
「それは遠目の魔術で・・・。これ便利なんですよ。」
よく見るとミレイの片目に魔法陣のようなものが浮かんでいた。
「はぁ・・・・よくわかりませんが天の秤目みたいですね・・・っ梨璃さん、危ない!」
梨璃に巨大な前足が振り下ろされようとしていた。梅が縮地で助けに行こうとしてたが障害物が多くそれも難しかった。
(梨璃さん!?・・・・私・・・やっぱり見ているだけなんて出来ない!!)
ミレイに風が集まっていく。
「ミレイさん?何を!?」
「ごめんなさい二水さん、私・・・行きます!!」
(ファントム!!)
風を足元に集め、そのまま蹴り出し縮地並の速度で梨璃の元へ向かって行く。
(間に合って・・・!)
─────。
前足が振り下ろされ土煙が舞う。
(梨璃・・・・。)
その場に崩れ落ちる夢結だったが、その他の面々は驚愕の表情だった。
「ふぅ・・・間一髪。大丈夫ですか、梨璃さん?」
ミレイの右手はしっかりと梨璃の手を掴んでいた。
「え?・・・・あの・・・ミレイちゃん?」
『と・・・・飛んでる─────!?』
一時的に宙に浮いているのではなく完全に空中で静止している。
その事実に一柳隊を含め周囲から驚きの声が巻き起こった。
「ここからは私も戦います。フォトン・レイ、
形成された3つの光の玉からレーザーのような物が3発同時に発射されヒュージに命中するが、効果は余り無い。それどころかミレイ達に気付き、再びトゲを発射し数本がミレイ達に向かって行く。
(魔導障壁!)
左手を正面に向け、魔法陣を展開すると、飛んできたトゲを全て弾いていた。
「やっぱり誰がを守りながらだとやりにくい!だったら!」
「え、ちょっと、ミレイちゃん!?」
「グラヴィティ!!」
ヒュージの足元に魔法陣が展開され、重力が発生した。身体を軋ませながらも前進を再開しようとしていた。
「やっぱ無理か・・・一時離れます。」
二水の元に戻ると一柳隊の面々が駆け寄って来た。
「ただ今戻りました。」
「梨璃、大丈夫!?」
「お姉様・・・ごめんなさい、ミレイちゃんのおかげで助かりました!」
相当心配だったのか夢結が梨璃を抱きしめていた。
「さて、ミレイさんの魔法も見れましたし、ノインヴェルト戦術で倒しちゃいましょう!」
「あの・・・私の魔法が目的って今初めて聞いたのですが・・・二水さん、私に何か隠してません?」
「あ・・・・ごめんなさい!!ちょっとミレイさん、そんな笑顔で近づいて来るのはやめて!全部話しますから――。」
二水説明中――。
「はぁ・・・・そういう事でしたか。そういうのは困るのですが・・・早く倒す事で余計な被害も防げるのですから。」
「ごめんね、ミレイちゃん。ヒュージの動きも遅いみたいだし、ノインヴェルト戦術で・・・え?」
「私にやらせてください。」
そのミレイの言葉に一同が沈黙した。
ミレイの師匠と百由は絶対に会わせちゃいけないような気がする・・・。有り得ないけど。
長くなりそうなんでに前後に分けます!!
【魔法解説】※今回多めです。
遠目:
遠くを見る事が出来る。
ファントム:
足元に風を集め蹴り出す事で超高速で移動する。集めた風の量で距離の調節が可能。曲がる事は皆無。
元ネタ:ラピッド・ストリーム(ロクアカ)
魔導障壁:
魔法陣展開による防御魔法。基本的に物理、魔法どっちも防げる。
元ネタ:ストライクウィッチーズ
グラヴィティ:
指定した範囲の重力を操作する。軽くする事も可能。
フォトン・レイ:
光の玉を形成し、レーザーのように発射する。熟練した者だと複数での同時発射も可能。(ちなみに師匠が20発、ミレイが7発)
元ネタ:アクセルシューター(なのは)
それではまた後編で!