アサルトリリィ BOUQUET ―白銀の妖精― 作:九条 美琴
余談:初評価頂きました!頑張ります!
【BOUQUET編】(アニメ7話~)始まります。
学院の近くの海岸─────。
一柳隊とミレイは打ち上げられたヒュージの調査に来ていた。
「・・・っと、周りを見て来ましたがここら辺だけみたいですね。・・・それにしても酷い匂いですね。まるで腐っているかのような・・・。」
上空から周辺を確認して来たミレイが制服の袖で鼻を覆いながら降りて来た。
本来は空を飛ぶ事は禁止されているのだが今回は調査のため許可が出ている。
「本来ならばヒュージは魔力を失えばその場で崩壊して骨格以外は1晩ほどで消滅する筈なのですが・・・この前のように一瞬で消し飛ばす程の攻撃でもない限りは・・・ね?」
「だからあの時は初めてで威力を間違えてしまっただけで・・・それよりも梨璃さん達が何か見つけたみたいなのでちょっと行って来ますね!」
言い訳するのが面倒くさくなったのかそそくさとその場から去っていくミレイ。
「あらあら、ちょっと意地悪だったでしょうか。」
─────。
(何かな、これ?)
梨璃の目の前にあったのは繭のような透き通った物体だった。
その中身に驚きグングニルを近づけてみると電流のような物が先端から発せられ・・・。
(今微かに魔力の反応がしたような・・・気のせいでしょうか?)
梨璃の方から微弱な魔力を感じとったため少し足を早めるミレイ。
「梨璃さん、何かありまし・・・・た?」
「あ、ミレイちゃんに二水ちゃん、今CHARMが反応したような・・・ってどうしたの2人とも、いきなり黙っちゃって?」
「ごめんなさい、その・・・ちょっと言いにくいのですが ・・・。」
(どう説明すればいいのですかね・・・流石に裸の女の子が後ろにいるなんて言う訳にもいかないし・・・・。)
「どうした?」
「何か見つかりまして?」
そう考えこんでると何かあったのかと楓と梅が来た。
「あ、いえ、CHARMがちょっと・・・。」
「梨璃さん・・・後ろ!?」
「え・・・・?わぁ!?」
二水の言葉で振り向くと裸の少女が梨璃に抱きついていた。
「梨璃、何をしているの?」
「お姉さま・・・。」
「は・・・・はっくしょん!?」
梨璃に抱きついていた少女がくしゃみをした。
「・・・・とりあえず学院に運びましょうか?幸い飛行許可は取れてる事ですし。」
「あ、じゃあこのままで私も・・・。」
「さすがに2人は・・・もう、その代わりその子しっかり抱いてて下さいね?」
文句を言いながらも少女を抱いた梨璃を杖に座らせて超低空飛行でゆっくりと運ぶミレイだった。
治療室前――。
「お姉さま、私、もう少しここにいたいです。」
海岸で見つけた少女を治療室に運び夢結がもう出来る事は無いから行こうと言ったその矢先だった。
「あの、私もここにもう少しいます。ちょっとあの子の事が気がかりなので。」
「・・・わかったわ、でも2人とも無理はしないようにね?」
梨璃とミレイを残してその場を後にする夢結達。
その後も梨璃は少女の事が心配なのかずっと見ていた。
「やっぱり気になりますよね。あんな所に1人でいたのですから。」
「うん・・・ところでミレイちゃん、気がかりな事って?」
「ええ、梨璃さんの所に向かってる時に微かに魔力の反応がしたのと、後は・・・あの子が少し私と境遇が似ているって事でしょうか。」
違う世界から突然来た自分と海岸で発見された謎の少女。どこから来たのか分からないという共通点にミレイはどこか親近感を感じていたのだった。
「貴方達、こんな所で何をしているの?」
2人が話してるところに横から声をかけられる。
「ごきげんよう、梨璃さん、ミレイさん。」
誰かも分からない銀色の髪の少女に戸惑う梨璃。聞いた所夢結のルームメイトの秦 祀と名乗った。
梨璃の反応を見て夢結から何も聞いて無い事に落胆する。
「はぁ・・・まぁ大体予想通りだけど・・・それよりもミレイさん、貴方この前の事で色々なあだ名付いちゃってるわよ?例えば・・・・」
祀の話によると『砲撃魔法少女』だとか『空飛ぶ銀髪少女』等、学院内で様々な名前が付いてしまっているらしい。それを二水が聞いて触れ回っているらしいが・・・。
「私、もうそんな有名になってしまったんですか?」
(全くあの人は・・・後でまた"お仕置き"ですかね・・・。)
「とは言ってもこの学院内だけね。・・・さて、こんな所にいないで貴方達も入って?」
