ウマ娘の才能は見えているけど夢が見れなくなった   作:てきとーてきとー

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・前書き始め

 タグ追加しました。
 先頭を行くのは1番クロスオーバー。
 すぐ後ろに3番キャラホーカイ。
 外から外から2番アンチヘイト。
 追う様に5番マカイゾー。
 大きく離れて6番ウソヨコク。
 最終コーナーを曲がってきたのは――

 ふざけるのはコレくらいにして、真面目なお話。
 知識不足兼、書く前にアニメ未視聴だったのが悪かった。全面自分が悪い。

 ドリームトロフィーリーグって何だよ? プロ級要らなくね?

 ということでプロットとか路線大幅変更しました。
 この世界線はドリームトロフィーリーグが作られず、プロ級が作られた世界線ということで見てください。

 さて、この回から前話でスシとか蛇行で暈していた"奴等"が登場します。キャラはイメージなので気にしないでください。

 後書きにちょっとネタバレ有り。

・前書き終わり


夢のレース。その名も――

 

「是非ッ! 良い返事を期待しているぞ!」

 

 マンションの位置がライバル校に近いだけあって長居したくはなかったのだろう。

 言いたいことだけを言った理事長はたづなさんを引き連れて去っていった。

 

 残されたのはテーブルに置かれている書類一式。

 掻い摘めば好待遇ということだけは分かった。

 

 先ず目を見張るのは初任給が見積もられた仮の給与明細といったところか。

 どこぞのウマの骨かも分からぬサブトレーナーに対して支払われる金額ではない。

 

 高校時代にトレーナーが自慢げに給料を自慢して語っていたが、それと同等と言える。

 新米に支払う金額としては正に桁違い。ゼロを一個か二個、入れ間違えたかのような金額だ。

 

 縁やコネという点で、昔少しだけ関わったという程度の関係に対して支払う金額でもない。

 四捨五入で三十歳という年齢でありながらサブトレーナーという立場で燻っている点を見れば、寧ろゼロを引き間違っていそうなものだ。

 

 他にあるとすれば――俺や関係者しか知らないことを知っている可能性か。

 例えば中学二年から高校一年までのことは除外するべきだろう。知られたくない過去だ。

 

 この頃は今の自身でも分かる位に、ぶっちぎりでイカれていた。

 安藤梅田学園という学園でスポーツ医学の権威だと言う、腕は確かだが胡散臭い博士の助手をして技術を盗み見ていた。精神は肉体に引っ張られると言うが年齢も相まって(中二病の)黒歴史でしかない。

 

 考えればどれもこれも憶測の域でしかない。

 

 それと好待遇だと分かるのは給料だけではない。

 書類の中には福利厚生の内容が記載されたものもある。此方も随分と破格の内容だ。

 

 手始めに実質無料の社宅の提供。次に生活での光熱費や水道費、交通費等も経費として何割かの負担だ。

 流石に食費は含まれないが、レースやライブでのチケット代等を経費で落として良いらしい。成果に応じてボーナスまで出るのだから、ホワイト企業は実在したのかと疑うレベルだ。

 

 此処まで充実していると、何か裏があると勘繰ってしまう。

 例えば用意された社宅というのは隠しカメラ仕込まれているとかな。

 

 隠しカメラの理由としては明言しないがトレーナーとウマ娘は二人三脚。その距離感から生徒と教師の禁断――的な不祥事が起こりかねないらしい。

 ただ、それで辞職したトレーナーはいないが、ウマ娘が引退した後に辞めるケースが後を絶たない。しかも腕の良いトレーナー程、その傾向が強いのだとか。

 

 その対策として隠しカメラが設置された社宅に住ませて管理することも考えられる。

 俺の場合はウマ娘を"普通の目で見れない"のでそういう関係にまで発展したことはないが似たような経験は多い。

 

 勿論だが恋愛的ではなく、犯罪的な方面だ。

 指や針による秘孔を突くことやケアで行うマッサージのことだな。

 

 俺も、よく訴えられなかったとは思う。

 効果が無ければ間違いなく俺は豚箱送りになっていたのであろう。それだけのことはしていると自覚している。

 

