機械生命体「俺ハ人間サ」   作:鈴木颯手

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今日から本格的に講義始まるのでもしかしたら毎日の更新が難しくなるかも……


第四話「歌姫になる筈だった機械生命体」

 うへぇ、流石は最新型のアンドロイドであるヨルハだ。小型は一撃、中型もほぼ一撃、大型も数回で破壊している……。

 

 遊園地に向かう道中だが俺は何もしていない。というよりする事がない。精々が破壊した機械生命体から部品を回収するくらいだ。戦闘においては全く何もしていない。何もする必要がないくらいA2は強かった。初めて使う俺手製の武器を一戦、二戦と戦闘を重ねるに連れて使い慣れていき今ではヨルハ部隊で使っていた頃の武器と大差なく使いこなしている。こういうところが最新型のアンドロイドと言った所なのだろうな。

 

 そんな訳で俺とA2は予定よりだいぶ早いペースで遊園地に到着する事が出来た。お互いアンドロイドであるためメンテナンス以外での休息が一切必要なかったのも要因だろう。

 

 遊園地はゲームで見慣れた姿のままだった。これが何時から存在するのかは分からないが原作の4年前である今ですら変わらないのか。

 

「……それで?用事とはなんだ?」

「ここにいるとある機械生命体を見つける事だ。一応言っておくが攻撃してこない奴は放置しろよ。下手に騒ぎを起こして隠れられでもしたら面倒だからな」

「善処する」

 

 実際はここの機械生命体を取り込むつもりでいるため下手に数を減らされたくないというのが真相だけどな。さて、原作においてボーヴォワールは三つの姿を見せた。一つは戦闘する際の歌姫の姿。残り二つは回想でのみ見せた小型の姿と中型二足を超える身長を見せる姿だ。時期的に回想で出てきたこの二つの形態のどちらかだろう。もしかしたらこの間の形態かもしれないがそれはそれで簡単に分かる。遊園地には普通の機械生命体しかいないから普通から外れた姿なら簡単に見分けられるからな。

 

「まずはあの建物を見るぞ」

 

 見慣れた紙吹雪をまき散らす機械生命体の脇を通過しながらボーヴォワールと戦った劇場を指さす。ボーヴォワールといったらあそこが一番考えられる。因みにあの劇場はサブクエストでロミオとジュリエットをやっていたけど大分カオスな内容だった。何で計六体いるのかとか殺しあうのかとか突っ込みどころが満載だったのが記録に残っている。

 

 そうして原作同様にゲートが閉じているがここはゲームではないのだ。俺とA2は飛び越えて突破するとそのまま劇場に向かって進む。原作におけるイベントを一つ潰すのだ。それを補う出来事を用意するべきなのだろうな。まぁ、パスカルはアネモネと交易を行っていたしそう遠くないうちに接触する事にはなるだろうし問題はないか。

 

 分厚い劇場の扉を開けて中に入ると機械生命体の気配はなかった。……が、奥の方に機械生命体の反応をキャッチした。これまでに俺が出会った機械生命体のデータを入力したセンサーは「アンノウン」を示しており新種と言える機械生命体の反応をしていた。それはつまり、俺の目的の機械生命体を見つけたという事だ。

 

「機械生命体の反応があった。恐らく俺の目的のやつだ」

「……そいつは破壊するのか?」

「まぁ、相手次第だがな。俺の指示があるまでは手を出すなよ?」

「分かっている」

 

 俺はA2に確認を取ってから最奥のステージに入る。ステージの幕は開いておりそこには回想で見たドレスのような姿、ではなくその前身と言える姿のボーヴォワールがいた。

 

「……誰?」

「俺はレイン。君に話があって来た」

「……アンドロイド?」

「まぁ、そうだと言っておくよ」

 

 ボーヴォワールは俺を見て質問してくるが最後の俺の答えでそれまでの興味なさげな様子から一気に獲物を狙う肉食動物のような雰囲気を見せる。やはり、話し合いは無理か。

 

