アサルトリリィ BOUQUET ―白銀の妖精― 作:九条 美琴
重装甲型ラージ級ヒュージ"ヤドカリモドキ"(楓命名)を相手に苦戦する一柳隊!遂にミレイも戦いに加わり大詰めに!
9話後編、始まります。
「やるって言ったってどうするんですの?先程貴方の攻撃も大して効いてなかったでしょうに・・・。」
「そうじゃのう・・・やはりここはノインヴェルト戦術で一気に倒してしまうのが早いのじゃが・・・。」
(そう、ですよね・・・やっぱり任せて貰えないですよね。)
「ミレイちゃん、頑張って!いいですよね、お姉様。」
「そう・・・わかったわ。貴方の魔法とやらに私も賭けてみる事にするわ。散々驚かされた事だしまだ何かあるのでしょう?」
(梨璃さん、夢結さん・・・。)
思えばこの世界に来てからこの2人に助けられっぱなしだったミレイ。その恩を返すとしたらここしかないと思ったのだろう。また助けられてしまっているが。
「改めてお願いします。私にやらせてください!!」
「うん、ミレイ、頑張って。」
「そこまで言うのでしたら貴方の魔法、信じてみましょうか。」
「私はまだ信用して無いからな・・・。まあ、せいぜい頑張れ・・・。」
「大丈夫、鶴紗の事は気にするな!ミレイ、応援してるぞ!」
「ミレイさん、頑張ってください!」
「仕方ないのう・・・そこまで言うのであれば・・・のう、楓?」
「私は梨璃さんの意見に賛成ですわ!」
一柳隊の思いが一致した。
「皆さん、ありがとうございます。私、頑張ります!」
これから使う魔法は使うのが初めてな事と発動に少しの時間を必要とするため足止めをして欲しい事を説明した。
「では・・・・最後に・・・。」
ミレイを中心に魔法陣が一柳隊を囲むように展開される。
(思念伝達、接続・・・。)
《皆さん、聞こえますか?》
「え?ミレイちゃん?喋って無いのにどうやって!?」
「大丈夫みたいですね。これから少し集中しなければいけないので準備が出来たら伝えます。なのでヒュージの方はよろしくお願いします。」
─────。
(さて、と・・・・)
首に掛けていたペンダントを握り少し念じると左手に杖が出現し、先端をヒュージに向ける。
「え・・・?あの、ミレイさん・・・その杖どこから!?」
「秘密です。では・・・・行きます!!」
(魔力をその場に固定、収束・・・開始!!)
杖の先に光が集まっていく。
─────。
先程までの重力魔法が解け、前進を再開したヒュージ。
「さて・・・・足止めするとは言ったものの、どうしましょうか?」
「やるしか無いでしょう。ミレイさんの準備が出来るまでは。梨璃、ノインヴェルト弾をいつでも出せるようにしておきなさい。」
「はい、お姉様!ところであのヒュージ・・・何かさっきよりも動きが遅いような・・・。」
重力の中無理に動こうとした為か、所々ヒビが入ってしまっていた。動きもぎこちない。
「・・・・これ、私達が足止めする必要ありますの?」
悩む一柳隊。
「え!?でも一応時間は稼いで欲しいみたいだし・・・あ、でもこのままでもいいのかな・・・?」
「何かミレイの方明るくない・・・?」
雨嘉の言葉でミレイの方を見ると周りに比べて明るく光の大きな球体が形成されていた。
《皆さん、準備が出来ました。ヒュージから離れてください。念の為遠くに・・・。》
「デカいマギスフィアじゃのう・・・っ!まさかミレイの奴あれをヒュージにぶつける気か!?」
─────。
(収束はしてるもののどこまでやればいいのですかね?)
師匠のを見て以来使った事が無いため加減が分からずにいた。
「マギスフィアでしょうか?それにしては大きいような・・・ってどこまで大きくするつもりですかミレイさん!?」
《ごめんなさい二水さん、今話しかけないでくれます?集中してるので。》
ちらっと二水の方を見ると何故かだんだんと青ざめている。既に光の球体の大きさはバスケットボールを越えていた。
「いいからそれ早くどうにかしてください!」
(やりすぎるのもだし・・・このくらいでいっか。)
ヒュージから皆が離れて行くのを確認。
(後はフォトン・レイの要領で対象に向けて・・・。)
《行きます・・・。シュート!!》
放たれた光のレーザーはヒュージを包み込み跡形も無く消し飛ばした。
(・・・・確かにこんなの撃ったら師匠だったら山の1つくらい簡単に吹き飛びますよね・・・。)
・・・・・・・。
「凄かったよミレイちゃん!・・・ところでさっきの魔法は・・・?」
「えっと・・・・魔力を収束して放ってみたんですけど名前が無いんですよね。そうですね・・・フォトン・レイの応用なので閃光の砲撃、"フォトン・バスター"とでもしておきましょうか。それにしても・・・。」
見直すと地面が抉れてしまっていた。
「ちょっと・・・やり過ぎちゃいました。」
『ちょっとじゃ無─────い!!!』
─────。
(やっぱり飛んだのはまずかったかな・・・?)
