機械生命体「俺ハ人間サ」   作:鈴木颯手

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か、書けた……


第四話「絡マル世界」

「おー、揺れるな」

 

 自分の部屋で武器のメンテナンスを行っていると拠点が揺れた。時期的に廃墟都市でエンゲルスが暴れているのだろう。若しくは自爆したか。どちらにしろ順調に原作は流れているようだ。俺は揺れが収まるのを待ってメンテナンスをいったん中断する。この拠点は幾度となく改修を行っているため耐震補強はばっちりだがやはり大規模な震動という事もあってか天井からパラパラと破片が落ちてくる。最初の頃なら呆気なく崩落していただろう揺れは直ぐに収まった。

 

「レイン、今のは……?」

「ああ、おそらくエンゲルスの自爆、かな?」

 

 部屋に入って来たA2に俺はそう答える。その後ろには不安そうにしている11Bがいる。

 

 11Bはあの後取引をすると言った。それを聞いて俺は11Bに全てを話した。人間がいない事、この世界がゲームの世界で俺はその流れを知っている事など。最初は信じてはくれなかったが懇切丁寧に説明しきちんと理解してもらった。そのうえで11Bは俺に協力すると言ってくれたよ。なんでも治してくれたお礼もあるかららしいがそれ以上に真実を知ったせいで吹っ切れたような感じだ。

 

 そんな訳で11Bにはポッドがいない状況での戦闘に慣れてもらうためにA2と模擬戦を行ってもらっていた。流石にポッドみたいなものを作るには技術が足らなかったからな。11Bは大変かもしれないが頑張って欲しいものだ。まぁ、彼女も戦闘タイプのアンドロイドだ。直ぐに慣れてくれるだろう。

 

「俺たちが動く時は近いぞ。11B、せかして悪いがポッドなしでの戦闘には慣れたか?」

「うーん、ちょっと微妙かな。ポッドって射撃とかの直接支援もしてくれていたから遠距離攻撃が出来なくなるのが少し痛いかも」

「ふむ、最悪銃を使用するか?G型(ガンナータイプ)A型(アタッカータイプ)と統合されてB型(バトラータイプ)になったらしいし使えるかもしれないしな」

「え、でも銃なんて使ったことないよ?」

「それを主力に使うならまだしも牽制目的なら簡単だろう。マシンガンタイプの銃だってあるし多少手間が増える位で大丈夫だ。きっと」

「……そう、かなぁ?」

 

 11Bは不安そうだがポッドが無い以上遠距離攻撃を諦めるか別の手段で補うしかない。俺が戦闘で遠距離攻撃を担当するという手もあるが俺はそこまで戦闘が得意じゃないし何より11B単体になった時がそれでは不安だからな。

 

「持ち運びは大変だがバズーカタイプもあるし一通り使えるようにして置いても損はないんじゃないか?まぁ、その前に今のを終わらせる必要があるけどな」

「うっ……」

 

 俺の言葉に11Bはどもる。ポッドなしでの戦闘に慣れてもらわないと遠距離攻撃とかそう言う事を言っていられないからな。俺は再びメンテナンス作業に戻る。A2も聞きたい事を終えたのか11Bを促して訓練に戻っていった。

 

 いよいよ次はエイリアンの墓場だ。その次が森の国になり、それが終わればグリューン戦に突入し白一色の街でアダムと戦う事になる。まだまだNieRAutomataは始まったばかりだ。だが、確実に時は流れている。俺達が本格的に動くのはアダムとイブが倒れ、ヨルハ部隊による総攻撃が始まってからだ。それまではこの焦る気持ちを抑えていないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 ヨルハ部隊に所属する9Sはとても好奇心の強い機体だった。彼は任務の合間をぬってはいろいろな事に興味を持ち調べたりしておりその事から彼を担当するオペレーターである21Oからは小言を言われる事が多かった。

 

 そんな彼は廃工場跡地での戦闘をきっかけに共に行動するようになった2Bと共に地上の調査を行っていた。アネモネをリーダーとするレジスタンス組織の支援を受けながら任務をこなしていく彼はふと、思いだしたように隣にいる2Bに話しかけた。

 

「それにしても、あの遊園地はなんだったんですかね?」

「……」

 

 9Sの言葉に2Bは答えないがゴーグルの上からでも分かる程顔をしかめていた。

 

 9Sは砂漠に埋もれた団地で出会ったアンドロイドのような姿をした機械生命体との戦闘後に遊園地を見ていた。これはアネモネからおかしな行動を取る機械生命体がいるという情報をもらったため、念のために見に行ったのだ。

 

 その結果、9S達はこちらを襲って来ない機械生命体たちと出会った。紙吹雪をまき散らしたりゴミや瓦礫を片付ける彼らは明らかに9Sたちが知る機械生命体からはかけ離れていた。

 

 そして、遊園地に入ろうとするとゲート前にいる飛行型の機械生命体が入場料を請求してきた。2Bも9Sも払う気などなかったがその瞬間、ゲートの奥にある広場の中心で動かなかった機械生命体が突如動き出すと見た目とは裏腹な華麗なジャンプを決めて9S達をゲートと挟み込むように着地したのだ。

 

 そして、

 

「金も払わずに何入ろうとしてんねん!」

 

 とその可愛らしい姿からは想像も出来ない関西弁を繰り出し無理やり9S達から金を徴収した。9S達は当初こそ抵抗するがポッドの攻撃も2Bの斬撃も効かず、9Sのハッキングすらはじき返す機械生命体に成すすべなく金を巻き上げられ猫を掴むように首根っこを持つとそのままゲートを越えて広場へと放り投げた。

 

 空中で体勢を整えて綺麗に着地した二人に用は済んだとばかりに再び華麗なジャンプで元いた位置に戻るとそのまま動かなくなった機械生命体に二人は顔を見合わせるしかなかった。

 

「結局あの遊園地の機械生命体は襲ってきませんでしたし何なら普通に楽しかったですし……」

「……楽しくなんか、ない」

 

 9Sの好奇心に振り回されるように遊園地内を巡らされた2Bはむすっとした表情でそう呟いた。実際は楽しいと思っていたがそれを口に出すのが恥ずかしいという思いもありその様に言ってしまっていた。9Sもそれを理解したためハハハ、と苦笑いを浮かべていた。

 

 金を巻き上げられたとは言えあの遊園地での体験を考えれば安いと9Sは感じていた。

 ジェットコースターというスリルを楽しむものにコーヒーカップというただぐるぐる回るだけの遊具、ゴーカートと呼ばれる車に乗って楽しむものなど9Sの好奇心をそそるものばかりだった。

 

 ほかにも戦車のような見た目の機械が一列で行進するパレードに野生の鹿や猪を調教して様々な芸を披露したサーカスなど9Sは任務も忘れて没頭した。

 

 暫く遊んでいたがさすがにこれ以上は見逃せないと彼を支援するポッド153と2Bを支援するポッド042の二機に任務に戻るように言われて渋々遊園地を後にしていた。

 

「機械生命体との戦争が終わったらもう一度行きたいですね。……あ、そうなるとあそこの機械生命体も破壊しないといけないのか……」

「……」

 

 すっかり遊園地を気に入った9Sはそう言うが、関西弁の機械生命体の事もありいまいち乗り気にはなれない2B。そんな二人は水没都市にやって来る空母を支援する為に歩き続けるのだった。

 




始めて2Bと9Sを出しました。ぜひとも主人公には二人を救って遊園地を満喫させてほしいですね。どう見ても始めてくる遊園地に大はしゃぎの弟とそれに振り回される保護者役の姉にしか見えないけど
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