 とまぁ、そんな感じで好待遇なのだが仕事が多い。

 俺の場合は教職員として教鞭を振るうことは無いが、新米風情にやらせるような内容ではないことも少々有る。

 

 その一つがトゥインクル・シリーズに参加する新しいチームの作成。

 言い換えるなら最低でも二人以上のウマ娘を担当し、レースに出走させろということ。

 

 チームを率いることが出来るのは一部の優秀なトレーナーだけ。

 俺は補助スタッフやサブトレーナーとして、色んなトレーナー達を見てきたがたった一人のウマ娘を担当することでさえ難しい。それが複数人ともなればトレーナーの手が行き渡らないことは当然のように発生する。俺も多忙なトレーナーの代理としてトレーニングの監修や書類整理等のことをしているが、間に合わないことも多い。全員に万遍無く、行き渡らせるのは至難の業だ。

 

 トレーナーですらない俺に、今を走るウマ娘達の人生を背負うことが出来るのか?

 

「……いや、分かりきっていることか」

 

 出来やしない。

 俺は彼女の育成で運だけでなく覚悟すらも使い切っていた。

 

 高校卒業し、次に彼女がプロ級に行って数年の年月が流れた。だというのに現時点で未だにサブトレーナーという枠に収まっているのが良い証拠だろう。

 チート染みた目とウマ娘を育成する才能を持ちながら、何だかんだと理由を付けてトレーナーの一歩後ろに控えることで矢面に立たない立場に甘んじている。

 

 三冠ウマ娘を育成する?

 

 馬鹿を言うなという話だ。

 行動に移していないというのに夢が叶うわけがない。

 

 本当に目指しているなら持てる力を全て駆使すれば良い。

 今、プロ級では俺が彼女の育成と併用して関わったウマ娘達が存在している。そのウマ娘達の活躍を考えれば三冠ウマ娘の夢は直ぐに叶う――というより叶ってしまうだろう。

 

 だというのに行動に移せない。

 その理由は自分でも分かっている。

 

 恐怖。

 

 彼女が再び走れるように全身全霊を賭けて育成したというのに終ぞ覆せなかった。

 チートを駆使しておきながら、この体たらくという事実が俺の中でトラウマなのだ。

 

 だから自己暗示するように三冠ウマ娘三冠ウマ娘と、壊れたレコードのように口にして誤魔化している。

 ご大層に俺が抱いた夢というが、これは新しい夢でも何でもない。彼女の夢だったものを自分の夢に置き換えて、自身を謀っているに過ぎない。

 

 俺が夢を見れなくなったのは何時だろう?

 

 彼女からの拒絶の言葉を聞いた時だろうか?

 自身の力程度では彼女の全盛期を取り戻せなかった時だろうか?

 全てがひっくり返った事故が起こった時だろうか?

 彼女がスーパーウマ娘として取材を受けた時だろうか?

 自分のトレーナーとしての才能を知った時だろうか?

 

 

 それとも――ステータス(真実)が見えたときだろうか?

 

 

 

「資料ッ! 既に出来ているな?」

「出来ていますよ」

 

 彼が住むマンションからトレセン学園に帰ってきた秋川はトレセン学園の理事長室に帰ってきた矢先に口を開いた。

 秘書の駿川はデータが記された用紙を取り出し、テーブルに広げる。

 

 とあるトレーナーの実績が細かく記されたものだ。

 それに加えて十数人のウマ娘の経歴が記載されたものも添付されている。

 

「此処ッ!」

 

 秋川は勢い良くテーブルに扇子の先端を叩き込んだ。

 

 その視線は、とあるチームの表に向けられていた。

 連戦連敗続きでチーム解散の危機にまで追い込まれていたものが新入生を迎え入れた後に勝利し続け、四年後に失速した図が指し示されていた。

 

 JWC学園のチーム・シネマ。

 スシ娘だけに限らず様々な異名で呼ばれるギンシャリボーイを筆頭とした、プロ級で活躍するウマ娘達が所属していたチームであった。

 