「……何が目的か知らないけどアンドロイドなら殺す!そしてタベル!」

「はは、そんな事をしても愛しの彼は振り向いてくれないぞ」

「っ!?ダマレェッ!!!」

 

 俺の言葉に怒り、飛びかかって来る。ゲームの時よりも素早い動きだ。あの飾りつけのせいで動きが鈍くなっていたのかもしれないな。まぁ、普通の機械生命体より速い程度でヨルハの速度には全く追いつけていないがな。

 

「A2。やれ」

「分かった」

 

 勝負は一瞬だった。俺に向かって飛びかかったボーヴォワールの前にA2が飛び出すと小型剣で一閃した。A2の剣の軌道はボーヴォワールの左肩から右側の腰にかけて通りたったそれだけでボーヴォワールの体は二つに割かれることとなった。上半身は俺の左側に倒れ下半身はその場に落ちた。下半身はそのまま動かなくなり上半身の方は何が起きたのか分かっていないようで残った右手で必死に体を起こそうとしている。

 

「な、ナニガ……!?」

「やはりボスというにはまだまだ弱かったな」

「……前に話していたゲームの敵か?」

「ああ、4年後に君の後輩達が戦う事になる相手だ。流石に4年前の現在の時点でそこまでの実力はなかったようだ」

「クッ!ワタシハ!キレイにナラナイとイケナイのに……!」

 

 俺とA2が話している間必死に生き残ろうともがくボーヴォワールの体を右足で押さえつけ頭部に銃口を向ける。

 

「はっきり言おう。基本的に機械生命体はネットワークから分離しない限り自我は形成されない。君の愛しの彼はおそらくネットワークに繋がったままの機体なんだろう。つまり、君はそもそもやるべきことが間違っていたという事だ」

「ワタシハ……。ワタシハ……」

「……せめて安らかに眠れ。次があるのかは分からないが愛する者と添い遂げられることを祈っているよ」

 

 俺はそう言うと引き金を引いた。機械生命体の体を貫通できるように作った銃と銃弾はかなりの反動を俺に与えつつ放たれボーヴォワールの頭を貫通した。ぶつかった頭部の周りを巻き込むように抉りボーヴォワールの頭を破壊し尽くし、その下の地面に大きくめり込んだ。本来ならそれなりの距離から使う銃であるため予想以上の破壊を招いたようだ。

 

 動かなくなったボーヴォワールから足をどけた俺は戦闘の可能性を考えて次弾を装填する。これは威力がある代わりにいちいち弾を込めないといけないのが欠点だな。

 

「……壊れればそれまでだろう」

「ん?……ああ、そうか。お前らには来世の概念がないのか。人間は死んだ後、次の人生があると信じていたよ。若しくは死後、人々が行く場所があるとかな。だから死んだ人には来世やその場所で幸せになるように祈ったりするんだ」

「……人間は、変な事を考えるんだな」

「お?その様子だと少しは信じてくれたのかな?」

「信じてはいる。だが、情報の整理に時間を有しただけだ」

 

 そう言うとA2は俺の瞳をジッと見てくる。その瞳には今までにない真剣な感情が籠っており俺も自然とそう言う表情になり見つめ返した。

 

「……お前は私に何をさせたい?」

「戦闘面における俺の補助。それと簡単な手伝いだな」

「つまり今回のような事をさせると?」

「そうだな。別にガチガチに縛り付けるつもりはない。自由はあるが他のアンドロイドに見つからないようにする前提だな」

「……分かった。お前の提案を受けよう」

「そうか。それは良かった」

 

 A2の了承を受けて俺は右手を差し出す。A2は一瞬困惑したが直ぐに意味を察して俺の手を握り返した。

 

「これからよろしく頼むぞ。A2」

「任せろ。レイン」

 

 こうして俺は頼もしい味方を得る事に成功したのだった。

 




昨日二次創作のランキング見たら4位、加点式の方で9位になっていました。凄くうれしいけど1位から3位と5、6位がウマ娘の二次創作しかなかったのがいかにブームになっているのかが分かったな(賭け事苦手なので見てもプレイもしてない)
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