ウマ娘の才能は見えているけど夢が見れなくなった 作:てきとーてきとー
設定捏造しています
成人したウマ娘による社会人レース。プロ級と呼ばれるシニア級の更に上の階級を作ってしまいました。
その上澄みにレジェンド級も存在すると考えていたのですが、詳しくは考えていないです。
それとアンケートありまーす!
・前書き終わり
★
突然だが俺は前世の
思い出したの齢四歳の時。
四歳だが、どこぞの漫画の世界ように個性が発現したというわけではない。
そこは前世とは殆ど変わりのようのない世界。ただ違う点と言えば馬が存在しないことだった。
この世界では馬の代わりにウマ娘と呼ばれる者達が存在していた。
腰付近から馬の尻尾。頭の上の方には馬の耳。そして超人的な走力を有している。それ以外は普通の女の子と同じ外見だ。
少し特徴的で変な名前が多く、競走馬らしい名前だと気づくのには時間は掛からなかった。
某コレクション的な艦船擬人化ゲームをプレイしていて○○娘という感じのニュアンスを知っていなければ、もう暫く時間が掛かっただろう。あちらは軍艦の名前が、そのまま名前になっているからね。
そもそも前世では競走馬を殆ど知らなかった。
どれだけ知識が浅かったかといえば、ハルウララなら知っている位か。
競走馬が可愛らしい女の子に擬人化された、そんな漫画のような世界に転生したわけだ。
ファンタジーの中世のような文明ではなく現代社会。知識チートによる俺強ェェなんてことは出来やしない。何か特別な存在に出会ったわけではなかったので期待なんて出来なかった。
まぁ、あったのだが……。
俺にはウマ娘と呼ばれる者達のステータスが見えた。
当時の俺は驚愕と歓喜でいっぱいだった。精神は肉体に引っ張られるとも言うし、年齢が相まっていただろう。
すごいぞ!
チートは本当にあったんだ!
そうラピ○タを思う位には当時の俺は舞い上がっていた。
才能を一発で見抜く絶対的なアドバンテージがあるのだから当然だった。
そして幸いにも幼馴染にウマ娘が居た。
同年代に比べれば抜きん出た天才。育成次第で日本一、いや世界一も狙える逸材だった。
俺にはウマ娘をステータスとして見る目だけでなくトレーナーとして才能があった。
幼馴染の三冠ウマ娘になるという夢を叶える為にトレーナーの真似事を始めたことで発覚したことだ。
ここまでくれば、なろう系と呼ばれる、ご都合主義の塊が詰め込まれた展開だ。
見ている側としてはテンプレと化した展開にウンザリしていたが、実際に味わう立場となれば麻薬のように気持ちの良いものだった。
俺は幼馴染と共に目先の目標であったトゥインクル・シリーズと呼ばれるウマ娘憧れの舞台を目指して特訓した。ウマ娘は走るだけでなく、走った後に歌と踊りを披露するウマドルであるとのことだったので、レッスンにも力を注いだ。
小学五年生の頃には順風満帆のビクトリーロードを走るスーパーウマ娘として取材される程であった。正式なトレーナーでもない俺は、彼女の影に隠れる形で交友関係で紹介される程度だが、それでも良かった。
だが夢は覚めるものだった。
彼女は事故に遭った。
ウマ娘らしくトレーニングやレース中の転倒による事故なんてものではない。ただ何の捻りもない交通事故によるものだった。
日本中からウマ娘が集められた日本ウマ娘トレーニングセンター学園――トレセン学園からスカウトされ、寮生活の為の引越しをする時だった。
高速道路でトレセン学園までの移動中に、逆走する車と衝突。運転していた父は即死。後部座席に乗っていた彼女は全身複雑骨折に加え、頭部を酷く損傷した。助かったのは奇跡である。
大手術をしたことで頭部に深い傷を残した彼女は記憶の殆どと、ウマ耳を失うことになった。そして中途半端に千切れた尻尾は切断され、歩けるようにはなるが走ることは絶望的だと告げられた。
それが面会が許された際に聞かされた内容だった。
医者が告げる言葉に対して反論したかったが、姿も然ることながら俺には裏付ける決定的な証拠が見えた。
ウマ娘としてのステータスが見える目。
俺がチートと呼んで喜んでいたものが、俺にだけ真実を見せた。
彼女の成長を一番近くで見続けた俺は、その落差に吐いた。
見るに見れなくなった姿を直視出来ず、逃げる様に彼女の病室を去ることしか出来なかった。転生して初めて涙を流していたかもしれない。
その後、どうやって家に帰ったのか覚えていない。
ただ現実から目を逸らすように、俺はトレーナーとしての能力に磨きをかけ始めた。
俺のチート能力なら彼女を元通りに出来ると信じ、不可能ではないと思っていたのだ。ご都合主義展開は麻薬だと表現したが、正に中毒症状で薬を求める末期患者のように縋りついた。
気づけば早三年。
麻薬は麻薬でも時間という妙薬によって精神的にも落ち着いた俺は、何とか持ち直した。
その時の俺はトレーナーとしての技術だけでは元通りになることは不可能だと感じていて、ドイツ出身で口癖が大丈夫デースと言う妖しげな博士の下でスポーツ医学のイロハを学んでいた。
