アサルトリリィ BOUQUET ―白銀の妖精― 作:九条 美琴
ヒュージの捜索に当たる一柳隊とヘルヴォル。
その先に待ち受けるのは───。
【WARNING!!】
微量のグロ要素と残酷な描写有り
21話、始まります。
「えぇぇ──!?千香瑠様も山梨のご出身なんですかっ!?」
「はい、そうです。住んでいたのは中学までですが。」
「そうだったんですね!わ─、同郷の方とお会いできるなんて嬉しいです!」
「私もです。もし梨璃さんがよろしければミレイちゃんと一緒に来ませんか?ほうとうでもご馳走しますよ。」
「ありがとうございます!」
「ふふっ、ミレイちゃん、これで一品決まりましたね。・・・・・あの、ミレイちゃん?」
「・・・・・。」
(あれからあの夢を見なくなってしまいましたがあの光景と・・・・・)
「・・・・・イ、ミレイちゃん?」
(でもあの子私に似てたけど傷だらけで髪も黒かったし・・・・・)
「ミレイちゃん!?」
「え・・・・・梨璃さん?」
梨璃の呼びかけで我に返るミレイ。
「ミレイ、なんか元気無い〜。」
「えっと・・・・・ごめんなさい、少し考え事をって藍さん!?大丈夫ですから後ろから被さってこないでください!」
「え〜もう少し〜。」
(歩きにくい・・・・・。)
ミレイが怒っても高さが丁度いいのかなかなか離れようとしない藍。
「これは完全に懐いちゃったみたいだね〜。」
「ですね・・・・・。」
これは帰りの時にまた騒ぎ出すかも・・・・・。と、思った一葉。
「あの、お願いですからそろそろ・・・・・っ!!皆さん、向こうの方に大きな魔力反応!」
「いえ・・・・・反応が大きいのとそれよりも小さいのが一体、後は・・・・・どんどん増えてる?二水さん、ちょっとお願いできますか?」
「え?えっと・・・・・ありました!ケイブです、ミレイさんの言った通り周りのヒュージとは違う個体も!」
「だったらまずケイブを先に全員で・・・・・」
「いえ、ここは上と下からの2方面でヒュージとケイブを叩きましょう。ミレイ、あの最初にラージ級を撃破したときのあれ、今だったらどの位かかるかしら?」
「光属性の魔法弾が残り一発でそれを使うとして・・・・・三分程頂ければあの位は出せると思います。」
「三分・・・・・ね。ケイブは任せるわ。その間私達はヒュージの相手をしてるから。一葉さん達もそれでいいかしら?」
「え・・・・・あの・・・・・作戦内容はわかったのですがミレイさん一人にケイブを任せるって?」
「見てればそのうちわかるわよ。梨璃、ミレイ、準備はいいかしら?」
「はい、お姉様!」
「それではヒュージの方はお願いします!」
空に上がるミレイ。
「凄い・・・・・ミレイさん本当に飛べるんですね・・・・・えっと、こちらもいつでも行けます!」
こうして一柳隊とヘルヴォルによるケイブ破壊とヒュージ撃破作戦は始まった。
───。
「さて、ケイブの方はミレイさんが何とかするとして・・・・・あの奥にいるのが例の特型ですわね。」
ヒュージの群れの中に一体違う個体が混じっているのを神琳が確認した。
「頭に輪っか・・・・・それに羽まで・・・・・。」
「まるで、天使・・・・・。」
「相手はヒュージじゃ。そんなメルヘンチックな相手だと思ってると痛い目に遭うぞ!」
「しかし数が多いですわね・・・・・これミレイさんにこっちを先に処理してもらった方が良かったのではなくて?・・・・・ちょっと藍さん!?」
「ヒュージはらんがたたきつぶす!」
楓が気付くと藍がヒュージの群れに突っ込んで行った。それに続く一葉達。
「待ちなさい、藍!・・・・・こちらは私達に任せて!梨璃さん達は頭を潰して!」
「了解しました!皆さん、行きま・・・・・」
「待て、あのヒュージどこかおかしくないか?」
梨璃が号令をかけようとしたが鶴紗が何かに気が付いた。
「確かに梅達がここまで接近しても攻撃して来る気配が無いような・・・・・」
キュイイイイ・・・・・
「確かに動かんのう・・・・・っと今の内に頼まれたデータ収集でも・・・・・」
ドン!!