祀に促され2人は治療室に入る。
「よく眠っていますね、とりあえず無事で少し安心しました。」
「うん・・・。あの、祀様はどうして・・・?」
「これでも生徒会の役員なのよ?と言っても代理なのだけれど。」
暫くして梨璃が講義があると言うので治療室を後にする。
「そうだ、ミレイさん。実はね・・・・。」
─────。
ミレイがラウンジに行くと梅と夢結がいた。梅の方はこれから講義に向かうらしい。
「あの、お2人とも少しよろしいですか?」
「あら、どうしたのかしら。」
「実は先程・・・。」
ミレイの話によると先日のヒュージ撃破の一件もあり、たまにでいいので講義に出て欲しいと祀から言われたのだった。
「そう言う事なのでご一緒しても構いませんか?」
「私は構わないぞ!あ、夢結は授業無いんだっけ?」
「ええ、1年の時に取れる単位は全て取ってしまったから。」
「夢結さん、流石ですね・・・それでは、行ってきます!」
「くれぐれも迷惑にならないようにするのよ。」
2人を見送った後テーブルの上の梨璃の忘れ物に気付き・・・・。
(全く、あの子は・・・一応預かっておきましょうか。」
その後、ミレイは1日で出れるだけの講義に参加し、特に魔力の扱い、知識においては教官も舌を巻く程の優秀ぶりであった。
「梨璃さん、お疲れ様です。」
先にミレイが治療室に戻り少女の様子を見ていた。
「うん、ミレイちゃんもお疲れ様。・・・あれ?あの教本が見つからない・・・何処かに置いてきちゃったのかな・・・。」
「はっくし!!」
くしゃみに2人が気付くと少女が目を覚ましていた。
「あ!目が覚めたんだね!ねえ、あなたは何処から来たの?歳は?何か覚えてる事は無い?」
「梨璃さん、ちょっと落ち着いて下さい。起きたばっかりの子に質問し過ぎです。・・・ごめんなさい、あの、大丈夫ですか?」
そんな2人のやり取りを無言で見つめる少女。
「もしかして言葉通じて無いのかな・・・あの、私は一柳 梨璃!もし言ってる事が分からないのならここに書いて貰えるかな・・・?」
少女に自分の名前を伝えた後、紙とペンを取り出し少女に見せる。ミレイの件がある為一応用意はしていたらしい。
「り・・・り・・・?」
その少女の一言で安心したのか一瞬で張り詰めた気が抜けた梨璃。
「良かったぁ~、また通じなかったらどうしようかと・・・ってなんで2人とも笑ってるの――!」
「いえ・・・ごめんなさい。そういえば私が初めてこの世界に来た時の事を少し思い出してしまって・・・。」
「もぅ~、ミレイちゃん!あの時は大変だったんだから!ほら、あなたもそっぽ向いてないで顔を見せて?」
梨璃が少女の手をとった瞬間指輪が反応し文字が浮かび上がった。
(あの時と同じ反応・・・?やっぱりこの子だったんだ・・・。)
「これ・・・・私の魔力じゃ無い・・・?」
「梨璃さん、もしかしてなのですがこの子・・・」
ミレイが何かを言いかけたその時・・・。
「梨璃さん、ミレイさん、ごきげんよう!そう、その子はリリィよ!と言ってもスキラー数値は50、ギリギリだけどね。」
「百由様、祀様、ごきげんよう。あの・・・スキラー数値50って、私が入学した時と同じ・・・。」
「あら、偶然ね。・・・それよりミレイさんが機材も無くリリィって見抜いた事に驚きなんだけど・・・?」
「えっと・・・・推測からなのですが・・・」
海岸で梨璃の魔力が反応した事と先程も同じ反応を見せたため、自分以外にこの世界で魔力を有しているのはリリィではないかという聞いて見れば簡単な事だった。
「そんな些細な事でよくここまで分かるわね・・・もしかしてどれだけの魔力を有しているかわかっちゃったりもする?」
「そこまではいくらなんでも無理ですよ。せいぜい魔力の感知ぐらいです。」
(それでも十分凄いんだけど・・・・。)
百由が驚くのも無理は無くヒュージも魔力を有しているためその接近をいち早く察知出来るのではと思った為である。
─────。
「あ、私、準備があるんだった!ミレイちゃん、後お願いしてもいいかな?」
「大丈夫ですよ。いってらっしゃい。」
「うん、それじゃあまた・・・え?」
少女が梨璃の制服を掴んでいた。
「梨璃・・・ない!」
「どうやら離れたくないみたいですよ?ほら、心配しなくてもまた戻って来ますから・・・・」
ミレイがなだめるも一向に離そうとしない。
