機械生命体「俺ハ人間サ」   作:鈴木颯手

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第七話「想定外」

「11B!しゃがめ!」

「っ!」

 

 俺の言葉に反応し11Bがとっさにしゃがむ。それを確認することなく俺は11Bに向けて銃弾を、というよりもその後ろから迫る機械生命体に放つ。銃弾は機械生命体の丸い頭部に着弾し大きな穴をあけて後ろから飛び出しその後ろにいた機械生命体に命中した。銃弾を受けた二体の機械生命体は機能を停止してその場に崩れ落ちた。

 

「レイン、ありがとう……」

「礼はいい。それよりも気を付けろ。まだまだいるぞ」

 

 俺と11Bは背中を互いに預けて目の前の敵に集中する。そんな俺たちの周りには360度全てを取り囲む機械生命体の姿があった。

 

 機械生命体を破壊しながら下水道を通り水没都市にやってきた俺たちだがここで予想外の事態に遭遇した。なんと水没都市にはありえないくらいの数の機械生命体がいたのである。しかも破壊するたびに何処からか補充されていき数は一向に減っていない。そんな戦闘を既に一時間は行っているだろうか?

 

 A2は一人無双を続けており補充されるよりも多く破壊しているが俺と11Bはそうはいかずにお互いを助け合いながら戦っていた。幸いなのはEMP攻撃を行う機械生命体がいない事だ。もしいれば撤退する事も出来ずに全滅していたかもしれない。とは言えこのままではジリ貧である事に代わりは無い。2Bはまだ来ないのだろうか!?

 

 そう思った時だった。俺のセンサーに高速でこちらに向かってくる何かの反応を検知した。

 

「A2!11B!ようやく来たぞ!」

「っ!A2さん!お願いします!」

「任せろ!」

 

 やがて肉眼でも確認できる炎上するヨルハの飛行ユニット。そしてその飛行ユニットはある程度近づくと爆発しそこから一体のアンドロイドが出てきた。2Bだ。それを見たA2は小型二足を踏み台にして跳躍すると空中で2Bを確保しそのままお姫様抱っこの状態で着地する。踏み台にされた小型二足は顔が半分くらい陥没しているがどれだけの脚力で蹴り上げたんだ……?

 

 ともあれ見事目的を果たすことが出来た。ここからは時間との勝負だ。現時点で2Bはウイルスにやられている。本来は2Bが来る前に水没都市の機械生命体を全て破壊して安全を確保したうえで治療するつもりだったが現状はそんな事が出来ない程機械生命体で溢れている。ここは直ぐにでも離脱した方が良いだろうな。

 

「A2!そのまま2Bを連れて離脱しろ!俺と11Bが殿を務める!行け!」

「分かった!」

 

 両手がふさがっているA2は蹴りのみで機械生命体相手に無双しているが俺の指示に従い水没都市を離れ始める。A2によってお姫様だっこをされている2Bは意識はきちんとしているようだが現状に理解が追い付いていないようだ。だが少なくとも敵ではないという事が伝わったのか義体に損傷でもあるのかA2の腕の中で大人しくしている。そんな二人を後からついてくるポッド042。

 

 俺と11Bは銃による乱射で弾幕を張り時間を稼ぐ。しかし、今度は盾を装備した機械生命体が前方に出てきた。貫通力の高い俺の弾丸をはじく事は無いが盾以外は無傷で近づいてくる機械生命体達。すると11Bが前に出て小型剣で敵を薙ぎ払った。

 

「今です!」

「ああ!」

 

 11Bの薙ぎ払いで一時的に敵の足を止めたのを確認し俺と11Bは下水道に向かって走り出す。コンクリートの足場から土の足場に代わるのを足から感じつつ走りぬける。

 そして下水道に入ってくると機械生命体達は追撃を諦めたのか追ってくることはなかった。俺は安堵の息を吐くとそのまま下水道を進み始める。A2が何処まで先に行ったのかは分からないが早く合流しないとな。

 

 下水道を進み続けると廃墟都市の陥没部分に出る出口に到達する。どうやらA2と2Bは既に下水道を出た後らしい。そう思った俺が下水道を出てみた光景はA2に剣を向けて警戒する2Bとそんな2Bをただ見るだけのA2の姿だった。

 

 ……まって、何なのこの状況?