 ギンシャリボーイが今後、誰も破ることの出来ないであろう偉業を達成したことで一躍有名になったトレーナーが存在する。

 チーム・シネマで数々のレースを勝利に導いたとされるトレーナー。この伝説の人物が行方を眩ませたのは随分と前のこと。その所在を明らかにし、トレセン学園に呼び込もうとしていた。

 

 所在を知るには近しい人から話を聞くのが良いと、関わり深い担当ウマ娘を訪ねたのだ。

 

 あの伝説のトレーナーなのだから一人くらいは連絡を取り合っているものだと思っていたが誰も知らなかった。

 そこまで親しくなかっただけだろうかと予想していたが、話を統合すると世間とは違った人物像が浮かび上がってきた。

 

 駿川が提出した資料にも記載されている。

 

 伝説のトレーナーだと呼ばれていた人物の悪行が細かく記載されていた。

 社会人として有るまじき行為に及ぶ姿。担当ウマ娘の殆どから裏付けする証言が取れるのだから真実と言わざる得ない。

 

 自分勝手で無茶苦茶なことをする上に碌に面倒も見ない。

 かなりの頻度で代わりのスタッフがトレーニングを監修し、自身は大まかなスケジュール管理を行っているだけ。空いた時間はパチンコや推しのウマ娘のライブ会場に行くような行為をしていた。

 

 尚、セクハラ行為が一番多かった。

 

「チーム・シネマは率いるトレーナーが変わったのではなく、ギンシャリボーイさんを筆頭とした現在でもプロ級で活躍しているウマ娘達が所属していたことによるものだと判明しています」

「自尊ッ! 故にウマ娘の才能が凄かったのかと思えば、そうでもない」

「チョクセンバンチョーさんを筆頭に、入学する前の戦績、選抜レースでも結果は普通と言った感じです。アメリカやフランス、ケニア等の留学生ウマ娘も同様です」

 

 今ではプロ級でギンシャリボーイに次ぐ戦績を残すチョクセンバンチョー。

 素行不良だったという過去を持つ彼女を筆頭にチーム・シネマに所属するウマ娘には問題児しかいない。

 

 彼女達が所属する前は全戦全敗の弱小チーム。

 言っては悪いが、そこまで実力があるウマ娘は集まらなかったという意味でもある。

 

 因みにギンシャリボーイも問題児の一人に加えられている。

 彼女は寿司の食い過ぎでエンゲル係数が跳ね上がったという、金銭トラブルがあったらしい。流石の駿川も、寿司の名店に入り浸って数十万円支払ったことがあると知った時は、ニンジン換算で何日分になるのかと思った位だ。

 

「遭逢ッ! だからこそ、彼に辿り着いたわけだ」

 

 故にスタッフの一人である『日ノ本(ジャパン)』という人物に辿り着いた。

 日ノ本(ヒノモト)と書いてジャパンと読む綺羅綺羅な名前である。これは公には名乗れない。

 

 二人は、その情報に辿り着く前に彼と出会い、少しお世話になったことがあった。

 その時は名乗りもしなかったが、この名前を名乗るには羞恥心に打ち勝つ必要があるだろう。

 

 ただ、これは運命とも言えた。

 この手腕を是非ともトレセン学園で振るうべきだ。そう考えた二人は彼の経歴を調べた。

 

 するとどうだろうか。

 最古に遡ればハリボテエレジーと幼馴染であることが判明した。

 

 ウマ娘の為に日夜、力を注いでいる二人してハリボテエレジーを知らないわけがない。

 今では芸人として日本中で笑いと走りを齎す立派なウマ娘。お茶の間で彼女を知らない者は殆ど居ない知名度を誇る。愛されるという方法で勝ち上がったウマ娘だ。

 

 だが過去にトレセン学園がスカウトし、その直後の事故で選手生命を断たれたに等しいウマ娘だった。

 

 小学生最強のスーパーウマ娘として話題を沸騰させたハリボテエレジー。

 当時専属のトレーナーも無しに、本格化すら迎えていない小学生でありながら既にシニア級ウマ娘にすら匹敵する実力者という傑物だったとされるが、自主トレ等だけで辿り着くわけがない境地であることは明白。