ミリアムがタブレットを取り出した瞬間、ヒュージから青い光が明後日の方向に発射された。
「外した・・・・・?」
「ん?あの方向・・・・・?」
梅がヒュージの攻撃した方向を見ると妙に明るかった。
「マズい!ミレイ!避け───」
ミレイに向かって大声で叫ぶも・・・・・
「よしっと・・・・・このくらいですかね?」
既にケイブに対して最適範囲、高密度に設定した【フォトン・バスター】の発射準備が完了し後は撃つだけのその瞬間───。
「では、行きま・・・・・っ!!」
地上からのヒュージの攻撃がミレイの脇腹を貫いた。
「え・・・・・外れた?」
梨璃を含め上空からの攻撃を見ていた面々は驚きの表情だった。
動かない標的に対して決して外す事が難しかったがそれが外れたのだから・・・・・
「ミレイ・・・・・っ!」
雨嘉達の目に映る物は負傷して落ちていくミレイだった。
───。
「かは・・・・・っ!」
油断した・・・・・まさかあんな距離から撃ってくるなんて・・・・・そういえば撃つ瞬間梅さんの声が微かに聞こえたような・・・・・。
とりあえず傷口だけでも塞がないと・・・・・っ駄目、さっきの魔力消費でまだ上手く使えない・・・・・もう、意識が───
チカラガホシイカ───。
誰?私の中から声が・・・・・。ええ、欲しいです。ヒュージを倒す力と皆を守る力が・・・・・。
ヨカロウ。ナラバソノカラダ、ワレニカスガヨイ───。
え?確かに力は欲しいと言いましたけど身体を貸すとまでは───
───。
「一葉!千香瑠が・・・・・っ!!」
「あ・・・・・ミレイ・・・・・ちゃ・・・・・ん・・・・・?」
「千香瑠様、落ち着いてください!」
「ねぇ・・・・・ミレイちゃんは大丈夫なの・・・・・?そう・・・・・貴方達が・・・・・貴方達がぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
一葉と恋花の静止を振り切り我を忘れヒュージを切り刻み続ける千香瑠。
「千香瑠!落ち着け!!一体何があったんだ!?」
「梅様!恐らくミレイさんが負傷した事によって精神が不安定になってしまったんだと思います!何とか止めないと・・・・・」
「そういう事か!千香瑠、ごめんな!!」
「ガッ!!」
タンキエムの平たい部分で後頭部を殴りつけた。
「これ、大丈夫なんですか?」
「手加減はした、気絶してるだけだ!後はこっちの方もどうにかしないと・・・・・」
「お姉様、ミレイちゃん・・・・・ミレイちゃんが・・・・・っ!」
「落ち着いて!今は目の前のヒュージに集中なさい!」
「それでも誰か助けに行かないと!ああもううっとおしいですわね!」
ケイブ破壊失敗によりヒュージの数は増し誰もその場から動けない状態にあった。
「二水、ここはワシらが何とかするから行け!お主1人抜けたところで影響なんぞありゃあせん!」
「それって私が1番弱いって事ですか!?わかりました!場所はわかってるので行ってきま・・・・・」
二水がミレイ救出にその場を離れようとした瞬間全員に悪寒が走った。
「・・・・・っ!全員この場から離れろ!!」
その直後黒い炎が一帯を焼き尽くした。
「嘘・・・・・ミレイ・・・・・ちゃん・・・・・?」
確かに姿はミレイであったものの眼は赤く髪は黒に染まっていた。
「まさか今の一瞬で大量のヒュージを・・・・・?」
「いや、まだじゃ!特型が残っておる!」
「は、羽が増えた・・・・・。」
「形状変化・・・・・いえ、進化・・・・・?戦闘中に姿を変えるヒュージなんて・・・・・。」
『ほう・・・・・耐えたか。ならばもう一発食らわせるまで・・・・・塵と化せ。』
ゴウッ!!
黒い炎が特型ヒュージを包み込んだ。
「こんなの・・・・・ミレイちゃんの戦い方じゃない・・・・・。」
「ええ・・・・・あれはミレイじゃない・・・・・。」
暫くして前にだした左手を握り炎を吹き飛ばした。
『さて・・・・・あれだけ燃やせば流石に耐えられんだろうが・・・・・む。』
直後、ヒュージの羽から光線のような物が無数発射された。
『ふん・・・・・効かんな。ならば何度でも焼き尽くすまで!」
それを軽々と片手の障壁で防御するミレイ。再び炎を発しようとしたその時、既にヒュージはその場にいなかった。
『逃げたか・・・・・。』
「逃がさない!・・・・・え?足が・・・・・動かない・・・・・。
一葉がヒュージを止めようと追おうとしたが大量のヒュージを一瞬で消し飛ばした存在に恐怖を感じてしまっていた。
「ねえ!あなたは誰!!ミレイちゃんじゃ無いよね!」
『ミレイ・・・・・?そうか・・・・・この身体の主か・・・・・。それよりもここはどこだ?我がいた世界では無いようだが・・・・・?』
「そう・・・・・貴方、ミレイが元いた世界の住人って訳ね。多数のヒュージを倒してくれた事は感謝するわ。ただ、ミレイの身体を奪ってる時点でとても善人には見えないけど。」
夢結がブリューナクを構える。
『ほう・・・・・我に刃を向けるか・・・・・いいだろう、暫し付き合っ───』
「ミレイを・・・・・かえせぇぇぇぇぇ!!!」
ギィン!!
