11946年、機械生命体と人類軍は正式に休戦協定を結ぶ。これは塔によって機械生命体のデータが宇宙に打ち上げられた事やネットワークを管理していたアダムとイブ、ターミナルの消失が大きいだろう。加えてヨルハ部隊の壊滅もあると予測している。どちらにしろ一年もしないうちにこの戦争は終結する。とは言えそこまでの間にやる事は多い。
考えの纏まらない11Bに部屋を与えた俺は自分の部屋に戻ってきた。部屋には相変わらずベッドに腰かけるA2がいた。どうやら律義に守っていてくれたようだ。
「……あの機体には随分と甘いのだな」
「ああ、彼女は別に必ず必要という訳ではない。このままフェードアウトしても問題はないからな。半年もすればバンカーは消える。バックアップをしていない彼女ならウイルスにやられる心配もない」
そう、11Bは救えたから救ったが別に必ず必要ではない。勿論協力者は多いに越したことはないが彼女がそれを望まないのなら無理強いはしない。A2とは違い彼女は本来なら既に死んでいる存在なのだから。
「それよりA2。漸く原作が始まった訳だがこの後は機械生命体を束ねるようになるアダムとイブが誕生する。とは言えこいつらの誕生を邪魔するつもりはない。後は遊園地……は、確認の為に来るかもしれないがこれは放置で良いだろう。そしてエンゲルスと戦闘後、エイリアンの墓場に続き、森の国だ」
「……貴様のいう世界では私がその国の王を殺すのだったか?」
「そうだ。まぁ、これはゲームのプレイヤーにA2という存在を教えるのが目的だったからな。態々出向く必要はない」
「……」
「俺たちが活動を開始するのはアダムとイブが倒された後、総攻撃後だ」
「……バンカーを助ける事は出来ないのか?」
「無理だ」
A2の言葉に俺は即答する。バンカーを救出する事は何度も考えたがそもそもヨルハのネットワークに侵入する事は難しい。それに侵入がバレたら俺たちは敵として認識される。そうなればその後の行動に大きく支障をきたす。
「ヨルハの司令官であるホワイトを始めオペレーターの大半は救う事は出来ない。地上にいるヨルハは論理ウイルスを除去できれば助かるかもしれないが途方もなく時間が掛かる」
「……」
「A2。今の俺じゃこれが限界だよ」
全てを救う事は出来ない。いくら自分を改造しようとも、拠点を拡張しようとも、原作の流れを変えようとも、俺では出来ないことが多すぎる。だから俺に出来るのは数少ない俺の手で救える者たちを確実に救う事だけだ。
「もし俺がアンドロイドとして生きていたのなら、また違っていたのかもしれないな……」
「……分かった。余計な事を聞いたな」
「いや、いいさ」
A2に俺はそう返答した。
今頃2B達は何をしているのだろうか?もう廃墟都市に来ているのかな?それとも空中で機械生命体と戦っているのかな?
デボルとポポルは元気だろうか?アネモネがレジスタンスのキャンプを作った際にそちらに移るように言って以来だからな。久しぶりに会いたいもんだな。
……そうだな。さっさと原作を終わらせて皆で一緒に過ごそう。デボルやポポル、それに遊園地の機械生命体も合わせて皆で宴会を開くんだ。デボルとポポルに酒を飲ませてどんちゃん騒ぎをしよう。その時はA2の体を弄って酒を飲めるようにして酔わせたりして見たいな。いや、A2と2B、9Sが一緒に吞んでいる所が先かもな。どちらにしろ、あと少しだ。後一年で全てが決まる。それまではしっかりとやらないとな。
「はぁ……」
今日何度目とも知れないため息が出て私の心は更に憂鬱になった。私とポポルはアネモネというアンドロイドがリーダーをしているレジスタンス組織のキャンプで生活している。そう、レインの拠点ではないのだ。ある日レインにいきなり「この近くにレジスタンス組織のキャンプが出来たからそちらに行ってくれ」と言われたんだよ。私は最初捨てられるのかと思って軽く絶望したけど今までの中で一番拠点に近いから様子を見て欲しいという事だった。
レインと離れるのは凄く嫌だけどそう言う事ならとポポルと一緒にそこに向かったよ。アネモネは私達の事は知っていたけど特に気にした様子も見せずに受け入れてくれた。正直、追い返されてまたレインの元で過ごすのを期待した自分がいたよ。結局そんな事は無くて半年近くここで過ごしている。レインの下にいた頃が凄く懐かしく感じるけど正直に言ってここでの生活は結構驚きがあった。アネモネが近くに村を構える機械生命体と取引を始めた事だ。まさか人類軍にとって倒すべき機械生命体と取引をするなんて思わなかったけどよくよく考えたら私達も同じような事をしていたなと思い直したよ。レインは今でこそアンドロイドと大差ないけど機械生命体だし、レインの拠点に住む前は拠点から色々と素材を貰ってレジスタンスに上げたり物々交換をしていたからな。
そう言った事をレインにこっそり報告したりしているけど何時まで続ければ良いのか正直分からない。最近ようやく自分の気持ちに気付いたばっかりなのにその思い人と会えない状況が凄く辛い。ポポルに相談したりレインと直接連絡を取ったりしているけど会えないこの状況自体が嫌だった。昔人類が愛に狂ったという記録を見た時は何を馬鹿なって思ったけど自分がそうなると何も言えなくなってしまったよ。
レインは私の事をどう思っているのだろう。少なくとも嫌われてはいない、と信じたい。少なくとも拠点の出入りを許してくれているし遊園地に拠点を作ると言った時は拠点を守って欲しいと言われたし……。
よし!次に時間が取れた時に好きだと言ってみよう!断られたら……、その時はポポルを巻き込んでやけ酒をしよう。ポポルもその時くらいは付き合ってもらって飲み明かすぞー!
……あ、でもレジスタンスのキャンプではできないか。ポポルのせいでキャンプが壊滅しかねないからな。
話詰まった……。もしかしたら明日投稿できないかもしれないです……