 

 辿り着かせたのは彼だという考えが浮かぶのは仕方の無いことだ。

 つまり彼の手腕は、この時から既に発揮されていたことになる。

 

 そんな才能を持つ彼は事故の後、中学二年に上がる前に行方を眩ませ、空白の二年の後に安東梅田学園という野球の名門校に入学している。

 安東梅田学園というのはスポーツ医学の最先端であるされ、トレーナーになるのであれば同じスポーツという意味で入学するのも頷けよう。

 

 その一年後にして唐突にJWC学園に編入した。

 

 何故ならJWC学園のチーム・シネマにハリボテエレジーは所属していたのだ。

 入学後にチームの数合わせで所属することになったのが目に見えて想像出来る。

 

 これが類稀な才能を持ちながら、JWC学園に編入した理由だろうと推測した。

 その後の彼がチームのスタッフの一人として所属した結果が、今回用意した資料となる。

 

「未知ッ! 彼はトレセン学園に来るだろうか? 人生を狂わせたともいえる、この学園に……」

 

 チーム・シネマの快進撃。

 トゥインクル・シリーズへの殴り込みだ。

 

 当時の歴戦の猛者が集まったトレセン学園のウマ娘が誰一人として、ギンシャリボーイを筆頭とするチーム・シネマのウマ娘に勝てなかった。

 有馬記念を筆頭としたGIの数々を掻っ攫っていく光景は称賛を通り越して畏怖、絶望すら覚えるものだ。その時、秋川やよい自身は理事長の立場ではなかったので、そこまで詳しくは知らない。だが当時のトレセン学園の雰囲気は最悪だったと言えよう。

 

 伝説のトレーナーの手腕であるとされるが、彼が背後に居たと考えれば納得するものだ。

 

「こればっかりは何とも言えません。高校卒業後の経歴を見る限りでは可能性が無いわけではないでしょう」

 

 彼の行動は"麻薬"のようにハリボテエレジーに依存していた。

 しかし彼女がJWC学園を卒業し、社会人となったウマ娘が走るプロ級の同じチームのトレーナーにならない。というのは異質であった。

 

 何かしらの問題があったといえる。

 彼の情熱が途絶えてしまったのか、或いは彼女が――

 

「時間ッ! そろそろ感謝祭レースの開会式が行われるな! 気持ちを切り替えて見に行くぞ!」

 

 しんみりとした空気を変えるべく秋川は扇子を広げた。

 

「確かに時間が差し迫っています。東京レース場ですので急いで準備しましょう」

「歓楽ッ! 初の試みだというのだから楽しみだ」

 

 

 東京レース場。

 此処では二十万人のファンが集い、今か今かと待ち望むドリームマッチが始まろうとしていた。

 

 ジャパンワールドカップ。

 プロ級で活躍し続けたウマ娘の引退宣言によって開かれることになった夢のレースだ。

 

 出場条件は知名度が高く、実力のあるウマ娘であること。

 ジュニア級だろうがシニア級だろうが、どの階級からでも出走可能。お祭というだけあって戦績には響かない。理由が憧れにしろ、賞金にしろ、この感謝祭には数多くのウマ娘が登録しようとした。

 

 そして此処には幼き頃から、とあるウマ娘のファンである二人が今か今かとレースを待ち望んでいた。

 

「知名度や人気で出場枠が決まるのであればハリボテエレジーが参加するのは当然の帰結だな。彼女は呼ばれたウマ娘の中で、最もお笑いに特化したウマ娘。この大会の主旨に最も合うのはプロ級であれば彼女だ。主催者側からすればレースに興味の無い人を寄せる為の、正に客寄せウマ娘(パンダ)というわけだ」

「どうした急に」

「最終レースである11Rでは回されたルーレットに実況者がダーツを投げる形式でルールが決まると宣言されている。ダーツの達人でもない限り、狙ったコースを選ぶことは出来ないだろう。正に公平と言うわけだ」