「藍の全力を片手で止めた!?」
『手ぬるいな・・・・・この程度か?』
「無理じゃ!いつものミレイでもあの程度じゃ届かん!その事はワシが身を以て知っておる!」
「ミリアムさん、もしかして過去に試した事が・・・・・?」
「うむ!実はな・・・・・」
ミレイの特訓の際に亜羅椰と同時にフェイズトランセンデンスでの全力で攻撃して欲しいと頼まれ、希望通りに2人で全力で攻撃したところ、土煙は上がったが両手での障壁で耐えてみせたのだとか。
「と言うことで破るとしたらノインヴェルト戦術くらいじゃろうな・・・・・。」
「だったらノインヴェルト戦術で!」
梨璃がノインヴェルト弾を出し装填しようとするが・・・・・
「「梨璃さんストップ!!」」
「楓さん、二水ちゃん、離して!!」
「梨璃さん貴方正気ですの?幾ら障壁が破れたからって身体は無事とは限らないんですのよ!?」
「それに、こんな所で使ったら私達も巻き込まれちゃいます!」
「だったらどうすれば・・・・・。」
その場に崩れ落ちる梨璃。
一方で猛アタックを繰り返していた藍も限界が来ていた。
「ミレイ・・・・・を・・・・・かえ・・・・・」
『無理だと言っているではないか・・・・・我に刃を向けた事は褒めてやる。だが・・・・・ここまでだ。どうやらこの場にいる全員我に敵対する気のようだな・・・・・。』
左手から出した炎を夢結達に向ける。そして───。
『滅べ・・・・・』
(やらせない!!)
『な・・・・・貴様、いつの間に!?』
(これ以上私の仲間を傷つけさせない!精神強化!!)
『ぐっ!抗えないだと!?良かろう、この場は退いてやる!だが次に我が目覚めた時は覚悟しておくんだな!』
(私だってあの人の弟子です!自由にはさせない!)
「・・・・・撃って来ない?」
「どうやら私達は助かったみたいね。梨璃、見て。」
「え・・・・・ミレイちゃんの髪の色・・・・・」
髪の色が黒から銀に戻っていた。が・・・・・急に落下し始めた。
「梅に任せろ!」
まともに動けるようになった梅が間一髪で抱き抱えた。
「大丈夫、ミレイは無事だ!傷も塞がってるし!」
「よかったぁ〜。」
「もう・・・・・心配させるんだから・・・・・。」
ミレイが無事な事に安堵し気が抜ける全員だった。
その後、落ち着きを取り戻し・・・・・
「特型ヒュージは逃してしまいましたがエレンスゲのリリィ救出任務は達成済み。一部今後の問題はありますがこれらの状況から、今回の作戦は、ここまでとしましょう。一柳隊の皆さんもそれでいいでしょうか?」
「はい、一葉さん!」
「正しい判断だと思うわ。けど・・・・・ミレイの事だけど出来れば原因と解決策が見つかるまでは学院の方には報告しないでほしいのだけど・・・・・。」
「はい、ミレイさんの事は一時保留ということにしておきます。」
「ありがとう。今後何かわかったらこちらから連絡するわ。」
こうして短いようで長かった森林での共同任務は幕を閉じた。
一柳隊にミレイ・アルシェントの目覚めさせてはいけない別の人格という爆弾を抱えたまま・・・・・
ラスバレ一章完!
最初に言っておきます。
後半に出てきた黒いミレイ?ちゃんのボイスですが中田譲治とか鈴木達央での脳内再生はオススメしません(止めはしません)
特型ヒュージの若干の強化と千香瑠さんの発狂についてはノーコメントです。
次回から二章!・・・・・と言いたいところですが1回オリジナル回はさみます(自分としてもこのまま二章入りたく無いので・・・・・。)
それではまた次回!(後半書くの辛かった・・・・・。)