紆余曲折しつつも高校に入学する前には人体改造にも近い、最先端の技術を何とかものにした。
特に極めたものは秘孔を突くことで歩けるようにしたり下半身不随を治したりする世紀末な技だ。ウマ娘という超常の存在が居るのだし、こういう技も存在するだろうと特に深く考えなかった。それに人体を切り刻まずに行う治療法だったからというのも大きい。
技術を手に入れた俺は彼女の母親に連絡を取った。
そこで聞いたことは彼女は諦めてはいなかったことだ。
記憶の欠落で俺のことは覚えていなかったが、三冠ウマ娘の夢だけは忘れていなかった。
三年というリハビリを乗り越え、走ることが出来るようになった彼女だが、トレセン学園の編入は果たせなかった。だが地方の学園に行くことが出来たのだった。
それを聞いた俺は彼女が在学する学園に編入する形で入り込んだ。
俺は彼女の担当トレーナーの補助スタッフに志願して彼女を近くで支えることにしたのだ。
そこで見たのは彼女がチームに所属した姿。
チーム・シネマというゲテモ――個性的なメンバーが揃ったウマ娘が集うチームでトレーニングを続ける姿だ。数合わせだったとしても楽しそうにトレーニングを重ねる姿を見て、俺は第二の人生二度目の涙を流した。
朗報はこれだけだ。
此処からは悲報である。
チーム・シネマはローカル・シリーズと呼ばれる地方レースに参加した。
だが結果は彼女だけが惨敗。出るレース全てが最下位でジュニア級では結果を一つも残せなかった。
もう分かるだろうが、俺が手にした技術は通じなかった。
いや、俺が望んだ結果に辿り着かなかったというのが正しいか。夢のような技術でも現実という高い壁は越えられなかったのだ。
俺が見えるステータスには基本としてスピード、スタミナ、パワー、根性、賢さがある。
その内、殆どは事故が起こる前に近い所まで取り戻せたのだがスピードだけは一切取り戻せなかった。
走れること自体が奇跡。最高速が40キロメートルにも届かない、並のウマ娘にすら劣るスピード。
加えて、バランサーの役目を持つ尻尾がないのでコーナーを上手く曲がれない。持ち前の受け身の技術で怪我も無く、転倒からの復帰は早いが転倒しないことに越したことはない。
気持ちだけで勝てるわけがなかった。
何度でも立ち上がるド根性ウマ娘として、負けても負けても走り続ける姿に感銘を受けたファンに支えられていた。バ場が最悪であろうがコーナーだろうが、他のウマ娘に追い付こうと一切失速せず走る彼女に対して『曲がれえええええええ』と叫ぶのは恒例となる程だ。
変なファンが出来たとはいえクラシック級も同様に惨敗し、シニア級でも惨敗。
夢の三冠ウマ娘になることは、夢のまた夢。チーム内で唯一白星無しの伝説を築き上げて終わることになる。
所属していたチーム・シネマではトゥインクル・シリーズに参加し、無敗の三冠ウマ娘になった子が出たので余計に話が広がった。
その中に何でこんな黒星しかないウマ娘が居るんだと言われる位の存在だったのは間違いない。彼女に浴びせられたのは心無い言葉ばかりだった。
チームのお荷物程度なら可愛いものだ。
耳は無い。尻尾は無い。スピードは無い。彼女はウマ娘ではなく付け耳と尻尾で誤魔化したヒトではないか、真似事をしているだけではないか、トレーナーを騙しているのではないかと言われた。
彼女は事故の傷跡が残っているから顔を仮面で隠していた。だから仮面の下は醜い顔なのだと言われ、絶対に一着になって顔は晒すなと罵声を浴びせられた。マンガの神様が書いた
努力は報われず、世間で祝福されないまま俺と彼女の青春時代は終わった。
結局、俺は彼女を交通事故が起こる前までに戻すことが出来ず、夢が覚めた後の辛い現実を突き付けられただけだった。
それでも彼女は学園時代で辛うじて得たコアなファンに支えられ、今も走り続けている。
学園を卒業後、俺は資格を得て彼女の担当トレーナーになろうとしたのだが、彼女の要望により断られた。
『私の夢に付き合わせてごめんなさい。貴方は自分の夢を叶えてほしい』
謝罪の言葉。それが俺に向けられた、彼女の最後の言葉だった。
今では成人ウマ娘達が鎬を削っているプロ級で走っているが、彼女が勝利したという情報が耳に入ったことはない。
《お前はそろそろ一回ぐらい、勝とうな?》
《最弱にも理由がある? 奇想天外ウマ娘に密着取材!》
《無敗最強のスシ娘が語ったのは無勝最弱のウマ娘?》
《蛇行ウマ娘の大親友は、あのウマ娘?! 意外な関係が明らかに!》
《負け続けるウマ娘に起こった悲劇。断たれた夢。追い縋る希望。伴わぬ結果。浴びる罵倒。挫けぬ心。集う思い。そして何故か待ち望む声?》
《無類のタフネス。スピードが一切落ちないウマ娘名鑑!》
《海外で知られている三大名ウマ娘! スシ娘、蛇行娘、最弱娘!》
《名家に生まれた彼女は元々落ち零れではなかった?!》
