アサルトリリィ BOUQUET ―白銀の妖精― 作:九条 美琴
30話、始まります。
学院屋上───。
「とりあえず、ここまで来れば大丈夫・・・・・かな?」
「みたい、ですね・・・・・。何で・・・・・魔法が・・・・・使えないん・・・・・ですか・・・・・。」
急いで梨璃に引っ張られながら逃げて来たため息が上がって仰向けになるミレイ。一方の梨璃はドアを背に塞ぐように寄りかかっていた。
「多分、あの薬のせいじゃない?」
「ですかね・・・・・?でも、まさか皆さんアンデット化するなんて・・・・・。」
事態は少し前に遡り、工廠科で何なのかもわからない薬の入ったビンが見つかり、百由が誤って空けてしまったため、効果が学院中に広がってしまったのだとか・・・・・。
「でも、私は何故か魔法が使えない程度で済んでますが何で梨璃さん無事なんですか?」
「あはは・・・・・何でかな・・・・・。」
ドンドンドン!!!!!
ドアを叩く音、そして・・・・・
「・・・・・梨・・・・・璃・・・・・」
「お姉様!?無事なんですか!!待っててください、今・・・・・」
「梨璃さん!少し落ち着いてください。開けたら確実に助からないと思うのでそれよりここから何とか逃げる方法を・・・・・」
「でも、本当にお姉様だったら・・・・・」
「・・・・・梨璃さん?」
「ミレ・・・・・逃げ・・・・・て・・・・・」
「え・・・・・梨璃・・・・・さん・・・・・何でこっちに・・・・・まさか・・・・・?」
ミレイにゆっくりと近付いていく梨璃。既に正常な状態を保てなく虚ろになっていた。
そう、梨璃も感染していたのだった───。
(浄化魔法は・・・・・使えないし・・・・・飛び降りるにしても・・・・・っ!!)
後ずさりながら色々試行錯誤するも既に梨璃以外の者も近付いて来ており・・・・・
「ミレイちゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
───。
「───っ!?」
(何・・・・・今の・・・・・?)
飛び起きるミレイ。
(えっとここは・・・・・そっか、私、力尽きてロッジまで運ばれたんですね・・・・・。)
「あ、起きた。」
「・・・・・何であなたがここにいるんですか?それよりもしかして今のって?」
ミレイの前にいたのはあの少女だった。宙に浮いて手をかざしていたが。
「ちょっとした目覚まし?」
ドゴォォォン!!
「何、今の爆発音!?」
「ロッジからみたいでしたけど!」
「ミレイ?ミレイは!?」
ミレイの身を安じで外で祝勝会をしていたがその爆発音で慌てる一同。
「っ!起こすにしても・・・・・もしかして魔法使いました?しかも精神干渉系の・・・・・」
「ん、【
「だからってあんな夢見せることないでしょう!!というが何で効いてないんですか!?」
「当たり前、今の私は実体じゃ無いから。あと力込め過ぎ、もう少し抑えた方がいい。」
先程の爆発で壁の一部が吹き飛んでいた。
「余計なお世話です!!」
「ミレイちゃん、大丈夫?なんか凄い音・・・・・!?」
「どうしたの、梨璃・・・・・っ!!」
「お姉様・・・・・ミレイちゃんの隣にいるのってまさか・・・・・。」
「ええ・・・・・そこの貴方、今すぐミレイから離れなさい!!」
「夢結さん、梨璃さん、おそらくですがこの子は大丈夫です。」
「ミレイちゃんがそう言うなら・・・・・」
「梨璃、安心しては駄目よ。操られてるかもしれないから。」
「・・・・・もしかして信用されてない?」
「もしかしなくてもですよ。えっと、とりあえずロッジの修理は後で私がやっておくので一旦場所を移しませんか?そこで全てを説明するので。」
───。
「一葉、離して!ミレイから離れろ───!!!」
「藍、ちょっと落ち着いて!!」
「ミレイ・・・・・ちゃん・・・・・?」
