機械生命体「俺ハ人間サ」   作:鈴木颯手

23 / 25
新年あけましておめでとうございます。そしてお待たせしました


第十一話「“自分ノ心”そして“これから”」

「そうだな。そうかもしれないな」

「……」

「俺は人間が嫌いなんだろうな。だから俺はこの世界に来た。人間が一人もいない世界だから」

 

 俺は元人間だ。だからこそ人間がどんな奴らなのかを知っている。転生した当初はこんな事は思わなかったかもしれない。純粋に人間を復活させたいと願ったかもしれない。でも、俺は拠点を整え素材を集め、武器を作ったがそれ以上の事はしなかった。何千年とあった時間を俺は身の回りの事と快適に過ごせる空間づくりにのみ費やした。

 俺が動き始めたのも原作が始まってからだ。ポポルとデボル、A2に2B、9Sと様々なアンドロイドと接触したがそれ以上の事はしていない。

 

「俺はこの世界を快適と思っていた。人間が一人もいないのに。もしかしたら俺の様に機械生命体やアンドロイドとして転生している者もいたかもしれない。だが、俺は探そうとも見つけようとも思わなかった」

「……あなたは人間の事を嫌っているの?」

「そう。いや、違うな。多分、どうでもいいんだ」

 

 遠くの方で人間が何をしていようと、俺の邪魔をしなければ気にも留めない。死にかけて居ようとも遠くで死んでくれと思うだけだろう。

 2Bたちを気に入るのも分かる気がする。だって彼女達はアンドロイドだ。人間じゃないんだから。もしかしたら、生物としてすら見ず、()()()()()()()としてすら見ているのかもしれない。それかこの世界の主役とも言える人物だから特別という思いもあるのかもしれない。

 いずれにしろ、俺が人間の復活を望んでいない事は理解できた。2B達には悪いけど俺が本気で挑む事は二度とないだろうな。

 

「ち、ちょっと待ってください。レイン、貴方は人間だったのでしょう? なのに何故……」

「それだけ人間という存在が酷いという事さ」

 

 9Sには悪いけど人間はそこまで良い生物ではないだろう。人間は長い歴史の中で争いを繰り返してきた。その大半が富を得るために。貧しいものが明日を生きる為に、裕福な物がより裕福になるために。理由は様々あれど争いと共に歩んできたことは事実だ。

 そしてその因果応報とも言える結末がレプリカントだ。あれで人間は人間として生きる事は出来なくなり、その千年後には存続さえ出来なくなった。

 そして人間がいなくなった後にエイリアンが襲来し現在に至っている。

 

「9S、人間はもしかしたら機械生命体やエイリアンよりも醜く、おぞましい存在かもしれない」

「……確かに人間は戦争で技術力を高めていたと記録にありますが、だからと言って」

「いや、別に良いんだ。どちらにしろ、人間は滅びていて今の段階では復活する事は出来ないしそれよりも先にやるべきことがある」

 

 そう言って俺は無理やり話題を変える。人間をどうでもいいと思っている事が分かったが別に嫌っている訳ではない。2Bや9Sが人間の復興を望むのなら手を貸すことだってやぶさかでない。だが、それをするには目下の課題を何とかしないといけない。

 

「2B。良いな? “塔”の対処の話に行くぞ?」

「構わない。貴方の気持ちは理解できた」

 

 2Bはそれ以上話す事は無いのか何も言って来なくなった。俺としても掘り返すつもりはないので今後の予定を話し始める。

 

「“塔”は3ヶ所に“資源回収ユニット”と言う物体を投下する。森の国、遊園地そして水没エリアだ。この資源回収ユニットは“塔”に入るための認証キーが最上階に置いてある。つまり、“塔”に入るためには必ず必要になる物だ」

 

 この資源回収ユニットで9Sはどんどん壊れ始めていくんだよな。とは言え今は2Bもいる。原因のA2もこちら側だ。暴走する事は無いと言っていいだろう。

 

「本来はA2と11Bで資源回収ユニットを回っていく予定だったがお前達が協力してくれるのなら直ぐに入手できるだろう」

「分担して手に入れるという事ですね?」

「そうだ。2Bと9Sには水没都市の資源回収ユニットを担当してほしい」

「他はどうするんですか?」

「一応A2と11B、俺で森の国に行く予定だ。遊園地は最後だな」

 

 遊園地は後回しだ。ゲームのあそこにはオペレーター21Oがいる。だがあの時は数週間が経過していた。今すぐ行ってはまだいない可能性が高い。

 

「因みにだが今すぐに向かう訳ではない。2Bは修理を終えたばかりだし9Sだってメンテナンスを行っておくべきだろう」

「確かにそうですね。……分かりました。貴方に協力すると言った以上僕たちも貴方達と動きを合わせます」

「すまないな。あ、それとお前達のポッドを少し貸してくれ。メンテナンスをしながら話したい事があるからな」

「ポッドをですか? 一応言っておきますがバンカーが無くなった以上ポッドを失う事は避けたいのですが」

「勿論分かっている。本当にただのメンテナンスさ」

「……わかりました。大切に扱ってくださいね?」

 

 信用しきれていないからかポッドのメンテナンスを申し出ると難色を示したがやや強引に了承させポッドを2機、預かる。A2を殺すように提案していこう全く喋らないこの2機が今何を思っているのかは分からないが話す必要はあるだろう。それも個別にな。

 

「それとA2と11Bと話して来たらどうだ? どうせ動くのにまだまだ準備がいるんだ。コミュニケーションを取っていざという時に共闘出来るようにして置く必要はあると思うぞ」

「……そうだね。9S、行こう」

「え、2B。手を引っ張らないで……!」

 

 2Bは何かを察したのか9Sの手を取り部屋を出ていった。とは言え明らかに手を出せば容赦しないという瞳をしていたけどな。慌てる9Sを引きずる2Bを見送った俺は改めてポッドと向き合った。

 

「さて、改めて自己紹介を。俺はレイン。アンドロイドっぽい機械生命体だ。ああ、別に自己紹介はいらないよ。ポッド042に153」

「疑問。我々との会話を何故望む?」

「ヨルハ計画の破棄。俺はお前達ポッド、いや、人類軍司令部に要求する」

 

 ヨルハ計画。これがある限り2Bや9S、A2と11Bは破棄される事になってしまう。それだけは避けたい。せっかく彼女達と触れ合ったんだ。ここでお別れなんてさせてたまるか。

 

「お前達がヨルハ計画に沿ってヨルハ部隊を監視している事は知っている」

「驚愕。それも転生前の知識か?」

「そうだな。で? どうする? 俺の要求を断るか? それとも受け入れるか?」

「回答。私としては受け入れても良いと思っている」

「ポッド042。それは明確な反乱行為である」

 

 ポッド042の言葉にポッド153は強い口調でそう言った。確かにヨルハ機体の廃棄を最終的に行おうとしているのにそれに真っ向から反抗する俺の提案に賛成したのだからな。

 とは言え俺としては今ここで回答をもらえるとは思っていなかったがな。何だったかで見た記憶があるがポッドは製造された順に自我を得やすいと言っていた。だが、ポッド042が自我を表に出すのはEエンドの時、つまりエピローグの時だ。にもかかわらずポッド042は今こう答えていた。これは思ったよりもいい方向に行きそうだな。

 そう思った俺はポッド042と更に話をするべく口を開いた。

 




気付いたらお気に入り数5000ちかくまで……。こんな作品をありがとうございます。次の投稿が何時になるかは分かりませんが完結まで何とか頑張っていこうと思っています
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。