「確かに。だが、これまで以上に極端な内容かもしれないぞ」

「この感謝祭の主役が出走する最終レース。なら主役を勝たせる為に、彼女が有利になるレースしか表記されていない可能性が高い。あまり言いたくは無いが出来レースの可能性も視野に入れておけよ」

「くっ! アニマル国際やらコスプレステークスやらサラ系箱障害やら、意味不明なルールが多かったからハリボテエレジーにも勝機があると思っていたのに、これもそれも主催者の掌の上ってことか!」

「どんな内容であろうとも俺達は応援するだけだ。曲がれってな」

「だな」

 

―――

 

実況『遂にこの日がやってまいりました。全世界のウマ娘ファンが待ちに待ったドリームレースが始まろうとしています。選び抜かれた八名のウマ娘達による頂上決戦。この東京レース場には二十万人以上のファンが集い、その歴史的レースを見ようと押し寄せています』

解説『現在は雨が降りそうな曇り空。ですが良バ場となっています。それでは先に本日出走のウマ娘のご紹介に参ります』

 

 パドックにウマ娘達が現れる。

 最終レースとなる11RはGIと謙遜が無い為か誰もが勝負服を身に纏い、その晴れ舞台を飾っている。

 

解説『一番ギンシャリボーイ。日本出身。誰もが知る最強無敗のウマ娘。《日本代表》の二つ名を持っています』

実況『ニンジンよりも寿司が好き。誰が呼んだかスシ娘。ほのかな酢の香りを漂わせる大和撫子とは彼女のこと。スシウォークを進化させた回転スシウォークを更に進化させた技が存在するようです。お前は孫○空なのか? お前がナンバーワンなのか?』

 

 そうして出てきたのは大正ロマンと呼ぶべき和服の勝負服に身を包むウマ娘。

 鮪と描かれた羽織。帯刀するように腰に杓文字。そして耳にはお魚の飾り。ほんのり酢の香りが漂いそうであった。

 

解説『やはり一番人気は譲れませんね。このルーレットでレースの内容が決まる形式に対応出来るかどうかに期待されています』

実況『でるか、新技おにぎりウォーク。伝説のスーパーウマ娘として海外に名を知らしめられるか? 期待しましょう!』

 

解説『お次は二番ピンクフェロモン。フランス出身。学生時代では留学生として日本に来ていた経験があります』

実況『本国だけではなく日本でもグラビアモデルとして活躍中。趣味はポールダンス。実力は勿論のこと、その美しさから生で見たいと男性ファンが多く詰め寄っています。私も彼女が載っているグラビア雑誌を購入していますよ』

 

 赤いビキニに太腿に鞭を携えた勝負服を身に纏ったウマ娘。

 鞭を添えられているが、それで相手を攻撃したら妨害失格なので飾りである。

 

解説『日本というアウェイの中での三番人気ですが、どうでしょう? やはり海外トップクラスの実力者だからでしょうか?』

実況『私としては以前失格となった、スッポンポーン! ごほん。興奮する程の素晴らしい走りを期待しています。しかし失格にだけはならないで欲しいですね。自制さえ出来れば勝てると踏んでいます』

 

解説『三番チョクセンバンチョー。日本出身。ライバルは当然、ギンシャリボーイ』

実況『風を物ともしないリーゼント。何故かラストスパートを仕掛けると蛇行で進む暴れウマ娘。蛇行した時の方が早い。ギンシャリボーイが永遠のライバルと宣言し、お前は俺が倒すと言っていますがプロ級でも勝てたことがありません。現状、お前がナンバーワンだと言うベジ○タの立場です。気張って欲しいですね』

 

 ゴテゴテに改造された特攻服風の勝負服に身を包んだウマ娘。

 髪は風を掻っ切りそうな長いリーゼント。俺のリーゼントは風を切り裂くと言わんばかりだ。これで前を走るウマ娘を()さないか心配になるだろう。

 

解説『日本だけでなく海外でも十分に成績を残しているウマ娘なだけあって二番人気。これまでのレースの内容からすれば勝てる可能性が十分見込めます』

実況『聞いたかお前ら、そこんとこ夜露死苦ゥ!』

 

