機械生命体「俺ハ人間サ」   作:鈴木颯手

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今回は少し短いです。


第六話「総攻撃」

「A2、装備は問題ないな?」

「ああ、全て万全だ」

「11B、銃弾はばっちり持ったな?」

「ええ、勿論よ」

「よし、行くぞ」

 

 俺はA2と11Bと共に拠点を出発する。拠点を出てすぐに各地から爆音交じりの戦闘音が響いてくる。ヨルハ部隊による総攻撃が始まっているのだ。

 

 9S含むスキャナーモデルの活躍により機械生命体の防空システムは一時的な麻痺状態にあり次々と地上にヨルハ部隊が降下していた。2Bも既に地上に降り立ち廃墟都市で激戦を繰り広げているだろう。

 

 予め確認済みではあるが拠点周囲に機械生命体はいなかった。どうやら少ないながらいた個体は戦闘が起きている方に向かったらしくここからは戦闘の音は聞こえてきても比較的平和な場所だった。

 

「よし、俺達は機械生命体、レジスタンス、ヨルハ部隊に見つからないようにステルス行動を行い2Bと9Sの自爆を確認後、水没都市に向かう。良いな?」

「勿論だ」

「分かったわ」

 

 ようやく本格的に動けるためかA2の表情は少し嬉しそうだ。一方の11Bは俺の所に来てからは初めてとも言える機械生命体との実戦だ。目を隠しているゴーグルの上からでも緊張しているのが分かった。

 

 とは言え11Bの気持ちはわかる。後半年くらい時間があれば実戦も積ませてより完璧になるのかもしれないが時間が足りなかった。むしろ半年にも満たない期間でここまで仕上がったと褒めるべきかもしれないな。

 

 都市の内部をくぐりながら廃墟都市の中央、正確には大きく陥没した位置を目指す。廃墟都市に現れたエンゲルスの自爆で開いた穴でここからエイリアンの墓場や水没都市に行くことが出来る。そして、2Bと9Sがブラックボックスを接触させて自爆する場所でもある。

 

「ん?EMP攻撃か?」

 

 ビル内を歩いていると一部の小型カメラから反応が消えた。場所的に2Bと9Sとその他ヨルハ部隊がEMP攻撃を喰らったあたりだろう。自分の現在地と今後の展開から予測すると……、十分に間に合うか。

 

「どうした?」

「どうやらEMP攻撃を仕掛けてくる機械生命体が出たようだ。一部の小型カメラ搭載のロボットがやられた」

「っ!?機械生命体はそこまで進化を……」

 

 A2が苦々しげにつぶやく。機械生命体を憎むA2としてはこれ以上の進化は好ましくないのだろう。実際敵が強くなることは面倒くさいからな。

 

 そんな事を考えていると漸く廃墟都市の中央付近、ゲーム内ではマップの端っこまで到達した。そこの窓枠部分から外を見れば丁度2Bと9Sが妨害電波を出す大型二足を破壊するところだった。

 

 しかし、あれが2Bと9Sか……。原作では何度も見たがこの世界では初めて見るな。襲い掛かって来るヨルハ部隊員を退けながらログデータをアップロードしているのだろう。2Bと9Sは原作よりも華麗な動きを見せながらヨルハ部隊員を返り討ちにしている。ふむ、あの様子じゃオートプログラムは無いみたいだな。まぁ、あれがゲームはともかく現実にあったら最強すぎるからな。相手の攻撃はほぼ当たらないのだから。

 

 そしてついにアップロードが終了したらしく9Sが2Bに駆け寄っていくがヨルハ部隊に取り押さえられている。2Bも9Sに気を取られた隙に態勢を崩して倒れ込んだ。それでもお互いに手を伸ばしたことでブラックボックスを接触させ周囲ごとヨルハ部隊員を吹き飛ばすことに成功した。

 

「よし、終わったようだ。水没都市に向かうぞ」

「ああ」

「分かったわ」

 

 2Bと9Sの活躍を見ていた二人に俺はそう声をかける。……ようやくだ。ここから俺の出番だ。準備は万端、一人では難しいこともA2と11Bがいる。原作通りに事が進んでくれれば2Bも9Sも救う事は出来る。失敗した時を考えるな。成功すると考えろ。

 

「ここからはステルスもへったくれも無い。機械生命体もヨルハ部隊もここからは敵だ。ウイルスに汚染されてなければ攻撃は躊躇するなり何か話したりするはずだ。そうしない、奇声や雄たけびしか上げない奴は確実に壊すんだ。それじゃ、行くぞ」

 

 俺はそう言うと窓枠から飛び出した。この高さなら俺の自信作の義体はびくともしない。それはA2と11Bも同じことで、地面に多少の凹みと大きな音を立てて着地する。すると音に気付いた機械生命体が赤い目を光らせながらこちらを向く。俺達はそれぞれの武器を手に持つと一斉に駆けだすのだった。

 

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