「千香瑠!?大丈夫、大丈夫だと思うから!って瑤もさっきから固まったままだけど大丈夫!?」
「・・・・・。」
ミレイの隣にいる存在に慌て出すヘルヴォル一同。一方・・・・・
「すごーい☆ねえミレイ!その子浮いてるけど何?幽霊?」
「幽霊にしては随分はっきり見え過ぎなような・・・・・?」
「二人共、多分違うと思うわよ・・・・・。」
「高嶺ちゃん、もしかしてあの姿・・・・・。」
「ええ、夢結さんから聞いてはいたけど本当にそっくりね。」
多少は驚きながらもあの時のミレイをあまり知らなかったためどの程度の脅威かわからなかっため慌てる様子の無いグラン・エプレ一同。
「それじゃ、洗いざらい話して貰いましょうか?」
「面倒くさいんだけど。」
「私も聞きたい事あるんですから。なんであなたが消えずにこうしてここにいる理由とか。」
「・・・・・どこから話せばいいの?」
「そうですね・・・・・とりあえず私の身体を乗っ取って悪さをしていたのが誰なのかからですかね?」
「わかった。じゃあそこから・・・・・」
「あ、話してもいいですけど少し手加減して下さいね?」
「善処する。」
それからミレイが魔族の生まれ変わりだった事、それが原因で向こうの世界で消滅する間際に力の一部が入ってしまい身体を乗っ取られた事、一柳隊の頑張りと二人の力で中にいた魔王を再び消滅させられた事等、全てを話した───。
「だから外で暴れてたのは私の姿だけど私じゃない。今は大丈夫。」
「あの、まだあなたが消えてない理由、聞いてないんですが。」
「助けられた。」
「え・・・・・誰に・・・・・?」
「アスティに。なんか無理矢理肩代わりして消えてった。今のあなたには私が必要だって言って・・・・・。」
「そうですか・・・・・師匠・・・・・最後まで驚かせてくれますね・・・・・。」
「もしかして悲しい?」
「いえ、大丈夫です、話してくれてありがとうございます。少し安心しました。」
「ん、それ程でも。」
満面の笑みのミレイだったが少し涙が溜まっていた。
「さて、この話はこれくらいにしておいて・・・・・」
「まだ何か?」
「いえ、この惨状どうしようかと・・・・・。」
『・・・・・????』
内容が難しすぎたのか沈黙する者が多数。
「はわわわわ・・・・・女同士で・・・・・」
「ちょっと紅巴!?大丈夫!紅巴!!」
粘膜接触の下りで尊死寸前の者が一人。
「ミレイが魔族の生まれ変わりで〜・・・・・」
「ZZZZZ・・・・・」
(灯莉さんは大丈夫だと思いましたが、駄目でしたか・・・・・。藍さんは・・・・・寝ちゃってますね。)
「とりあえず少し落ち着くまで待ちましょうか。」
───。
「えっと、つまりあの時のミレイさんはミレイさんでは無くてその悪さをしていた存在が今は完全に消えててその子は・・・・・とりあえず害は無いって事でいいのよね?」
「ん、少なくとも人類に危害を加えるつもりは無いからその解釈で間違い無い。百由。」
「あら、私自己紹介なんてしてないけど?」
「ミレイと記憶を共有してるから今までの事は全部知ってる。」
「なるほどね。それで、あなたの事は何て呼べばいいの?」
「言いたくない。」
「ちょっと待ってください。あなた確か生前の名前はルシエラ・・・・・」
「新しい名前が欲しい。」
「え・・・・・?」
「今の私はもう魔族でも何でもない、だから、名前が欲しい。」
「それじゃあ・・・・・"絆"とかどうですか?」
「別に構わないけど。」
「決まりですね!ほら、皆さんに自己紹介お願いします。」
「ん、私の名前は絆。色々迷惑かけたみたいだけどこれからもよろしく。」
「うん、よろしくね、絆ちゃん!」
「梨璃、一応年上よ。」
「あ、ごめんなさい、絆さん・・・・・それとも絆様?」
「気にしないから好きに呼べばいい。」
「ありがとう、絆さん!」
「では早速登録しちゃいますね!えっととりあえず名前は絆・アルシェントで・・・・・顔写真は・・・・・」