解説『四番ハリウッドリムジン。アメリカ出身。アメリカのウマ娘の中でも破格の体をしています』

実況『なんと2m越えの高身長です。しかし足はそんなに長くない。知る人ぞ知る一発屋。転倒寸前の体勢から繰り出すロケットのような急加速。必殺のリムジン発射で牛蒡抜きを期待したい。転倒したら、おしまいだぁ!』

 

 そこにいたのは巨大なウマ娘。2m越えの高身長だが足は一般的な成人女性と変わらない。

 胴長体型。勝負服は真っ黒なスーツ。出来るリーマン風の立ち姿だが、頭の悪そうな顔をしている。

 

解説『学生時代に日本に留学した彼女ですが、日本語はカタコトしか喋れないそうです』

実況『成績は赤点ギリギリ。出だしの遅さから焦って掛からないよう、上手く立ち回れるかが鍵となるかもしれません。これでも前走ではアメリカGIを一着で制しています。その時は発射成功したらしいですよ。ゴール後に転倒して転げまわりましたが……』

 

解説『五番サバンナストライプ。ケニア出身。そこそこ小柄ですがパワフルな走りを見せてくれます』

実況『ヨーロッパでは好成績を残している縞々模様の髪が特徴のウマ娘。最後の直線では命の渦巻きとも称される美しい足運びは見る人を感嘆とさせるでしょう。アフリカンタービンが火を噴くか?』

 

 白と黒の縞模様の長い髪を靡かせる褐色ロリ。

 お嬢様然とするゴスロリの勝負服だが立ち姿は上品ではない。今は座っているがヤンキー座りである。

 

解説『親の仕事で一時的に日本に居たこともあり、日本語は喋れるそうです』

実況『珍しい髪なので一際目立っています。やはりチョクセンバンチョーの影響でしょうか。両親共々名家でお嬢様だそうですが仕草は完全にヤンキーです。間違った日本文化を教えないでくれ』

 

解説『六番ニンジャスナイパー。ロシア出身。格好はどう見ても日本出身にしか見えません。親が日本好きらしいです』

実況『日本が誇る忍者アニメに感化された忍者ガール。このウマ娘も間違った日本文化を学んだのか勝負服はコスプレにしか見えないミニスカ装束。足音の無い忍者走りで何時の間にかトップに躍り出ていたなんてこともある。パドックで煙玉を使ったことでレースが中止になり、失格した経験があるのは彼女だけでしょう』

 

 何をどう間違ったのかミニスカ忍装束が勝負服のウマ娘。

 忍者らしい覆面で目元以外は隠れているが捕まえてくっころという台詞を言わせて見たくなる凛々しい目をしてる。

 

解説『日本に来るのは二度目。一回目の時は秋葉でお金を使い切って路頭に迷ったそうですよ。日本語も堪能です』

実況『頻繁にニンニンと言っているそうですが、本物の忍者はそんなことを言いません。それと変わり身と影分身はしないでくれ。どちらが本物か分からない。実況する私が特に困ります。ギンシャリボーイのスシウォークを一度見ただけで完全コピーしたそうですが、あの忍者アニメのコピー忍者スケアクロウ(案山子)なのでしょうか』

 

解説『七番ピーピードーナッツ。オーストラリア出身。此処まで小柄なウマ娘は彼女だけでしょう』

実況『小学生と間違われそうな身長。ランドセルを背負う姿が似合いそうです。家族も全員小柄なので、そういう家系なのでしょう。身軽そうですね』

 

 吊りスカートと白いブラウスの勝負服。腰まで伸びたツインテール。

 どう勝つか他のウマ娘を観察しているだけであったとしても、ネット界隈ではメ○ガキと呼ばれそうな相手を舐めきった表情で見ている。

 

解説『上位陣がビックネームなだけあって七番人気。期待するのは特殊ルールのレースを引き当てての一発逆転でしょう。年上の人には男女共通でお兄ちゃん♪と呼んでいるそうです』

実況『彼女の親は躾に関しては甘かったそうで、ちょっと変わった子に育ったと言っていました。私はお兄ちゃんではありません。オジさんです。はい、復唱』

 