《もしフルマラソン並の距離を走るならどうなる? あのウマ娘でもワンチャンいけるのでは?》
《踊りは完璧。歌も上手い。頭も良い。だが足が遅い!》
《彼女はヒトかウマ娘か?》
《あいつにだけは負けられない! 勝たせてあげたくてもプライドがある!》
《今語られる衝撃の真実! あの事故は仕組まれたもの?!》
そういった感じで報道されたり、芸能枠として下手なウマ娘より稼いでいる位だ。
尚、最後の情報は調べられた結果、やっぱり交通事故だったのでネタとして取り上げられただけのものだ。
夢が覚めたのであれば、新しい夢を見ればいい。
そう彼女は言いたいのか、こうして世界一有名なウマ娘になる為に芸能枠で頑張っているのだろう。だから俺も彼女に言われた言葉を胸に、夢を叶えることにした。
三冠ウマ娘を育成する。
彼女に触発された形ではあるが、俺が抱いた夢だ。
今の俺は、とある学園のサブトレーナーとしてのウマ娘の育成を行っている。
何れは担当ウマ娘を持てるようになりたいのだが、未だに許可が下りずに誰の担当にもなれないのが現状だ。
チート染みた目や技術を持っていても人一人の人生を支えることは困難なのだ。
ウマ娘とトレーナーの関係は二人三脚。ウマ娘は高校生という青春をトレーナーと共に駆け巡るのだ。故にトレーナーは担当するウマ娘の人生を背負うに等しい。
ただ俺の人生における運は幼馴染の超絶美少女天才ウマ娘を担当したことで使い切ったのかもしれない。だが彼女のように諦めずに夢に向かって走っていれば何れは――
★
「――ん?」
夢を諦めまいと、己の心に渇を入れているとマンションのインターホンが鳴った。
訪ねてくる人物なんて限られていて、学生時代に接触する機会のあったウマ娘や教師陣くらいだ。特にチーム・シネマのウマ娘は今でも現役で多忙な筈なので会いに来るなんてこともない。
郵便物の受け取りか何かだろうか。資格試験の合否を通知する書類は届いたので心当たりは無い。
少し前にあった本鮪一尾丸々送られてくるような変なことはないだろうし、アメリカやらフランスやらケニアやらと海外から変なものが送られることもないだろう。
朝のランニングを終えたばかりなので出るのも面倒に感じるが、備え付きカメラで扉前を画面に映し出す。
『挨拶ッ! 君をスカウトしに来た! その手腕をトレセン学園で活かしてほしい! 詳しい話は部屋でしたい! 入れてくれないだろうか!』
栗毛に白いメッシュのある髪をした小柄の少女と緑色のスーツを着た女性。最近、トレセン学園の理事長になった秋川やよいと理事長秘書の駿川たづなの二人がカメラに映っていた。
このじゃじゃ馬と表現できる二人とは知らない仲ではない。
彼女の件で当時在学中のウマ娘達からは良い目で見られることがなく、そのウマ娘が集うトレセン学園とは確執があるからな。
トレセン学園の関係者とは会いたくはない。
だから別のライバルとなる学園に就職し、こうしてサブトレーナーとなっている。
この引き抜きもといスカウトという話は人違い――部屋違いであろう。
俺の隣の部屋を借りている奴は新鋭チームで実績を現在進行形で作り上げてきている新米トレーナーだ。将来性を考えればスカウトされても可笑しくはない。
「あー、多分お隣さんだ。303号室の」
『羞恥ッ! 部屋を間違えるとは、大変申し訳ないことをした! 教えてくれて感謝する!』
『え? 此方で間違いな――』
部屋が隣同士なので間違うことだってある。
俺が今住んでいるマンションは俺のようなサブトレーナーや実績の少ない新米トレーナーが暮らしている。普通よりも一割り増し程度で家賃は高いが、学園に近くて設備も整っていて、壁もある程度厚いので防音も優れている優良物件だ。
だというのに声が良く響くというか、何がガヤガヤと隣が煩くなった。
壁は厚い筈なのだが……気を取り直して資料作りだ。
トレーナーに頼まれたウマ娘の能力データ。今日中に纏めなければならないからな。
要するに俺が見ているウマ娘のステータスを他人にも分かるように視覚化した資料にする作業だ。
流石に具体的な数値を書くわけではなく抽象的に[スピード:G]だったり[パワー:F]という風に書いている。そこから更に五角形のレーダーチャートで視覚的に誰でも目に見えて分かるようにしている。
こういったデータを基にトレーナーはウマ娘のトレーニングを決定しているので下手なこと書いていない。
俺が"目で見える"最善のトレーニング方法を添えて書いている位だ。違和感の無いように、最もらしい理由を織り交ぜているのでイザコザは起きていない。
因みにウマ娘の秘孔を突いてパワーアップなんてことは出来ない。
何せ針やマッサージによるセクハラに近い危険な行為。信用も信頼もされていない状態で実行するのは社会的に拙いのだ。
切実だが俺は捕まりたくない。
うら若き乙女にセクハラするのが夢だったと彼女達に勘違いさせたくないからな!