「ミレイさんもこう言ってるのだし・・・梨璃さんの代わりに私がいますから。」
「ない!梨璃、行かない!い――!!」
祀の言葉にも全く聞く耳を持たず、それどころか威嚇されてしまうのだった。
「あぁ・・・ハートブレイク・・。」
「どうします?あまりしたくはないのですが眠らせましょうか?」
「「それはちょっと・・・。」」
ミレイの提案に2人からツッコミが入る。
「それなら、梨璃さんが暫く面倒を見るってのはどうかしら?レギオンの方には私から言っておくから。あ、ミレイさんも一緒に居てあげて?」
話によると少女の事は生徒会に任されているとの事だった。
「レギオンの方には私が言います。・・・ごめんね、すぐ戻って来るから離して、ね?」
「梨璃・・・・。」
治療室を後にする梨璃。少女はものすごく悲しそうな目をしていた。
「大丈夫ですよ。梨璃さんなら戻って来ますから・・・・。それまで私とお話でもしませんか?」
(何かこの子私の事が心配で仕方がなかった時の梨璃さんに似ているんですよね・・・。)
─────。
「駄目!自分で食べるの!・・・もぅ、ミレイちゃん助けてぇ~。」
「代わりましょうか?」
「やだ!梨璃がいい!あーん。」
「だから自分で食べてよぉぉぉ~。」
(これは梨璃さんに完全に懐いちゃってますね・・・だからと言ってどうにもできないですし・・・。)
「あら、母親とその妹と娘さんってところかしら?」
祀の言葉に顔を見合わせる梨璃とミレイ。
「私が梨璃さんの妹ですか?」
「それで私がミレイちゃんのお姉さんで・・・この子のお母さん・・・・って、せめてこの子も私の妹で三姉妹の長女って事にしてください!」
「あら、ごめんなさい。でもそろそろ名前でも付けてあげたら?」
「あ・・・そうですね。ミレイちゃん、何かいい名前無い?」
「こういうのは梨璃さん、お願いします。きっと梨璃さんが1人で考えた名前の方がこの子も喜ぶでしょうし。」
ミレイはこう言っているが単に面倒くさいだけだった。
─────。
それからというもの少女は段々と日常生活に支障の無い所まで動けるようにまでなった。
そして─────。
「お姉様~ご無沙汰でした~。」
「梨璃、ミレイさん、おかえりなさい。」
「ええ、只今戻りました。・・・・それで、伝えたい事があるのですが・・・。」
ミレイが気が付くと少女が夢結の隣りに座っていた。
そして後ろの席から出てくる二水達。
「2人ともおかえりなさい!その子正式に百合ケ丘の生徒にして貰えたんですね!」
「うん・・・ほら、この方が私のお姉さま。ご挨拶は?」
「梨璃さん、まず紹介の方が先では?・・・それでですね、その子の名前なのですが・・・」
「結梨。」
ミレイが言うよりも先に少女が自分で言った。
その名前に紅茶を吹き出す夢結。
「あ~!それ私が夢結様と梨璃さんにつけたカップルネームです!まさか使って頂けるなんて!」
「え!?・・・そういえば全然名前が思いつかなくていつの間にか呼んでただけなんだけど・・・。」
「とりあえず一柳隊に登録しときますね!えっと苗字は一柳でいいですか?」
二水が手馴れた手つきでタブレットを操作し登録を済ませていく。
「登録完了しました!・・・後はリリィ新聞の見出しなんですけど・・・・っ!?」
「なんじゃ二水!?いきなりわしの後ろに隠れて!」
(あ、付けたの二水さんだったんですね・・・どうりで似てると・・・。)
ミレイからの視線を感じてミリアムを盾にする二水。前回の電撃(と、その後のお説教)が相当堪えたらしい。
「二水さん、大丈夫ですよ。それに今回は偶然とはいえ梨璃さんの助けにもなったみたいですし。」
「ミレイさん、ありがとうございます!!」
「助かったからって抱きついて来ないで下さい!!」
(自分の事以外はいいんだ・・・・。)
そう思った一柳隊。
「でも・・・・。」
二水を振りほどくミレイ。両手はしっかりと掴んでいる。
「え、ミレイさん?ちょっと目が・・・」
「人の変なあだ名を勝手に広めるのはやめてもらえますか!?」
両手から電撃が二水に流れる。
「あばばばばば・・・・」
しかし今回はミレイも少し手加減したようで軽く痺れる程度だったためそこまで嫌でも無かったらしい・・・・。
アニメ7話完!(所々改変とか削っちゃいましたが御容赦を・・・。)
作中で書いた通りミレイちゃんと結梨ちゃんは"似たような境遇"という共通点があるので今後これを少し生かします。
それではまた次回!