解説『そして最後は八番ハリボテエレジー。日本出身。怪我で耳と尻尾を失ったそうです』

実況『精巧に作られた耳と尻尾はダンボール仕立て。軽い素材で作られていますが強度に問題がある。今日こそコーナーは曲がってくれるのでしょうか。直角に進むというやり方では駄目なのか。ウマ娘として欠け無しのプライドが直角機動も減速も許さない。止まらない全力疾走は夢へと走り続けるという意志表示。走り続ければ夢は叶う』

 

解説『前評判通りの八番人気。普通のレースは勝てない、そのパワフルな走りは障害競走向きなので、レースが障害競走になれば勝てる! とファン達からは言われています』

実況『走る速度以外は屈指の実力だと言うのは明らかなのですが、如何せんスピードが無いので今だ未勝利。しかし何度負けても闘志は未だ衰えません。ですが、それでも勝てないのがレースです。彼女の勝負服を初めて見ますが、何とも言えないデザインですね。予算が下りなかったのでしょうか?』

 

 ダンボール仕立ての耳と尻尾を付けたウマ娘。

 全体的に茶色い、布切れが継ぎ接ぎで、手で縫われたかのような勝負服。それは転んで泥塗れになろうとも、汚れを気にしない為にも見えるだろう。

 

 貧乏な家庭でお母さんが夜なべし、頑張って縫い合わせたかのような服だ。

 だが予算が足りなかったなんてことはない。晴れ舞台で着る勝負服である為、これはハリボテエレジー自身がURAに提案し、完成に納得した衣装であった。

 

実況『……これはどうしたことでしょう。仮面はどうしたハリボテエレジー。忘れてきてしまったのかぁ?!』

解説『顔に縫合痕がありません。整形手術をしたのでしょうか? それで予算を使ったのでしょうか?』

 

実況『カメラをズームして……おーっと?! これはガムテープ! 縫合痕にガムテープを貼り付けての登場です! 肌の色に限りなく近いものだったのでパッと見、気付けな~い!』

解説『お色直しということでしょう。いつも以上に気合が入っていますね!』

 

実況『ではルーレットの準備が完了するまで今しばらくお待ちください』

 

 




・後書き

 次回は彼の育成やら秘孔やらの魔改造を受けた半オリウマ娘もとい被害者の会のメンバーが喋ったりするんじゃないですかね?

 次の投稿は更に延びます。
 というか次話で煮詰まっているので、この話をこのまま投稿するか迷いました。

 アンチ・ヘイトのタグは彼が関わった半オリウマ娘によって直接対決による被害ではなく、間接的被害を受けたウマ娘達が大勢出てしまうので付けています。

 一番の被害者は会長ことシンボリルドルフ。
 次話のネタバレになりますが七冠が霞むレベルの偉業がオンパレードで語られます。誰も破ることの出来ないであろう偉業且つ最強無敗という時点でお察し。

 安藤梅田学園を知らない人は調べたら大体分かります。
 博士にはジャパンの童を文字ってジャドー(邪道)という名前で呼ばれていたかもしれません。多分。

 あと滅茶苦茶日記形式のものを書きたい。
 育成パートだと年数的に3年もあるから、それですっ飛ばして行きたい気持ち。


 補足。
 JWC学園はレースよりもウマ娘達に手に職をつけられるように力を最も注いでいる学園である。その人間離れした身体能力をレースだけに使うのは勿体無いという理念があるらしい。
 主に"トレセン学園からの落伍者"や"レース以外"の素質が高いウマ娘達が集っている。記憶喪失になったとしてもチート能力持ちの彼が太鼓判を押す程の才能を持つ彼女が入学するのは当然の帰結であった。

 ぶっちゃけると軍ウマ娘()タイプや障害競走ウマ娘()タイプが集っている。武闘派で脚よりも腕っ節が強かったり、技巧派で頭が滅茶苦茶良い娘が集っているとんでもない学園。



 読み手としては5000文字以上15000未満。理想は1万文字で投稿したい気持ち。
 だけど投稿者としてはアンケート毎回したいから2000文字程度で細かく投稿したい。

可否:ステータス表記って必要?

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