 

 

 

 

 

 

 

 

 2Bは現在の状況に混乱していた。通信が出来ない状態のバンカーに何かあったのでは?と考えた2Bと9Sはブラックボックスを接触させ自爆した後バンカー内の義体を用いて戻ってきた。そして、ホワイト指令に状況を説明するが聞き入れてもらえず脱走兵と判断されかけるがバンカー内のヨルハ部隊員が一斉にウイルスに感染し乗っ取られた事で事態は急変、ホワイト指令と共にバンカーから逃げようと飛行ユニットのある格納庫に向かった。

 

 しかし、データ同期を行っていたホワイト指令もウイルスに感染しておりホワイト指令はバンカーの基地司令として残ることを伝え2Bと9Sには脱出するように言った。そして、二人の手によってバンカーは破壊されホワイト指令以下基地内のヨルハ部隊員諸共破壊されヨルハ部隊は事実上壊滅した。

 

 その後地上に逃れてきた二人だったが飛行ユニットを使って攻撃を仕掛けてくるヨルハ部隊と交戦、幾度となく退けていくもジリ貧となっていった。その状況に2Bは自らを囮にして9Sを逃がし自らは戦闘を継続した。しかし、元々二機でも劣勢だったのにそれが一機になった事で次第にダメージを受けていき遂に水没都市に到着すると同時に飛行ユニットは爆発し2Bは空中に投げ出された。そのままであれば2Bは地面に衝突するはずだったがここで予想外の出来事に合う。なんと2Bを待ち構えていたかのように一体のアンドロイドが2Bをキャッチしてそのまま地面に着地したのである。

 

 まさかの事態に驚くが直ぐに自らを抱きかかえるアンドロイドの他にもう二体いる事に気が付く。それと、異様ともとれる機械生命体の数にも。2Bを抱きかかえるアンドロイドは何処か自らと似た容姿を持つヨルハの機体で本来いるはずのポッドの姿はなかったがそれすらいらないと思わせる実力を持っていた。流石の2Bもポッドなしで、ましてやアンドロイドを一体抱きかかえている状態で足だけでここまで戦う事は出来ない。

 

「A2!そのまま2Bを連れて離脱しろ!俺と11Bが殿を務める!行け!」

「分かった!」

 

 ふと、三体の中で唯一の男性型、ヨルハにはいないが支援系と思われるアンドロイドがそう言った。ヨルハ部隊の特徴的なアルファベットと数字のみの個体名で呼ばれたアンドロイドが返事をして走り始めた。この機体はA2というのかと思うと同時にその後に聞こえた11Bという名前に驚く。何せ廃工場跡地で撃墜され死んだと思われていた名前なのだから。彼女と恋人関係にあった16Dに頼まれて捜索した事もあったが飛行ユニットも見つからなかったことからてっきり死んだと思われていた。まさかここで聞くとは思っておらず2BはただA2と呼ばれたアンドロイドにお姫様抱っこの状態で運ばれることしか出来なかった。

 

 そして、下水道を通り廃墟都市についたことでようやく2Bは降ろしてもらう事が出来た。多少体の損傷とウイルス汚染が検知出来たがそれ以上に目の前のヨルハの機体に対する警戒心が勝った。

 

 そんな状況の中、A2の後をついてきたポッドによって驚愕の事実が知らされる。

 

『ヨルハ特殊指定機体を確認。破壊を推奨』

「破壊?どうして!?」

『機体名A2は指名手配中である。任務放棄及び脱走の疑いで捜索されていた』

 

 まさかの脱走兵に2Bは思わず小型剣をA2に向ける。一方のA2はただ2Bを見るだけで警戒する様子は見えなかった。その事に2Bは更に困惑するが警戒は解かずに剣を向けたままにしていた。

 

 そうしていると下水道の方から二つの足音が聞こえてくる。2Bは先ほど戦闘を行っていた男性型のアンドロイドと11Bと予測した。そしてそれは的中したが男性型アンドロイドが二人の様子を見て困惑した。

 

「……なんだこの状況?」

 

 警戒を解かない2Bの様子に男性型アンドロイド、レインは思わずと言った風に呟くのだった。

 




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詰まりました。明日投稿できるか分かりません……。他の作品書いたり、スケッチしたりして捻り出します
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