それと潜在能力や才能の有無、そして肉体的に無理なものは秘孔を突こうが無理だ。
彼女が模範的な例で秘孔による治療でパワーやスタミナは復活したが、物理的に破壊されたスピードだけは取り戻せなかったからな。
《♪♪♪》
《♪♪♪》
《♪♪♪♪♪♪♪》
水分補給をしているとインターホンが三三七拍子で鳴り響いた。
隣の玄関が勢い良く扉を開かれていたが、またちびっ子が鳴らしているのだろうか。
あのじゃじゃ馬は昔からだが近所迷惑にも程がある。
このままでは作業に集中出来ないので再びカメラで扉前を見ると、機嫌の悪そうな理事長と困り顔の秘書が映し出された。
『相違ッ! 隣の住人は新米トレーナーだったではないか! それと昔と全然見た目が違うから気付かなかったぞ! 髪を切ったのだな!』
『ですから言ったじゃないですか。此方で間違いないですって……』
他人の振りをするのは無理があったか。
俺の容姿は体格だけは変わっていないが黒色の短髪で眼鏡もしていない、どこにでもいる平々凡々の顔をしている。お世辞に言えば万人受けする顔。
学生時代はウマ娘のステータスを意図的に見ない為のグラサンや、脱色して茶色に近い長髪で視界を直ぐに隠せるようにしていたのでいけると思っていたのだが……。
「あっちじゃないとすると301号室の――」
『互いに勘違いというか……誤解があるようなので詳しくはお部屋で説明しますね。トレーナーさん?』
「あっ、はい」
たづなさんが、そういうので俺は扉の鍵を開け、中に入れることにした。
何故かスカウトという話だが、これが俺の夢の第一歩になるのか、それとも―――
・後書き
ステータスを最後に記載するか迷いましたが何か文字数の水増しにしかみえなかったので記載しませんでした。
要望があれば次話に事故前、事故後、高校入学時、高校卒業時の四つを記載しても良いかもしれません。
チートなのだからやりすぎが良いだろうと、能力マシマシのヤベェ奴であることは確定します。
プロットの段階では幼馴染は居ませんでした。
ウマ娘をステータスという、ゲームのようにしか見れない完全闇堕ちプロットだったのに、何でこうなったんですかね。
私には分からん。
原型はステータス閲覧がトラウマになって吐くという展開だけしか残ってねぇ!
もし少しだけ蛇足で続くのであればスカウトの話をした後、理事長達は帰っている最中に独自調査した、彼の情報を思い出したりするんじゃないですかねぇ。
それと過去のレースが描かれるかもしれません。そのレースの実況と解説の部分だけは台本形式になるでしょう。
レース前のウマ娘解説を一文抜粋。
実況と解説が誰の声なのかは某JWC想像してください。
実況『ニンジンよりも寿司が好き。誰が呼んだかスシ娘。ほのかな酢の香りを漂わせる大和撫子とは彼女のこと。スシウォークを進化させた回転スシウォークを更に進化させた技が存在するようです。お前は孫○空なのか? お前がナンバーワンなのか?』
解説『やはり一番人気は譲れませんね。この"ルーレットでレースの内容が決まる"形式に柔軟に対応出来るかどうかに期待されています』
実況『でるか、新技おにぎりウォーク。伝説のスーパーウマ娘として海外に名を知らしめられるか? 期待しましょう!』
解説『では次は二番ピンクフェ――』
こんな感じになります。
予想:スカウトされるとして彼が育成するウマ娘って誰よ?
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笑顔が消えたハルウララ!
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幸福塗れライスシャワー!
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誰が一人と言った?欲張れ!ウラライス!