二水がてきぱきと入力を済ませていくが・・・・・
「あの、絆さん?写真に写らないのですが・・・・・?」
何度撮影を試みるがいずれも撮れたのは背景だった。
「多分ですがこの世界のいわゆる幽霊とかと違って絆の場合魔力の塊だからですかね?」
「でもこのままじゃ登録出来ませんしくリリィ新聞にもミレイさんの可愛いかった寝顔と一緒に載せ・・・・・」
そこまで言った瞬間、二水の足元に魔法陣が展開し・・・・・
ズドン!!メキメキメキ・・・・・
「痛だだだだだ!!折れる、折れちゃいます〜!!」
「だから強すぎ。」
「やっぱり封印が外れた影響ですかね?これは要練習ですね。」
いつものお仕置きで二水に【グラヴィティ】をかけたものの地面まで陥没させていた。
「納得してないで早く解除してください〜!!」
「だから言ったのに。学習しませんわね・・・・・。」
そんな二水を横目に呆れる楓だった。
そして翌日───。
「や〜だ〜!!ミレイは藍達の方に来るの〜!!」
「え〜?絶対こっちだよ~。ね〜ミレイ〜?」
「あの・・・・・?」
藍と灯莉の取り合いに多少困り気味のミレイ。
事の発端は2週間後に新宿で開かれる防衛構想会議に梨璃と夢結、そして一葉と叶星に招集がかかり、百由の提案で一柳隊全員で上京する事になり、ミレイが神庭とヘレンスゲ、どちらに行くかで争いが起こっていた。
「灯莉さん、今回は味方させてもらうわ。あの時の決着をつけたいしね。」
「あら、それでは私は藍ちゃんの方につこうかしら。一緒にお菓子作りもしてみたいですし。」
「叶星様、このままだと収拾つかなくなるような気が・・・・・。」
「うん、どうしようか・・・・・」
千香瑠と高嶺がそれぞれに加担したためここで口を出したら更に悪化しそうだったため見守るしか無かった
一葉と叶星だった。それでも一触即発の状況であることに変わりは無かったが。
「あの、でしたら私は会議の方に・・・・・」
ミレイがそこまで言おうとしたその時・・・・・。
「だったらミレイさんだけ二日間で両方行くってのは?一人くらい一日早くても問題無いと思うわよ!」
「百由さん?」
「だからね?一日目は一人で神庭、2日目はぐろっぴ達と合流してヘレンスゲって事にすればいいんじゃないかしら?あ、ヘレンスゲが後なのは護衛は多い方が安心だからね!」
百由の提案に一同が黙り込み・・・・・
「わ〜い!ミレイと一日一緒にいられる〜☆」
「藍も〜!!」
「あらあら・・・・・では何を作るか考えておきませんと。」
「ミレイさん、今度こそ本気でいらっしゃい?」
その言葉で乗り気の四人だった。
「それじゃあよろしくお願いします!って藍さんいい加減離れて!!」
あまりの嬉しさにミレイに覆いかぶさるように抱きついている藍。
「そうと決まれば帰り次第色々考えないとね!」
「あの、叶星様?会議の事忘れないでくださいね?」
「大丈夫!それはそれ、これはこれだから!!」
「それならいいのですが・・・・・。」
心配する一葉。実は誰よりも一番嬉しかったのは叶星だったのである。
「ミレイちゃんの事も決まったしこれで一旦解散ですね!!」
「ですね。東京で待ってます。」
「ミレイちゃん、当日楽しみにしててね、歓迎するわ!!」
「御手柔らかにお願いします・・・・・。」
「「「それでは、2週間後に!!」」」
短編限定の予定だったけど本編で夢オチ使っちゃいました(笑)
と、言うわけで新キャラ追加です!(存在的に一番近いのがなのはのリィンだったりします。)
作中で書いた通りミレイちゃんの魔力に精神が乗っかっただけなのである程度の魔法は使えます!
ちなみに絆の得意魔法は元魔族だけあって闇属性と精神操作、干渉系等々。
さて、次回からの展開ですが、(今度こそ)オリジナル回、短編一つ挟んでアレやる予定です!!
それではまた次回!