「えっと……。取り敢えず剣を下ろしてくれないか?」
「……」
俺の言葉を聞いているのか聞いていないのか2Bはこちらの提案を無視してA2の方を見ている。A2はただ2Bを見ているのみで11Bはどうすればいいのか分からずに俺の後ろでオロオロしている。
はてさて、どうすればいいのやら。2BとA2が会ったのはこれが初め……のはず。細かいところまでは覚えていなかったから記録にはないしそうでなくてもA2関連は大分変化している。もしかしたらバンカーで知らされていたのかもしれないがどちらにしろ今は2Bの修理が最優先だな。
「……貴方達は誰?」
「俺たちか?俺たちは……何だろうな?」
「え!?私に聞くんですか!?」
突然話を振られた11Bはびっくりして声を上げる。改めて考えてみると俺たちはなんだろうな。レジスタンスどころか人類軍ではない。……むしろ、アンドロイドみたいな機械生命体、バンカーに裏切られ機械生命体絶対殺すウーマン、戦いに疲れて逃げ出したらマジで死にかけたヨルハ部隊員。見事に敵としか言いようがない者達の集まりだな。
取り敢えずここは偽ってでも話が出来る状態にするか。
「俺たちはレジスタンスとは別に行動する特殊部隊だ。こいつらは任務中に拾った」
『その様な部隊の存在は記録にない』
口から出た嘘をポッドが一蹴する。ポッド042。こいつと153は意外と厄介だ。何せ2Bや9Sが知らないことを説明するのは大体こいつらがやっていた。つまりそれだけ様々な事を知っている、記録しているという事だ。
それにアンドロイド以上に機械なこいつらは淡々と話すからやり辛い。
「そりゃそうだろう。何せ通常のレジスタンスにすら知られていないからな」
『要求:具体的な任務内容の提示』
「うーん、そうだな……。機械生命体の動向の観察、と言った所かな」
『疑問:徹底的な情報統制を行ってまで観察する意味』
……。正直に言おう。めんどくさい。こいつ凄くめんどくさい!なんだよ!?疑っているのは分かるけど納得してくれよ!そこまで掘り下げてくるなよ!
「……さあな。上の指示だしな」
『……会話の内容を精査した結果、嘘の可能性が高いと判断。要求:真実の提示』
「……」
俺の表情が堅くなるのが分かる。このポッド、意外と鋭いが今このタイミングはまずいな。どうにかしてごまかせないかな。横目で見る限り2Bの体に異変が起こりつつあるし。水没都市で戦闘をしなかったから多少は余裕があるようだが。
……そう思った時だった。上空から一体の男性型アンドロイドが降りてきた。9Sだ。確か飛行ユニットから降り立ったのは橋がある前の広場だったはずだが2Bの反応を追いかけてきたようだ。
「2B!大丈夫か!?」
「9S……」
2Bに駆け寄り安否を確認する9Sに2Bは短く名前を呼んだ。大丈夫そうだと安堵した9Sはそのまま俺たちの方を向き彼女を庇うように剣をこちらに向けてくる。ああ、なんかまたややこしくなった気がする。
「貴方達は誰ですか?」
「俺はレイン。お前が後ろで庇っているアンドロイドを助けた者さ」
「助けた?あなたたちはレジスタンスのアンドロイドですか?」
「似たような者さ。それより、お前の後ろのアンドロイド。見たところウイルスに汚染されていないか?それに義体の調子も悪そうだしな」
「っ!」
俺の言葉を聞いて2Bを調べる9Sは俺の言葉が真実だと分かったようだ。少し焦っている様子の9Sに俺は畳みかける。
「俺の拠点に来るか?そこならウイルスの完全除去に義体の修理も出来るぞ」
「……貴方達を信じる事は出来ないですよ」
「怪しい動きをしたと思ったら殺してくれて構わないぞ。どちらにしろ早く決めた方が良い。先程から地鳴りがしている。巨大な熱源反応も地下から確認している。このままここにいるのは危険だ」
「……」
俺の言葉に9Sは考え込む。後数分もしないうちに塔が出現し森の国、遊園地、水没都市に資源回収ユニットを射出する。遊園地の機械生命体は安全な場所に避難済みだから問題ないがそれ以外は機械生命体が襲ってくるようになる。ゲームだと塔の出現から二週間後からプレイする為詳細な事はわからないがグダグダしている訳にはいかないだろう。
9Sも考えが纏まったのか警戒は解いていないが剣を下ろした。
「……分かりました。今は2Bの修理を優先しますがもし何か不審な事をしたら……」
「容赦なく殺してくれて構わないぞ。それとこいつらにも邪魔はさせない」
「今はその言葉を信じます」
9Sは2Bの修理を優先したようだな。だが、今はそれで十分だ。2Bが生存しているというだけで物語は大きく変わる。少なくとも9Sの心が壊れる事は無いはずだ。
俺はA2に2Bを背負わせると俺とA2を先頭にその後ろから9Sと11Bが並んでついてくることになった。
その数分後、塔が地面より現れ廃墟都市より塔が出現した。そして塔より資源回収ユニットが三つ打ち上げられ原作通りに遊園地、森の国、水没都市に落ちていくのだった。