理事長代行への報告の際、フォトン・バスターの件については何も言われなかったものの、飛行に関しては今後事前に許可をとるように制限が掛かったのだった。
「ミレイちゃん、大丈夫だった?」
屋上で待っていた梨璃。
「待たせてごめんなさい。ええ、一応大丈夫です。今準備しますね。ではこちらに乗ってもらえませんか?」
「え?・・・んっと、これでいいの?」
「では、行きましょうか!」
杖を出し、腰掛けるように乗ってもらう。そのまま真上に上がると学院から鎌倉の景色が一望出来た。
「このくらいの高さなら大丈夫かな・・・?あ、認識阻害はかけてあるので多分誰からも見られて無いと思いますが・・・梨璃さん?」
「綺麗・・・・あ、ごめんねミレイちゃん。空を飛んでるのもそうなんだけどこれが私達の守っている場所なんだなーと、少し驚いちゃった!」
「ええ、私もそう思います。実はこの世界に来る前に師匠から2つ言われた事があるんです。1つは平和な世界であるように。こちらは見事に外れちゃいましたけど。」
「え!?・・・・確かにヒュージから解放されてない所も多くて私の故郷もまだだけど・・・でも学院の中は平和だし・・・えっとあのそれで・・・ごめんなさい!!ってミレイちゃんもしかして笑ってる?」
梨璃が大慌てでフォローを入れるもののミレイからは笑みがこぼれていた。
「ごめんなさい、その慌ててる姿が少し面白くて。もう1つ言われた事、それは、その世界の人達と仲良くって事なんです。だからこそ1番始めに仲良くなれた梨璃さんに言おうと思いました。ありがとうございます。」
「ミレイちゃん・・・うん、こちらこそありがとう!」
「それでなんですが・・・梨璃さんの好きな飲み物が今ここにあるのですがこの場でお祝いと行きませんか?ヒュージも倒せた事ですし!」
気が付くといつの間にかミレイの手にはラムネが2本握られていた。
「だから杖もそうだけどそれどこから!?・・・わ、凄く冷えてる!」
「そこは魔法でって事で!・・・それでは私達の出会いとその他色々な事に・・・」
『乾杯!』
学院の上空でラムネの瓶を合わせる音が響いた・・・。
その日の未明――。
(またここか・・・一体何なのかな・・・夢である事はわかってるんだけど・・・。)
気が付くとまたあの真っ白な空間にいた。制服を着た状態で。
前と違う所は目の前に青い髪の少女が立っていた事か。
「えっと・・・・師匠、ですよね?私と同じ背丈なのでちょっと自信無いですが・・・。」
「うん、ミレイちゃん、久しぶり!って言うのも変だけど・・・もしかしてあまり驚いてない?」
「安心してください、驚いてますよ。どんな時でも心は静かに・・・そう教えてくれたではないですか。」
自分の夢の中だからこそ師匠に会えたのだと思うミレイだったが目には少し涙が溜まっていた。
「もう少しリアクションしてくれないとつまんないかなー。まあそういう所も含めてのミレイちゃんだし・・・どうやらこの世界で上手くやって行けてるみたいね。安心した!ただやり過ぎないようにね?あの時は本当に軽く撃っただけだから!」
フォトン・バスターについてしっかりと念を押してくる師匠。
「あれは初めてだったので少し使い勝手が分からなかっただけで・・・。ありがとうございます、師匠。これからも精進します!」
「うん、頑張ってね!・・・っとそろそろ時間かな?」
師匠の身体がだんだん薄れていく。
「師匠・・・・、ありがとうございました!私、また師匠に会えて嬉しかったです。」
師匠の姿が完全に消えると同時に目が覚める。
(また・・・・会えますよね。夢の中でなら・・・。)
そして、1日が始まる─────。
邂逅編 ー完ー
祝、第1部完!
いやー長かったー!プロローグから始まり何とかここまで来ました!
ここまでは【邂逅編】と言う事でミレイちゃんがアサルトリリィの世界に来てから色々あって打ち解けるまでを書きました!(ラム乾と夢の中での師匠との再開は以前から構想にありました)
いよいよ次の"話"からアニメ本編と合流し、こちらは【BOUQUET編】として最終回までやります。(ラスバレ編未定)
ここから色々解説等↓
【魔法解説】
フォトン・バスター:
今作最強クラスの魔法。魔力を集めて光属性に変換、対象に向けて放つ。収束量によって威力の調整が可能。
元ネタ:ブレイカー(なのは)
ミレイが首に掛けているペンダント解説:
異世界物でよくある収納器具。基本的には異次元に送り込む形で何でも入るが取り出す際にその形をイメージしないといけないためあまり使わないようにしている。
ラージ級ヒュージ【ヤドカリモドキ】誕生の経緯:
小説版2冊目(アームズ)にでた蟹だかエビだか言われてたヒュージからヒントを得て硬い→甲殻類って事と何か物理的な飛び道具付けたいと思った結果ヤドカリになりました。
ちなみに前足はハサミでは無くミニ四駆のレイスティンガーのフロント部分を模してます。(あそこコミック版だと動くんですよ~。)モンハンのダイミョウザザミをイメージして頂けるとわかりやすいかも。
それではまた次回!