機械生命体「俺ハ人間サ」   作:鈴木颯手

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第六話「迫る原作」

 西暦11944年。遂に原作まで一年……、いや恐らく半年ほどになった。このころになるとアネモネをリーダーとしたレジスタンス組織がゲーム通りの場所にキャンプを置く様になった。パスカルの村も存在を確認しておりいよいよ原作が近いという事を嫌というほど感じさせている。

 

 この3年程で拠点はほぼ完成に至った。地下は元々あった施設を修理、改造し罠を大量に配置した基地に変貌した。残念ながら外側はアンドロイドやヨルハの機体がよく偵察に来るようになった為機械生命体を用いて手を施すしかなかった。とは言えゲームにあったどこかおどろおどろしい雰囲気は減り楽しめる遊園地に近づいて行った。地面に散らばっていた破片や瓦礫を撤去し、地面の間から生えてきた雑草を取り除くだけでも見違えたけどな。

 

 最近では一定の行動しか取らなかった配下の機械生命体たちも感情を持ち始めている。紙吹雪を派手にばら撒くもの、配分を考えずに一回目、二回目でほぼ使い切ってしまうものなどがおり、中には自らを座長と呼びサーカス団を勝手に作る変な機械生命体まで現れるようになった。何で遊園地なのにサーカス?と思ったが原型がほぼないロミオとジュリエットをやるような機械生命体だ。その辺には突っ込まないことにした。ジェットコースター前にいた戦車もパレード用の武装を持たない……ように見せかけたものになっているしジェットコースターやそこに向かうための足場にしかなっていなかったアトラクションもきちんと稼働するようにして骨組みの錆を落とし補強をがっちりとしてある。

 

 そんな遊園地を不審に思ってかアンドロイドを良く見かけるが攻撃してこないという事と、近づくと何か起きるのではないか?という疑惑からか遊園地の敷地には全く入ってこない。ゲートには飛行型の機械生命体を店員代わりに配置し遊園地の説明と入場料を徴収するように言ってある。金をとると言った時にアンドロイドがどんな反応をするのか楽しみではあるが怒って攻撃してきたりしないよな?少し不安だ。

まぁ、いざとなったらゲートをくぐってすぐにいる関西弁の機械生命体が対応してくれるだろう。ゲームだと80レベル以上でようやくダメージを与えられるくらいに硬く、何故か関西弁を喋るあの機械生命体は改造済みだ。攻撃力はそこまでではないが防御力を上げてあれ以上に装甲を厚くした。あれなら2B達がカンストでもしてない限りダメージを与えるのは厳しいだろう。入場料を払わない客には関西弁で圧をかけながら体を拘束してお金を徴収してくれるだろう。お金がなかったら……その時は楽しい遊園地で強制労働だな。

 

 この時期になるとヨルハの機体をよく見かけるようになった。流石に2Bも9Sもみてはいない。というかゲームだとこの辺は初めて来たみたいな反応だったし彼女達を見るには原作を待たないといけないか。……ああ、それと原作であった遊園地でアンドロイドが行方不明になる件は発生していない。というか俺の支配下にあるわけだし起きようがない。そんな訳でアンドロイドの被害は原作より少なくはなっているだろう。少なくともボーヴォワール戦で見た何十ものアンドロイド達は無事なはずだ。……物語の強制力で別の場所でやられている可能性はあるけどな。

 

「A2。いよいよ始まるぞ」

「……そうか」

「何時でも戦闘できるように準備は欠かすなよ」

「勿論だ」

 

 A2の素っ気ない態度は変わらないが少なくとも信頼は築けていると思う。最初の頃は俺に少し警戒をしていたが今ではそんな様子は一切ない。完全に、とはいかなくても大分信頼してくれているようだ。人類がいないという事で一時期はどうなるかとも思ったが今ではきちんと受け入れているようだ。バンカーを信用していないのは今でも変わらないようだけどな。

 

「とは言えA2の出番はまだまだ先になりそうだがな」

「……」

 

 俺がそう言うとA2の表情が険しいものになる。あれからA2の不満を減らすべく潜水艦を用いて別の場所に向かわせて機械生命体を殲滅させていた。これはA2の活動場所をごまかす目的もある。A2は未だに単独の行動と思われている。故に海を越えてまで移動は難しいだろうと予測しているだろう。それを用いて別大陸に行く事でヨルハの目をそこに集中させた。そしてつい最近まで活動させて回収していた。原作が近づく以上不測の事態に備えてだがあくまで不測の事態に備えてだ。その為A2はまだ大人しく待機するしか出来なくなっていた。

 

 こればっかりはどうしようもない。半年から一年の辛抱だと俺は言うがあまり効果はなさそうだな。俺はどうしようかと思いながら椅子に深く腰掛ける。ここは遊園地ではないもう一つの拠点だ。遊園地は機械生命体たちに任せて最近はこっちで過ごすようにしている。気軽に移動は出来ないし地下を掘ろうにも地下水路などが入り組んでいる。下手に掘り進めれば崩落する可能性もあった。その為ほぼ資材置き場と化しているこの拠点に籠るようになっていた。

 

「デボル達は原作通り、とはいかなかったがアネモネの下にいった。A2はこちらで確保して9Sの発狂の要因を潰した」

 

 ……全てを救う事は出来ない。A2にデボルとポポル、2Bと9S。後は11B等の一部のヨルハのみだ。衛星軌道上のバンカーにいるホワイト司令を救う事は出来ないしパスカルの村に関しては原因がわからない。もしかしたら遊園地の機械生命体の様に何重にもプロテクトをかければいいのかもしれないがそれを実行するには時間が足りないし下手に接触して俺が行っている事をターミナルが嗅ぎつけるかもしれない。まぁ、それ以上に下手に手を加えて原作を崩したくはないという思いもある。確かに彼らとて大事な『NieR:Automata』の登場人物だが2Bや9Sに比べれば優先順位はどうしても低くなってしまう。

 

「もうすぐだ。もうすぐで始まる……」

 

 いよいよ俺の約3000年に渡る集大成が試されるときだ。この世界に誕生してから待ち遠しくも来てほしくなかった原作が、『NieR:Automata』の世界が、遂に始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、最終章「YoRHa」始動

 




次回こそ原作に入ります。
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